きのね(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (455ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101293110

作品紹介・あらすじ

夢み、涙し、耐え、祈る。梨園の御曹司、雪雄に仕える光乃の、献身と忍従の日々。雪雄の愛人の出産や、料亭の娘との結婚・離婚にも深くかかわる光乃。一門宗家へ養子に行く雪雄につき従い、戦中の、文字通り九死に一生の苦難をも共に乗り越えた光乃。続く戦後の混乱期、雪雄の子を宿していると気づいた光乃の、重い困惑と不安…。健気に、そして烈しく生きた、或る女の昭和史。

感想・レビュー・書評

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  • 11代市川団十郎の生涯、団十郎に仕え後に正妻となる
    光乃の話でした。
    昔の女性の立場を大変だったと感じました。
    ましてしきたり等難しい役者の家、そこで団十郎にただただ尽くして過ごした光乃、素晴らしい人だったと思います。
    歌舞伎の世界を知る事ができ大変興味深く読みました。

  • 女中の身から梨園の妻になった女性のお話。市川海老蔵のお祖母様がモデルといわれている。

    色々と脚色されてるとは思うけれど、一人、部屋で出産する壮絶なシーンは圧巻だ。

    大正、昭和を駆けめぐった「凛」とした女性のお話し。

    海老蔵はこれを読んだのかな。

  • 凄まじい作品。一人の女性を軸に綴られる人々の人生のなりゆきにどんどんとのめり込む。まさに命を燃やして生きていて、自分もそうありたいと強く思わせられる。この作品を知れてよかった。

  • 十一代目団十郎をモチーフにした小説。脚色もあると思うがリアル。

  • 歌舞伎役者の家に女中として入った娘光乃と当代一の歌舞伎役者との物語。
    知らずに読み進めるうちに、歌舞伎役者の雪雄の姿が今の市川団十郎となっていく。
    まさしく11代目市川団十郎の物語だったのだが、主役は妻の光乃。
    二人の子をなしながら、いかに献身的夫を愛した女性だったかが描かれる。
    雪雄が光乃に「歌舞伎を観て一番面白かったのは?」と尋ねると「きのね」と答える。
    拍子木「柝」の音色の事だと知り笑い転げる雪雄。
    多分彼はここで光乃に惹かれたのだろう。

  • 話しがステキで涙が出ます。。
    市川海老蔵の祖先のお話。。
    これは世に広げたいと思うほどの本。
    その時代の女の生き様、梨園の運命がまざまざと読んでわかります。

    これは、中々出会えない本です。

  • 面白かった。今の時代でいうならパワハラ、ドメスティックバイオレンスだけどそれでも愛が上回れば、それは愛しかない…。自分が光の立場なら愛を貫き通す自信はないが…。

  • 個人的に、宮尾登美子ブームが来そう。

    主人公の生き様に、読後もなお心が揺さぶられ、そのなかでこの感想を書いているけど、言葉にすると薄れてしまい、消しては書いてを繰り返している。

    初めは、よくある女性の生き様とか、シンデレラストーリーとか、男女のドロドロ話かと思っていたけど、そうではなかった。

    こうした人(主人公)だからこそ梨園の妻になるのだろうし、そうあって欲しいとも思うけど、その壮絶な裏側を知ったら、羨ましいとはとても言えない。
    覚悟と忍耐。何事もこれにつきるんだろうし、それが一番難しいことだなと。肩書きや欲に埋もれず、自分の信念を貫き通せる女性でありたい。


  • 今なら時代錯誤と言われそうな光乃の生き方、私は好きだな。
    自分を出さず、流されているようにみえるけど、芯が通っている。だから辛抱もできるのかなと。
    自分だったらすぐ逃げ出してしまいそう。

  • 下巻。

    全然この作者の方のことを知らなかったのだが、そこそこ有名なのですね。

    上巻は少しテンポ悪かったが、下巻は色々事件があって比較的あっさり読んでしまった。

    作中ではおみつの内心描写しかないが他の登場人物の心情もその行動などから分かりやすく伝わってくる。

    雪雄もここまでくると愛着が持てる。

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著者プロフィール

1926年高知県生まれ。『櫂』で太宰治賞、『寒椿』で女流文学賞、『一絃の琴』で直木賞、『序の舞』で吉川英治文学賞受賞。おもな著作に『陽暉楼』『錦』など。2014年没。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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