お家さん(上) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 43
  • Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101296173

作品紹介・あらすじ

大正から昭和の初め、日本一の年商でその名を世界に知らしめた鈴木商店。神戸の小さな洋糖輸入商から始まり、樟脳や繊維などの日用品、そして国の命である米や鉄鋼にいたるまで、何もかもを扱う巨大商社へ急成長した鈴木-そのトップには、「お家さん」と呼ばれる一人の女が君臨した。日本近代の黎明期に、企業戦士として生きた男たちと、彼らを支えた伝説の女の感動大河小説。

感想・レビュー・書評

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  • 良い!
    凄く面白い。

    当時三菱や三井と並ぶ貿易商だった鈴木商店の話。
    私は経済に疎いので全く知らなかったが・・・。

    話は鈴木商店の総帥である女性、お家さんこと「よね」さんの目線で進んでいく。

    三国志でもそうだが、良い参謀を育てられるか?巡り会えるかでトップの運命は左右されるが、鈴木商店はその優秀な参謀で成り上がった会社と言っても良い。

    1度目の旦那の子供や、2度目の旦那の子供などが入り交じるがその人達をも取り込んで、ただただ参謀達を信じ会社を大きくしていく女性。下巻が楽しみである。

  • 鈴木商店の創始者初代岩治郎に嫁いだ鈴木よねの生まれから物語が始まります。そして岩治郎の死、金子直吉らによる樟脳の商売失敗による危機、それを乗り切り順調に拡大軌道に乗る鈴木商店。岩治郎の先妻の子・お千、よねの元夫惣七の娘・珠喜らが登場し、ドラマティックな一代記が進んでいきます。珠喜という若くて元気な女性の田川への恋と若いエリート棚倉拓海の恋がどのように展開していくのか、正にドラマです。

  • 経済小説。今で言う商社に嫁いだよねがお家さんという女店主になり、その周辺を取り巻く人々がお家さんの存在によって、大きく人生を変えていった。女性としてあるべき姿、そして、商社の本質、様々な側面から様々な出来事を見ることによって、全てが相互作用していることがわかる。

  • つわりによる集中力不足&読書できない症のリハビリ1冊目。
    結果的に足掛け3日で上下巻読破の強行軍に。

    お、おもしれぇ、とめられない~

    時代の空気が実感としてイマイチ掴めなかった空白地帯が埋まった。


         商家             庶民          
    明治  曾祖母の広島の実家   赤松さんの民俗学   

    大正 『空白地帯』←ここ    大恐慌後小樽に移住した祖父一家       

    昭和  華麗なる一族     


    神戸の商店として砂糖、樟脳、ハッカから始まった鈴木商店が、ロックフェラーか鈴木よねかと並び称されるまでの大商社になり、大恐慌で破産するまでを描いた大河ドラマ。創業者一族のおよね(=お家さん)を「象徴」としていただき、実働部隊は番頭をはじめとする男衆というところに、古代から連綿と続く日本社会のひな型が現出している。
    創業社本体は破産するけど、関連会社がそれぞれ日商(=日商岩井、双日)や帝人などとしてひきつがれていく。

    関係者が全般に私利私欲ではなく志で動くこと、
    多分鈴木商店独自のDNAが機を見るに敏で新規事業へのスピード感命(=ガバナンスが強固)なところでわくわく感倍増。
    「(以前会ったことのある)テイジンの社員さんってなんか自由だよなぁ」という感想は間違っていなかったのかも…

    知っているようで知らない台湾併合にまつわるあれこれも新鮮でした。
    ちょっとヒロイックファンタジーパートになってたけど、それも含めて当時の感覚が伝わってくる。
    米騒動、関東大震災の騒擾も分かりやすく描写されていて、民衆、事業者、政治(官憲)の関係も歴史を経てきたのだな~、という感慨を引きおこす。日本は昔から地震の後にリオットが起きなかったわけではないのね…とかね。

    わたしたちは歴史の上に生きている、と感じられることがここ何年かの読書の楽しみなのです…

  • 神戸の鈴木商店の物語。勉強不足で全く知らなかったのだがとても興味が湧く。なぜ一代で頂点まで昇りつめ、消えてしまったのか。明治大正の国をあげての前へ進め進めの時代に一緒に進み失敗して立ち上がって。そのあとに残った会社名がすごい。それだけ時代の先端を後世まで重大な事業に幅広く関わって。他でも紹介している本があれば読んでもっと知りたい。

  • 読書のすすめの清水克衛さんが、僕を徹夜させたとして紹介していたのがきっかけでした。その人に合う本を紹介するのがとても上手な人がお薦めするなんて、どれほど面白いのか、とても期待して読み始めた。

    案の定、とまらなくなった。
    神戸の居留地、そこを舞台とした当時の町の様子、はては須磨まで、神戸のカフェで読んでいたら、タイムスリップしてるようでドキドキした。

    これを読んでいた当時、テレビで「坂の上の雲」をやっていて、ちょうど時代が重なり、日露戦争で戦いに翻弄されていく人達と、国内で商売に翻弄されていく人達のシーンを交互に見ていて、時代背景がとてもリアルだった。

    鈴木商店は、小さな砂糖問屋から出発した。よねはそこに後添えとして嫁に来た人で、主人が急になくなった後、商店を継いでいくこととなる。
    当時、女性が店を切り盛りしていくなど考えられなかったが、嫁入り前からいた奉公人に支えられていく。商売は成功してどんどん店は大きくなって行く。
    住み込みの奉公人、女中、店の者、多くの家族を抱えながら、商売の話も進行していく。多少、脚色している部分もあるが、ほぼ史実に基づいて作られている。
    今の日商岩井や神戸製鋼といった会社が登場し、神戸女子商業も出てくる。
    もう本当に息をつかせない展開。最後は、時代の波とともに、商店を廃業せずにいられなくなるが、よねがあっさりとこれまで築き上げたものを手放し、須磨の家も大きくした商店も処分し、最後は静かに暮らしていくところがとても共感できた。
    執着がない、ほんとうあっさりした人なのに、皆には慕われ、時代を超えて築いたものは手を離れても引き継がれている。

    個人的には、珠喜という女性がにっちもさっちもつかず、黙って田川を追って台湾にいくところが好きなのだが、最終的には拓海と結ばれるてほっとする。

    少し前までは、「お家さん」といえば、鈴木商店のことだと分かる人がいた。もう、そういった方はほとんど現役を退かれてしまっているが、今の若い方で知っている人はほとんどいないと思う。就職状況が厳しい昨今、一つの会社がどのように作られていったのか、今自分たちはどの時代に立っているのかという視点を与えてくれる点で、是非読んでもらいたい本です。関西、特に神戸の人にはオススメしたい。

    映画化の話がでていたようですが、実際にはドラマで放映されていました。
    今の俳優さんを起用してその中で小説の話を追ってたが、小説のイメージと大きくかけ離れていた為、残念ながら気持が入らなかった。
    やはり、珠喜が台湾に追っていくシーン、お家さんの晩年などが見たかった。
    全部盛り込むのは無理だったかな。

    話は戻って、清水克衛さんのpodcastが面白かったので、興味ある人は聞いてみてください。
    「「読書のすすめ」清水克衛のNWB」という題名です。
    居酒屋のようなところでしゃべっている雰囲気がとても好きでした。今は、配信停滞しているようですけど、ひそかに再開を期待しています。

  • 鈴木商店って戦争でもうけて、不況で潰れたんでしょ?っていうのは、違うっていうことなんだろうなぁって、そんなレベルから読み始める。鈴木商店の歴史としても、それぞれの人物像としてもこれから?って上巻。下巻へ。

  • 明治時代、神戸に実在した鈴木商店という商店の女主人の話。現在の財閥にも匹敵するくらいの商店であったことを知り、驚いた。
    よねと働く従業員との関わり方はまさに女性ならではだと感じた。盛り上がりには欠けるが働く女性として共感でき、また温かさも感じる。

  • 実際に存在した会社の女社長、鈴木よねの物語。

    鈴木商店で働く従業員、鈴木よね本人の話がバランスよく描かれているのですが
    山も谷もサラリとし過ぎていて少し物足りなさを感じました。
    今一盛り上がりにかけるので読むのに時間がかかってしまいました。

    話の中で『この時代、女が離婚していることは珍しいことではなく、女の価値を損なうことにはならない』と書かれていて
    明治という時代にもっと堅いイメージを持っていたので少し衝撃を受けました。

  • 明治期に急拡大した神戸にあった鈴木商店の物語。主人をなくし寡婦となったお家さん(およね)の独白調で話が進む。鈴木商店の内側からみた話は店が大きくなるにつれて、主人と使用人の間が離れつつも、苦労を共にした番頭たちとの絆が素晴らしく丁寧に描かれている。その代わりに、鈴木商店の拡大の舞台裏はあまり語られていない。その点も知りたいと思う。

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著者プロフィール

作家

「2018年 『姫君の賦 千姫流流』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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