思い出トランプ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.68
  • (246)
  • (289)
  • (471)
  • (50)
  • (5)
本棚登録 : 2870
レビュー : 338
  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101294025

作品紹介・あらすじ

浮気の相手であった部下の結婚式に、妻と出席する男。おきゃんで、かわうそのような残忍さを持つ人妻。毒牙を心に抱くエリートサラリーマン。やむを得ない事故で、子どもの指を切ってしまった母親など-日常生活の中で、誰もがひとつやふたつは持っている弱さや、狡さ、後ろめたさを、人間の愛しさとして捉えた13編。直木賞受賞作「花の名前」「犬小屋」「かわうそ」を収録。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • H30.8.24 読了。

    ・短編集。「かわうそ」「犬小屋」「花の名前」は、面白かった。

  • トランプのカードの如く、無駄の無い巧みな描写の13の短編が収められている一冊。
    改めて、向田邦子さんの文章の巧みさ、構成力に魅せられる。
    どの作品も、人生の最盛期を越えた人々の描写が多く、人の弱さや、狡さ、図太さが何気ないさらりとした文章の中に、実は生々しく、かなり辛辣に描かれている。天才である。

    飛行機が苦手であった著者は皮肉にも1981年の台湾での航空機事故に遭い、惜しいことにお亡くなりになられる。

  • 気づいてはいるけれど、見なかったことにしてやりすごしている日常の毒を、端正な筆致で描き出す小説。
    ヒステリックにほら見なさいよ、あなたってこんなよね、と突きつけるのではなくて、人の哀しみとして隣にただ佇んでくれるような。
    沁みます。

  • 人の心の奥にあるわだかまりや、後ろめたさ。
    他人には計り知れない、家庭の内情などが書かれていて、どきどき、ハラハラしながら読みました。
    登場人物それぞれの人間臭さが、とてもいいです。
    こんな中身の濃い短編集を読んだのは初めてです。

  • 何気ない日常のなかで目にしたり耳にした物事をきっかけに、ふと過去の記憶を無意識に手繰り寄せていることがある。色んな大人の「そういうこと」を丁寧に丁寧に描いた13の短編集。私は随分多くのことを忘れてしまっている気がするけど、自分の容れ物のどこかに、これまで記憶してきた色んなものが、散り散りになって置かれてる。そしてそれは大概、暗くてどろどろして痛々しいものが大半で、思い出すとしんどいから都合よく袋で何重にも包んじゃってる感じなんだろうなあ。と気づかされてつらい。その上包み方も雑だから、たまに漏れ出ちゃってつらい。そして袋は年々劣化していく。

  • 2019年4月14日、読み始め。
    著者は、日航機事故で亡くなられた。
    そのことは、事故直後の報道で知ったが、それまでは、著者のことは全く知らなかった。
    で、著者の作品のいくつかを知ることになり、いずれは読んでみたいと思っていた。
    が、時間ばかりが経ち、日航機事故から37年以上が過ぎてしまった今、ようやく作品に向き合うことになった。

    63頁まで読んで、返却。

  • 人間というのは絶対に『清廉潔白』ということはないんだなあと思いました。そこがまた人間の良さであり、味であるのかな。

  • 初めて読む向田邦子作品。
    まずタイトルが気に入りました。1つの話が短いのも読みやすい。

    どの話も「人生の夕方」的な薄暗さがあるけど、
    人間の生活のいじらしさが感じられました。
    説明しすぎない文章も独特の余韻が残る。

    この中では断トツで「かわうそ」が好き。
    「写真機のシャッターがおりるように、庭が急に闇になった。」
    という最後の一文がかっこいい。

  • 中年にさしかかった男女の悲喜こもごも。
    人生には永久に続く喜びも、悲しみも、ない。
    あるのはそれらの繰り返しだ。繰り返して、幸せを手に入れたと思っては失って、そうしているうちになんとなく一生を終える。そのことに気づいて、失うとわかった上でつかの間の幸せを心から喜ぶことの尊さ。
    こういう風に年をとっていくんだなと思うと、むなしくもあり、安心でもあり。

  • ある日宅次は、脳卒中で倒れた夫に黙って、妻は自宅の庭にマンションを建てようとしていたことを知る。その昔、自分の手落ちで3歳で娘が亡くなったのを新人看護師のせいにしていたことを知る。嘘のうまい妻の残忍さに対する怒りを感じつつ、その陽気さについ妻を許してしまう夫の複雑な心境をユーモラスに描いた短編作品

全338件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1929年、東京生まれ。脚本家、エッセイスト、小説家。実践女子専門学校国語科卒業後、記者を経て脚本の世界へ。代表作に「七人の孫」「寺内貫太郎一家」「阿修羅のごとく」。1980年、「花の名前」などで第83回直木賞受賞。おもな著書に『父の詫び状』『思い出トランプ』『あ・うん』。1981年、飛行機事故で急逝。

「2020年 『向田邦子ベスト・エッセイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

向田邦子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

思い出トランプ (新潮文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×