お家さん (下) (新潮文庫)

  • 新潮社 (2010年8月30日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784101296180

みんなの感想まとめ

この作品は、総合商社を志す学生やビジネスに興味を持つ人々に向けて、志や情熱を再確認させる内容となっています。鈴木商店の歴史を通じて、主人公たちの野望や挑戦が描かれており、読者は彼らの成功や失敗から多く...

感想・レビュー・書評

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  • 総合商社を志す学生には是非読んでほしい1冊。自分は何故総合商社で働きたいと思ったのか、改めて見つめ直させてくれる作品だった。

    まさに当時鈴木商店の門戸を叩いた男達と同じ野望を自分も持っている。

    世界を相手に海外を相手取り、日本を背負った大仕事を通じて誰も成し遂げたことがないような利益を叩き出したい、日本の繁栄に貢献したい

  • 城山三郎「鼠」に次いで、久々に鈴木商店に触れた。
    奥州藤原氏や平家、織田信長のように、栄華を極めながら、消えていった伝説的な商店。金子直吉の縦横無尽の活躍も、時代という四次元軸への対応は見誤ったのか・
    改めて鈴木商店に触れてみて、私自身が、鈴木商店の流れを汲む会社に所属していたことを誇らしく思えた。その精神を見習いたいし、反面教師ともしたい。

  • 何度も言うが、玉岡かおるが書く女性は本当に魅力的だ。お家さん、よねも同じで、大きなことに関わり成し遂げるが、すごく特別だったり、スーパーウーマンだったりするわけではない。むしろ身近にすら感じられるのは、彼女の感情の動きが細かく記されているからかもしれない。その動きがリアルで人間味溢れていて、よりその人を「人として」好きになれる。

  • 商売人を支える度胸のある女とは如何なものか。
    後に、世界企業まで成長する鈴木商店。お家さんであるヨネが、その人生の中で鈴木商店とどう連れあったのか、鈴木の男たちが激動の世をどう働いたか、社会のうねりとともに大正〜昭和にかけて商人達の翻弄された人生と商売にかけた情熱・スケールの大きさが伝わってくる。

    ただ、同じ女性として、もどかしくも感じられる一冊。今の世の中とはあまりに違いすぎる女性に求められる「役割」。狭い役割の中で女性がどう生きるか、を示してくれるようにも思えますが、現代で働く30代女性をやってると結局、根底で求められる女の役割は大正の時代から何も変わってないのでは、と思わされるところもあり、ちょっとした虚しさを覚えたり覚えなかったり…お家さんのように生きるのは私には難しいなぁという感想に至りました。

    内容とは別に、海・船の描写がとても好きです。特にお家さんが晩年に本宅とする須磨の家。須磨の家にこそ穏やかな"家"のカタチがあるように思えます。須磨海岸は今も風光明媚ながら漁師町のような温かみも感じられる歴史深い海岸です。記事でも紹介しているので、興味のある方はどうぞ↓

    千年の恋に落ちる。リニューアルした須磨海岸の美を巡る | 兵庫県 https://www.travel.co.jp/guide/article/27340/

  • 双日社のルーツとなった鈴木商店の話。
    舞台は神戸、お家さん(鈴木よね)と金子直吉を中心とした鈴木商店の栄枯盛衰を描く。
    実話ベースの物語は面白く勉強にもなる。熱く事業を拡大する男と、それを見守るお家さん、明治・大正・昭和の時代を戦争の需要の波に翻弄されながらも生きる姿を描く。


    ■学
    ・樟脳

    ・後藤新平
    台湾から阿片を無くし
    どんな山奥にも学校があり教育が行き届いている
    世界に輸出できるほどの農業生産国となった

    ・鈴木商店関連会社
    神戸製鋼、帝人、サッポロ/あさひビール、協和キリン、日本製粉

  • 鈴木商店のお家さん。
    あの時代に女性が大企業のトップにいたことに衝撃を受ける。
    また読む人によって想いを傾ける人物が変わってくるだろうと思う。面白い。

    大阪人の私にはスラスラ読めたが関西弁に馴染みのない人はどうなんだろう。聞いてみたい。

  • 最後は若干駆歩感があったが
    1つの家の栄華から没落までを書ききった
    凄く良い作品だった。

    今でこそ鈴木の名前は残っていないが
    鈴木の一員だった会社は
    事業主を変えて
    生き残り社会を支え続けている。

    何でも神戸製鉄では社章は当時のままとか
    (今は変わったかも)

    経営者一族って
    社員の事なんて何一つ考えず
    やりたい放題しているイメージがあったが
    (実際我が社はそうだけど)
    明治・大正・昭和
    時代も変わり、戦争をくぐり抜け
    大震災を経験した当時は経営者も
    労働者もお国のために働いたんだろうなぁ~
    だから経済大国日本があると
    改めて考えさせられた。

  • ワシントン海軍軍縮条約とか米騒動とか銀行破たんの不況の真っ只中を突き進み、そして倒産した鈴木商店をおかみの側から見ることで、その後戦争へと突き進む日本の困窮を鈴木商店を通して市民の生活の側から読むことが出来るのかな?と期待して読んだけれど、そういうコンセプトではなかった。でも、珠喜の恋、田川の半生などフィクションの部分が面白かったので楽しく読めた。

  • 様々なゴタゴタが落ち着き、鈴木商店も過去最高益をたたき出して安定したところ、焼打ちに合う。米が国内で余り価格が下落したために海外に売った結果、今度は不足に陥り、値上がりを見越して売り渋る商店がでた。その筆頭が鈴木商店とみなされたためだ。大阪朝日新聞による扇動的な記事の影響も大きかったようだ(当時は反社会的だが、この後、トップが交代して国に迎合し始める)。当時の新聞の力を感じる。この本を読んで強く感じたことは、日本人の視点ではなく、広い眼で見て書かれていることだ。日清戦争後に台湾を併合した際、日本では台湾の衛生向上・教育推進・産業振興に努めて良いことをしたと言われる。その良い面がある一方で、日本は先進国で現地人を一段下に見る傾向があったことも丁寧に描かれている。ここに好感を感じた。現地に問題を感じられる良識者であることに対する誇りと驕り。これらは紙一重である。しかし、現地の人々から見ると驕りに見えると考え、そう感じられぬように常に心を使う必要があるのだと思う。今話題の産業遺産の世界遺産化についても、韓国・中国と合意することは難しいかもしれないが、この心がけが必要なのだと思う。

  • 世界各国との貿易を拡大し、その拠点も各国に拡げる鈴木商店。世界経済・戦争・焼き討ち・大震災などに翻弄され続ける鈴木商店とそれを取り巻く人びとが描かれている。神戸製鋼・帝人・日商岩井(現双日)などにも、鈴木商店の経営哲学・理念が脈々と受け継がれている。

  • NIに内定したときに、「鼠(城山三郎)」は読んどけよ、と言われたけど、さながら今ならこれかな?NIって言う会社が無いからまあもうないか。あくまでも小説だし、史実以外の部分はフィクションだけど、小説としては非常に面白く読めた。SZKにまつわる史実もきちんと踏まえてあるけど、そんなに深くは突っ込んでない。小説としてのバランスを考えたら、そのぐらいがちょうど良いのかも知れません。この人の小説始めて読みましたが、別の作品も手にとってみようかな。

  • ある日、鈴木商店という、それは大きな『お店』があったという歴史を知りました。

    三菱や、三井に匹敵する、いやそれ以上の世界的な大商社だったという。

    なぜ、消えたのか。

    大番頭金子直吉の経営手法が時代の変化に合わなかったのか。
    また彼の主義が、世間に受け入れられなかったのか。

    それとも、足を引っ張る輩が居たのか?

    歴史に残りそうなものですが、あまり、表に出てこない…。

    ということは。

    怪しい…。


    さぞ、活況と不況の浮き沈みは大きい時代だったでしょう。その分、波に乗った時は、さぞ、面白かったでしょうね。

    夢や希望に沸く一方、落ちたときは、ひたすら耐え、頑張る。

    これが、人という動物の生き方であり、その度に進化する。それが本性なんでしょうね。

    しかし、一方では、必ず、それを良しと思わない勢力。

    それに抱き込まれる、無知の者を煽る力。

    そういう力がいつの時代も、社会を惑わせ、感覚を麻痺させ、それら自身が期待する以上の力となり、

    最後は、逃げる。

    今の時代も、変わりません。

    自分は、踊らされない人間にならぬ様、気をつけます。

    そのためには、もっと勉強しなければならないですね。

  • 全体に冗長な感じがしました。個別には、田川の描写が中途半端でイマイチ。金子のビジネス面での活躍もなんとなく上っ面の説明に終わり、緊迫感に乏しいので、お家さんへの忠誠があまり光って見えず残念。

  • うーん…雑な構成。
    wikiを連ねたような小説。

    いいテーマなのに三文芝居のような小説でした。

  • 日本最強商社であった鈴木商店が倒産するまでの後半部。世代交代や危機管理についての教科書のような一冊。

  • これは必読ですな。

  • 鈴木商店という一つの企業の勃興から全盛そして解体まで、「金子直吉はんに、うちはええ夢を見せてもろた」という鈴木よねの言葉が象徴するように長大なドラマは、ローマ帝国衰亡史などを読んだのみも比すべき充実感がありました。特に珠喜の悲劇と喜びの交錯が鈴木商店そのものの衰亡と絢を成すような素晴らしさを演出していると思います。珠喜と拓海の台湾での出会いの場面は涙なしに読めないような情景です。しかし、著者の筆は少し早過ぎるように思ったのは、米騒動の焼き討ち事件から、関東大震災、金融恐慌などがあっという間であり、ここの記載が少し乏しいように思えることです。それにしても、一時は三井・三菱を遥かに凌駕しながら沈んでいった鈴木商店を巡る歴史は劇的です。昔、日本史で学んだ知識で解り得なかった裏の物語は当時の世相との関係での奥の深さを感じました。どこまでが史実で、どこからがフィクションなのかはよく分かりませんでしたが。

  • 大正から、第一次世界大戦後の不況が鈴木商店を直撃する。下巻は義娘珠喜、田川、拓海の三人の運命のすれ違いがメインとなる。近代国家に加わった日本のように、時代の流れに乗り突き進む「鈴木商店」だったが、、、

  • 鈴木商店とは---。現代にその痕跡を探すとすれば、神戸製鋼所や日商岩井などに認められる。この鈴木商店は明治7年から昭和2年の約半世紀の間、まだ「総合商社」という呼称がなかった時代に、世界をまたにかけて大活躍したビッグ・ビジネスである。当主は鈴木よねという女主人で、その番頭を務めたのが、金子直吉だった。より正確に言うなら、鈴木商店とは金子直吉が育て、世界のビッグ・ビジネスとして活躍した企業だ。鈴木商店は昭和2年の金融恐慌で、市場から退場した。しかし、金子が育て残した総合商社、製鉄業、化学、繊維など各種事業は姿を変えながらも今に生きている。つまり金子直吉は工業化のもっとも優れたオルグナイザーであると同時に、ベンチャーキャピタルでもあった。もう一つ金子直吉の事績を上げておくならば、彼が残した人材のことである。紙数に限りがあるので詳述は避けるが、代表的な人物を上げておくなら、戦後の産業復興公団総裁を務めた長崎英造、帝人の大屋晋三、神戸製鋼所の田宮嘉右衛門、日商の高畑誠一などがいる。

     さて、金子直吉のことである。読者の中には城山三郎の小説『鼠』を読み、ご存じの方も多いかもしれない。けれども、これほど評価の別れる人物も珍しいことだ。神戸の小さな個人商店林兼を、世界的な大商社に発展させた、その経営手腕に着目し、天才的で非凡な事業家と評価される一方で、組織を無視したワンマン経営を敷き、結局は鈴木商店を破産させた張本人と断罪する向きもある。他方では数多くの企業を創業し、育成したという旺盛な事業家としての評価だ。さらにもう一方では比類なき主家に対する忠誠心や、私生活における無欲恬淡な態度を評価する向きもある。つまり金子直吉は見る人の立場で評価が大きく別れる人物なのだ。

  • 一度は読んで損のない「お家さん」
    オススメします!

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著者プロフィール

◎玉岡 かおる(たまおか・かおる)作家、大阪芸術大学教授。兵庫県三木市生まれ、神戸女学院大学卒業。15万部のベストセラーとなった『夢食い魚のブルー・グッドバイ』(新潮社)で‘89年、文壇デビュー。著書には『銀のみち一条』、『負けんとき ヴォーリズ満喜子の種蒔く日々』(以上新潮社)、『虹うどうべし 別所一族ご無念御留』(幻冬舎)などの歴史大河小説をはじめ、現代小説、紀行など。舞台化、ドラマ化された『お家さん』(新潮社)で第25回織田作之助賞受賞。『姫君の賦 千姫流流』(PHP研究所)は、2021年、兵庫県姫路市文化コンベンションセンター記念オペラ「千姫」として上演。2022年5月『帆神』で新田次郎文学賞受賞。

「2022年 『春いちばん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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