満願 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 13015
感想 : 1031
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101287843

作品紹介・あらすじ

「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが……。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、「夜警」「関守」の全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 2015年「このミス」1位の作品。
    他にも受賞しているらしく「驚異の三冠、ミステリ最高傑作」の帯に惹かれて購読。
    作品は6篇からなる短編集。調べてみたら2010年~2013年にかけてそれぞれ単独で発表された作品の短編集との事。

    時代背景はどれも昭和40年~60年位で、暗い印象。読んでいる最中は古いアルバムの写真を見ているような感覚。全編ノスタルジックな感じがなんだか薄気味悪く、同時にスッキリとしない不快さが漂う作品だと感じた。
    全篇通じてその重たい暗い背景が最高のミステリーを感じさせているのだと感じた。
    藤子不二雄さんの「笑うセールスマン」やテレビの「世にも奇妙な物語」等を感じさせるような、言い様の難しい読後感だなと感じた。

    作品は全て単独で発表されていたからなのか完成度が凄い。また題材も全て違うため作者の力量の深さを感じる。
    どれも甲乙つけがたく最高傑作だと感じた。
    また近いうちに作者の別の作品も読んでみたい。

  • 6つのミステリー作品が収録された単独短編集。

    貫井徳郎3作品連読後、無性に米澤穂信を欲した。
    理由は不明。迷わず本棚から引っ張り出した。

    著者の作品は5作目だが、1番最初に購入した作品がこの満願だった。そう、読みたいと思える頃合いを待ち続けていたのだ。

    素直に感想から述べたい。

    今まで読んできた短編集の中でも、ズバ抜けてクオリティーが高く、最後の一文まで堪能した。
    いや、最後の一文こそ、読後に大きな爪痕を残す重厚感があり、著者作のボトルネックを読んだ時の衝撃が甦った。

    特に【関守】と『万灯』が善き。

    本作で著者作品5作目。
    今日今現在、米澤穂信作品で本作は私にとってはダントツの傑作だ。

    ミステリーがお好きな方で、まだ本作品に触れていないのであれば是非ともお勧めしたい。

    ただし、著者作品・古典部シリーズから入った方はご注意をば。

    本作に青春のカケラもない。
    あるのは苦い後味と、予想を上回る精神的ダメージである。

    しかし、著者の言葉選びと発するタイミングは、震えるほど気味が悪くて、心地悪くて、気持ちが良い。

    もはや次の読書作品は決まった。
    いざ、出発進行。

  • 優等生すぎる短編が6つもはいってお買得
    だけど人物設定を都度インプットする必要があるので毎回読み始めがしんどい
    マンガンときくと満貫(12000点)を想像するが、
    読了した人は満願成就を想像し、あの余韻に浸るのだろう


    • bmakiさん
      こんばんは(^^)

      人物設定を都度インプットする必要があるので毎回読み始めがしんどい

      ↑もうこれ、本当賛同します!
      短編はだか...
      こんばんは(^^)

      人物設定を都度インプットする必要があるので毎回読み始めがしんどい

      ↑もうこれ、本当賛同します!
      短編はだから苦手です。

      この本は面白かったですけど(*^^*)


      マンガンと言われたら、電解二酸化マンガンですねぇ〜。
      それ一択です(笑)

      電池屋さんなので(笑)
      2023/06/30
    • ganglionさん
      コメントありがとうございます
      短編は頭の切り替えがしんどくて…
      けど長すぎるとダレてしまう
      なんとも欲張りな読者です

      電池屋さんなんですか...
      コメントありがとうございます
      短編は頭の切り替えがしんどくて…
      けど長すぎるとダレてしまう
      なんとも欲張りな読者です

      電池屋さんなんですか?
      おっきい電池載ったEV車欲しい!!
      2023/06/30
  • このところ、多くなっている連作短編集ではなく、作品のの背景、登場人物とそれぞれ個別のストーリーを持った短編集。時代は、昭和40年代から50年代位でしょうか。表題作含め、バラエティに富む六編。どの作品も、トリックではなく、その事件に関わった人達の深層心理を描くことが中心となります。
    「夜警」
    一人の若い巡査の殉死。彼の行動癖から、事件の違和感が生まれる。
    「死人宿」
    自殺者の多い山奥の温泉宿。昔の恋人を探し出した男。元恋人に自殺志願者の詮索を依頼される。
    「柘榴」
    美しい少女の倒錯した愛情。実母、妹さえも排除する。これが、好みですね。男性作家が、女性の深層心理戦書いているのは、全般的に好きですね。
    「万灯」
    日本のビジネスマンの仕事への執念。成就への行動は、思いがけぬ破綻を期す。
    「関守」
    都市伝説となる、悲哀漂う家族の関守。
    「満願」
    下宿先の女主人だった女性が起こした殺人事件。彼女が、そこまでして守りたかったもの。それに気が付いた下宿人だった弁護士。
    際立ったキャラクターというより、均衡が破綻してしまった日常生活のトラブルを抱えた犯罪といった全作、魅力的な作品でした。

  • 短編なのにどの作品もとても丁寧で、話の中にすぐに引き込まれる。

    一度引き込まれたら抜け出せなくなり、先が気になってまた読んでしまう。
    終盤は「ここまで読んだらもう離さないぞ!」と言わんばかりのつかみ方で、読んだ後までゾゾッとさせる。
    米澤さんの本は初めて読んだけど、引き込ませる力がとても強いと感じた。

    星5ではないのは、自分の好きなミステリーではなかったため。
    館のクローズドサークルがやっぱり好きなので、今度は『インシテミル』を読みたい。

    米澤作品を読んだきっかけは、綾辻行人さんの『時計館の殺人』の解説を米澤さんが書かれていてとても共感したので。
    Audibleにて。

  • 短編集が苦手な私は、なぜ中身を見ず手に取ってしまうのだろう………。米澤穂信さんの初読み作品。
    (『氷菓』が有名だが、アニメを昔観たので小説は未読)

    本作は7編からなる短編集で一つ一つの物語に重厚感があり、なんとなく『世にも奇妙な物語』に似た印象を抱いた。ただ最後の短編でありタイトルでもある『満願』は時代設定が古いためか、ちょっと読みづらくて分かりにくい印象が少し残念。それ以外の短編は、ゾッとするオチで楽しめました。

    今だと米澤穂信さんの『Iの悲劇』や『黒牢城』などが人気だと思われるが、今の私にはまだハードルが高そうかなと小休止。

  • 6篇の短編集
    ジワジワと剣呑な空気が迫って来て、一気に不穏なラストへ引きずられました。誰の心にもありそうな隙間に、何かが入り込んで取れなくなり、行動をしてしまう。しかし、それは気味が悪く、ザラザラと後味が悪い。そんな感じでした。

    「夜警」ミスをなんとかしたい気持ちは誰にでもありそうだけど。後輩の性格に気づいていても見て見ぬふりもありそうだけど。
    「死人宿」確かに見ていた。が、気付けなかった。
    「石榴」美しい母娘。父娘。姉妹。この先、どうなるのだろう。そして、最後の一言にゾッとする。
    「万灯」仕事熱心すぎたことで、巻き込まれていく。そして、信じられないような状況で審判を待つ
    「関守」それぞれの事故の話が、こんな形で繋がっているとは。
    「満願」『酒に強いのも不幸だが、妻が立派なのは、なお悪い』殺人の動機にため息がでる。

    それぞれの登場人物に満願があるように思いました。だだ、満願成就に至ったのは、、、。

  • 米澤穂信さんの作品は初めて読む
    短編集なので読みやすかった

    特に好きなのは「柘榴」と「万灯」
    両方とも想像がつかないラストで、特に「万灯」の方はそう落とし込んだか〜凄いなぁなるほどねと感心した

    イヤミスなのに短編だからかスッキリ読める 男性作家が書くイヤミスってこんな感じなのね〜

  • 古典部シリーズ以外の、著者の作品を
    久しぶりに読んだ。

    同じ人が書いてるっ?笑
    と思えるくらい、世界が違くって、
    その世界観に、完全に引き込まれた。

    個人的には万灯がおすすめです。

  • 満願 米澤穂信 著

    米澤さん作品の初読了です。
    また、基本的に短編集は読まないです。
    長く物語の世界に入りたいからです。

    満願。短編集です。

    「やられました、、、」
    6作品、全て繋がりなく、さらに物語設定も、文体も、様々です。

    ------------
    ※抜粋
    ●夜警
    警察官の上司と部下。
    緊急連絡で現場に急行。一触即発の事態のため、踏み込む。
    部下は、犯人めがけて発砲するも、殉職。
    上司は、部下が発砲したこと自体への疑念が消えない。
    ------------
    ●関守
    毎年不審な事故死がある峠。
    記者は、都市伝説としての題材として現地取材へ。
    彼は取材で、衝撃の事実に辿りつく。
    ------------
    ●柘榴
    離婚調停の家族。子供は2人。父方は定職なく、扶養義務はおぼつかない。母方はアルバイト掛け持ちし、2人の子供を養う準備を行い万全の体制。
    家裁の判断は「父方」の全面支持。
    家族に「なに」が起こっていたのか?

    ------------
    【読み終えて】
    短編集の良さ。
    それは、起承転結が明確であり、次の物語に早く入ることができること。
    「満願」は、まさに、この小説となりました。


  • 独立した短編集
    湿った空気感

    イヤミスです。
    後味はざらりとしています。
    感心するくらいに。
    どの話も今より少し前の時代設定かな。
    「柘榴」「万灯」が特に良かった。

  • 短編集として非常に優秀な作品。どれもテイストが違うミステリとなっており、それぞれ異なる楽しみ方が出来る。ただ殆どが湿っぽいイヤミスになっており、個人的にはそれほど好きではなかった。

  • 重厚で深みのあるお話し6篇を収録した、ミステリー短編集。
    短編集で★5を付けることはほぼないのだが、この作品は文句なく評価できる。

    どの作品も世界観ができあがっていて、短編集にも関わらず、どんどんストーリーに引き込まれてしまう。文章も綺麗で、文体バランスもよく、重い内容にもかかわらずすんなり読み進められます。

    全作品おすすめですが、特に「万灯」「関守」が大好き。最後徐々に見えてくる真相、不幸が迫りくる感覚が怖すぎる。

    ミステリー短編集はどうも好きになれないという方に、是非読んでほしい一冊。

  • この小説を読んだのは初めてだと思うのですが、何となく内容を知っていたのは、以前TVでドラマ化されていたものを観たからだと思います。
    改めて調べてみたところ、2018年にNHKにて放映されていたようです。
    それから5年も経っているのに、小説を読み進めているとドラマの映像がぼんやりと浮かんでくるような感覚がありました。それほどまでに、この作品のもつ独特の雰囲気が強烈に印象が残ったのだと思います。

    「万灯」バングラデッシュでの資源開発
    「夜警」交番勤務の警察官の殉職
    「満願」下宿の女将が起こした殺人

    真相が気になるのに、結末に行き着くのが妙に怖くて、ページをめくるのが躊躇われる…。
    一つの短編を読み終えるごとに、たかが数十ページの短編とは思えないほどの疲労感?充足感?恐怖心?を感じました。
    この心のざわめきを、何と表現したらよいのでしょう。。。
    まだ言葉が見つかりません。

  • なにやらこちら、すごい短編集らしい。
    個人的には「儚い羊たちの祝宴」の方が好みでしたが、こちらもおもしろかった。

    『夜警』不安や問題が発生した時、かつての経験から、状況改善を見送ってしまい、更に事態が深刻になってしまう…という。なんだか心当たりがあるような気がして、嫌な気持ちになるお話。
    「臆病者なら使い道がある。上手く育てれば、臆病が転じて慎重な警官になるかもしれない。無謀な者よりはよほどいい。だが、小心者はいけない。あれは仲間にしておくのが怖いタイプの男だ。」

    『死人宿』うーん。無念。

    『柘榴』これは女性作家さんが書くイヤミスのような展開で、好みでした。母がとてもかわいそうだが、ある意味娘はとても濃い血を継いだのだな。「けれどもいまは、それほどでもない」…鳥肌です。

    『万灯』柘榴からまたガラッと変わった内容で引き込まれた。仕事一筋の人間が仕事への信念ゆえに道を踏み外してしまうお話。最後はまさかの展開で、後味悪いがおもしろい!1番好きかな。

    『関守』終盤にかけてテンションが上がってくるー。都市伝説の真実。良いですね。これも好みでした。

    『満願』人が何を叶えたく、何を願って生きているのかは本当に様々だ。強すぎる願いは時にやっかいだな。
    柘榴の夕子、関守のおばあさん、満願の鵜川妙子は満願成就ということになるのだろうか。

    • 土瓶さん
      あささん、こんばんは~^^
       
      「儚い羊たちの祝宴」の方が好み。私もです。
      ところで今日BOOKOFFに行ったのですが、なんとそこにブ...
      あささん、こんばんは~^^
       
      「儚い羊たちの祝宴」の方が好み。私もです。
      ところで今日BOOKOFFに行ったのですが、なんとそこにブグログのコーナーがっ!!
      評価☆3以上のものを並べているようです。
      ありました。「儚い羊たちの祝宴」
      「本当の狂気とは合理性の追求の果てにある、ということを教えてくれる短編集。」とのレビュー。
      合理性を追求し過ぎると狂気に至る、というわけでしょう。
      どなたのレビューかは知りませんが良い得て妙ですね。
      2022/08/20
    • あささん
      土瓶さん、こんにちは〜^^

      おぉ!ちょうど明日BOOKOFFに行く予定していたんです。その店舗にもあるかな〜ブクログコーナー(*'▽'*)...
      土瓶さん、こんにちは〜^^

      おぉ!ちょうど明日BOOKOFFに行く予定していたんです。その店舗にもあるかな〜ブクログコーナー(*'▽'*)探してみます。わくわく

      「本当の狂気とは合理性の追求の果てにある、というとを教えてくれる短編集。」
      合理性を追求し過ぎると狂気に至る、ですか。なるほど。と言いながら合理性をググりました。笑

      自分の正義が強すぎると狂気に至りやすいという感覚に似てるのでしょうか?

      合理性の追求について少し考えれたので勉強になります。再読したくなってしまいました!
      2022/08/21
  • 米澤さん初読。

    短編ミステリーとは、どんなものなのだろうか?とこちらも初めて。

    6話とも繋がりはない中で、それぞれ最後まで予想つかなくて…ゾワゾワした。
    短編だからここまでの読後感味えると思っておらず。。すみません!

    他の作品も気になるー^^

    • yhyby940さん
      初めまして、面白かったですね。NHKでドラマ化されたものも楽しめましたよ。
      初めまして、面白かったですね。NHKでドラマ化されたものも楽しめましたよ。
      2022/10/05
    • なんなんさん
      yhyby940さん
      こんばんは、初めまして。

      これは、面白かったです!
      ドラマ化されてるんですね!今度観ます。

      米澤さんの新作も積読に...
      yhyby940さん
      こんばんは、初めまして。

      これは、面白かったです!
      ドラマ化されてるんですね!今度観ます。

      米澤さんの新作も積読にありまして、楽しみです。

      フォローさせていただきました、これからも宜しくお願いしますー!
      2022/10/05
    • yhyby940さん
      こちらこそ、よろしくお願いいたします。
      こちらこそ、よろしくお願いいたします。
      2022/10/05
  • 6篇の違った作品からなる短篇集
    表題作になっている『満願』を初め素晴らしい作品が散りばめてありました。
    近頃は、連作短編に慣れ親しんでおりましたので、とても新鮮な気持ちになり楽しく読み進められました。
    解説の杉江松恋さんの言葉を借りますが、なんと、切実な。各篇の最後に明かされるそれぞれの結果は、それぞれの必然、《そうするしかなかった》という呟きを聞きながら、ああ、なんと切実な、と畏怖の念に打たれる、人間が孤独な存在であることを思い知らされる短篇集でした。
    表題作『満願』の他に、怖いなぁと思った作品は、『関守』と『柘榴』でした。
    『関守』は、鄙びたドライブインの年老いた女性店主の語り口調に・・・
    『柘榴』は、夕子という少女の思考と行動に・・・
    米澤穂信先生 恐れ入りました。

  • 「満願」と言う題名、四国八十八ヶ所回る事を満願とも言うが、少しスピリチュアルな香りがする。6つの短編で構成されているようだ。
    さて、内容はどうか、ページを開いてみた。

    新人の小心ものの巡査のとる行動とエゴに対し、上司の柳岡巡査部長の葛藤が描かれた「夜景」。どんな職場でも適材適所はある。
    証券会社社員の私と大学職員の佐和子、佐和子のエゴに脅威を感じる「死人宿」。遺書が誰のものか?ありそうにないことも起こり得る。
    皆川さおりは大学のゼミで知り合った佐原成海と結婚するが・・・娘の夕子の異常さに慄く「柘榴」
    バングラデシュで天然ガス開発に携わる伊丹、そして森下の仕事と人の命の天秤、そして犯罪を犯した者への制裁は・・・「万灯」
    フリーライターの俺が都市伝説の仕事を請け負う。取材に行ったドライブイン店主のばあさんから話を聞く構成の「関守」

    表題作の「満願」、弁護士を目指す藤井が下宿していた先の大家が、鵜川夫妻。畳屋を営む夫の重治は評判が悪く借金、肝硬変で入院してからは、金貸の矢場英司は妻の妙子に取り立てする。そして事件は起こる。その弁護を弁護士になった藤井が担当する。真実はひとつ。動機も明快だ。しかし、人の奥底に眠る思いの冷酷さが最も伝わってきた作品だった。

    各作品とも登場人物のエゴに焦点を当てている。そしてその思いを成就させるプロセスを上手く描いている。各章の題名もよく練られている。ミステリー、ホラーの範疇ではなく、人の心の奥底を抉る秀逸な作品だった。
    (注)四国巡礼はどこにもない。

  • 初めての米澤穂信さん作品。
    フォローしている方達の本棚でよく見かけて気になってた本。
    6つの短編物語はどれも面白くて、読んでいる最中はもちろん読了後に大きな存在感がじわじわと残るものばかり。

    甲乙つけがたいけれど、個人的には「柘榴」「万灯」「関所」が特によかった。

    物事がうまく進んでいるように見えての急展開は、現実世界でも起こり得る出来事なのかもしれない。自分だけいいように取り繕おうとするのはよくないことなんだな。

  • 山本周五郎賞受賞、このミス1位など高評価を得た一冊は、まさに期待を裏切らないモノだった。
    勝手に長編モノと勘違いしていたが、警察モノ、サスペンス、愛欲、ホラーチックとバラエティにとんだ純粋に独立した6つの短編からなる短編集。
    濃密で、スキのない構成、しっかりと伏線もありながらの切り返し、そして何かザラッとした余韻を残す結末。
    短編ならではのキレがいずれも素晴らしい。充実した短編ミステリーを堪能できた。

  • 「心にざわめきを。そしてきらめきを。」
    解説の最後にあるこの言葉が合ってるかな。
    短編6話。
    全話に言える事やけど、暗いし、スッキリしないし、後味も悪い。
    人間の負の感情が溢れ出し、最期に!って感じ。
    そんな後味悪いとか言いながら、面白いので、一気読み^^;

  • 短編嫌いの私が★×5
    これは初めてのこと。

    全ての作品が★×5。素晴らしかった。

    何冊かこの作家さんの本は読んだことがあるはずなのに、
    ここまで心掴まれたのは初めてかもしれない。

    インシテミルは自分の好きな分野だった為好印象なのは当たり前だが、
    この作品は自分の得意分野というわけでもない。

    それなのに全ての作品に気持ちを集中できた。
    短時間で没頭して読了してしまった。

    凄い・・・
    絶対この作家さん、上手くなっている。。。
    短編でこんなに惹かれる作品に出会えたのは初めてのことで、
    自分自身とても驚いている。

    とても良い作品に出会えて幸せだ。。。
    これこそ読書の喜び(*^-^*)

    • もおりいさん
      このレビューを読んで早速本屋さんに行って文庫を買って来ました。新たな本をご紹介頂きありがとうございました❗️
      このレビューを読んで早速本屋さんに行って文庫を買って来ました。新たな本をご紹介頂きありがとうございました❗️
      2017/08/20
  • 米澤穂信先生の作品を初読。
    6つの話が楽しめるミステリ短編集で、どの話も切れ味鋭い展開が気持ちいい。

    気に入った話は『万灯』と『関守』。
    どちらのエピソードも人の闇や弱さに強くフォーカスした作品で、読み終えたときにはつい「ふぅ…」と憂いと感嘆の入り混じったため息を出してしまいました。

  • どの作品もオリジナリティがあって読み飽きないし、そして派手さは無いけど1冊の本として上手くまとまってるなと感じる。
    なかでも海外が舞台の万灯は、コロナ前に描かれた作品にも関わらず、結果、伝染病によって冒された日本人が犯行を暴かれるかも知れない、と含みを持たせた終わりかたも魅力的。関守の展開も面白い。

  • 黒米澤の真骨頂とも言える短編集。
    全編を通して人間の闇や狂気が描かれています
    不穏でジメジメとした雰囲気が最後まで続きますが、氏の読みやすい文章も相まってサクサク読めました!
    個人的に「万灯」「関守」「満願」が良かった

  • 短編集。
    それぞれ独立したお話。

    1と6の登場人物が好き。
    ちょっと退屈さを感じながら読んだけど、最後の物語はなかなか味わい深かった。

    各話で奇妙な人物が登場する。
    ちょっとホラーな人物もいたりする。

    読了。

  • すごく好きな作品でした!!
    1番目と4番目がとくに好きですねー!

    え?いったいどうなっていくの?とかなりの勢いで惹きつけられます!
    最後の一文まで気が抜けません。

    この作者さんは、本当にいろいろな物語が書けますね!
    氷菓シリーズとはぜんぜん違った印象です。

  • 人間の恐ろしさ,ズルさなどの表現が凄い。結末はおよそハッピーエンドとは言えず,推理小説だがホラーのような感覚にもなる。

  • 匂わせにやられた。
    どの話もあらぬ方向にジワジワと舵が切られていく。
    このジワジワは伏線と呼ばれるものかもしれないがあえて匂わせと表現したい。
    そこには怪しさだけでなく、不穏な空気とじっとりとした背徳感も併せ持っているからだ。
    最初は微かに匂っていたものがいつの間にか匂い立ち、急速に確信へと変わっていくスピード感がたまらなかった。

    そして昭和の時代背景もいいんだよなぁ。
    今のようにSNSで自分をさらけ出すようなこともなく、人の心にまだ鍵がかかっていた時代。秘められているからこそ興味本位に覗きたくなる。そして思いもよらぬ心の奥底がみえてしまった時、興味本位を少し後悔する。
    見てはいけないものを見てしまった読後感だった。

  • 人間の心理の闇が描かれる短編集。完成度が高く、どれも強烈な印象を残す。ブラックユーモア、イヤミス、どんでん返しありと、盛り沢山な内容に大満足。
    描かれない部分があることで、返って想像力を掻き立てられる。こういう真実って語られないだけで、気づかないだけで、意外と身近にあるのかもしれない。

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

米澤穂信の作品

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