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- Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101288024
感想・レビュー・書評
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再読。<br>
初めて読んだときは、そんなに感動を覚えなかった。私にとって大学紛争の話は遠い昔の出来事で、闘わなければならない欲求も衝動も全く未知の世界だったから。<br>
今も、たぶん当時と変わらないはずだ。それでも、大阪の南の端の、ここにある世界を見てしまった私には、少しだけ、闘争の欲求と衝動を自分のものとしてではなくても、隣人のそれとして、肌で感じることができたような気がしている。<br>
もう一つは私が社会学を学んできたから。カメラの立つ位置が異なることの意味を、私はよく知っている。調査で、聞く人間がどこに所属しているのかは、得られるデータに大きな違いをもたらす。調査1年目の初読時と、調査4年目、いや5年目になろうという今では、その意味への理解が全く違う。そのことを、これを読んで痛感した。<br>
ほとばしる青春の物語としての大学紛争と、メディアの虚構と。この二つが絡まりあうことで、ものすごく濃厚で凄まじいパワーを持った一作となっている。詳細をみるコメント0件をすべて表示