閉鎖病棟 (新潮文庫)

著者 :
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レビュー : 494
  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101288079

作品紹介・あらすじ

とある精神科病棟。重い過去を引きずり、家族や世間から疎まれ遠ざけられながらも、明るく生きようとする患者たち。その日常を破ったのは、ある殺人事件だった…。彼を犯行へと駆り立てたものは何か?その理由を知る者たちは-。現役精神科医の作者が、病院の内部を患者の視点から描く。淡々としつつ優しさに溢れる語り口、感涙を誘う結末が絶賛を浴びた。山本周五郎賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 著者の「ははきぎほうせい」さんはTBSから大学に入り直しお医者さんになられたそうです。

    10代半ばの島崎由紀さんが堕胎するところから物語が始まります。

    秀丸さんや昭八さん、チュウさんの病棟に入るまでのいきさつなどを伝えながら、精神科病棟の日常を描いてゆきます。

    由紀さんとの接点はどのようにやってくるのかと読み進めるうちに、想像を超えて酷い展開が待っていました。

    読み終えて、世帯主の人柄の大切さや、 閉鎖病棟の壁の外にも病巣は存在すること、閉鎖病棟の中の平安も、実は法だけじゃ守りきれない現実があることも伝えています。いえ、閉鎖的な性質だからって諦めずに善良を導く法整備と見守りが必要だと思いました。

    新川先生や婦長、主任や裁判所の人々も暖かくて胸がいっぱいになりました。
    ただ、秀丸さんが奪った命、救った命は、どちらも測ったり比べられない大切な命。それは忘れてはいけないと思っていたけど、それを誰よりも理解しているのはおそらく秀丸さん。
    平気で幼い義理の娘を傷つけ続けた由紀さんの継父や、多くの患者を気まぐれに暴力で罪の自覚もない様子で傷つける重宗。自分が罪人かもしれないという自覚もないことの恐ろしさ。
    先生達が聞いた「自分はどこが病気だと思う?」の問いに「沈黙」するチュウさんにそれでいいと言う先生。
    その無言の空白のなかに確かにあるものを、私も持っていたいです。

  • 精神病院の話。みんな優しすぎる。いわゆる障害者、とか社会的弱者って呼ばれる人たちのほうがよっぽどまともだなぁと思う。で、これを読む前の精神状態は死にたさMAXだったんだけど、風呂で読んだリラックス効果も相まって死ななくてもいいのか、と思えるようになりました。仕事ができなくても彼氏にふられそうでも、死ぬほど悪いことはしてないし、死ぬほどのことでもない、と思えた。
    2015.11.29

  • ずっと気になっていた作家さん。
    精神科病棟の話で、登場する入院患者さんはほとんどが重くてつらい過去があり、思わず読むことをためらう箇所もあったけど、全体的に優しさに満ちた話だった。
    ラストの法廷のシーンは泣けた。前向きな姿に鼻の先がツーンとして胸が熱くなった。

  • 登場人物の経歴など、しっかり書き留めておくとわかりやすい。最後まで進めば、ほんとに暖かい人情を感じる。
    この本を読んで、私の誤解も解けた。
    この本を読んで、私ももっと人を信じていいかもしれないと思った。
    いい本です。
    目標。この作者の本は全部読むつもり。

  • とある精神科病棟。重い過去を引きずり、家族や世間から疎まれ続けながらも、明るく生きようとする患者たち。その日常を破ったのは、ある殺人事件だった・・・・・。
    彼を犯行へと駆り立てたものは何か?その理由を知る者たちは。
    現役精神科医の作者が、病院の内部の患者視点から描く。淡々としつつ優しさに溢れる語り口、感涙を誘う結末が絶賛を浴びた。山本周五郎賞受賞作。


    私も以前、精神科病棟に入院していたことがあります。
    開放病棟、準閉鎖病棟、完全閉鎖病棟とありますが、私がいたのは準閉鎖病棟です。
    そんな経験もあってか、このタイトルに魅かれて購入したのだと思います。

    精神科病棟って近寄りがたいし、なるべくなら近寄りたくない。その中に居たときは何も感じなかったけど、完全に離れることが出来た今は、もう戻りたくない。
    色々な症状の様々な人がいて、毎日何かしらの事件(?)があったりしましたが、それを楽しむような時間もありました。
    作品中の登場人物に感情移入しやすかったことと、読みながら理解が早かったのは自分の経験があったからだと思います。

    ただ・・・・・完全閉鎖病棟の全貌が書かれているとは言えません。
    病院によっての違いもあるでしょうが、実はもっともっと殺伐とした、この世の場所とは思えない独特の雰囲気なのです。

  • とても優しいお話。
    精神病院の入院患者達の日常と、新しい人生への挑戦。

    それぞれの登場人物の人生は過酷なものだけど、だからこそお互いを思いやる気持ちが暖かく、優しい。
    淡々としつつも美しい文章がまた琴線に触れる。

    登場人物多目で混乱するので、メモしながら読むと良いかも。

  • 20数年前の本だけあって今では見古された感の設定や事件の話筋ではあるけれど、ただショッキングなだけの小説ではなく、描かれているのは家族の話であり、細やかな心情が描かれた本で、今読んでも良かった。3/100冊

  • 「屍人荘の殺人」
    公開日:2019年11月予定
    長野・小諸の精神科病院では、様々な患者たちが入院していた。母親や嫁を殺害した罪で死刑を宣告されたが、執行に失敗し生きながらえている男。妹夫婦から疎んじられている元サラリーマン。不登校の女子高生。彼ら彼女らが穏やかに過ごしているなか、ある男が殺人事件を起こす―。
    キャスト:笑福亭鶴瓶、綾野剛、小松菜奈
    監督:平山秀幸

  • 時代背景としては、Y問題や宇都宮病院事件後の1987年に精神保健法が制定され、精神障害を有する本人の同意に基づく「任意入院」が新設される前後の内容ですね。とはいえ、まだまだ精神障害を有する方々への偏見が渦巻く時代(今もさして変わらないか)でした...。また、精神障害を発症する起因としてDVなどにも触れる本作のラストは涙なしには読み進められません。
    終盤での新川先生や看護主任の当事者に寄り添う姿は、地域移行支援を進める今の支援者の方々が柱としているものであると信じたい。

  • 夜に手に取り一気に読んでしまい、眠れなくなった。
    ヒューマンドラマのように感動的な内容で描かれているが、実は多くの精神医療の問題が組み込まれている。
    無事という言葉が重みを持つ。
    学生時代にしていた陶芸をまたしたくなった。

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著者プロフィール

1947年、福岡県生まれ。東大仏文卒後、TBS勤務。その後、九大医学部を卒業し、現在は精神科医。93年「三たびの海峡」で吉川英治文学新人賞、95年「閉鎖病棟」で山本周五郎賞、97年「逃亡で」柴田連三郎賞、10年「水神」で新田次郎賞、12年「蠅の帝国」「蛍の航跡」で日本医療小説大賞、13年「日御子」で歴史時代作家クラブ章作品賞をそれぞれ受賞した。

「2016年 『受難』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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