わたしたちに許された特別な時間の終わり (新潮文庫)

著者 : 岡田利規
  • 新潮社 (2009年12月24日発売)
3.59
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  • 61レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101296715

作品紹介

ブッシュがイラクに宣告した「タイムアウト」が迫る頃、偶然知り合った男女が、渋谷のラブホテルであてどない時を過ごす「三月の5日間」。疲れ切ったフリーター夫婦に忍び寄る崩壊の予兆と無力感を、横たわる妻の饒舌な内面を通して描く「わたしの場所の複数」。人気劇団チェルフィッチュを率いる演劇界の新鋭が放つ、真に新しい初めての小説。第2回大江健三郎賞受賞作。

わたしたちに許された特別な時間の終わり (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 久々に文学っぽいものを読んだなあという感じ。
    同名の映画に興味があって、小説を読んだ。

    出てくる固有名詞にも、六本木のスーパーデラックスとか、なじみがあってというか、むかしをおもいだして、あーきもちわかるよというか、わかりたくないというか、閉塞感への親近感はもてた
    物語ではなくて、ある雰囲気の切り取りを読んだようなきもち。

    骨組みとしては?時間軸と語り手の視点がねじれていって、それが絶妙なうまさというか、気持ち悪さを醸し出してるのだと思った

  •  なんともとらえどころのない本。
     イラク戦争が始まる直前の5日間に、渋谷のラブホテルに閉じこもってセックスを続けた若い男女が登場する「三月の5日間」。
     かび臭いアパートの一室で、横になりながら、夫の自分への思いを妄想し続ける妻を描いた「わたしの場所の複数」。
     この2つの短編をまとめ、本書のタイトルとなっている。
     まず珍しいのは、表題作がないということ。
     しかし収録2作はまったく連作にはなっていない。
     
     なぜ、このタイトル?
     何が共通して描かれているのか?

     その視点を持って読むと、見えてくるものはある。
     
     ここにあるのは、なんでもなさそうでいて、実は決定的な(それはもちろん小説中の当事者にとって)、「特別」な時間であるということだ。

     その特別さは、決して社会とはかかわらない。同時に登場人物の人生の転換点などでもない。
     でも特別。

     ここにあるのは、世の中の変動や動きから、取り残されていても、それは置き換えが聞かない唯一の時間。

     話者が次々と変化していくので、やや読みづらいが、浮遊する存在感の希薄さがよく伝わる。
     ああ、こういう小説もたまにはいいなあと思いながら読了。

     ちなみに大江健三郎の巻末エッセイも読みごたえあり。
     でも、本編前には読まないほうが得策。大江の読みに引きずられてしまうのは確実だから。

  • 又吉から

  • john gastroの純文学コーナー「J/B」で購入。
    本質ではないけど、映画館で会った女の子の突き抜けた痛さが心苦しい。

  • 全ての思考や行動があっちにいったりこっちにいったりする、でも語られないところは必ずあってその空白が気になってしまう。三月の五日間の映画館にいたブサイクな女の子の痛さが、自分か!と思って直視できなかった。直読。

  • なかなか話の中に浸るには 難解な小説だった。

    非日常な2編の主人公たちの 「特別な時間」は、自分が経験したいか・・・と問われれば、(したくない)時間の過ごし方だけど、
    私が気づかないだけで、案外 そこらへんに歩いている人たちは そんな時間を過ごしたことがあるのかもしれない。

    文章はとても映像的で、肉感を感じさせる。
    とくに2編目の中にあった
    「右足の親指の裏側の脇のほうが、いつのまにか、人差し指の上に乗っかるような感じ」

    上手いなぁ・・・と思う。

    でも 一人語りのくどさとの戦いでした。

  • 収録された二編とも起伏のないストーリーで、人称や視点がころころ変わり、決して読み易くはないはずなのに、不思議と引き込まれた。大江健三郎による巻末の解説も、濃密で読み応えがあった。

  • 脚本は前に読んでいてそっちの評価文等は読んでいたのだけど、なのに小説は全然読み進まなくて、買ったときに観に来ていたチェルフィッチュの舞台も身が入らずじまいで挙句寝てしまって、多分そのだるさみたいなものが取れたから今回読み終えられたような気がする。
    読めなかったのは、やはり緊密性があるのだと思う。本来あるはずの文末・句点やが流れまくった口語の文章は、そのモダリティすら浮遊感と空虚をちゃんと演出する。頭は使わされる。かわいこぶってないけど面白く読めて、一読の価値は間違いなくある。
    読み返しもしたいところ。

  • イラク戦争下。タイムアウトを迫る世界から遠く離れ特定の行為に埋没し、その世界からもまた日々の生からも離脱することを許された特別な時間はやはり終わり、剥き出された赤裸の日常性に否応なく巻き込まれる(「三月の5日間」)。
    あるにのはただ無為と倦怠が偏在する複数の場所であって(「わたしの場所の複数」)、悪意と諦念の瀰漫する日々の中でさえ、ふいに「良質の悲しみ」(©大江健三郎)が現れる。

  • 【本の内容】
    ブッシュがイラクに宣告した「タイムアウト」が迫る頃、偶然知り合った男女が、渋谷のラブホテルであてどない時を過ごす「三月の5日間」。

    疲れ切ったフリーター夫婦に忍び寄る崩壊の予兆と無力感を、横たわる妻の饒舌な内面を通して描く「わたしの場所の複数」。

    人気劇団チェルフィッチュを率いる演劇界の新鋭が放つ、真に新しい初めての小説。

    第2回大江健三郎賞受賞作。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    著者主宰のチェルフィッチュの演劇を観るような導入から始まり、多様な解釈が可能な演劇から、一つの選択肢が小説に結晶した。

    「三月の5日間」は米軍のイラク空爆の間、あえてTVもつけずに渋谷のホテルで過ごした男女2人の話。

    「わたしの場所の複数」は、動かした身体の感覚描写が特に目を引く。

    終わり方にも驚く。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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