葬送 第二部(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (475ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101290362

感想・レビュー・書評

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  • 結局どうなるの?
    でも、第二部を読むエネルギーはまだ湧いてこない…

  • ショパンとパトロンのジョルジュサンドとの係わりがよく分かる。ポーランド人ショパンのパリやロンドンでの苦闘、作曲や演奏会がダイナミックに描かれている。

  • 今年は5年に1度開催される『ショパン国際ピアノコンクール(ショパコン)』の開催年、この年にこの本と巡り会い幸運でした。 ショパコンでの演奏曲もちらほらと‥
    ショパンの生に対する限りなく強い思い、執着、画家ドラクロワの鋭い洞察力、そして自由奔放、強い個性の執筆家サンド、三人が織り成す人間模様は複雑です。
    平野氏の三人三様のこと細かな心理描写・思考描写には脱帽、いやその細かさ故に疲労感さえ感じられる場面もありました。
    人の本当の心の中は誰も覗けませんですしね。

  • 本卷自1849年開始寫起,蕭邦日漸憔悴,德拉克羅瓦也從公職或アカデミー會員的願望中脫出,專心著手Église Saint-Sulpice的壁畫。本卷沒有吉村昭那麼驚悚,但也很仔細地描寫蕭邦的病狀,更一一凝視每個登場人物的內心,「ある心理を明示的に分割してひとつひとつの要素で描き、それらが読者の心の中であわさった時、直接に表現しにくい複雑な心理がいきいきと理解されるように試みた」,作者所述的手法確實寫得相當出色。還記得第一卷一開始就是一堆人在蕭邦的葬禮登場,太多名字令人不禁懷疑難道是在讀紅樓夢的丫環,作者很無情(刻意?)地在第一卷一開始設了一堆讓人搞不清楚狀況的門檻(13年前讀第一次也因此放棄),但是至此終於很順暢地全部銜接在一起,這卷反而是病中蕭邦回憶自己的童年與青春,因此倒著回溯蕭邦的前傳,也才比較清楚他生命的來龍去脈,但也因為他波蘭人(父親佛人)的身分,也讓他嘗盡苦痛,不但離家還要一直背負當初沒有為國而戰的愧疚。蕭邦的最後也是悲劇中的帶著滑稽的鬧劇,史達林姊妹號稱送給蕭邦兩萬五千法郎失蹤虛驚一場、姐姐得以終於從波蘭來照護他,而因為姊姊的信任史達林小姐又得以回到這個圈子,然而姊夫始終畏懼蕭邦的交友關係會讓他的教職蒙上陰影,非但一開始反對來,甚至最後還逼迫姐姐不准把凡登廣場的公寓設立紀念館、逼迫變賣蕭邦生前的遺物(結果史達林小姐又標到一堆重要物品),蕭邦終究因為喬治桑母女之間的意氣之爭無法再見到喬治桑,而葬禮裡面歌手搶劫要求帳價又是一場鬧劇,喬治桑母女間的確執,史達林小姐的癡情(之後甚至自稱未亡人,我的感覺和グジマワ伯爵很像,對此人非常反感)也是鬧劇一場,生命就像蕭邦所說,就像本來應該安在小提琴上的E絃卻安在低音大提琴上?蕭邦的生命如此短暫,但也可以看到他被好多人所愛,也是一種人德,只是最後依然沒放下見喬治桑一面的念頭,也是可嘆。而德拉克羅瓦曾經一度擔心年老的身體無法追上自己的創作欲,也擔心是否隨著年紀感性也在下降,然而在自然中,再度被磨銳感性又可以繼續創作,感到很欣慰。「....自然の中で時間を過ごすことが不可欠となってくるのであろう。それは惜しみなく感性を鍛え、想像力を導き、しかも他に替え難い慰安を齎してくれる。肉体に治癒力があるように、自然はそこに身を預け、一体となる時、人を自らの部分として治癒しようとするものではあるまいか」

    這部作品劇情極度濃密,末卷也有太多思索,不知為何我隱然覺得作者應該沒有把自己所思所想全部寫盡,而是讓作品本身停在該停之處,留下很多還可以再各自生長的思考空間。這場巴黎的社會實相繪圖,也讓閱讀過程相當享受,從無論政治、藝術、社會世相、心理、哲學等各個方面交織出的思考的刺激,讓人相當滿足。附帶一提,這卷令我特別印象深刻的一段就是作者代德拉克羅瓦思考(二月革命),人為何有一定要進步的強迫幻覺,這個進步的觀念是否就是一切錯誤的根源「そもそも現代に進歩という考えはこれほどまでに浸透してしまったのは何故だろう?あの変わらなければならないという一種の強迫観念の仕業であろうか。...考えてみればこれほど信仰が危機に瀕する時代に、人々がかくも熱心に世界の漸進的な改善の可能性を信じているというのは何と奇妙な光景であろうか。一国民の全員がパングロスだ。しかも、その視線の先には既に神の姿はなく、ただ茫洋として虚空に物質的な繁栄に満たされた得体の知れぬ楽園の幻影が浮かび上がっているのだ....そもそも美術に話を限るならば、あらゆる大問題はほぼすべて16世紀に於いて解決し尽されている。...その上、何を付け加えようというのであろうか?自らの創造の革新性への自負は大抵は無知の産物である、単に勉強不足というに過ぎない。..芸術が過去に於いて築き上げてきた真実の一切を顧みぬというのならば、今日の表現者達は原初の稚拙へと逆戻りせねばならなくなるだろう。現にそうなってはいないだろうか?政治も同じことだ。相次ぐ無軌道な変革の果てに、野蛮な無法状態が訪れるというのもなるほど道理じゃないか...」

    闔起這本書,想起這四卷已經在我的書架上躺了十三年,讀完也覺得走了好長好長一段路,但是也感到有些寂寞,下一次遇到這麼飽足的作品還要多久呢。

  • 第四分冊でありシリーズ最終巻となる本書では、ショパンの死が中心にえがかれています。

    本作は、「小説」という形式そのものが裏のテーマになっているということができると思われますが、ロマン主義的な芸術の理念をみずからの作品によって実現したショパンとドラクロワの二人を中心に、彼らや彼らを取り巻く人びとの「人間」としての側面に注目がなされているように感じました。忍び寄る死に直面しながら心の揺れ動きを見せるショパンと、彼に対してどのように振る舞うべきなのかさまざまに態度が分かれる周囲の人びと、そしてショパンのもとを訪れることのなかったドラクロワの自己省察などの心理描写が、リアルな「人間」のすがたを示しています。人間たちの有限性と、彼らのすがたを通して読者が感得することになるであろう芸術の理念の永遠性との緊張関係をえがくことが、「小説」という形式によって叶えられるということが、本作において示されています。

    著者は、小説という形式のもつ可能性を自覚的に追求するような作品をこれまでも手掛けており、そうした試みの一つとして本作を理解することができるように感じました。

  • 210201*読了
    ああ、とうとう読み終えてしまった。そしてショパンの演奏が永遠に聴かれなくなってしまった…。
    ショパンの苦しみが辛い。ドラクロワの行動も決して非難できない。
    彼らは今この時を生きてはいないけれど、彼らの残した作品は今もこの世に存在し、多くの人の心を動かしている…。ただそこにある作品ではなく、この小説を読んだ今はそのすばらしい宝物を生み出した当時の彼らの心境を思って、より一層大切にしたいと思えます。

    本当にいい小説だった。長いし(そこがいい!)、難しくて理解できていない部分も多々あるだろうし(そこもいい!)、万人が「この本おもしろい!」とオススメするわけではないんだけど、そこがいいんです。
    この小説は芸術や文学を愛する人だけで大切にしたい…。
    決して大ベストセラーにならなくても、この小説はすばらしい。そうなんです。

    解説で平野さんがこの小説を20代で書かれたことを知り、驚愕。天才ってこういう人のことを言うのだな…。
    ショパンとドラクロワという天才の人生を描く天才小説家、平野啓一郎さん…。3年間も19世紀に生きた彼らの人生と向き合い続ける根気。
    ショパンは音楽、ドラクロワは絵画、平野さんは小説。天才とは持って生まれた才能なんだけれど、天命を与えられたように一つのことをただひたすらに夢中で続ける、という力を持っている人こそを天才と呼ぶのだろうな。

  • 記録

  • 結核に冒されたショパンに遂に死が訪れる.ショパンの矜持と高潔さ,一方の画壇の異端者ドラクロワの生きるための処世術と密かな望みが対比され,二人の友情を軸に,スターリング嬢を代表とする周りの人々の視野の狭さや俗さ,あるいはショパンの死に際しての悲しみ,サンド夫人親子の確執などの多層構造を,ポトツカ伯爵夫人やフランショームの言葉を借りれば「不協和音」として描いた大河小説である.
    細やかな心理描写が見事で,特にドラクロワの思考の流れに共感する場面が多々あった.また,本書の主人公は一見ショパンであるが,真の主人公はドラクロワであろう.ショパン死去,それにともなう葬儀の混乱,財産の処分などの喧噪から一歩身を引くドラクロワ.彼が取り組むことになった教会の天井画について,その希望に満ちた内容を思い描く場面で本書は終わる.
    行間から少し作者の「どうだ」という態度が透けて見えるのだが,古典を読むような重厚さがあり,非常に読み応えのある小説であった.
    恐らく再読することになると思う.

  • 月並みだが、死と生を対照的に描ききった佳作であった。ショパンの死。一気に死ぬのではない。死んだ後も緩慢に過酷は続く。この感覚はかつてトルストイの作品だったか、感じたことがある。対して、ドラクロワの生。他の人物もそうだが、俗物性がこの物語の主題であったように思う。ショパンが姉に会えた感動を私も分かち合えたことも含めて。フランショームのグジマワ伯爵と交わした不協和音についての喩えが、その俗物性の象徴かと意味深であった。

  • ★3.5。
    19世紀のヨーロッパ文学の再構築、どうやら20代の時の作品のようですが、いやいやまさに力技。冗長とも思える描写も確かに(翻訳ものの)ヨーロッパ大河小説。ショパンとドラクロワを交互に描く構成も最初は?と思ったけれども、最終的には音楽と絵画という似て非なる芸術の交錯には重大な意味があると思うに至りました。また、冒頭の導入は本作の永遠なる循環を産み出す仕掛けであることも効果的。
    本年末を締めるに相応しい大作でありました。

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著者プロフィール

作家

「2017年 『現代作家アーカイヴ1』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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