決壊(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.76
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本棚登録 : 764
レビュー : 67
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101290416

作品紹介・あらすじ

地方都市で妻子と平凡な暮らしを送るサラリーマン沢野良介は、東京に住むエリート公務員の兄・崇と、自分の人生への違和感をネットの匿名日記に残していた。一方、いじめに苦しむ中学生・北崎友哉は、殺人の夢想を孤独に膨らませていた。ある日、良介は忽然と姿を消した。無関係だった二つの人生に、何かが起こっている。許されぬ罪を巡り息づまる物語が幕を開く。衝撃の長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 引き込まれる感じもあるんだけど、あんまりにもくどくて飛ばしたところもあり・・・。
    上巻ラストあたりでやっと大きく物語が動き出す。

  • 圧倒的な知識量で描かれる渾身の現代ミステリ。

    まだ事件の起きない上巻では家族、友人、恋人に対して抱く微かな「不信感」や、自分以外が他者であるがゆえの「心のズレ」を感じる違和感を巧みに書いている。

    人間関係を上辺では体裁良く保っていても、日常的に心の奥底に感じている上記のような空虚感は誰でも抱いた事があるのでは無いだろうか。

    序盤のシーンで韓国語教室のCDを義母が流した時に、佳枝が「夫が在日韓国人なのではないか」と不意に疑ってしまう部分から、様々な人間が抱く不信感の連鎖はまるで自分を見ているかのよう。

    ただ上巻は地の文が三人称なのだが、二次的な一人称が一つの章の中でコロコロと変わってしまって分かりづらいシーンが多かった。

  • 実際は星など1つたりとも付けたくありません。マイナス5つ星と言ってもいいくらい。
    難解も難解、とにもかくにも非常に難解な文章が特徴。と言うよりは“書き手の独りよがり”による読み難い文章と言った方が正確かも知れない。そんな読み進めづらい文章が、序盤からこれでもかと全開で、それが頁を繰る毎に益々酷くなっていく。
    表紙だけを観て上下巻をまとめて購入してしまったのですが、正直言って、本好きな人にもそれ以外の人にも決してオススメ出来ません(ムリ!)。作者はインテリを自負していらっしゃるようですが、とてもじゃないけどこの作者が評価される理由が皆目判らない。小ムズかしい文章を羅列すればアタマがいい、とでも思っているのだとしたら… ため息しか出ない。
    途中からは完全に斜め読みした挙句、古本屋に持っていくのも面倒になってコンビニのゴミ箱へ放り捨ててきました。金返せ、と言ってみても詮無いので諦めです
    (;T T)=3

  • 表4のあらすじからサスペンスを期待したのに、事件が起こるのが上巻のラストって遅過ぎだろ。最初の300Pはホントに必要なのかな? 読み終われば感想変わるのかもだけど、ちょっとフラストレーションが溜まった。

  • 取り返しのつかない凄惨な現実一点に向かって、人の強い思考をなぞってヒビが走っていく。ヒビは「悪魔」の一打で決壊へ。
    「あなたは殺人者である。たとえ世界が、卑劣にも捏造した事実であったとしても、それは結局、不可避の運命だ。それ以外の何でもない。世界はあなたを選んだ。なぜか?あなたに、殺人以外の『幸福』がないことを知っているからだよ。」

    相変わらず「プロットの時から文章削ること一切考えてないのでは」と言いたくなる思考のボリューム。著者は中二病なの?と途中うんざりしそうでしたが、それでも下巻まで手にとる気になったのは、「中二病」という言葉で把握した「つもりにしている」現実の一部があることに気付くから。

    アイデンティティーの複数性、という考え方は「ドーン」に引き継がれているんですね(「決壊」は「ドーン」より以前の作品)。
    「この著者はこういう哲学を持っている」と、明確な印象を持ってその著書をとれる作家、最近(比較的若い作家では)まれな気がしますが、平野さんはそんな一人だと思います。それでいてどの話も同じような雰囲気、というマンネリには陥らないから飽きない。
    「頭がいい」かどうかとかよくわからないけれど、読んでいると、言葉を通して著者が「ぶつかってくる速度」がとても速く、また意志をもって敢えて乱暴なぶつかり方をしてきているよう感じる。その度胸に敬服はします。
    凄惨な描写をすればいい、ということではなく、えぐい現実を突きつければいいということでもないし、自分哲学を書きなぐればいいということでも勿論なくて・・・
    押し付けがましくないのに、明確な意思を感じる。そのバランス感覚が、嫌味がなくて好きなのです。突きつけている現実は「現代」だけれど、とてもクラシックな感じがする。

    下巻に続く。
    上巻の最後の時点で、もう、取り返しつかない事態になっていて・・・このあとこなごなに散っていくだけであろう物事を思うと、その後味を回避したい気持ちから、読む意義を自分自身に問いたくなるんだけど・・・
    なんで読むのか。
    こういうことを書く作家がいるからです。昔からいたけれど、最近あまりいないからです。

  • 私はこの、佳枝がうざくてうざくて…

  • 下巻でまとめて評価。

  • 最初は読みにくかった。
    不必要と思われるぐらいの細かい情景描写が多いし、わかりやすいのか却ってわかりにくくなってるのかわからないような比喩もやたら出てくるし、敢えてなのだろうけど話者もコロコロ変わるし、そうしたことの一々によって「作者」の存在を意識せざるを得ないところが何だか嫌だったけど、しだいに気にならなくなってきた。
    おもしろいのかつまらないのか、ここまで読んでもまだよくわからないですが、続きが気になるのは事実。

  • 平凡な暮らしを送る弟・良介とエリート公務員の兄・崇。無関係だった二つの人生に何かが起こる。許されぬ罪を巡り息詰まる物語が幕を開く。
    悪魔は心の隙間に何の違和感を感じることなく入ってくる。客観的な立場の読み手は、悪魔の言動に嫌悪感を抱くが、登場人物たちが悪魔に導かれるのは、人として自然な行動かもしれない。

  • 感想は下巻に。

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著者プロフィール

平野 啓一郎(ひらの けいいちろう)
1975年、愛知県蒲郡市生まれ。生後すぐ父を亡くし、母の実家のた福岡県北九州市八幡西区で育つ。福岡県立東筑高等学校、京都大学法学部卒業。在学中の1998年、『日蝕』を『新潮』に投稿し、新人としては異例の一挙掲載のうえ「三島由紀夫の再来」と呼ばれる華々しいデビューを飾った。翌1999年、『日蝕』で第120回芥川賞を当時最年少の23歳で受賞。
2009年『決壊』で平成20年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、2009年『ドーン』で第19回Bunkamuraドゥマゴ文学賞、2017年『マチネの終わりに』で第2回渡辺淳一文学賞、2019年『ある男』で第70回読売文学賞(小説部門)をそれぞれ受賞。2014年には芸術文化勲章シュヴァリエを受章した。『マチネの終わりに』は福山雅治と石田ゆり子主演で映画化が決まり、2019年秋に全国で公開予定となっている。

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