ざらざら (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 149
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101292403

作品紹介・あらすじ

風の吹くまま和史に連れられ、なぜか奈良で鹿にえさをやっているあたし(「ラジオの夏」)。こたつを囲みおだをあげ、お正月が終わってからお正月ごっこをしているヒマな秋菜と恒美とバンちゃん(「ざらざら」)。恋はそんな場所にもお構いなしに現れて、それぞれに軽く無茶をさせたりして、やがて消えていく。おかしくも愛おしい恋する時間の豊かさを、柔らかに綴る23の物語のきらめき。

感想・レビュー・書評

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  • 雑誌『クウネル』に連載された23話の短編集。
    改めて思う。私、このシリーズ好きだな、と。
    どの話も可愛くてほのぼのしていてラストはちょっといい気分になれて、このままずっと読んでいたくなる。

    『オルゴール』の主人公のつぶやき「やっぱり、恋をしたいな」に象徴されるように、様々な恋の話が繰り広げられる。
    中でも『コーヒーメーカー』『山羊のいる草原』の修三ちゃんとアン子の二人のやり取りは大好き。前回読んだ『猫を拾いに』(シリーズ第3弾)で出てきたおかまの修三ちゃんは第1弾から出てたんだね。
    恋人とうまくいかずうじうじ悩むアン子に向かってバッサリ言いきる修三ちゃん、私も叱って!

    『春の絵』の小学4年のすすむくんの、冒頭のセリフ「女をすきになるなんて、思ってもみなかった」には参った。
    「女子」じゃなく「女」。
    すきな女に対し大人顔負けの男気を見せるすすむくん、とってもいい。

    『月火水木金土日』の籠おばさんも良かった。
    ラスト、できるだけ姿勢よく歩いて行こうとする、迷いぐせのなかなか治らなかった彼女を自分と重ね合わせて、とてもさっぱりしたいい気分になれた。
    第2弾を読むのが楽しみになった。

  • ドラマチックな恋愛ってそうそう起こるわけないよね、こらこら白馬の王子様はあんたを迎えに来ないぞって優しくカツを入れてもらえる短編集だと思っちゃいました。
    これが恋なんかなぁ、わたしこの人のことが好きなんかなぁ。いつの間にか2人でいるよなぁ…
    え、なに突然のこの別れは?絶対忘れられないと想ってた人なのに、忘れる瞬間は、案外早く来ちゃった。とか、そんな場面が、実際ほとんどなんだろうなと。
    恋は、まるで漆黒の天鵞絨を広げた夜空に、ばらまかれた色とりどりのビーズ。そんな星々がつなぐ星座物語のようでした。
    恋愛ってホント、星の数ほどあるんだなぁ。

  • ku:nelの連載小説1冊目。川上弘美さんはあまり読んでいなかったけど、この短編集は本当に好き。もっと開拓してみようかなぁ。
    沢山の恋の余韻が、そこここに浮遊している。でも、どれも緩やかに終わりに向かってる。そういう倦怠感が漂っている感じ。
    でも、まだ余韻に浸っていたい…諦めきれない。女心は複雑です。男の方がよっぽど引きずるとか、よく言うけど、多分ね、女の方が“終わり”の前に長く永くその余韻に浸ってるのです。でも、一度糸を切ってしまったら、もう涙を拭いて前を向くのが、女という生き物なのです。
    別に見栄を張ってるんじゃなくて、そうしなきゃって思えば、女は強いんだと思う。それをきっと彼女はよく知っている。川上弘美さんという方はね。そんな感じがするんです。

  • 片想いとか、失恋とか、心の中のもやもやしたものをおもしろ可笑しく書いてある。
    悲しいはずなのに、何だか満ち足りているようにも見える。
    滑稽な自分を楽しんでるっていうか、読んでいてとても楽しかった。

    「びんちょうまぐろ」の、恋愛みたいなこと(もの)、という表現がいいなぁ。

  • この、淡々とした文体が好きです。

    内容はけっこう、えぇ!?って感じに進行するんですが。。
    よく分からない夢を見たような、と解説に書かれてたけど
    まさにそんな感じ。

  • 好き、恋、愛、いろいろあるなかで、楽しくて桃色なことばかりじゃなくて、それこそ心が「ざらざら」することは少なからずあって。
    失恋とか今までの関係が変わっていってしまうやるせなさの中にいるときに、しっとりと読んだら、ざらざらした気持ちが少しは落ち着きそうな、そんな本。

  • この小さなお話たちの漂わせる空気がとても好きです。
    ふわふわと、しんみりと、恋したり恋を失ったり、それでも生活したり。あんなに愛したのに、今では少しも心を動かされない相手、わたしにも居るなぁと、わたしもしんみりしました。
    まるで、誰かの話を隣で聞いているようです。
    おかまの修三ちゃんがやっぱりとても好きで、わたしもこんな友だちに出会いたいです。
    綺麗な青に卵の、かわいい表紙も好きです。

  •  短編集、というか掌編集。全部がそうではないけれど、主として、敵わなかった恋の話だった。ほんのり百合な話もいくつか。それぞれにちょっと切なかったり、ちょっと微笑ましかったりする。
     ……のだが、恋愛が主題の話ではなかった一篇、普段は地味な靴下なのに、小説を書くときににだけカラフルなパステルカラーの靴下を履く作家(中年男性)の話がいちばん印象に残ったのはなぜなんだぜ……。自分はそこまでフェチではないと信じたい、のだが否定しきれない。妙な趣味に目覚めたらどうしよう。(動揺)

  • うまいなー。
    川上弘美って、短編が、キツネが憑いたようなうまさがある。

    乙女心を書いた作品集。
    たいして乙女心を持ち合わせていない私でも、しびれる瞬間があります。
    乙女たちが読んだら、たまらんのではなかろうか。

  • 短編集…というにはもっと短めなので、ショートショートに近いテイストかな?23編すべてが、この短さでよくぞここまで!という充実のクオリティです。なんてことない日常のひとこまですが、キャラクターひとりひとりに個性と愛情があり、共感できて時々ほろりとして、上品で気の利いたお菓子の詰め合わせみたいでした。

    ※収録
    ラジオの夏/びんちょうまぐろ/ハッカ/菊ちゃんのおむすび/コーヒーメーカー/ざらざら/月世界/トリスを飲んで/ときどき、きらいで/山羊のいる草原/オルゴール/同行二人/パステル/春の絵/淋しいな/椰子の実/えいっ/笹の葉さらさら/桃サンド/草色の便箋、草色の封筒/クレヨンの花束/月火水木金土日/卒業

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著者プロフィール

1958年東京都生まれ。96年「蛇を踏む」で芥川賞、99年『神様』で紫式部文学賞とドゥマゴ文学賞、2000年『溺レる』で伊藤整文学賞と女流文学賞、01年『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞、07年『真鶴』で芸術選奨、15年『水声』で読売文学賞、16年『大きな鳥にさらわれないよう』で泉鏡花文学賞を受賞。ほかに『龍宮』『光ってみえるもの、あれは』『ニシノユキヒコの恋と冒険』『ざらざら』『風花』『七夜物語』『猫を拾いに』など著書多数。

「2018年 『100万分の1回のねこ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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