思い出トランプ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 307
  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101294025

作品紹介・あらすじ

浮気の相手であった部下の結婚式に、妻と出席する男。おきゃんで、かわうそのような残忍さを持つ人妻。毒牙を心に抱くエリートサラリーマン。やむを得ない事故で、子どもの指を切ってしまった母親など-日常生活の中で、誰もがひとつやふたつは持っている弱さや、狡さ、後ろめたさを、人間の愛しさとして捉えた13編。直木賞受賞作「花の名前」「犬小屋」「かわうそ」を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 気づいてはいるけれど、見なかったことにしてやりすごしている日常の毒を、端正な筆致で描き出す小説。
    ヒステリックにほら見なさいよ、あなたってこんなよね、と突きつけるのではなくて、人の哀しみとして隣にただ佇んでくれるような。
    沁みます。

  • 人の心の奥にあるわだかまりや、後ろめたさ。
    他人には計り知れない、家庭の内情などが書かれていて、どきどき、ハラハラしながら読みました。
    登場人物それぞれの人間臭さが、とてもいいです。
    こんな中身の濃い短編集を読んだのは初めてです。

  • H30.8.24 読了。

    ・短編集。「かわうそ」「犬小屋」「花の名前」は、面白かった。

  • 初めて読む向田邦子作品。
    まずタイトルが気に入りました。1つの話が短いのも読みやすい。

    どの話も「人生の夕方」的な薄暗さがあるけど、
    人間の生活のいじらしさが感じられました。
    説明しすぎない文章も独特の余韻が残る。

    この中では断トツで「かわうそ」が好き。
    「写真機のシャッターがおりるように、庭が急に闇になった。」
    という最後の一文がかっこいい。

  • 中年にさしかかった男女の悲喜こもごも。
    人生には永久に続く喜びも、悲しみも、ない。
    あるのはそれらの繰り返しだ。繰り返して、幸せを手に入れたと思っては失って、そうしているうちになんとなく一生を終える。そのことに気づいて、失うとわかった上でつかの間の幸せを心から喜ぶことの尊さ。
    こういう風に年をとっていくんだなと思うと、むなしくもあり、安心でもあり。

  • ある日宅次は、脳卒中で倒れた夫に黙って、妻は自宅の庭にマンションを建てようとしていたことを知る。その昔、自分の手落ちで3歳で娘が亡くなったのを新人看護師のせいにしていたことを知る。嘘のうまい妻の残忍さに対する怒りを感じつつ、その陽気さについ妻を許してしまう夫の複雑な心境をユーモラスに描いた短編作品

  • 抑えた文章で、日常生活の中に潜む人の情念を描いている。結末でも予想外の展開がある。

  • 向田邦子が大好きだ。等身大の日常から逸脱しない、ありふれた世界の小さな出来事で、人と人の距離をうまく捉えて紡がれた文には本当にしみじみとする。人間の弱さが愛しく切なく感じられる。

    ただ、今の自分には人生経験が足りなさすぎて、行間の埋め方に苦慮すること度々。もっと大人になってから再読したい。というより、時々書棚から取り出して読み、自分の感じ方の変化を楽しみたい本だと思った。

  • 向田氏の短編集。氏の作品はいくつか読んでいるが、本当に心をえぐられるような気持ちになる作品が多い。

    人の心の闇、弱さや汚さなどを日常の一コマを切り取って上手に描く名人芸と思う。人のそういった面も含めて愛おしく思える、そんな気持ちになった。

  • 母が、「思い出トランプ」のドラマ化されたものを見たとかでひどく怖がっていた。前に、途中まで読んでほったらかしにしていた記憶があったのでそんなに怖いようなことがあったかなと急いで電子書籍を買った。
    向田邦子の作品は、これが初めてであるが感想としてはとにかく「どれも巧みに怖い」
    ちっとも幸せになれないし、ほっともしない。
    それが徹底されていることが怖い。
    そして、さすがである。
    まだ他の本も読んでみたい。できれば優しい結末を迎えるような。

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著者プロフィール

1929年東京生まれ。放送作家としてラジオ・テレビで活躍。「だいこんの花」「寺内貫太郎一家」等。1980年に短篇小説「思い出トランプ」で直木賞受賞したが、81年8月飛行機事故で急逝。『父の詫び状』等。

「2016年 『お茶をどうぞ 対談 向田邦子と16人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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