閉鎖病棟 (新潮文庫)

著者 : 帚木蓬生
  • 新潮社 (1997年4月25日発売)
3.56
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  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101288079

作品紹介

とある精神科病棟。重い過去を引きずり、家族や世間から疎まれ遠ざけられながらも、明るく生きようとする患者たち。その日常を破ったのは、ある殺人事件だった…。彼を犯行へと駆り立てたものは何か?その理由を知る者たちは-。現役精神科医の作者が、病院の内部を患者の視点から描く。淡々としつつ優しさに溢れる語り口、感涙を誘う結末が絶賛を浴びた。山本周五郎賞受賞作。

閉鎖病棟 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 精神病院の話。みんな優しすぎる。いわゆる障害者、とか社会的弱者って呼ばれる人たちのほうがよっぽどまともだなぁと思う。で、これを読む前の精神状態は死にたさMAXだったんだけど、風呂で読んだリラックス効果も相まって死ななくてもいいのか、と思えるようになりました。仕事ができなくても彼氏にふられそうでも、死ぬほど悪いことはしてないし、死ぬほどのことでもない、と思えた。
    2015.11.29

  • 著者の「ははきぎほうせい」さんはTBSから大学に入り直しお医者さんになられたそうです。読みはじめました。

  • 登場人物の経歴など、しっかり書き留めておくとわかりやすい。最後まで進めば、ほんとに暖かい人情を感じる。
    この本を読んで、私の誤解も解けた。
    この本を読んで、私ももっと人を信じていいかもしれないと思った。
    いい本です。
    目標。この作者の本は全部読むつもり。

  • 夜に手に取り一気に読んでしまい、眠れなくなった。
    ヒューマンドラマのように感動的な内容で描かれているが、実は多くの精神医療の問題が組み込まれている。
    無事という言葉が重みを持つ。
    学生時代にしていた陶芸をまたしたくなった。

  • 運命の中で必死に泳ぐヒトの物語

     病気も環境も事故も運命だと片付けるのは好みではない。しかし、それを受け入れたあとに残るのはヒトとしての尊厳っていうか、社会への感謝っていうか、なんか個人を超越したものがあるような気がする。

     東大文学部から、就職を経て九大医学部って言う、人生の高速移動を体験された作者さんだからこそなのかなぁ? すばらしい作品だな。

     スタイルは、先に読んだ安楽病棟同様に患者さんの背景に始まり、病棟が描かれ、事件がおこるってもの。ありきたりかもしれないけど、かなり悲惨な過去を持つこの主人公にはハッピーエンドが似合うね。

  • タイトルのように精神病院の閉鎖病棟にいる人々を描いた話です。
    途中からどうも読みにくいし、はっきり言って魅力のない文章だと思いました。
    内容がスムーズに頭に入ってこない。
    この人の本は以前、ノンフィクションものを読んだ事がありますが、その時は読みにくいとか感じなかったけど・・・。
    でも、患者さんたちのちょっとした言動などはとてもリアルで細かい部分まで描かれていて、これは全くの想像で書けるもんじゃないだろう・・・と感じました。

    物語の時代はどうやら戦時中らしく、その時代の閉鎖病棟とだけあってかなり過酷で無法地帯なんじゃないか?と読み始めて思いましたがそんな事はありませんでした。
    閉鎖病棟というとその言葉通り閉鎖された世界で、外に外出するなんて事はもちろんないだろうし、部屋に閉じ込められたりするんじゃ・・・と思ったらそんな事もなく、入所者たちは意外にも自由に外に出ています。
    それに閉鎖病棟に入れられるという事は相当な重症の人たちだろう・・・と予想していたら、それもそんな事はなく、こんな言い方をしたら悪いけど、意外にもちゃんとしている人たちで、日常の事もちゃんと自分でこなしています。
    でもある一部分が壊れている、という感じで、そこにかなり執着しているという所はあります。

    この物語の主な登場人物となっている男性もそんな人で、新聞社にいつも文章を投書して、その自分の投書した文章が新聞の記事や占い欄で使われていると思っています。
    でもそれ以外の所は割合に普通。
    そして、その感じる事とか言動とかもむしろ普通に生活している人よりも人間らしさを感じました。
    それは世間体だとかを気にせず、計算が働いてないからだろうと思います。

    閉鎖病棟を舞台にした話なので、どうしても閉塞感を感じるし、読んでいてつらい部分もありますが、でも読み終えて希望を感じるストーリーでした。
    ずーっとため息をつきたくなるような事ばかりが描かれていて、後半、ラストにそう感じさせる話になっているので余計だと思います。

    特に、個人的には後半の2つの場面が胸に響きました。
    1つは主な登場人物の男性が母親の死を機に実家に戻ろうとした所、妹夫婦に反対される。
    その妹夫婦に主任の女性が言った言葉。
    人のために涙をしながらこんな事を言える人がいるなんて・・・。
    そして、こんな風に人に思ってもらえるなんて・・・とジンときました。

    もう1つは、これまでの人生、つらい事ばかりがあった若い入所者の女性の一人が言った言葉。
    「嫌なことがあったらおじぎ草に八ツ当たりする。指でつつくと、すみませんてお辞儀してくれるから」
    何て微笑ましくて繊細でやさしい感性だろうと思いました。

  • この本をづいぶんと長い期間読んでいた。
    ブクログの記録を見ると、どうやら7月末からづっと読んでいたらしい。
    いやづっと読んでいたわけではなくて、それから今までの間には他の沢山の本を読んでいたのだけれどね。
    まあ、あれだ ♪わたしは今日まで読んでみました~♪ ってやつかな。意味はない。すまぬ。

    読むのに時間がとても掛かったのにはわけがある。
    それはこの本が面白くないからです!
    おい!でもおまえの評価は☆5つぢゃねーか、どういうことか説明しろよ。
    へい、さいです。すまんこってす。すごすご。

    帚木先生の作品はなぁんと純文学なのでした。
    じつはわたしは、バチスタみたいな病院ミステリだと思って読んでいたのです。恥いぃ。

    したっけ、ついには延べ3回くらいわこの本を読み返した勘定になるのです。きっと。
    そおしてとても面白い純文学小説なのだ!という結論に至ったのです。
    やあ、めでたしめでたし。
    でも、このようなすぐれて面白い純文学ばかりを読むとすると、きっとひと月に2冊くらいしかわたしは読めないでしょう。
    それはそれで困ったりするので、まあときどきは純文学ね、という具合で許してほしい。再びすまぬ。

  • 作者は精神科医です。この題名から想像できると思いますが、精神科の病棟を舞台として繰り広げられる物語です。色々な重い過去を背負ってそれでも生きて行かなければならない人々。生まれ落ちた境遇は個人の力ではどうにもならない。恵まれない境遇の下に発病。精神の病気は、ある意味過酷な外界の現象に合わせて、バランスを保とうとする人間の正常な機能が働いた結果でもあると言えるのかもしれません。
    ここに登場するチュウさんや島崎さん、秀丸さん、昭八ちゃん、ストさん、キモ姉さん・・
    みんなこの病棟にいて、患者と呼ばれる側にいます。発病して起こした事件が発端で入院して、30年もの間病院で社会から隔絶された生活を強いられているチュウさん、病気はとっくに治まっているのに退院できない。長期に入院している患者の大半は帰る場所がないのだ。彼はこう語っている。「患者はもうどんな人間にもなれないのだ。・・」ひとりひとり名前があり、それまで家族がありそれぞれの暮らしがあった筈なのに。患者というひと括りの名称で扱われます。(世の中の多くはレッテルを貼って区別する、あるいは差別するのが得意です。自分たちの安心を得るために・・)
    しかし、救いのないような世界を描きながら、作者はところどころほっとする場面や温かい人情味のある人物を登場させます。そこには、社会から取り残された世界で長い時間、一緒にいて培われた連帯と友情、お互いを思いやる優しさがあります。一度すべてを捨てて覚悟した人間は、なんて潔いのでしょうか。
    物語が終わりになるにつれ、どうかこのまま上手くいきますようにと祈る気持ちになりました。
    (これで、また悲惨な結末では何ともやりきれないではないか・・)
    そして、最後は何とかハッピーエンド、ほっとして本を閉じたのでした。

  • ★1995年度山本周五郎賞

    配置場所:2F文庫書架
    請求記号:913.6||H 14
    資料ID:C0019891

  • 戦後の精神科病棟に入院する人々を描いた物語。淡々と描かれる静かな日常は、登場人物が精神疾患に罹った患者ということを疑いたくなる。
    優しくて繊細な人ほど精神疾患に罹るわけでもないけれど、精神疾患に罹ったからといって猟奇的な事件を起こすわけでもない。精神疾患の患者という括りは、人種や性別のような途轍もなく広い括りでしかない捉え方だと分かっていても、彼らはどこか遠い世界の人々に思えるし、いっそ狂気の沙汰を見たいと望んでしまうし、それなのに愚直に純粋な存在でいて欲しいとも願ってしまう。そうやって彼らと一線を引いて刺激的な展開を望んでしまう私は下品だな。この本は刺激的な展開はないけれど、無意識に引いた一線の向こう側が、私たちと地続きだと改めて思わせてくれるのが良かった。

    *以下引用*

    なにも一丸となるためにやっているのではない。単なる慰みだ。慰みで悪ければ、少しばかりの冒険なのだ。患者はもう、どんな人間にもなれない。秀丸さんは調理師、昭八ちゃんは作男、敬吾さんは自衛隊員、ドウさんは大工、キモ姉さんは芸者、ストさんは会社員、ハカセは医師、テシバさんは畳屋、という具合に、かつてみんなは何かであったのだ。おフデちゃんだって、働いたことはないが、内科医院のお嬢さんだった。それが病院に入れられたとたん、患者という別次元の人間になってしまう。そこではもう以前の職業も人柄も好みも、一切合財が問われない。骸骨と同じだ。チュウさんは、自分たちが骸骨でないことをみんなに知ってもらいたかった。患者でありながら患者以外のものになれることを訴えたかった。(p170)

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