ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 3906
レビュー : 589
  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101292342

感想・レビュー・書評

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  • ニシノユキヒコを愛した10人の女性の話。
    中学生のニシノユキヒコから幽霊のニシノユキヒコまで。


    ニシノユキヒコみたいな男って…稀にいるよね。
    ダメ男って言葉で済ましたらそれまでだけどw
    自分のことを棚にあげてるって言ったらそれまでだけどw
    人を深く愛せない、愛してるつもりでも伝わらない、平気で浮気するくせに、相手の愛は全て自分に向けていてほしい。
    都合がいいヤツなんだけど、そういう人に惹かれちゃう女性が多いのも事実。
    なんでこんな人がもてるんだろう?って思うけど、自分も惹かれちゃってたり。


    でも結局、
    そういう男性と付き合っても、自分も一歩ひいちゃうんだよね。客観的に醒めて付き合っちゃう。
    熱をあげても無駄だなって気づいちゃう。
    年齢を重ねると余計に。



    ニシノユキヒコに苛つきながら読了しました。
    川上弘美最高!


  • とんでもない浮気男を取り合う10人の女の話だと思ってました。全然違いました。

    川上弘美さんの手にかかると、部屋に二人でいるだけ、ご飯を食べてるだけのシーンがとってもロマンチックな場面になる。さすがです。

    側から見ると順風満帆なニシノユキヒコくんの垣間見えるさみしさと、それに付随する10人の女たちの美しさと自立心。
    ぶどうという話がとってもすきです。
    飄々としている男を壊すような、自立した女になりたいな。

    出てくる女の人たちもみんなとっても素敵な人ばっかりなんだよな。憧れる。

    ただの下世話な話じゃなかったです。
    美しいけどさみしい恋物語でした。

    2018.01.31

  •  解説を読むと、このニシノユキヒコってとことん悪い男のように書かれているが、同性の僕から見れば、ちっとも悪い男には思えない。
     もちろん、問題はあるのだろうが、僕からすれば登場してくる女性たちにも充分に問題はあるように思える。
     ニシノユキヒコと同じ「男性だから」ということもあるのだろうが、やはりそれだけではないように思える。
     よく「ダメな男性を好きになる」女性は、とことんダメな男性を好きになるそうだが、そうなると、ダメな男性を好きになる女性特有の「ダメな女性」というものもあるのだろうし、もしかしたらここに登場してくる女性たちはその一部なのかも知れない。
     とまぁ、なんだかんだと理屈っぽく思考を巡らせてみたけど、結局はダメな男とダメな女が恋愛して、その恋愛が予想通り成就しない、というこれまたありふれた内容のお話だったのかもしれない。
     それにしては、随分と面白く読めたのは、やはり川上さん独自の匂いがプンプン香ってくる文章や単語、擬音の使い方がそこにあり、僕なんかはその香りに誘われてズズズと深入りしてしまう一匹のハエみたいなものだからだろう。

  • 語り手によって文章の雰囲気が少しずつ違うところがとても良い。

  • 絶対に好きになっちゃいけないタイプ。ニシノユキヒコと、横道世之介。
    でもね、やっぱりこういう男魅力的。というか、こういう男を書く筆をもたせたら、川上弘美は秀逸なのだ。
    どうしてもてんの?(怒) どうして執着しちゃう?(寂) 理性、理屈と本能のあいだは何なのか? そういうことを、解りやすく書いたらきっととても単純でつまらなくなってしまう。だってある種の世の女は皆そういう男に惹かれる法則だから。
    その「間」をまるで説明臭くなく、のんびりと描く腕に楽しませてもらったよ。

  • ニシノ君は可哀想だなぁ。女の子たちはニシノ君と別れた後は絶対に誰かを愛して、ほどほどに幸せになってるはずなのに、ニシノ君は生涯愛されつづけることを知らず気づかず生きたんだから。なんつったら、女の人に怒られるんだろうなぁ。てことをあとがきまで読んで考えた。
    こいつは悪い男なのかなぁ。少年時代のトラウマで「愛しい」という感情がわからなくなって、当然愛し方もわからなくて、愛されなくなって、それが普通になってきて、愛さず人と付き合いつづけて。こんな寂しすぎる負の連鎖を止めてくれる強い女性を望むこと自体あまちゃんなのかなぁ。
    なんつって無条件の承認という甘美な妄念に逃げようとしちゃってるな。でも物語なんだから少しくらいいいよね。
    玉のような言葉とか、感覚的な比喩がすごく好きだった。

    • quatre-septembreさん
      素晴らしいレビューですね。
      きちんと作品が体の中を通って
      消化しているのが伝わって、
      思わずコメントしてしまいました。
      素晴らしいレビューですね。
      きちんと作品が体の中を通って
      消化しているのが伝わって、
      思わずコメントしてしまいました。
      2014/06/04
  • ニシノユキヒコという男の中学から死ぬまでの恋愛模様を、
    彼に関わった10人の女性の視点で描かれた短編長編。
    時系列順ではないところが、スリリングでおもしろい。
    ニシノくんは天性の女たらしで、女が喜ぶようなセリフを
    サラリと言う。礼儀正しく外見も清潔感がある、らしい。
    サッとキスしたり、サッと家にあがりこんだり。
    でもニシノくんは人を愛することができないから、
    ほんとに愛されることもない。
    かわいそうな男の子。(おっさんになっても少年風。)
    そんな彼のトラウマが最後にポツリ。
    最後の2編に描かれたニシノくんの恋愛のクライマックスと
    恋愛遍歴の初期を読んで、少し彼の謎が解ける感じ。
    ちょっと光源氏みたいな男性。
    (私の知ってる光源氏は『あさきゆめみし』での彼だが。)
    おもしろいんだけど、一気読みはできない。
    朝起きて1つ読んで、夜2、3コ読んで寝て…みたいなのに
    ぴったりの本です。
    英文学風のタイトルも愉快。

    なんとなく江國香織っぽさもあった。
    今まで似てるなんて思わなかったけど、似てるのかな。

    愛って…かんたん? 私のは愛かな?

  • 西野幸彦に関わった女性達が語るニシノユキヒコという人は天然の女タラシ、しかも本気で人を好きになることがないというところが性質が悪い。
    自分がもし、こんな男性と出会ってしまったら……やはり惹かれてしまうかな?
    そして、虚しくなって距離を置くかな?
    人を好きになったことのない西野君が最後に電話をかけた相手が、これまた人を本気で好きになったことのない女の子というのが皮肉だと思った。

  • 様々なタイプの女性にモテまくる主人公の生涯についての話でした。
    全10篇あり、それぞれで登場してくる女性が違うのですが、どの話も出てくる女性も個性的で魅力があり、とても面白かったです。
    また、モテるのになぜか恋がうまくいかず、最後にはいつも振られてしまうニシノユキヒコの残念さが壺にはまってしまいましたね。
    男と女って、幸せになるのって、なんか難しいなと思いました。
    しかし、なぜかほっこ温かい気持ちになるような恋したいなと思えるような作品でした。

  • 予想通りのダメ男だけど、私も絶対惚れてまう。寂しがりやで、色っぽくって、霞食ってて、優男で、愛に無責任で、悔しいけど愛おしい。ごうきを思い出し、切なくなってしまった。

    でも、私は彼には思い出してもらえない存在感のない彼女だったんだろうな。この本の女性たちのような思い出を残せたら幸せだったのに。死に際に思い出してもらえるって羨ましくってしょうがなかった。

著者プロフィール

川上 弘美(かわかみ・ひろみ)
1958年生まれ。96年「蛇を踏む」で芥川賞、99年『神様』でドゥマゴ文学賞と紫式部文学賞、2000年『溺レる』で伊藤整文学賞と女流文学賞、01年『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞、07年『真鶴』で芸術選奨、15年『水声』で読売文学賞を受賞。ほかの作品に『風花』『どこから行っても遠い町』『神様2011』『七夜物語』『なめらかで熱くて甘苦しくて』『水声』などがある。2016年本作で第44回泉鏡花文学賞を受賞した。


「2019年 『大きな鳥にさらわれないよう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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