ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101292342

感想・レビュー・書評

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  • イケメンで優しくてセックスも上手くて、そして良い声の持ち主、ニシノユキヒコ。
    彼と関係のあった女の人達が、ニシノユキヒコとの思い出やら本人について語るのだが…

    こういう男って、現実にいるよね。ってのが感想。
    生粋の女たらし。めちゃくちゃモテる。
    女の人から別れようって言われると、途端に寂しそうにする。いるわー。笑

    さて。そんなニシノユキヒコだが。
    人を愛するっていうのはどういうことなの?とか、お姉さんのこととかで、彼なりに様々思い悩んでいた。
    読んでいて、何だが掴み所のない男だなと思った。
    自分の欲求に素直に従っているような感じなんだけど、それだけじゃないんだよね。

    読後感は、何か夏の夕暮れを見ているような、爽やかなセンチメンタルさがある。

    彼は結局、自分の居場所を見つけることと、人を本当に愛することは出来なかったんだろうけど、でもそれでよかったのではと思う。ニシノユキヒコってそういう感じの人だった(ただの読者だけど)

    読みやすくてよかった。

  • ダメでしたね。
    これまで川上作品では理解はできなくても、物語の中で一緒に流されることができたのですが、この作品にはついに入り込めませんでした。結構、一般的な評価は高いのですけどね。
    こういうグダグダした恋の物語はもともと苦手な上に、どうも、この主人公ニシノ君が好きになれないのです。ですからその周りに集まる女性陣もどうも苦手。
    こんなこと書くと怒られそうな気もしますが"女性向けの作品"そんな気がします。

  • 稀代のモテ男・ニシノユキヒコの爛れた女性遍歴を、相手方の女性10人がそれぞれの視点で語り下ろすという連作。
    「稀代のモテ男の生涯」という意味では、源氏物語みたいなものなのだろうか。読んだことないからわかんないけど。

    非モテな私としては、恥ずかしげも文脈もなくさらりと中二みたいなことを言ってしまう感じとか、なんやかんや言って結局彼とそういうことになってしまう展開とか、いきなり始まる観念的かつ感応的なハルキスト的な問答に随分イラッとさせられました。
    非モテな私にはあまりはまらなかったわけですが、女性が読んだらどう思うんだろう。

    作中に登場する10人の女性にぜひ集まってもらって、ニシノユキヒコについて語りあってみてほしいと思った。
    はたしてそれが、「ニシノユキヒコファンの集い」になるのか。
    それとも「ニシノユキヒコ被害者の会」になるのか。
    私はそれを、ぜひ覗いてみたい。

  • ニシノくんがちょっと気持ち悪かった。

  • この手の本は好き嫌いがハッキリ別れるのでしょうね。私は~~~とりあえず☆3個にしといて、少し経ったら読み返してみようかと言うのが率直な感想です。

  • 「僕は勉強ができない」の秀美くんから、なぜかふと思い出して「ニシノユキヒコ」に至った私。
    川上弘美の筆致は好きだし、女性の“感じ”も好きだし、更にいうとフォントの「ふ」の字にもクラクラくるぐらい好きだ。

    しかし、ニシノユキヒコ、困った人。
    あらゆる女性が、どこかでニシノユキヒコを「赦し」ていることを、彼自身は気付いているんだろうか。
    最後にのぞみが言う、突然自分の世界に入っていってしまう男。そんな、自己愛のお話に読めてしまう。

    彼が最後に出会うのが、愛。
    彼女だけはニシノユキヒコを愛さない。
    どこか『パイロットフィッシュ』の七海を彷彿とさせる、少女の聖性を匂わせた女の子である。
    愛されないことに依存心を強め、聖性がある存在に崇高な感情を抱く。

    結局のところ、彼は冒険の中で自分自身を見出すことが出来たのだろうか。

    • 円軌道の外さん

      ミツキさん、はじめまして!
      関西出身で東京在住、
      読書は勿論、映画と音楽と猫には目がないプロボクサーです。
      遅くなりましたがリフォ...

      ミツキさん、はじめまして!
      関西出身で東京在住、
      読書は勿論、映画と音楽と猫には目がないプロボクサーです。
      遅くなりましたがリフォローありがとうございました(^o^)

      僕もどこか官能的な川上さんの文体が好きです。
      そしてニシノユキヒコ!
      ホンマどうしようもないヤツだけど、
      僕の亡くなった親友も同じタイプだったので
      なぜか憎めないのです。

      コレ、映画も観に行きました。
      小説とは違って、あえてニシノユキヒコを幽霊として先に登場させて、ユキヒコの葬式に集まる女たちとの恋を回想で描いていく形にストーリーを変えていて、
      これがホンマいい効果をもたらしてます。
      あと数々の名作映画へのオマージュや分かる人には分かるマニアックな遊び心が散りばめられていて、
      映画が好きであればあるほど楽しめる作品です。
      (ニシノユキヒコを演じた竹野内豊が、飄々としていて時折見せる寂しげな微笑みに切なさを感じさせて、まさにハマリ役でした)

      まったりとした空気感や淡々と流れる作りは観る人を選ぶだろうけど、
      個人的にはなかなかの傑作だと思ってます(^^)
      機会があれば是非是非。

      ではでは、これからも末永くよろしくお願いします!

      コメントや花丸ポチいただければ
      必ずお返しに伺いますので
      こちらにもまた気軽に遊びに来てくださいね。
      (お返事は仕事の都合によってかなり遅くなったりもしますが、そこは御了承願います…汗)

      ではでは~(^^)


      2015/06/20
  • ニシノユキヒコは、女の子の理想。
    見た目は、それなり、キスもさりげなく、セックスも心を癒す。そして優しい。
    10人の女性との恋物語。
    淋しく切ない恋。
    川上弘美のゆったりとしたすてきな時間を堪能できる作品。

    「おやすみ」
    わたしたちは愛しあいかけていた。けれども愛しあうことはできずに、愛しあう直前の場所に、いつまでも佇んでいた。

    「ドキドキしちゃう」
    夜の海が満ちて、あたしたちを沈めて、そうしたらあたしたちは小さな蟹になればいい。
    波がときおり大きな音をたてて、寄せてくる。海が大きく満ちてくる。夜の中で、あたしはいつまでも、ドキドキしている。

  • 川上弘美さんが描く純リアリズムの恋愛小説。年齢も様々な10人の女性たちが語るニシノユキヒコの物語。恋の相手に恵まれるニシノだけれど、それらはけっして長続きしない。それはそうだろう。「2人は末永く幸せに暮らしました」では恋愛文学にはならない。忍ぶ恋、禁断の恋、破滅的な恋こそが恋愛小説の王道だ。だから、この物語にはいつも別れが待っている。女たちは本質的な孤独がニシノに内在することに気づいてしまうから。その上に彼は絶対に叶うことのない、姉への恋愛感情までを秘めているのだから。寂しい、そして寂しさが似合う小説だ。

  • だいぶ前に読了。
    以下、メモ。

    ニシノくん、幸彦、西野君、ユキヒコ…。姿よしセックスよし。女には一も二もなく優しく、懲りることを知らない。だけど最後には必ず去られてしまう。とめどないこの世に真実の愛を探してさまよった、男一匹ニシノユキヒコの恋とかなしみの道行きを、交情あった十人の女が思い語る。はてしなくしょうもないニシノの生きようが、切なく胸にせまる、傑作連作集。

  • 軽くてチャラい男の話だと思ってたけどちょっと違ってた。
    いや、軽いのは軽いんだけど、なんというかふわふわと海を彷徨い漂うクラゲのような、なんかそんな印象。ニシノユキヒコって。

    愛情というものに飢えていながらも決して愛に依存することはなく、本気で人を愛することはできなくても愛を語ることはできたりして、なんだこの男。

    付き合う女性みんなが二人の関係性を客観的に見てたりして、好きなのにのめり込めない恋愛ってなんかしんどいわ。ニシノユキヒコめ。女の敵だね。と思いながらもみんな惹かれてしまうのね。ニシノユキヒコに。

著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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