顔のない裸体たち (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2008年7月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784101290386

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

テーマは人間の二面性や深層心理に迫るもので、読者を強く引き込む独特の表現力が際立っています。作品には思わず目を背けたくなるような描写が多く、特に女性には受け入れにくい内容も含まれていますが、それでもそ...

感想・レビュー・書評

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  • 自分でもびっくりするほどダメだった。「実験期」と呼ばれた頃の平野啓一郎作品。

  • 平野先生の作品は 決壊 → ドーン → 空白を満たしなさい
    → 本の読み方 → 葬送 → 透明な迷宮 → かたちだけの愛
    の順番で読んできて、今この作品に至った。

    この順番で良かったかもしれない。

    平野文学は自分が今まで経験したことのない程の、
    とてつもない文章力で、読んでいて一文、一文に溜息が漏れる程。

    この作品は女性には少し受け入れにくい内容がテーマになっている。
    思わず顔を背けたくなるような描写も多い。

    これを平野作品の一番最初に読んでしまったら
    別の作品を読まなくなってしまっていたかもしれない。

    自分が手に取った一番最初の作品が「決壊」で良かった。

    しかし、皆さまの評価同様、平野先生の表現力は何を書いても
    平野文学になってしまう。
    このような難しいテーマでも十分に魅せられてしまう表現力に圧巻。

    そして、登場人物それぞれの心理描写も巧みで、
    読み終わって暫くは放心状態に陥ってしまう。

  • 村上春樹が「純文学は、作者が読者に…ある程度の努力を要求する」と語っているようなので、純文学を読んでみようという気になって、芥川賞作家の本を読んでみた。

    …エロ小説じゃん。。。読了直後はそう思った。でも、吉田希美子とミッキーは、同一人物のとてつもなく離れた二つの人格の話だけど、これって、ちゃんと化粧してまともな服を着てにこやかに仕事をする会社の私と、ボサボサ頭にノーメイクで子供を怒鳴り付けている家の私…にも通じるなぁ…。そして、そのどちらが本当の私なんだろう?なんて思ってしまった。

    その意味で、誰にだって二面性、三面性、もしかしたらもっと多くの多面性があるのかもと思った。

  • 読み返すことはないかもしれない。
    「ここにも分人」と思えたのが少しだけ楽しい。

  • エロいなあ。感想書きにくいなあ。ということで、「事実は小説より奇なり」的な話をする。A中学3年男子とB中学2年女子が付き合っている。男子は女子と性行為におよぶ。その模様を動画に撮る。さらにネットにあげる。動画撮影の現場に集まっていた生徒の一人がC中学3年女子で、怖くなって先生に報告。そこから事件が発覚。広域での生徒指導事案となる。顔にモザイクがかかっていたのかどうかは不明。どれぐらい不特定多数の目についているのかも分からない。そんな、小説かドラマの中の世界のような話が実際に行われている。もう一つ、D中学1年女子が自分の自慰行為を動画に撮りネットにあげる。それは同級生が見つけて一気に拡散している。どこかの国では若者のSNS使用が制限されるそうだが、何らかの対策は必要かもしれない。特に中学生が一番危ない。世の中のことがまだ何も分からない状態で無鉄砲な行為に走ってしまう。高校生になると少しは落ち着くのか。それも怪しいけれど。今回は全くメモを取らずに読んでいたので、印象的で実存的な文章もいくつかあったのだが、ここに書き残すことが出来ない。それで最後の数ページで笑えたところを書いておく。男性の母校である小学校校内で事におよんでいる。いつ見つかるかもしれないというのが興奮するのだそうだ。その姿を見つけた先生は「コラァッ! 何してんねん!」と言っている。一応、相手は30歳過ぎた大人たちである。小学校の児童を注意するような口ぶりが笑える。それでまた、「いや、あの、卒業生なんです、私」なんて答えている。そんなエロいことしていてなに言ってるんですか、あなた。ナイフなんて持っていたアンタがとにかく悪い。単なる変態では終わらせられなくなってしまう。事件後、最終章での中学生男子同士の会話にも笑える。「こいつ昨日、吉田のDVDで一発抜いたんやって!」「マジで? アホか、お前(ここに?があるがそれは不要である)」「だって」「これやろ? オエッ!」「あんな顔で脱ぐなちゅうねん!」「どうせなら、数学の北山やったら良かったのに。」数学の北山先生見てみたいなあ。美人なんだろうなあ。でも、こういうのって美人過ぎるのはかえって良くないんですよ、中学生諸君! 平野啓一郎、北九州出身なのになかなか上手な関西弁でいらっしゃる。全編、エロくて、グロくて、重たかったので、最後がこんなアホな感じで、読後感がちょっとだけ救われた。
    ちなみにこのころは出会い系サイトだったようだが、いまはマッチングアプリで、そちらはずいぶん安全、健全になっているのだろうか。そこから結婚したという話なども、近くで聞いたりするのだが。ドラマでは詐欺にあったという話がちょくちょくあるから手出しはしないが。それと、たしか、ずいぶん飲んだ後で、車でラブホに向かったという文章があった。20年前の話やけど、それはアカンかったやろ。まだ、そうでもなかったんかな? 
    そうや、他の人のレビュー読んでて思い出したけど、平野啓一郎ようそんな思春期女子の気持ちわかるなあ。村田沙耶香ならともかく。と何度も思った。

  • こちらは過激で下品な内容もあり、ハマりはしなかったけどリアルな感じがして全体的には冷静に読めました。平野さんの作品はどれも哲学的で物事を少し違った見方ができる気がします。

  • 『ある男』『決壊』『本心』『マチネの終わりに』と読んできて、どの作品も素晴らしく、何度も読み返したいと思った。実際、『ある男』などは4回読んでいる。
    が、これは二度と読むことはないと思う。こんな世界があるということは勉強になったが、とにかく気持ち悪くなる。平野作品なので最後まで頑張ったが、そうでなければ、冒頭で読むのをやめていた。

  • あっという間に完読。
    生々しい性描写があり不快感を感じる部分もあるのだけどら読み進めてしまう不思議。
    人間が生まれて性欲に目覚める流れを事細かに書かれていて自分がどうだったか?ということを考えてしまった。
    私は女性だから特にミッキーに感情移入してしまった。

  • かつて、筑紫哲也が平野啓一郎の「日蝕」を褒めていた。
    僕は今回初めて平野啓一郎の作品を読んだのだが、完全に不純な動機からである。
    そして、この作品からは、文学というよりは、風俗のルポ、あるいはノンフィクションのような印象を受けた。
    女教師と市役所職員が、出会い系で出会って、男の方がネットに投稿し、その露出はエスカレートして行き、最後に破綻を迎える。
    破綻の前兆として、男が女教師にプロポーズするのだが、女教師(ここではミッキー)は男を現実世界では、受け入れられない。
    そして、その気配を感じた男が、最後に事件を起こしてしまい、男は刑務所へ、女は執行猶予は付くが、職を失う。
    今のネット社会だったら、いかにも起きそうな事件である。
    顔以外の全てを晒して、ネットで人気者になっていた二人も、顔が分かった瞬間、偶像から相当低いランクの一般市民に格下げになる。
    匿名性とは、何なのかを少し考えた。

  • 平野啓一郎「私とは何か」を読んだら、読んでみたくなった一冊。中学校の教師としての私と、出会い系サイトで遭った男と肉体関係を持ち、顔を隠した裸体をインターネット上にさらされ何万人もの人の視線を集めた私。職場での私、男の前での私。最初はまったく別だった。しかし事件がきっかけで後者の私があまねく知られることになってしまい…と。分人主義の萌芽、といわれれば確かにそう。ただ描かれたものは、なんだか週刊新潮の黒い報告書をもすこし深堀りしたもののようにも思えた。◆こっそりと、人が知らないことを知り、人がしていないことをしているということ。そうした意識が、彼女にこれまで知らなかった類の優越感を感じさせた。◆この時期、〈吉田希美子〉が、〈片原盈〉の許を去ろうとしたことはただの一度もなかった。◆彼は何時しか、彼女の顔までをも欲するようになっていた。◆「……誰やねん?……あ?……お前は一体、誰なんや?……」

  • 自分の裏の顔が性的な部分に特化した人たちのお話。まあそういうところに現れる人もいるよね。

  • 平野啓一郎は初めて読みましたが、文章力の凄い作家だなあ、と感じた。
    エロス一辺倒になってしまうようなテーマでありながら、人間の内面を心に迫る文章で描いていて、結構下品な表現もありながら、エロスよりも二人の人間の心理描写が印象に残った。

  • 地方に住む地味な女教師が出会い系サイトで
    陰気で偏執的な性癖をもつ男性とセフレ関係になる。
    彼の要求は徐々にエスカレートしていき、
    ある日、行為を撮影させろと言い出す。

    個人を規定する要素が多層化する社会で、
    本名や職業、居住地といったデモグラフィックやソーシャルな属性が消失し、
    さらには衣服や倫理観、性癖といった極パーソナルな属性までも剥ぎとられ、
    その上、顔にモザイクをかけられた全裸写真や性交動画がネットで公開された時、
    「個」として残るものは何か。

    かなり生々しくエグい性描写が続くが、
    本質は後の分人思想に連なる「本当の自分とは何か」にある。
    このテーマ性を表現するために、
    これら個を成立せしめる要件がひとつひとつ取り除かれ、
    文字通りむき出しの「個」が晒されていくという、
    全編を通じてかなり観念的な世界が提起されている。

    なので、そこを読み違えると完全にただの官能小説。
    筆力が半端ないので、エロスムードも満載。
    物語性や人間の辛苦といった、
    いわゆるイメージ通りの文学作品を期待して読むと
    ずいぶんと違和感を感じる羽目になると思う。

  • てっきり現実に起きた事件のルポかと。
    でもどうやらそうではない模様。

    難解な文章を書く平野さんにしては、随分と平易なタッチで読みやすいという評価がネット上ではなされてますね。
    ただ、内容自体は新鮮味に欠けるし、平野啓一郎がわざわざ扱う題材ではない、とのキビシー声も。

    書かれたのが5年前なのでなんともいえんけど
    今となってはこういった事件というか出来事は
    決して珍しくないんだろうなあ。

    割と誰でも
    「ミッキー」や「ミッチー」になりうる可能性はあるんだと思う
    SNSが流行ってる現代はなおさら。。

  • ミッキーが出会い系サイトを通して、ポルノを介してアイデンティティが霧散しそうになる話。背筋が凍る。確かに素人もののavを見るときに思っていたことを言語化してくれた気がする。ああいったビデオに出る人は普段の自分とは違う自分を演じているのだろう。それが自分の望む自分であるにせよ今作のミッキーのようにアイデンティティが霧散しなければ良いが。上手く言語化できないな。

  • 2025年3月15日、グラビティの読書の星でコメントなしで本の画像だけあげてる女性がいた。→先日目線モザイクの猫が浮かんだのだが、アートに通じるかも?

  • 読破するのはかなりな苦労が必要。
    素材はさもなんなのでしょうが、生々しくて読んでられない。
    しかし、作者の意図はわかるし、「書かなくてはならなかった」のでしょう。
    官能小説ばりの書き出しに「ひるみ」ましたが、辛うじて読破。
    それでもやっぱり「もう少し違う書き方」で、表現できなかったものかとは思う。

  • ほぼ性描写、かな。

    『文人』という思想について基礎知識あったから、それも頭の片隅に置いて読めたけど、事前知識ないと、出来事文章でああそうだっかーそんなことがあったかーで終わってしまう気がした。

    短くてさくっと読めるのは良いところ。

    あと『事件』と冒頭に言って、終盤に向けて読者へボルテージ高めるような工夫あり。

    ただ肝心のその『事件』が平凡というか、もっと小説的奇想天外なものとか、あるいは本人達の心理描写を細かくこまかーく、普通そんなこと考えないだろくらいに書いてたら、もっと読了感と読み応えあった気がする。

  • 平野さんの本の中ではテーマが下世話で身近だし、短編だから読みやすい。堕ちていく人間のフィクションだけど現実にもこんなことほあるだろうと思う。本当に他人に言えないことは皆黙っているから。

  • 官能的な面も大きかったが、文学的な表現で書かれているためいやらしい感じではなかったです。

    平野啓一郎は『私とは何か「個人」から「分人」へ』でも分人主義に触れているが、本書も根本はその部分について書かれているものでした。

    会社にいる自分と友人といる自分が違うというのは当然といえば当然のことで、本書の女性のそれは、現実社会の教師とネットの中の淫乱な自分という側面で描かれていました。

    匿名であったり非匿名であったり…ネットがとても身近にある現代も、そう言った多面性は存在するんだろうな、と思いながら読める作品でした。

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著者プロフィール

1975年愛知県蒲郡市生。北九州市出身。京都大学法学部卒業。1999年、在学中に文芸誌「新潮」に投稿した『日蝕』で、第120回「芥川賞」を受賞する。
主な著書に、『葬送』『透明な迷宮』『マチネの終わりに』『ある男』等がある。

平野啓一郎の作品

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