あと少し、もう少し (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 171
  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101297736

作品紹介・あらすじ

陸上部の名物顧問が転勤となり、代わりにやってきたのは頼りない美術教師。部長の桝井は、中学最後の駅伝大会に向けてメンバーを募り練習をはじめるが……。元いじめられっ子の設楽、不良の太田、頼みを断れないジロー、プライドの高い渡部、後輩の俊介。寄せ集めの6人は県大会出場を目指して、襷をつなぐ。あと少し、もう少し、みんなと走りたい。涙が止まらない、傑作青春小説。

感想・レビュー・書評

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  • 眩しいばかりのスポーツ青春小説。
    1区の選手から順に1章ずつ襷を繋いでいくように物語は進んでいく。語り手を変えて同じ時間同じ場面を繰り返す事により、メンバーの本当の気持ちが見えてくる。襷の受け渡しの時は彼らの色んな思いがグッとこみ上げてきて何か叫びたくなる。
    上原先生視点からも読んでみたいな。ずっとどんな事を考えていたのかが気になる。駅伝はダメダメだけど、彼女の人間観察力は凄いと思う。そして何気にいい事を言う。
    「取り返しのつかないこともごくたまにはあるでしょ?」誰かに言ってみたい。

    • koshoujiさん
      瀬尾さんの本を読むと心癒されますよね。
      昔、彼女の本を立て続けに読んだ時期がありました。
      ただし、読み過ぎて厳しい現実に戻りにくなったよ...
      瀬尾さんの本を読むと心癒されますよね。
      昔、彼女の本を立て続けに読んだ時期がありました。
      ただし、読み過ぎて厳しい現実に戻りにくなったような(笑)。
      うさこさんのところで、私に言及(笑)されていたようなので、お邪魔しました。
      フォローさせていただきます。今後ともよろしくお願いします。<(_ _)>
      2016/01/13
  • 年寄りにとって、直球ど真ん中の青春スポーツ小説ほど、手を出すことにちょっとためらいを感じる作品はない。しかし、本作に関しては、素直に読むことができた。
    それぞれ個性の異なる中学生が、県大会を目指して中学駅伝の6区を走る。同じ場面が各走者の視点で繰り返されるが、決して煩雑にはならず、むしろ物語に立体感をもたらしている。それに、顧問の上原先生の立ち位置、存在が何ともいい。
    今や、この分野では古典的名作!と言ってもいい三浦しをんの『風が強く吹いている』に迫るともいえる傑作。
    若いっていいもんだ(年寄りの繰り言)

  • 駅伝を扱う小説って、どうして傑作が多いんだろう。

    人間は絶対的に一人でしかないけれども、確かと誰かに繋がっている。

    なんでこんなに感動するんだろうと思って、気が付いたことがある。

    昨今、タケノコの山のように出されている作品に描かれている人物がただの記号で、物語がテンプレートだからだ。(それが悪いというわけではないし、その中に玉が混じっていることも確かなのだが……)

    だから血肉が通ったこんな物語を読んでもらいたいと思うし、知ってもらいたいんだと思う。

    ゴールの先に待っているのは、今度は私たち自身の物語だ。

  • 瀬尾まいこが本屋大賞になったのを踏まえ、昔の本を読んでみる。

    田舎町の小さな中学校の駅伝部
    駅伝部員は3人だけで、残る3人は狩り出された助っ人。
    いじめられっ子の設楽、不良の太田、お調子者のジロー、変り者の渡部、先輩を慕う2年生の俊介、いつも明るく振る舞う主将の日向。
    それぞれ1区から6区まで自分の区間を走りながら、この日までの回想が挟まる。
    最初は、それぞれの心情やそこに至る経過の描写が浅い気がして(まあ、中学生だからな)、なかなか雰囲気は良くて読んでいて気持ちは良いとは思いつつも、お子様向きだなと思って読んでいた。
    ところが、段々と、みんな、ああ見えて、実は内面はもう少し複雑であることが分かってくる。

    ジローは、頼み事をされれば断り切れず何でも引き受けてしまう。
    だけど、それによって、自分の器の大きさ以上に色んなことを経験できるんだな。
    ジローは『進んで行けばいくほど、俺は俺の力に合った場所におさまってしまうのだろう』というけれど、そんなことはない。
    人はちょっとした背伸びを繰り返して成長していくものだ。
    自分はもう60歳を過ぎるとそれがしんどくてそこから降ろさせてもらったけど、これまでよくやったという気持ちと、ここで降りて良かったのかという気持ちが、今でも綯い交ぜになっている。

    変り者と思われている渡部も、実は本当の自分を知られたくないがために、ああいう態度をとっている。
    先生は『一番中学生ぽいなって。自分らしさとかありのままの自分とか、自分についてあれこれ考えるの、いかにも中学生でしょ』と言うけれど、だけども、そういうことを繰り返して、本当の自分がどういうものかが分かるんだな。
    いや、分かるかな…、自分なんて、今でも迷いっ放しの気がするぞ。

    中学生に人生の結構深いところを見せてもらった感じ。とても佳かった。

  • 「走る」少年たちの
    息づかいが聞こえてくる
    「走る」少年たちの
    美しいストライドが見えてくる
    「走る」少年たちの
    葛藤が伝わってくる
    「走る」少年たちへの
    声援が聴こえてくる

    瀬尾さんの作品を読むたびに
    「人間っていいよな」
    「人が生きているってこういうことだよね」
    が届いてくる
    もちろん
    この作品にも

    解説を三浦しをんさんが書いているのも
    おしゃれですね

  • スポーツ小説で、陸上だったり箱根駅伝だったり、そういう話はとにかく突き抜けて爽やかなことが多いけど、まさにこの話もその王道を行く爽快さ。
    もう一度中学生に戻ってこんなきらきら爽やかな青春したいわ…と心の中で叫びながら読んだ。
    でも実際自分がもし中学生になったとしたら、今過ごしてる日常がきらきら青春の中に居るなんて分からないもので、
    それをふわふわしているように見えて、ズバリと言う上原先生がまたいい味出してた。

  • 中学校最後の駅伝の、県大会をかけた地区予選の話。

    陸上部だけではメンバーが足りないこと、顧問が変わってしまうこと、新しい先生は陸上の「り」の字も知らないような教師、などの波乱の幕開け。
    集めたメンバーそれぞれの個性やら家庭の事情やら健康面などもいろいろで、相手を思っているのにちゃんと伝えられないもどかしさ、誤解、器用さと不器用さ、分かち合えたときの純粋に嬉しい気持ちの表現の仕方。。。
    思春期というか中学校時代ってこんな感じだったんだなぁって、うん10年前を思い出しながら読み進めた。

    タイトルとイラストから、走るの大好きな小学4年生の娘も気に入ったので、毎晩読み聞かせた。

    最後のシーンは、読み聞かせながら何度も詰まってしまった。

    読み終わったあと、とても気持ちのいい本。
    瀬尾まいこさん、ステキです。

  • 6人のストーリーが、襷を繋ぐように展開される。同じエピソードでも視点が違うと違った捉え方ができるので新鮮。最後に駅伝本番の舞台になるが、各メンバーの背景を知った後なので応援に力が入る。

  • めっっちゃおもしろかった。

    駅伝を走る中学生6人それぞれの立場から物語が描かれるから、読み進めるごとにこんなふうに思ってたのねって深くなっていくからぐいぐい読めた!

    15歳…大人じゃないけど子どもと言いたくない時期。
    難しい時期で色々あるけど、走ることだけは素直で楽しい。走ることで繋がれてる。ほんまにそうやねんなって思う。

    部長の桝井くんが背負ってる物が結構重たくて、自分が俊介の立場なら想像できひん。

    顧問の上原先生は教員目指す私にとっては尊敬しかなかった。自分がやったことないスポーツの顧問。朝練のために早く来ざるを得ない。部員には馬鹿にされ、仕事やろとか言われる…。部活の顧問は別に仕事の範囲じゃないよ…って思ってた…。でも上原先生はいつのまにかちゃんと顧問してて、上原先生のおかげでっていう部分も沢山出てきて、練習メニュー聞きにいったりとかほんまにすごい、かっこいい。あんな風になりたい。

    俊介は憧れだけで片付けられなくなった感情をどうしようか悩んでて渡部君はそれに気づいてて、の部分も好き。

    太田くんは駅伝きっかけでいい方向に進めたらいいのになあ。でもできないことがバレるのが怖いから最初からやらない風吹かせるっていうのはなんとなくわかる。こわいよね。それやと成長できないってのわかるようにはなるけど最初の一歩踏み出すのほんまに怖いよね。練習来た時ほんまにすごいなと思ったよ。

    設楽くん。太田くんに手を出されなかったのは下に見られてたからじゃなくて一目置かれてたからだよ!本人から言ってもらえてほんまよかった。いじめられないように何かを一生懸命頑張れるのも才能やと思うよ私は。

    渡部君。わかるなあ。まるで普通の家庭で普通に育ったかのように周りに見せる。みたいなの。バレたところで見下したりしてくるやつは自分の人生と今後関わることないから気にしなくていいねんけど中学くらいやとすごい気にするからそれいうのもすごい勇気いるよね。でもちゃんとお婆ちゃんから愛受け取ってるっていうのわかっててよかった。あとお弁当の内容いつも美味しそうで羨ましかったです、、

    県大会も頑張れー!応援してるよー!

  • 授業のため読書がすっかり引き込まれました。
    中学生の駅伝模様。使えない顧問が自分に重なりツライのですが、個々が持つ辛さやプライド、環境などの呟きに心が動かされます。純粋さが痛いくらいです。

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著者プロフィール

瀬尾まいこ(せお まいこ)
1974年、大阪府生まれ。大谷女子大学国文科卒。2011年の退職までは、中学校で国語教諭として勤務する傍ら執筆活動を行っていた。2001年『卵の緒』で第7回坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、これが翌年単行本デビュー作となる。2005年『幸福な食卓』で第26回吉川英治文学新人賞、2008年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞をそれぞれ受賞。これまでに映画化された作品に、代表作『幸福な食卓』、『天国はまだ遠く』『僕らのごはんは明日で待ってる』。『そして、バトンは渡された』は第31回山本周五郎賞候補、2018年「本の雑誌が選ぶ上半期ベストテン」1位、「キノベス2019」1位に選出、さらに2019年本屋大賞を受賞。2019年6月13日、『優しい音楽』(新装版)を刊行。

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