- Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101290331
感想・レビュー・書評
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葉加瀬太郎のラジオ番組で平野啓一郎氏がゲストに来たときに知った本。それらずっと気になっていて読みたかったー。ショパンとドラクロワ、同時代の芸術家の話。
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フランス、パリなどを舞台とした作品です。
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美しすぎる日本語。
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ショパンに関する小説で、これほどのものはもう誰も書くことはできないだろう。この完成度に圧倒される。
とにかく文章が美しい。
言葉のひとつひとつが選び抜かれ、表現の精緻さが際立っている。
その選ばれた言葉はこれでしかありえないという洗練であいまいで表現しにくいニュアンスを余すとこなく伝える。
それは登場人物の背後の蝋燭の炎のチラチラとした揺らぎまで感じさせるほどだ。この精緻さに圧倒される。
速読や乱読は許されない。これはじっくりとそして何度も読み返すべき本だ。 -
人物の内的な描写が精緻で面白いのだけど、その分スピード感に欠けるように感じられて、気づいたら積読に。いったん手放す。
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最初のほうは、章の中で視点が定まっていないこともあり、混乱することもあったが、次第に内容に引き込まれていった。やはり読んでいておもしろいのは、ショパンとドラクロワの芸術談義。ドラクロワの技術についての意見については、同感。彼が現代のインスタレーションなどにどのような感想を抱くか、聞いてみたい。…ちなみに私はけっこうインスタレーション好きです。
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いろいろあって最後にショパンの死と思い込んでいたので、いきなりショパンの葬送で驚いた。
人間ショパンが生々しい。が、これを読んでもショパンの音楽が理解出来るというのは幻想だけどね。
面白かった。 -
ショパン、ドラクロワをはじめジョルジュ・サンドなど後世に名を残した芸術家たちの日常を垣間見ている気分で、読んでいて楽しいです。結構下世話な話題で盛り上がっていたりするし、ドラクロワはしよっちゅう批評家や他の画家の悪口を言っているし。
単純に「天使のような」(と作中でさんざん絶賛されている)美しい金髪のショパンと、自画像を見ても男前なドラクロワが親しく話をしているところは想像するだけでテンションが上がる。
ショパンとドラクロワは篤い友情で結ばれているのですが、ドラクロワがショパンの音楽をも深く尊敬しているのに対してショパンはドラクロワの絵を心からは好いておらず、「自分が彼の音楽を愛するほどに、彼にも自分の絵を愛してもらいたいと」ドラクロワが思っているあたりは切ないです……
ドラクロワは作中で結構酷評にさらされているんですが、読んでいると彼の絵を実際に観たくてたまらなくなる。国会の図書室の天井画とか、「地獄のダンテとヴェルギリウス」とか、「キオス島の虐殺」とかを。
まだまだあと3冊あるので続きが楽しみです。
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冒頭、ショパンの葬儀の様子。本編は、ジョルジュ・サンドと不仲になり始めた頃のショパンから葬儀の少し後までのお話。ショパンとドラクロワという2人の芸術家の視点をメインに、周囲の人々の視点からも時代を浮き彫りにしていく。語り手の移行の滑らかさと正鵠に描かれている感情が素晴らしい。また、ドラクロワの芸術論が秀逸。