天涯の船〈上〉 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (457ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101296159

感想・レビュー・書評

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  • 身代わりで渡米、明治の時代欧州へ嫁ぎ波乱の人生を送る女性のお話。力強い生きざまに感動。

  • ご都合主義の臭いがしようとも、この壮大でロマンチックな物語は萌えます。何もわからぬ少女から一つの物事をなしとげ一角の人物となる女性の波瀾万丈の一代記。エンターテイメントとしてお勧めの長編小説。

  • 東京国立博物館を訪れると松方コレクションに出合える。彼の家族は,なぜ、これほどまでに高価な散在をしてまでも美術品を集めまくったかは理解できていない。

    この小説は光次郎こと松方正義とみさおことクーデンホーフ伯爵夫人の秘められたロマンを前面に打ち出したロマンス大河小説として完成されている。

    大河ドラマでも紹介された一部の内容を遥かに超え、日本、欧州を股に掛けた壮大なスケールは真に、浪漫の世界。

    松方に関しては資料も多いがみさおのモデルに関して筆者は資料を駆使して想像の世界を飛翔した様だ。

    日本は言うに及ばず、当時の米英仏独にも女性の身辺路を記した記録が無く、腕の見せどころだったと感じる。

    上巻でのみさおはまだ、初々しさが残る未完の女性・・屋や、不安げな趣すらある。

    筆者の住まいは加古川・・当時は鈴木商店が圧倒的な財力を誇っていた・・世界大恐慌まで。
    その一部が神戸製鋼。酒井商店の娘の代理として欧州へ渡った12歳の子が見た世界の背後にいる感覚で読む時間は楽しめる。

  • 人が良すぎるぜ!時代背景はわかるけど…せつない。

  • 明治、大正を異国で生き抜いた女性の大河小説。
    川崎製鉄の創立時の川崎造船所や双日の源流の鈴木商店などが活躍する世界で桜賀(松方)と身代わりとして数奇な人生を送るミサオのラブストーリー。
    上巻はアメリカへ渡る船上、そして波瀾万丈なアメリカ生活と非常に面白かったのだが、下巻ではミサオの揺れ動く心の内の描写に終始する。そのためドラマチックな出来事かあまたあったのにもかかわらず、さらっと流していて残念だった。ここら辺を描いていたら、さながら日本版「風と共に去りぬ」になっていたのではないかな。

  • 評価は5.

    内容(BOOKデーターベース)
    日本が近代化への道を急いでいた明治17年。下働きの少女ミサオは、米国への留学船で、姫君の身代わりに仕立てられていた。船酔いと折檻まがいのしつけの日々。が、ある夜ミサオは、運命の人・光次郎に出会う。上陸後、美しく成長したミサオは、青年光次郎と再会するが、皮肉にもオーストリアの子爵家の血を引くマックスに求婚され、二度と日本に戻らぬ決意で欧州へ嫁いで行く。

  • 女性は、内に秘められた思いや決意をかかえて、長年生きていけるものなんだと強く感じられる作品。
    あとがき児玉清さんなのも感慨深い。

  • 明治の実在した人物なども登場して、壮大なスケールではあります。
    ヒロインの運命も波乱万丈で、ストーリーの先も気になります。
    ただ、ミサオの12歳から40代前半までがこの頁数で描かれているからなのか、一人称の語り口が淡々としているからなのか、描写があっさりめなのが残念。
    あの場面とか、この場面とか微に入り細に入り描かれていたら盛り上がるのになあと感じられる部分も、割とあっさり。
    一人称の地の文が関西弁なのも、微妙に読みにくいけど、とりあえず下巻へ。

  • アンティーク・ジュエリーのペンダント・トップを手にし、その持ち主を探すことから、物語は展開していく。
    明治時代、士族・豪商の子女たちが欧米留学をし始めた頃、下働きの少女が、旧大名家の姫君とすり替わって留学することになる。すり替わった、その姫君の名はミサオ。アメリカ留学、そしてオーストリアの子爵家に嫁いでいくミサオ、そしてその夫との死別までの流転の人生が、描かれているのが前篇。
    歴史に名を残す実在の人物も登場し、主人公ミサオとのストーリーが展開していく、あくまでもフィクション。
    その後のミサオの人生は如何に、後篇へと続く。

  • ロマンチックな大河。
    時代と運命の流れに、唇を噛みながら、歯を食いしばり、大人になっていく少女の物語。

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著者プロフィール

◎玉岡 かおる(たまおか・かおる)作家、大阪芸術大学教授。兵庫県三木市生まれ、神戸女学院大学卒業。15万部のベストセラーとなった『夢食い魚のブルー・グッドバイ』(新潮社)で‘89年、文壇デビュー。著書には『銀のみち一条』、『負けんとき ヴォーリズ満喜子の種蒔く日々』(以上新潮社)、『虹うどうべし 別所一族ご無念御留』(幻冬舎)などの歴史大河小説をはじめ、現代小説、紀行など。舞台化、ドラマ化された『お家さん』(新潮社)で第25回織田作之助賞受賞。『姫君の賦 千姫流流』(PHP研究所)は、2021年、兵庫県姫路市文化コンベンションセンター記念オペラ「千姫」として上演。2022年5月『帆神』で新田次郎文学賞受賞。

「2022年 『春いちばん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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