中原中也詩集 (新潮文庫)

  • 新潮社
3.72
  • (195)
  • (132)
  • (360)
  • (8)
  • (4)
本棚登録 : 1663
レビュー : 137
  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101290218

作品紹介・あらすじ

愛する者よ、無垢なる日々よ-。生と死のあわいを漂いながら、失われて二度とかえらぬものへの、あふれる惜別の想いを、ノスタルジックにうたい続けた、夭折の天才詩人、中也。哀切で甘美なことばが、胸をうつ調べとなって響きあい、はかない余韻が心に沁みる2冊の詩集『山羊の歌』『在りし日の歌』に、詩集として編まれなかった作品も併せた140篇の詩篇を収録。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 中原中也の詩はとても平易な言葉でなんとはなしに書かれているのですが、ちょっと一筋縄ではいかない魅力に溢れています。素直で朴訥としていながら、ふと人間の邪悪なものが顔を出してどぎまぎしてしまう、しかもその言葉の彼岸には汲むことのできない闇が広がっていて呆然としてしまいます。

    ***
    「ホラホラ、これが僕の骨だ
     生きていた時の苦労にみちた
     あのけがらわしい肉を破って
     しらじらと雨に洗われ、
     ヌックと出た、骨の尖(さき)。

    ……生きていた時に
    これが食堂の雑踏の中に、
    座っていたこともある、
    みつばのおしたしを食っていたこともある、
    と思えばなんとも可笑しい。

    ホラホラ、これが僕の骨――
    見ているのは僕? 可笑しなことだ。
    霊魂はあとに残って、
    また骨の処にやってきて、
    見ているのかしら?」 (「骨」――『ありし日の歌』)

    「……僕は人間が笑ふということは、
     人間が憎悪を貯めているからだと知った。
     人間が口を開(あ)くと、
     蝦茶色の憎悪がわあッと跳び出して来る。

    みんな貯まっている憎悪のために、
    色々な喜劇を演ずるのだ。
    ただその喜劇を喜劇と感ずる人と、
    極く当然の事と感ずる馬鹿者との差異があるだけだ」 (「悲しい歌」――未刊)

    彼の作品のここかしこに死(と生)が横たわっていて、まるで親しい友人のように馴染んでいます。彼が8歳のころに夭逝した弟や失った愛児への尽きない喪失感が影響しているのかもしれません。悲しみはある一線を越えてしまうと人は治ゆしがたいなにかを損なってしまう。でもだからといって暗いだけの作品ではないところが素晴らしい。あちらの世界とこちらの世界を行きつ戻りつしている詩人に必然的にそなわる諦念や可笑しみのようなものを秘めているところが魅力です。

    ゆあーん ゆよーん 行きつ戻りつするサーカスの空中ブランコのように彼の魂がけだるく揺れているよう。ときには詩人ランボーのように躍り上がる感情やこの世の不条理を秘めながら、それでもどこか幻想的で不気味な静寂が広がっています。とても不思議な詩人です。これからも繰り返し読んでみたい♪

  • 冬の夜に薄っぺらな毛布を引っ掛けてほの暗い部屋の隅で読む。

  • 自分のこと、身近にある風景、季節の移り変わり、世の中のことなどを、すごく繊細に感じ取って、嘆いたり、お道化たり、嘲笑したり…
    いたるところに郷愁が漂っていて、その独特な言い回しに、共感してしまった。
    悩み多き若者の詩なんだなぁと思う。
    書いても書いても書ききれないというもどかしさを感じます。

  • 一篇の詩、一つの言葉に
    心打たれるものがある

    こんなに優しくて、愛情深い人がいるのか

  • 詩というものは私にとって、どこか高尚で
    きちんと捉えて理解するのは難しいけど、
    中原中也だけは選ぶ言葉やリズム、心に思い浮かぶ情景が好きで、
    たまに読みたくなってしまう。

    孤独で儚いんだけど、そこはかとなくロックを感じます。

  • 詩に慣れていなくて評価出来ない…(今のところ)

    読んでいて思ったのは、自分はちょっと前のことを記憶しておけないんだなということ。
    何度も何度も読み返す。


    だけどなんだか、心に引っかかって、すごく気になるようなかんじ。

  • 娘とビレバンで買い物をした時、
    ふと、手にとってしまった一冊。

    中也の詩は懐かしい香りがする。

    それは、
    古い図書館の本のにおい。
    冬の日だまりのにおいだったり…

  • J-POPの詩って、なぜかサビだけ英語が混ざってたりしますね。
    あれにはとても照れてしまう僕です。
    演歌にはありえないしだれが始めたのやら、、、とか思っていたのですが、この詩集を3年前くらいに読んでたらなんと!
    中原中也先生がやってました。
    これが最初かどうかは知りませんが、J-POPの英語混ざりの曲が流れてると、起源(?)は中原中也、と想像して、ほくそ笑んでます。

  • 汚れちまった悲しみにというフレーズにびびっと来た人も多いとは思うが、彼の一つ一つの言葉は胸にすうっと届くという不思議な魔力がある。中原中也の詩集が本棚にあるだけで心が安らぐ。

  • いつでも手に取れるように手元にある一冊。
    深すぎて理解できない部分も多いですw

全137件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

中原中也(なかはらちゅうや)
1907年4月29日、山口県生まれ。23年、山口中学を落第し、京都の立命館中学に編入。劇団女優、長谷川泰子と知り合い、翌年から同棲を始める。25年、泰子とともに上京。泰子が小林秀雄のもとに去る。26年、日本大学予科文科に入学したが、9月に中退。29年、河上徹太郎、大岡昇平らと同人誌「白痴群」を創刊。33年、東京外国語学校専修科仏語修了。遠縁の上野孝子と結婚。『ランボウ詩集《学校時代の詩》』刊行。34年長男文也が誕生。処女詩集『山羊の歌』刊行。36年、文也が小児結核により死去。次男愛雅(よしまさ)誕生。37年鎌倉に転居。『ランボオ詩集』刊行。詩集『在りし日の歌』を編集し、原稿を小林秀雄に託す。同年10月22日結核性脳膜炎により永眠。享年30歳。翌38年『在りし日の歌』が刊行された。

「2017年 『ホラホラ、これが僕の骨』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中原中也の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三島由紀夫
ヘルマン ヘッセ
安部公房
フランツ・カフカ
ヘミングウェイ
有効な右矢印 無効な右矢印

中原中也詩集 (新潮文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×