- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101290416
作品紹介・あらすじ
地方都市で妻子と平凡な暮らしを送るサラリーマン沢野良介は、東京に住むエリート公務員の兄・崇と、自分の人生への違和感をネットの匿名日記に残していた。一方、いじめに苦しむ中学生・北崎友哉は、殺人の夢想を孤独に膨らませていた。ある日、良介は忽然と姿を消した。無関係だった二つの人生に、何かが起こっている。許されぬ罪を巡り息づまる物語が幕を開く。衝撃の長編小説。
感想・レビュー・書評
-
独特の平野さんの文章であったが、ところどころ難しい話があり、読むペースが遅くなったり、読みやすくなったりを繰り返しながら読み進めた。
生と死、人からの見られ方、殺人・罪などについてが大方のテーマかな。
ページ数も内容もなかなかヘビーな印象。
下巻も気合を入れて読まないといけない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
引き込まれる感じもあるんだけど、あんまりにもくどくて飛ばしたところもあり・・・。
上巻ラストあたりでやっと大きく物語が動き出す。 -
圧倒的な知識量で描かれる渾身の現代ミステリ。
まだ事件の起きない上巻では家族、友人、恋人に対して抱く微かな「不信感」や、自分以外が他者であるがゆえの「心のズレ」を感じる違和感を巧みに書いている。
人間関係を上辺では体裁良く保っていても、日常的に心の奥底に感じている上記のような空虚感は誰でも抱いた事があるのでは無いだろうか。
序盤のシーンで韓国語教室のCDを義母が流した時に、佳枝が「夫が在日韓国人なのではないか」と不意に疑ってしまう部分から、様々な人間が抱く不信感の連鎖はまるで自分を見ているかのよう。
ただ上巻は地の文が三人称なのだが、二次的な一人称が一つの章の中でコロコロと変わってしまって分かりづらいシーンが多かった。 -
実際は星など1つたりとも付けたくありません。マイナス5つ星と言ってもいいくらい。
難解も難解、とにもかくにも非常に難解な文章が特徴。と言うよりは“書き手の独りよがり”による読み難い文章と言った方が正確かも知れない。そんな読み進めづらい文章が、序盤からこれでもかと全開で、それが頁を繰る毎に益々酷くなっていく。
表紙だけを観て上下巻をまとめて購入してしまったのですが、正直言って、本好きな人にもそれ以外の人にも決してオススメ出来ません(ムリ!)。作者はインテリを自負していらっしゃるようですが、とてもじゃないけどこの作者が評価される理由が皆目判らない。小ムズかしい文章を羅列すればアタマがいい、とでも思っているのだとしたら… ため息しか出ない。
途中からは完全に斜め読みした挙句、古本屋に持っていくのも面倒になってコンビニのゴミ箱へ放り捨ててきました。金返せ、と言ってみても詮無いので諦めです
(;T T)=3 -
取り返しのつかない凄惨な現実一点に向かって、人の強い思考をなぞってヒビが走っていく。ヒビは「悪魔」の一打で決壊へ。
「あなたは殺人者である。たとえ世界が、卑劣にも捏造した事実であったとしても、それは結局、不可避の運命だ。それ以外の何でもない。世界はあなたを選んだ。なぜか?あなたに、殺人以外の『幸福』がないことを知っているからだよ。」
相変わらず「プロットの時から文章削ること一切考えてないのでは」と言いたくなる思考のボリューム。著者は中二病なの?と途中うんざりしそうでしたが、それでも下巻まで手にとる気になったのは、「中二病」という言葉で把握した「つもりにしている」現実の一部があることに気付くから。
アイデンティティーの複数性、という考え方は「ドーン」に引き継がれているんですね(「決壊」は「ドーン」より以前の作品)。
「この著者はこういう哲学を持っている」と、明確な印象を持ってその著書をとれる作家、最近(比較的若い作家では)まれな気がしますが、平野さんはそんな一人だと思います。それでいてどの話も同じような雰囲気、というマンネリには陥らないから飽きない。
「頭がいい」かどうかとかよくわからないけれど、読んでいると、言葉を通して著者が「ぶつかってくる速度」がとても速く、また意志をもって敢えて乱暴なぶつかり方をしてきているよう感じる。その度胸に敬服はします。
凄惨な描写をすればいい、ということではなく、えぐい現実を突きつければいいということでもないし、自分哲学を書きなぐればいいということでも勿論なくて・・・
押し付けがましくないのに、明確な意思を感じる。そのバランス感覚が、嫌味がなくて好きなのです。突きつけている現実は「現代」だけれど、とてもクラシックな感じがする。
下巻に続く。
上巻の最後の時点で、もう、取り返しつかない事態になっていて・・・このあとこなごなに散っていくだけであろう物事を思うと、その後味を回避したい気持ちから、読む意義を自分自身に問いたくなるんだけど・・・
なんで読むのか。
こういうことを書く作家がいるからです。昔からいたけれど、最近あまりいないからです。 -
私はこの、佳枝がうざくてうざくて…
-
一見問題なさそうな家族の日常に軋む小さなひずみ、危うい家族・不穏な学校生活の爆発前の状況が書かれており、読む人間を不安へと引きずり込むのがうまい。上巻の終わりには一気にそれらが不幸の連鎖へとなだれ込んでいく。
ひどく残虐な事件を描写しているにも関わらず、嫌悪感を持たせないのは、各々の思考の解説を克明にしているからかなと思う。 -
下巻でまとめて評価。
-
最初は読みにくかった。
不必要と思われるぐらいの細かい情景描写が多いし、わかりやすいのか却ってわかりにくくなってるのかわからないような比喩もやたら出てくるし、敢えてなのだろうけど話者もコロコロ変わるし、そうしたことの一々によって「作者」の存在を意識せざるを得ないところが何だか嫌だったけど、しだいに気にならなくなってきた。
おもしろいのかつまらないのか、ここまで読んでもまだよくわからないですが、続きが気になるのは事実。
著者プロフィール
平野啓一郎の作品






この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。






決壊(上) (新潮文庫)を本棚に登録しているひと
-
- honyarapeke
- 2021年1月10日に登録
-
- ロビーB
- 2020年4月22日に登録
-
- Go
- 2019年9月19日に登録
-
- ytkssn
- 2019年5月17日に登録
-
- serg
- 2018年11月13日に登録
-
- taku23689
- 2017年10月2日に登録
-
- mkagawa
- 2016年10月17日に登録
-
- indexmoon
- 2016年8月4日に登録
-
- machiyard
- 2016年5月23日に登録
-
- のりこさん
- 2020年12月29日に登録
-
- u1-yudu
- 2020年12月17日に登録
-
- ky78jp
- 2020年12月15日に登録
-
- naonaonao16g
- 2020年12月13日に登録
-
- 鈴華書記
- 2020年12月11日に登録
-
- まめ
- 2020年12月11日に登録
-
- atsutomu
- 2020年11月1日に登録
-
- だいすけ
- 2020年10月26日に登録
-
- Konai
- 2020年10月25日に登録
-
- ddkipin
- 2020年7月19日に登録
-
- えのん
- 2020年3月13日に登録
-
- anpanmoon
- 2017年4月1日に登録
-
- もんかわ
- 2017年1月12日に登録
-
- fcshige
- 2016年1月7日に登録
-
- haruww
- 2015年6月14日に登録
-
- sakurastove
- 2014年8月4日に登録
-
- kazukikkk
- 2012年11月25日に登録
-
- AmiHide
- 2012年1月10日に登録