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Amazon.co.jp ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784101289533
感想・レビュー・書評
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新年から暗い気持ちになることが、僕にとっては
重要なんじゃないかと思い、読みました。
素晴らしい読後感でしたね、何かに導かれるように、陰鬱な気持ちになりました。
デビュー作の「銃」に通ずる、衝撃のラストですね。愛する人の死を受けいられずに、常に自分を
偽り続けて、死んだはずの人が生きているかのように、周りに嘘を言い続ける、虚言癖のある男性が主人公で、狂気じみた言動が心に響きます。
中村文則作品の原点でもあるような気がします。
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著者の作品を読むと混乱する。
闇が深くて得体が知れなくて、このまま読み進めてもいいのだろうかと、ザワザワした気持ちが始終つきまとう。
主人公の行動は、どこか一歩、自身を外から客観視しているようで不思議な感覚を覚える。そして、空虚に感じた。
何かを演じ、嘘をつき、自分を見失い、快楽に溺れる。本人も望まないうちに、知らず知らずのうちに。恋人を失った喪失感から自暴自棄になり、黒いビニールの中身に救いを求め、自我を求める。
だけどそれすらも、それを演じているだけなように思えてくる。
光を遮ることに神経を使っているのは、黒いビニールの中身ではなく、主人公自身の心の中だと思う。『典型』を求める世の中に自分を合わせ込むことなんてできないから。
救いのない闇の中で苦悩する人間の狂気を痛切に描いた作品だった。 -
⚫︎本概要より
恋人の美紀の事故死を周囲に隠しながら、彼女は今でも生きていると、その幸福を語り続ける男。彼の手元には、黒いビニールに包まれた謎の瓶があった──。それは純愛か、狂気か。喪失感と行き場のない怒りに覆われた青春を、悲しみに抵抗する「虚言癖」の青年のうちに描き、圧倒的な衝撃と賞賛を集めた野間文芸新人賞受賞作。若き芥川賞・大江健三郎賞受賞作家の初期決定的代表作。
⚫︎感想
冒頭、瓶に何が入っているのかわからない。瓶を持ち歩くこと、瓶への執着、やがて明かされる中身と、それを手に入れた状況…苦しくて、暗くて、悲しくて、辛い、そんな物語だ。ぐいぐい引き込まれてしまう。もう一度読みたいと思わせられる。どうしようもない思いを抱え、それでも生きていなければならない男の苦しみが哀れで切ない。 -
狂気の愛。主人公は狂っているが、常人では理解できない何かがあるのだろう。気持ち悪い作品だが薄い本だし、引き込まれてあっという間に読んでしまった。
やはり、なんとなく大江健三郎さんの世界観に似せようとしている感覚があると思った。-
マサさん、おはようございます。
中村さんは大江さんの大ファンですから、似た感じの作品が多いですよね。
『教団X』なども読みながら、影響が大...マサさん、おはようございます。
中村さんは大江さんの大ファンですから、似た感じの作品が多いですよね。
『教団X』なども読みながら、影響が大きいなぁと思ってました。
もちろん、中村さんの作品はそれだけはないから良いのですが。2024/02/14 -
ロカさん、おはようございます。
コメントありがとうございます。
そうですね、中村さんの作品は大江さんに影響受けてらっしゃいますね。好きな作家...ロカさん、おはようございます。
コメントありがとうございます。
そうですね、中村さんの作品は大江さんに影響受けてらっしゃいますね。好きな作家さんです。
『教団X』や他の中村さんの作品もだいたい買ってしまい持っているのですが、まだ読めてなく積読がたまっています(笑)
2024/02/14
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死んだ恋人の指を持ち歩く男の話
2003年芥川賞候補作 作者当時25歳
主人公は死んだ恋人の小指を瓶に入れ持ち歩き、恋人が生きているかのように虚言を繰り返す
子供の頃に両親を亡くし、幸福のために嘘や演技めいたもので周囲に受け入れられるという生きる術を学んだ
だけど演技をしているとどれが自分の気持ちなのかわからなくなり、狂う恐怖を常に感じていた
恋人に対しても虚言や演技で「典型的な幸福」を得られて満足し、喜びさえ感じていたのに、恋人が事故で死んで突発的に恋人の左の小指を持ち去ったあとから、精神の危ういバランスが崩れた
恋人の死が、すでに危うかった精神の崩壊を助長させたんだと思う
「私は逃げていきたかった。
狂う恐怖など感じることなく、
無心になる幸福の中に、今なら入っていけるように思えた。」
最後は圧倒的な無関心に包まれ、恋人だけを思い、狂ったけど主人公にとっては幸せなのかもしれない
暴力的なシーンもあるので、すべてのひとに受け入れられる物語ではないかもしれないけど、狂っていく様は淡々としながらも迫ってくるような…
著者による解説が最後のページにあり小説への向き合い方が誠実だなと感じました -
ピース又吉が愛してやまない20冊に挙げている作品。人は誰しも心のうちに狂気を秘めているのか?主人公は恋人の死を境に、狂気が顕在化してしまう。但し、本作では主人公は幼少期から、かなりの異常気質を抱えていた事も窺える。恋人の死が無ければ、それなりに幸せな暮らしが出来ていたのかもしれないところがとても痛ましい。主人公の感情と行動にズレが生じている部分を、作者は巧みに表現しているが、読んでいて恐怖を感じる程惹き込まれる。恐ろし過ぎて普通の小説愛好家には決してお勧めできる代物ではない。挑戦する方は、覚悟して読んで欲しい。
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亡くなった恋人の小指を盗んでそばにおいておく…というやばい主人公。
挙動が頭からつま先までおかしいのだけれど、語り口調は至って冷静で客観的でもある。暴力や演技がかった行動も淡々と実況されるので、いっそ思考もおかしくなってくれないかと思いました。
できた瘡蓋を、痛い、キモいと思いながらも剥がしたりほじくるのが愉しいような…危うい感覚を思い出しました。 -
彼の作品に共通して出てくる水。そして
虫 水は流れる先がないデッドエンドに溜まり濁り腐った水。そして、その汚水より自然発生的に生まれてくる虫。
そんなイメージの薄暗く鬱屈とした世界に生きる希死念慮の強そうな破滅型な優男。
漫画家古谷実の描くヒミズの主役住田を
思い出した。ダークネスであるが、何故か惹かれてしまう。 -
虚言癖の青年が『恋人の死』と言う圧倒的な絶望に抗おうとする物語。
純愛と狂気、そして終始不穏な空気が漂う作品。
ラストまで主人公の行動と心理は理解出来なかった。
ダークで陰鬱な雰囲気が『中村文則作品』の魅力だと思うが、残念だけど私には合わなかった。 -
自分も、何かを言う時、「こう言ったらこう思うだろう」「こう言ったら喜ぶだろう」と考える。自分の言動で相手を喜ばせて得られる自己陶酔。だが、「こう思ってたんでしょ?」と言われると弱い。
本当の自分とはなにか。
内面。ずっと暗い。狂気。
恋人が死ぬのが怖くなった -
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最近は後味のいい、軽い小説ばかり手に取っていたので、陰影の濃い、狂気を孕んだ小説に圧倒されました。
今さらながら初読みの中村文則さんでしたが、読了後まだ心臓がばくばくいってます。
そもそも読んだきっかけは、又吉さん。
どこかでとてもお勧めされていたのを目にしたのですが、帯にも又吉さんのコメントで、「もし、世界に明るい物語しか存在しなかったら、僕の人生は今よりも悲惨なものになっていたでしょう。自分の暗い部分と並走してくれる何かが必要な夜があります」と、書かれています。
絶望的な、取り返しのつかない出来事に対して、器用に蓋をして一定の距離を取れる人ばかりではないんですよね。
ギリギリ正気の淵で生きていた彼が、絶望に背中を押されて狂気の海で溺れてしまうのが、この作品。
息継ぎをするように正気を吸い込むけど、海の底から足を引っ張られるように狂気の海に飲まれていくのは、読んでいて恐怖を感じました。その恐怖は、彼自身を怖いと思う恐怖ではなく、理解ができてしまう気がすることへの恐怖な気がします。自分もまたぎりぎりの淵に立っているのかも。
あとがきでも書かれていますが、印象的なのは太陽を背にした男性の映像。脳内に焼き付くほどくっきりと残っています。彼が彼として見た映像だからでしょうか。それとも男性の助言が、彼の人生を左右するほど大きかったからでしょうか。全体的に暗い中で、とても眩しく、また濃い陰影を作っていて、印象的でした。
レッテルを張られることは著者の本位ではないかもしれませんが、解離性障害、境界性パーソナリティ障害という単語が頭に浮かびます。
きっと、美紀がいたら、なんだかんだで平凡で、幸せな人生を歩んでいただろうし、彼が、彼らしく生きていくことができたんでしょうね。人生は、ままならない。寂しいですね。 -
あとがきにある“苦しみから一定の距離を置くのではなく、その中に入り込んで何かを掴み描き出そうとすること”これがこの本の全てだと思う。強い執着でもなく、他人の存在がどれほど自分に影響齎して事態を招いたかという内容とは異なり自分の中に収めていたあらゆるものが衝突し暴発するような、そんな小説だった。
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ずっと、自分に関心が向いている主人公。
自分の振る舞いを演じていると捉え、自分が本当にそうしたいのか分からないまま過ごす。
自分が社会において異質であることを証明するための、指。振り切って、その異質を受け入れた世界へ入る。
自分のしたいことと、相手(世間)に求められてることの境目がわからなくなる、、、それはきっと、自分が異質であることをどこかで認めつつ、どこかで否定しているから。 -
中村文則の2作目、野間文芸新人賞受賞作品。作者自身も認めているように、暗いし癖もある。生きながら此岸と彼岸のボーダーに立っている男の話。
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自分への懐疑の苦しさに、慰めをくれた本でした。
最近の私は基本、誰かに憧れて、良いところを全て、自分にインストールしようしている。烏滸がましいことに。
そうするのは自分がチューニングされて、憧れの人に近づくような気がして、安心するから。
だけど、同時に、これは本当に自分なんだろうか?とも思う。
「一度でも、その意思を自分の中に確認したことがあっただろうか。私は自分のその問いかけに、自分で答えることができなかった。いや、もし答えることができたとしても、何かの意思を、今ここで示すことができたとしても、それは果たして、信頼できる本当の私の意思なのだろうか、とも思った。」、
「私は突発的にそう行動していたのだが、しかし自分がわざと勘違いし、わざと怒っていることに気がついていた」、主人公のように。
でもこれも全部自分なんだろうなと思う。何かのふりをして生きているのは私だけじゃなかった、と諦めにも似た慰めをくれた本でした。 -
没入感がすごい。
主人公の嘘や周囲の人々の言動との矛盾に最初は違和感を覚えるが、段々と世界観に飲み込まれ、何が本当だったのか分からなくなる。
自分が同じ立場になったとき、どうするか考えさせられた。 -
こんな気持ちの良い本を書く人がいていいのか!
最高でした。
生を保つために狂う
そういう選択が彼を救ったのだなと。
苦しいが、だんだん羨ましくなってしまう。 -
正直、主人公の気持ちを理解できるとは言えない。
最後の殺人についても正直分からないし、指を持ち歩くということもわからない。
しかし、死んだ人を忘れられずにいる姿だけは少し理解できる。
しかし、所々で描かれている演技をしているという表現から本当に本人が望んでいたものは何だったのか、本当に彼女さえ生きていればよかったのか……
確かに私達は少し演じているところはある。本音と建前を使い分けこの人に対してはこういう態度を試みよう、この言葉や表現をしてみようなどと半ば調整とも取れるようなものをすることもあるだろう。
もしかしたら、それの延長線上には自分を見失う主人公のような結果が待ち受けているのではと少し怖くなる。 -
暗い…ちっと難しい恋愛小説。男の心理としては理解できる。ただこの主人公は幼稚で大人として成り立ってなく彼女を喪失して、認められなく絶望感が満ちてしまった…本当に愛していかわからないが死という己がどうしようもできない事にあらいで行く様は痛い…なかなか考えさせられる本でした。 -
初めて中村文則さんの作品を読みました。狂った人が出てくる小説が読みたいと思い買いましたが、読む時はそこまでじゃなくなってて、でも読みたいと思って買ったしと思って読み始めたら、やっぱ今読むべきじゃなかったかもと思い始め、でも途中でやめたら、ずっと読まないかもしれないと思い、二日で読みました。
なかなか共感も、理解もできない小説でした。ただ、こういう小説を書く人もいるんだなと。又吉が中村文則さんと仲良しなのは何となく分かるような気がしました。
巻末にご本人の解説があって、今回こういう作品を一度でも読めて良かった気がしました。
(2回目読み中)主人公の虚言癖は幼少期のことがあったから……おじさんからの助言を守り、そのおかげでちゃんと生きてこれた。虚言は自分を守るための無意識の習慣なんだな。そして今度は美紀のいない世界をなんとか生きるための手段なのだなと。不運で悲しい、いたたまれない人だと思った。
著者プロフィール
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