あと少し、もう少し (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101297736

感想・レビュー・書評

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  • 熱血!って感じではなく、じわじわと心が熱くなっていくような物語。
    駅伝までの出来事を各走者の視点で見ていくんだけれども、視点が変わるごとに段々と奥行きをもっていく。
    この出来事の裏にはこんなことがあったのか、この行動はこんな風に影響を与えていたのかなど。
    各走者の性格や悩み、内面の豊かさを読む度に頑張れ!って思う。
    すごく素敵な作品だった!

  • 中学生駅伝、男子6人と頼りない顧問が、県大会出場を目指して走り抜ける青春小説。
    1区から6区まで、6人の目線で語られる。
    元いじめられっ子の設楽。
    不良の大田。
    頼みを断れないジロー。
    プライドの高い渡部。
    後輩の俊介。
    部長の桝井。
    一つの場面を複数の目線から語ることで、物語に厚みが増し、どんどん深くなり、立体的に見えてくる。
    中学生という微妙な年頃の子供達の、内面に抱えている複雑な心を、1区間3㎞の中でそれぞれが独白していく。
    そして色んな思いで襷を繋いでいく。
    そしてまた、顧問の上原先生がいい。
    素人で頼りにならない感じだけど、この先生の存在が全体をまとめる。
    最初から最後までノンストップで読破したい。

  • 青春全開の中学最後の駅伝大会を走る、寄せ集めやけど一人一人想いを持った6人の話

    駅伝メンバーの一人一人の話を1区から6区まで順に描いてるけど6人が物語の襷を順に繋いでいく感じがいい!!駅伝までの日々が一人一人いろんな角度から楽しめる!

    扉を叩く音で出てきたサックスの神様、渡部くんが言うてた駅伝の話がまさにこの話やん!!忘れてたから読み直したけどこれ読んでから、扉を叩く音読んだら渡部くんをもっと楽しめるやん!!

    瀬尾まいこさんの「君が夏を走らせる」は大田くんの話みたいやからこれも読まねばならねば!!

    なぜか私の中で頭に浮かぶ桝井くんの顔がジャニーズWESTの重岡くんになってた。

    • boooooookさん
      「君が夏を走らせる」 っていうのもあるんですね。読もうと思いました。情報いただいてありがとうございます。
      「君が夏を走らせる」 っていうのもあるんですね。読もうと思いました。情報いただいてありがとうございます。
      2022/01/06
  • 再読。
    瀬尾さんの本はたぶん全作品読んでいるのではないかと思います。
    以前この作品を読んだ時にはあまり好みではありませんでした。
    駅伝が刺さらなかった?

    なので内容もあまり覚えていないところに「君が夏を走らせる」「その扉をたたく音」を読んで、駅伝メンバーの大田君と渡部君のことを知りたくなっての再読です。

    なんと、面白いじゃあ〜りませんか!
    他の作品で二人を知っているので余計かもしれないです。

    上原先生ってこんな天然だった?と笑いながら読みましたが、なかなか良い先生です。

    再読して良かった♪

  •  桝井が最上級生になる年,鬼のようだが,陸上部を強くしてくれた顧問の満田先生が異動になった。代わりに顧問になったのは美術の上原先生。陸上を何も知らない上原先生に愛想をつかす部員たち。最悪の始まりだった。

     中学校駅伝は,男子六人で18キロで襷をつなぐ。
     陸上部で長距離をやっていて,駅伝を走れそうなのは部長の桝井と,小学校から一緒の設楽,二年の俊介のみ。他の部活から選手をかき集めてチームを作らなくてはならない。


     各区ごとに章立てされていて,その区の選手が主人公となるスタイルの小説。
     陸上に打ち込む中学生たちの青春小説……とはいいつつも,それぞれ胸のうちには傷ついたり,負い目に感じていたり,秘めていたりするものがあり……。

     登場人物それぞれに,中学生ならではの未熟な部分があって,何かしら抱えたものがあって,それでも陸上に打ち込んで,襷をつなぐ。
     こういう群像劇,ものすごく好きです。

  • 正直、私は走るのが苦手なのであまり期待せずに読み始めたのだが、予想を裏切って面白かった。

    いじめられっ子体質だから、記録をのばすにはもっと追い打ちをかけなきゃいけないのか!と突っ込んでいる場面でまずは笑い、
    2区からはそのいじめられっ子体質・設楽が恐れる対象(いじめっ子体質)・大山の視点で、近寄り難いヤンキーという現状は色んなものを諦めていた結果であるというもので、そうだよな、ヤンキーとはいえ同じ人間だものな、と面白かった。
    上原先生も最初こそはなまっちょろい先生だなと思っていたが天然な言動が面白い。

    桝井はもっと重症な病気かと思いきや、スポーツ性貧血だった。また、アンカーが俊介のはすが5区で登場したので謎だったが、申込み直前で上原先生が勝手にアンカーを桝井にしたのだった。

    既に県大会の話をし始める終わり方で、一応は県大会出場決定ということで一件落着したものの、その後も彼らの戦いは続くといった感じで良かった。

  • ちょっと前におなじく瀬尾まいこさんの「その扉をたたく音」を読みました。
    その登場人物のひとりであるサックスが音楽の神様級にうまい渡部君が他の作品にも出てると知り、こちらの「あと少し、もう少し」を手にしました。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    陸上部の桝井、おなじく部員の設楽にとって、中学最後の駅伝が近づいていた。
    しかし今年の陸上部顧問は、陸上知識のない異動してきた美術教師の上原だった。

    県大会に出場するためには、6位以内に入らねばならず、出場選手も6区間あるため6人が必要。
    しかし陸上部で長距離を走れるのは、部長の桝井、内気な設楽、そして2年生の俊介だけ。
    桝井はメンバーを集めようと、不良の大田、吹奏楽部だが足ははやい渡部、まわりをなごます力のあるジローに声をかける。

    寄せ集めメンバーで走る駅伝は、どうなるのか…?

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    目次はありませんが、プロローグ的な0の章からはじまり、1区、2区…とその区間を走るメンバーひとりひとりが順番に主人公となって、まるで襷をつなぐように物語は進んでいきます。
    すると、ある場面では相手はこうおもっていたのに、自分は実は違うことをおもっていたり…ということがいくつも出てきました。
    それは、「ひとって、考え方も感じ方も違う、ひとりひとりの人間なんだ」ということを、実感させてくれました。

    内面を読むと、ちょっと大人びているように感じる子もいましたが、でもそれはわたしのなかに「中学生ってこんな感じよね」という枠があるせいだとおもいます。
    悩みがなさそうに見えるメンバーも、そんなことはないし、いろいろ考えたり感じたり悩んだりしているんですよね…

    たしかに青春小説で、最後の展開にはグッとくるけれども、きっと著者の瀬尾さんは読者を感動させよう!という意識では書かれていないのではないかな、とおもいます。
    そしてなんだか、陸上部顧問の上原は、瀬尾さん自身みたいに見えました。
    (いや、けして瀬尾さんが頼りなさそうに見えるとか、そういうことではなく…汗。上原先生のもつ、不思議だけど、なんか核心をついているような言動が、瀬尾さんの小説そのものみたいだな、とおもったのでした)
    上原先生が語り手の章はありませんでしたが、上原先生の内面も、読んでみたかったです。

    ちなみに読み終えてから表紙を見ると、6区のゼッケンをつけて振り向いている彼が「誰」なのかがわかります。
    彼が1番、まわりから見た彼と自分で語る彼とのギャップが大きい人でした。

  • 中学生の駅伝青春ストーリー。スタートからゴールまで6人の走者それぞれの視点で描かれている。みんなキラキラと輝いていて、生徒も顧問の先生も人間味溢れて愛おしくなる。自分にはとても眩しく、そして羨ましく思えた。目標持って何かに夢中になるっていいな。今からでも遅くはないかな。とても素敵な作品です。

  • 子どもの本棚から。

    中学生の駅伝大会。
    陸上部からは3人。その他3人は寄せ集め。
    駅伝大会に出場する6人の生徒のそれぞれの目線から描かれている。
    それぞれ、あ、こんな子いるなぁなんて誰かを思い浮かべながら読める。
    学校一の悪、になってしまって、そこから抜け出せなくなってしまった太田。
    誰かにちょっとキッカケを貰うだけで新しい一歩を踏み出すことも出来るし、逆に築き上げてきたものは簡単に失うこともある。
    人生いつでもやり直しはきくと思いたい。


    • アールグレイさん
      私は、そのうちにこの本を読もうと思っています。私は、駅伝が大好きなのです。三浦しをんさんの「風が強く吹いている」駅伝に詳しくなくてもこの本は...
      私は、そのうちにこの本を読もうと思っています。私は、駅伝が大好きなのです。三浦しをんさんの「風が強く吹いている」駅伝に詳しくなくてもこの本は、夢中になれる1冊です。
      お薦めいたします!
      2021/05/16
  • 自分を守るために身に着けた鎧や設定したキャラクターというフィルターはそのままに、心を通わす青年たちと大人の話。

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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