イニュニック 生命―アラスカの原野を旅する (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101295213

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  • 「生命とは一体どこからやってきて、どこへ行ってしまうものなのか。あらゆる生命は目に見えぬ糸でつながりながら、それはひとつの同じ生命体なのだろうか。木も人もそこから生まれでる、その時その時つかの間の表現物に過ぎないのかもしれない。」

    遠いアラスカの森の匂い、カリブーの息遣いや、頭上にひろがる星空と沈黙、薪木がはぜる音。
    それらが彼の温かい眼差しを通して、すぐそばで同じ時を過ごしているような感覚になります。

    ゆったりと移ろいでゆく時間の流れに、心がふっと軽くなりました。

  • 広大な原野に想いを馳せる。星野道夫の著作を他にも読んでみようと思う。

  • 言葉が、とぎすまされている。
    シャッターでとらえるような、確実な言葉の運び。
    曖昧さをなくしている。
     
    ボクはアラスカの冬が好きだ。
    生き物たちは、ただ次の春まで存在しつづけるため、
    ひたむきな生の営みをみせてくれる。
    それは自分自身の生物としての生命を振り返らせ、
    生きていることの不思議さ、脆さを語りかけてくる。
    自然と自分との壁が消え、
    一羽の小鳥に元気づけられるのはおかしなことだろうか。

    雪の言葉
    アニュイ 降りしきる雪
    アピ   地面に積もった雪
    クウェリ 木の枝に積もる雪
    ブカック 雪崩をひきおこす雪
    スィクォクトアック 一度溶けて再凍結した雪
    ウプスィック 風にかためられた雪

    森の木こりよ その木だけは残しなさい
    一本の枝にも触れてはなりません
    子供だったころ、その木は私を守ってくれた。
    だからいま、私が守らなければならない。
    ガダシャン 無人小屋

  • 深い。
    写真を通して色んなものを感じ取ることができます。
    みんな笑ってました、星野さんのカメラに向かって。
    人生に深みと臨場感が増す作品。

  • 美しかった。
    自然と近しくなりたい。
    大げさでない死、共感。

  • 「イニュニック[生命]」星野道夫著、新潮文庫、1998.07.01
    207p ¥460 C0125 (2018.07.13読了)(2018.07.11拝借)
    副題「アラスカの原野を旅する」

    【目次】
    Ⅰ 家を建て、薪を集める
    Ⅱ 雪、たんさんの言葉
    Ⅲ カリブーの夏、海に帰るもの
    Ⅳ ブルーベリーの枝を折ってはいけない
    Ⅴ マッキンレーの思い出、生命のめぐりあい
    Ⅵ 満天の星、サケが森をつくる
    Ⅶ ベーリング海の風
    Ⅷ ハント・リバーを上って
    あとがき
    解説  柳田邦男

    ☆関連図書(既読)
    「カナダ=エスキモー」本多勝一著、朝日新聞社、1981.09.20
    「エスキモー 極北の文化誌」宮岡伯人著、岩波新書、1987.02.20
    「アラスカ物語」新田次郎著、新潮社、1974.05.25
    「GOMBE」星野道夫著、メディアファクトリー、1997.09.30
    「星野道夫の仕事 第1巻 カリブーの旅」星野道夫写真・池澤夏樹編、朝日新聞社、1998.09.20
    「星野道夫の仕事 第2巻 北極圏の生命」星野道夫写真・池澤夏樹編、朝日新聞社、1998.12.05
    「星野道夫の仕事 第3巻 生きものたちの宇宙」星野道夫写真・池澤夏樹編、朝日新聞社、1999.02.05
    「星野道夫の仕事 第4巻 ワタリガラスの神話」星野道夫写真・池澤夏樹編、朝日新聞社、1999.03.
    (「BOOK」データベースより)amazon
    氷を抱いたベーリング海峡、112歳のインディアンの長老、原野に横たわるカリブーの骨―壮大な自然の移り変わりと、生きることに必死な野生動物たちの姿、そしてそこに暮らす人々との心の交流を綴る感動の書。アラスカの写真に魅了され、言葉も分らぬその地に単身飛び込んだ著者は、やがて写真家となり、美しい文章と写真を遺した。アラスカのすべてを愛した著者の生命の記録。

  • 写真家でありながらこの格調高く想像を書きたてる文章。文字を弄するのではなく、どっしりと根を持った本物の男の文章という感じです。それでいて読んだ感触はそこらの文筆業の方々の技量を大きく引き離しています。つくづく惜しい人を亡くしました。

  • 壮大な写真が撮れて、文章が上手くて、生き方に魅力がある方の本です。写真、文章、生き方の3つが揃っている作家は、他に いないと思う

  • 素晴らしかった。
    彼の写真は多くを語るのだろうが、文章は深さを感じるものだった。本当に素晴らしいと思った。
    素晴らしいバランス感覚の持ち主。
    彼の最期はあのようだったことが悔しい気持ちも生むが(多少調べた)、人と獣の世界を行き来した写真家として、もしかしたら避けられない運命だったのかもしれない…とチラリと考えた。

  • 3度目か4度目くらいの読み直し。大学のレポートで星野さんをとりあげたので、改めて読んでみた。日本に居た頃に読んだ時と比べて、アラスカに7、8年住んでから読んだ今とは、当たり前だけど内容に対して、ひとつひとつ実感できる。

著者プロフィール

写真家・探検家

「2021年 『星野道夫 約束の川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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