きつねのはなし (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 8172
レビュー : 837
  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101290522

感想・レビュー・書評

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  • あの痛快な森見節を期待して読んでみたのだけど、全編不気味な雰囲気の漂うホラーじみた小説でびっくり。でも、読み進めていけばいくほど、中毒性のある不気味さで、怖いもの見たさが止まらない。太陽の塔と四畳半神話大系の流れを汲んだ、漆黒の小話集。

  • コメント1
    『きつねのはなし』は京都の音に満ちた物語だ。あなたは京都に満ちている音に、耳をすませたことがあるだろうか。寺院の虫の音、鈴の音。祭囃子に、賑やかな喧噪。雨音、雷、風の音。憧れの綺麗な女性の笑い声、艶やかな話し声。
    日頃静かさを湛えた町であるが故に、ひとたび生じた音が鮮烈に響く。音と共に、町の色気がたちあがってくる不可思議な物語が『きつねのはなし』。音に満ちた、妖しい京都を楽しもう。

    コメント2
    いつも、夏に読み返したくなる─むかし僕が京都で過ごした時のことを思い出しながら。茹だる暑さ。遠くに響く祭囃子。親しい女性と祇園を歩く高揚。陽が落ちてきたころに並んだ二つの影。京都の夏は、いつも何かが始まりながらも終わってしまいそうな、夜の帳へ心身ふわりと飲み込まれていきそうな、儚く危うげな魅力が充溢していた。
     夏の記憶と体験、鼓動と憂鬱。『きつねのはなし』は、あらゆるものを思い起こしながら捧げたい作品だ。そう、夏、毎年再読しながら、あたかも京都の夏を強く深く紹介するかのように、店頭の人々へとこの本を並べようと思う。然るべき出会いで手に取る多くの人がみな、この作品からそれぞれの夏を受け取り、思い起こすことを願っている。

  • 個人的に馴染み深い京都市左京区界隈を舞台に、日常と非日常が混濁する幻想的な世界が繰り広げられており、ヌルリと呑み込まれるように読み耽ってしまった。
    文体、展開はもちろんのこと、各小編が何某かの部品で緩くリンクしているところや、天満屋まで登場させて有機的に仕上げられている点は、いかにも森見登美彦氏らしい。
    すべての縦糸と横糸がほぐれてカタルシスが得られる、という類の物語ではないが、醸し出される空気も含めて、まさしく耽溺するにふさわしい作品だ。

  • まるで暗闇の中で万華鏡を覗いているような一冊。
    美しいカケラが近づいては歪み、離れていく幻想が味わえるが、振り返るのが怖くなるかもしれない。

  • この手のホラーで薄気味悪い小説は初めて読んだけれど一気にハマった。
    京都が舞台だけあって日本特有のホラーな感じがいい。

  • 短編四作品

    話というかキーワードが微妙にリンクする京都を舞台とした幻想的な話。全ての話にハッキリしない不気味さが残り、このシックリ来ない感じを良いと言う人たちは少なくないと思う。

    ひっそりと這い蹲りながら迫ってくる爬虫類のような気持ち悪さが漂う奇譚集・・・


    読み終わった後に読書仲間と話し合える小説でもある。

  • 多分、これ読むの4度目(笑。
    たまに、図書館で借りて読んでます。

  • 途中まで再読。ちょっと不気味な不思議な短編集。胴体が長く人のような顔を持った狐に似た獣、骨董屋、狐面の男、龍の彫り物…。京都の暗部に潜む影のような存在と古い記憶がさまざまな現象を引き起こし、人の心に影響しています。こんな不思議が京都では当たり前に起こっているのかも知れない。雅な観光地の裏の姿を描いた作品群は、恐ろし気ながらも癖になる魅力が溢れていました。特に『魔』が良かった。彼らはその後どうなったのだろう。夏尾が獣の呪いを打ち破ったのだろうか。暗く幻想的な森見ワールドも好きです。

  • ねっとり、じめじめした雰囲気漂う四編。怪しさ満載。しかし答え合わせはされず、読了としてはもやもやしたものが残る。なので余計にねっとりとした読了感が味わえる一冊。ちゃんと時系列とかを考えて読んだらいいのかもしれない。読んでいるうちに、部屋が生臭く感じたり、水の音が聞こえるかもしれない。

  • 再読。

    コミカルでユーモアたっぷりな長編とは対照的に、ダークで薄気味悪い雰囲気漂う短編集。
    4作品はゆるく繋がっているものの、どの話も独立しており、はっきりとこれがこう繋がっているとは明記されていない。どの作品も謎はすべて解かれることはなく、謎は謎のまま奇妙な余韻を残して終わる。恐らくこの謎はこうです、と綺麗さっぱり解明されたら艶消しで、煙に巻かれたようなそれこそ狐につままれたような不思議な気分に陥いるのがちょうどいいのかもしれない。
    京都という実在する街を舞台に、複雑に入り組んだ路地や薄暗い森の影、怪奇感たっぷりな夜祭り、長い歴史の中に埋もれた品々など、不気味な世界を非常に上手く作り出している。「ケモノ」や「きつねのめん」など京都だからこそ似合う小道具があり、そこかしこに漂う闇の色を一段と濃くしている(ラストの『水神』だけきつねに関係ない気がするが)。京都の地形に詳しいとなお、そのダークな世界観に浸れるだろう。

    このダークさで、ぜひ長編が読んでみたい。

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著者プロフィール

森見登美彦(もりみ とみひこ)
1979年奈良県生まれの作家で、京都を舞台にした作品が多い。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。2003年、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。2006年に『夜は短し歩けよ乙女』で本屋大賞2位、山本周五郎賞などを受賞し注目を集める。2010年『ペンギン・ハイウェイ』で2010年日本SF大賞、2014年『聖なる怠け者の冒険』で第2回京都本大賞、2017年『夜行』で第7回広島本大賞をそれぞれ受賞。2010年に『四畳半神話大系』がTVアニメ化、2018年8月に『ペンギン・ハイウェイ』が劇場アニメ化された。2018年11月に『熱帯』を刊行し、第160回直木賞、2019年本屋大賞にノミネートし、第六回高校生直木賞受賞。

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