- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101297514
感想・レビュー・書評
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今まで全く考えてこなかったコトであり、衝撃を受けつつも、なんでこんな当たり前であり、人間の基本の欲望に近い性という問題について知らなかった、教えてもらえなかったことが残念だったなーと感じた。大学時代には障碍者について学ぶことも多い分野だったにも関わらずだ。
やはり性についての内容はタブー視されている今の世の中だから仕方のないことかもしれないし、じゃあこの問題について取り組めと言われても、拒否しそうな私もいて。
本当に難しい問題だと思った。だからと言って、全く知らないふりをするということもいけないような気もする。この本を読んだからと言って答えがでるわけではないけれども、色んな人にこの内容を知ってもらうというのは大事なのかもしれないと感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
当時、大学卒業後だった著者が書いた取材をもとにしたルポルタージュ(デビュー作)。障害者にとって”無かった”ことにされる性の問題について切り込んだ内容。
河合香織さんの本を読むのは「選べなかった命」に続いて2作目となります。
時系列的にはこちらの方が「選べなかった命」より前になりますが、既に2018年「選べなかった命」を出版した彼女が、なるべくしてなった形だということがその文面から伝わってきます。
取材に際して葛藤する初々しさはありつつも、どこか真剣でひた向きな取材姿勢が伝わってくるようでもありました。
少し障害者について接点があったこともあり、私自身では「障害者=特別な人ではない」ということは明確なことだったのですが、皆さんのレビューを見る限り、そしてこの本を読む限り(少なくとも当時は)それが「当然ではなかった」ということが見て取れます。
障害者の歴史(というと語弊がありそうですが)について詳しく知らないのですが、この「障害者は性欲なんてないし、セックスだってしない。そもそもしたいとも思わないだろう」という考え方が一般的なこと自体、日本の「座敷牢」などの影響が色濃いのではと読みながら考えていました。障害者を人目に晒さない時代風景の中で、健常者と障害者の接点が限りなく少ない生活の中にあっては、「障害がある=我々とは違う特別な存在」として認識されやすかったのではないかと想像しました。
この本の著者(つまり取材者)が障害を持つ人々(取材される側)にとって「まだ純粋で学生を出たばかりの女性」だからこの内容を緻密に話してくれたのではないか、と考えたのは私だけでしょうか。
恐らく障害を持つ人々にとっては数えきれない差別の歴史が人生でしょうし、ある意味では「またそれ?」と思わざるを得ないような(著者からの)質問に対して、真摯に答えてくれたというのは一つにその取材者が親切だったというだけではなく、この取材者(著者)に対して彼らが「我々の気持ちをこの人ならわかってくれるかもしれない。だから何度も何度も話しては誤解を受けたり笑われたり軽蔑されたりもしたけれど、もう一度話してみよう」と考えた結果ではないかと思うのです。
「健常者だから大抵のことはできる」と、我々は恐らく殆ど全員が思っていると思いますし、その気持ちがないことには生きていけない心理的側面もあると思います。
しかし一方で「できるかどうかに健常者かどうか、は関係のない事柄」についても今一度深く考えてみても良いのではないだろうか。
そんな風に思った本でした。 -
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男性が生涯、夢精しか知らずにいたら気の毒だと思います。「知らずにいた方がよかった」ってことになるかも。酒やタバコなら知らずにいられますけど。男性が生涯、夢精しか知らずにいたら気の毒だと思います。「知らずにいた方がよかった」ってことになるかも。酒やタバコなら知らずにいられますけど。2016/02/06
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2016/02/06
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「真面目なノンフィクション」
身体が不自由な方の身になって考えるコトって本当は出来ないのかも、、、ボランティアされる方は、どう言う経緯で始め...「真面目なノンフィクション」
身体が不自由な方の身になって考えるコトって本当は出来ないのかも、、、ボランティアされる方は、どう言う経緯で始められたのだろう?(スミマセン未読です)
何にせよ頭が下がります。。。2013/04/04
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障害者の性について取材したルポルタージュ。かなり衝撃的な題材と言える。が、正直なところ、著者の力量が題材に比して不足してたと感じた。
著者の力不足を感じた一番の理由は、著者の性(特に男性の性や性欲)に対する理解が表層的だということにある。どうも著者は、性についてはお互いの愛情に基づくセックスという唯一の正解があり、他は全て擬似・代替行為と考えているようなのだ。が、男性にとっての自慰行為は、単なるセックスの代替行為ではない。自慰行為そのものを究極まで突き詰めたものの一つにTENGAがあると言えるが(『TENGA論』http://booklog.jp/users/tomiyadaisuke/archives/1/4812439051参照)、そういう同じ食べ物でもラーメンと寿司くらい違うオナニーとセックスを、「性行為」というカテゴリで均一化してしまっているため、インタビューを重ねても著者の考察が積み重なっていかず、結局何が言いたいのかよくわからないまま終わっている。
書き手の力量には問題があるが、インタビュー内容については色々考えさせられることがあって面白かった。
著者は「障害者と性」という問題枠組みで取材を重ねているが、そこで立ち現れる問題は、障害者・健常者に関係なく存在する一般的な性の問題だったりする。
例えば、第3章では、障害者専門のデリヘル嬢をする聴覚障害を持った女子大生が取材対象である。が、彼女は彼氏に内緒でデリヘル嬢をやっており、そのことについて彼氏に対してあまり後ろめたさを感じていないようなのである。著者はその感覚に戸惑っているようだが、こういう戸惑いを覚える話は、援助交際をしている女子校生たちのインタビューなんかでよく遭遇するものである。
また、性欲があるからといって、じゃあ性的サービスを…という訳にはいかない。性的サービスを受ける障害者だって人間なんだから、こと性のことにおいて誰でも良いなんてことはない。ある組織に登録されているセックスボランティアは40代から60代なので利用していない、というのは、熟女好きでない限り、まぁわかる話である。更に、障害者同士のカップルは性行為をするに際して介助が必要なケースもあるが、介助してくれる人が男性だと「妻の裸を見られたくない」と夫が思ったり、女性でも妻が嫌がったりすることがあるが、これも理解に苦しむ話ではない。裸や性行為前後の姿を見られたくないのは、障害の有無には関係ない。
あと、性的サービスをしている内に、性的サービスをする側・される側に感情的な問題が発生することもあるという。これも当たり前と言えば当たり前の話で、セックスから始まる恋愛もあるように、セフレに情が移るみたいなことだって、考えれば十分にあり得ることである(むしろお金で割り切った方が心理的に後腐れが無いという場合もあるだろう)。
障害者の性事情を読み進めていると、どんどん人間の尊厳の本質に迫っていくようなことを考えさせられていた自分に気がついた。性欲の処理だけを考えるやり方は、そのサービスを受ける障害者の人格や尊厳のことをちゃんと考えてる? と思う一方で、尊厳を重視する余りに障害者の性欲を軽視ないし無視するようなのも違うし…おそらく、もっと選択肢を増やす中で答えが見えてくるのだと思うところである。
著者は、障害者の既婚率が思っている以上に高いことや、性風俗に関する一般的知識など、もう少し基礎知識を押さえた上で取材に当たるべきだったと思うが、扱ったテーマとインタビューについては色々考えさせられるものが多かった。ちょっと内容的にはハードだが、少しでもこの問題に興味があれば一読を勧める。 -
図書館で。前に読んだ本で障害者と性、というテーマの本という事で取りあげられていたので読んでみました。
読んでみた感想はう~ん、わかるようなわからないような、という所でしょうか。だって健常者だって皆が望むような出会いがあって結婚して幸せな性生活を送ってる人ばかり居るわけじゃないしなぁ。
正直な感想を言わせてもらうと障害者だけでなく日本国民全員がきちんとした性教育を受けるべきなんじゃないのかな、と思う。確かに何が正解というのは無いかもしれないけれどもどうしたらお互いに気持ちよい行動がとれるのか、という事を殆どが知らないまま大人になりなんとなく聞きかじった知識で行為を行っているという事実があるように思う。そして性行為とはそもそもどういった行為なのか、何故行為をしたいと思うのかもきちんと知らないといけないと思う。それを抜きに「○×(障害者・女性・子供…なんでもよいですが)だって性欲はある」と言われてもそりゃそうでしょ、でもだから?と思ってしまうというか。
作中の女性が「結婚して子供が欲しい。芸能人とかも皆そうしてる。それが普通だから欲しい」という台詞を読んでなんだかなぁと思ったというか。まあこういう考え方する人、女性に多いですけどね。右に習えで皆がやってるからする、皆が持ってるから欲しい、みたいな人。別に悪いとは言わないけど。
作中に出ていらした女性が言ってらしたけど「健常者も障害者も関係ない。魅力的な人がモテる」というのは真理だと思う。そこには努力が必要だし、優しさや思いやりがある人がモテるのは当たり前だと思う。
それに入院していた時に優しくしてくれた看護士さんと恋愛関係になり結婚した、なんて話も聞くのに何故介護士と被介護者の関係には一線を引こうとするのだろうか。お客さんと恋が芽生えたっていいじゃないか、なんてまあ色々問題は起きるだろうけれどもそこはそれじゃないかなぁなんて思ったりもしました。
後、作者が男性の身障者の方の家に女性一人でいけなかった事を悔やむような記述がありましたがそれ、当たり前じゃないでしょうか。反対にじゃあその人は健常者の男性が一人暮らししている家に女性一人で上がりこんで普通に仕事をできるのでしょうか?普通はちょっと考えるし避けますよね。それと同じことなのでは?
商売で性行為を行う人との関係を聞くと皆さみしそうだった、というような記述もありますがそれ、普通の人もそうなんじゃなかろうかと思ったり。なんだかえらい健常者・障害者できっちり線引きしているようでその辺りはちょっと首を傾げました。
まあでも実際は知的障害者の女性が悪い男に良いようにされてしまったなんて話も聞くのできちんとしなくてはならないんだろうなぁ。守られる立場に居る人達の自由って確かにつらいだろうなぁ。
一番共感を持ったのはオランダのSM女王様の台詞です。生活保護の人はコインを溜めてくるんだから身障者も25%は自己負担でいいんじゃない?って。でも生活保護を受けている人がそう言うお店とか行ったら日本はすぐに保護を打ち切りそうだけれども。やっぱりなんて言うのか、食欲や睡眠欲に比べるとちょっと嗜好性の高い欲求に思えるんですよね。そこにまで政府や制度が介在し、権利を保護すべきなのか?難しい問題です。 -
自分とは異質なものに接すると、つい反射的に身構えてしまう。
多かれ少なかれ、人にはそういった傾向があるのかもしれない。
障害者は当然同じ人間なのだけれど、その見た目が異形だから、つい、自分とは違うという意識が働いてしまうのだろう。
分からないことは、怖い。
分からないことには、興味津々。
私も、純粋な興味からこの本を手にした。
でも、そうなのだ。
みんな同じ人間なのだ。
うわべで惑わされて、見えなくなっているけれど。
かといって、障害者の方の性の問題は、そうやすやすとクリアできるようなものではないだろう。
誰の性も、本来はごく個人的なことなのに、介助のありかたを一律化・一般化なんてできないだろう。
そもそも、本来は介助を考えること自体に無理があるようなことなのだろうから。
本当に難しい問題だと思う。 -
元カレのお兄さん、母の友人の子供、
大学同級生のお姉さん…
身近にいながら考えなかったこもごも。
必ず全員が抱いているわけでもないけど、
必ず関わる人がいる問題。
やっぱりきちんと教育すべきだよね、
隠さないで、私たち自らもそういう機会が必要だったと思う。
難しいテーマだった。 -
いつまでもタブー化されている・されるであろう題材を書いてある。確かにどういう現状なのか。興味があったので読んでみましたが、もっと皆が考えていくべきだなっておもった。健常者だろうが障害者だろうが人間としての本能だしね
著者プロフィール
河合香織の作品





