古道具 中野商店 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2986
感想 : 330
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101292373

感想・レビュー・書評

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  • 初読みの作家さん。最初は、日常の出来事をつらつら書いてるだけ⁇と思った。昔は苦手だったなぁと。誰も殺されないし謎もないし探偵もいない。でも最近は歳のせいかf^_^;意外とこういうのも好きになってきた。特に言い回しがステキだなと。水をはきだすホースのようにしゅるしゅると話をする、とか、そういう言い回し。人物描写もなんか独特。中野さんという店主やその姉、中野さんの愛人、中でもタケオは良かった。喧嘩して怒ったタケオが空メールを送った意味はなんだったのか。あっけない最後も含みがあって良いかなー☆推し本です☆

  • あまり感情の起伏のない主人公だなぁと思いながら淡々と読んでいたので、ラストの「悲しかったよ」でびっくりしてもらい泣きしそうになった
    ヒトミちゃん、悲しかったの?!分かりにくいよ!!っていう。
    この人の小説の、そういうところがわりと好き。自分の感情なんてそんなに出すつもりはないし他人に分かってもらおうとも思いません、でも間違いなくそこにあるしだからほんのたまに、自分ではどうしようもなく漏れでてしまうことがあるんです、という孤高なところ。

  • アンティークでも骨董でもなくどこかテキトーな古道具を扱う中野商店。
    そこに集まるのは人たちもダメっぽかったり、不器用だったり、
    大人になりきれない人たちばかり。
    中野商店に漂うゆるい空気は
    そんな一癖も二癖もあるモノや人をすっぽり包み込みこんでくれます。
    ちょっと寂しく切ないけれど
    「ちゃんとしてなくていい」というある種の居心地よさに
    どっぷり浸れる一冊です。

  • ゆるりとした日常が、ゆるりとした文章で描かれていていて、なおかつリアルな感じで心地よい。日々は驚きで詰まっているわけではなく、こんななんとなーくな時間のつらなりだなと思う。

  • 『古道具 中野商店』は、どこかにあるような無いような、不思議に懐かしい気がする古道具屋さんで起こる物語。
    最初の一文からするっと『古道具 中野商店』の世界に入って行った、という感想。
    主人公のヒトミは、はっきりしない、今どきじゃない人
    で、そのゆらゆら感に共感してしまう。
    じわじわと沁み込んでくるような不思議な存在感ある文章、また味わいたくなりました。
    http://matsuri7.blog123.fc2.com/blog-entry-150.html

  • 川上弘美にしては珍しくリアリズム小説。少なくても日常を超越したり(この人の場合は超越というよりは逸脱か)はしない。東京のどこかの街(特定されてはいないが、タイトルにある中野だろうか?)にあった、古道具の中野商店を舞台に、そこに集う人々がヒトミの視点から語られる。ここでの川上宏美の方法は、中野商店を設定し、主要な人物(ヒトミ、テツオ、ハルオ、マサヨ)の基本的な性格付けを行った後は、これらの登場人物たちに自由に行動させたのではないかと思われる。終わってみると、なんだか一場の夢だったかのようだ。

  • タケオにどきどきした。

  • 339

    おちついてて、でもそんな時間はずっとは続かなくて


    ウエウエの地下安汚ホテルで読む。

  • アンティークショップでも骨董品屋でもなく、古道具屋なのがよかった。

    ゆっくりゆっくりゆっくり、変わらないように見えてもしっかり確実に時間は流れていくし、人と人との関係も変わるのだなあと。
    ずっと読み続けていたくて、でも必ず終わるのだなあと。
    読み終えてしまっても、誰かとの関係が変わったり、途絶えても、会えてよかった、読めてよかった、と思えるような、それもいいかな、と思えるような。

  • 川上氏のなかでは、ゆるいお話。
    相変わらず仕草ひとつひとつの描写が奥深くて少し重い。
    でも、このお話は骨董屋さんの日常を淡々と語った軽い仕上がりになっている。

    ちょっとどろどろした川上作品に慣れていたので、
    あっさりしすぎているのが物足りなくもある。
    でも、このどうでもいいような毎日をただ淡々と描いた作品・・・
    って考えると、川上氏じゃなければ途中で読むのを止めていたかも

    やっぱり、川上氏の独特な表現が好きなんだなぁ、私。

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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