君が夏を走らせる (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 639
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101297743

作品紹介・あらすじ

ろくに高校に行かず、かといって夢中になれるものもなく日々をやり過ごしていた大田のもとに、ある日先輩から一本の電話が入った。聞けば一ヵ月ほど、一歳の娘鈴香の子守をしてくれないかという。断り切れず引き受けたが、泣き止まない、ごはんを食べない、小さな鈴香に振り回される金髪少年はやがて──。きっと忘れないよ、ありがとう。二度と戻らぬ記憶に温かい涙あふれるひと夏の奮闘記。

感想・レビュー・書評

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  • 二人の関係が微笑ましすぎて
    ニヤけてしまうので
    なるべくマスクをして読んでました♪

    自分の子供達が小さかった時も思い出しますし

    子育てや、なんならペット、植物の世話
    世話をする事により
    自分の幼稚さや無力さって気づかされますよね
    教えてるんだか教わってるんだか分からない感じ

    親も子も成長するのが子育てなのかな?

    でも自分はこの高校生より、何もちゃんと出来ません(笑)

    考える事も大事だけど
    考えすぎも駄目だよって感じの話しに俺は感じました。

    ※だから結局 話からそれるけど 久しぶりに俺が何か言いたいかって言うと【元同級生の妻(45)とバラエティー番組『新しいカギ』見てたら…高校時代の体育教師が現在副校長になっててチョコプラとコントしてたから ビックリしたよ】って事!!

  • ブックオフで、何か読む本ないかなぁ??と物色して見付けた本。

    あんまり心が元気じゃない時は、瀬尾まいこ先生の作品は最高でしょ(^-^)

    この本は、、、

    あれ?昔会ったことあったなぁ。
    うん。絶対私知ってる。この太田くん。

    『あと少し、もう少し』
    にも登場していた太田くんだ。

    太田くんは金髪ピアスの高校生。
    昔やんちゃしていた所為で、中学最後に走ることで何かを見つけたはずなのに、結局最低ランクの高校で、腐りかけていた。

    そんなある日、先輩からバイトをしないかと声をかけられる。
    奥さんが入院するから、一歳の女児を一ヶ月面倒を見てくれないかと。

    そこから太田くんの奮闘が始まる。
    最初は泣くだけで、何もしなかった女の子と、次第に打ち解けてくる太田くん。
    ご飯をあげたり、おむつを替えたり、公園に連れて行ったり。


    この太田くんが女の子にかける言葉が面白くて、クスクス笑いながら読んでしまう(笑)
    なんだかんだ言っても太田くんは真面目なんだよな(笑)
    自分の子育ては、もう20年以上前だから、一歳児がどうだったのか?なんて、ほとんど覚えていなかったが、私は太田くんほど育児が上手ではなかったなぁ。
    こんなに向き合ってくれるお兄ちゃん、素敵じゃないか!

    この作品の先の先を読んでみたくなった。

    瀬尾先生の作品は、やっぱり温かい(^^)
    ほっこりいい気分になる(*^^*)

  • (珍しく)前情報のない状態で読みました。

    〜以下、ネタバレかも知れません。結末は書いてません〜

    主人公は大田君ね。あぁ、ヤンキーなのね。なんか、不良世界?でよく聞く「先輩」の言う事が断れなくて子供の面倒を見るお話なのね。不良の子が2歳にならない子の面倒を見るんだ…。ふむふむ。

    …中学の時に駅伝で走った…?ん?あれ?なんか聞いたことあるような。。

    大田くーん!!スピンオフー!!
    でした。
    「あと少し、もう少し」で出ていた不良のランナー大田君のその後。
    不良にもなりきれず、かといって輝かしい未来ややりがいのあることもなく過ごす高校生活の中で、昔の先輩から一ヶ月間、子供を預かるバイトをしてほしいと頼まれるお話。
    預かった鈴香ちゃんと大田君の成長物語でした。

    一度も会ったことない大田君だけれど、もう私としては母親のような目線で終始応援しておりました。
    そうだよ、大田君なら大丈夫!奥さん、見る目あるわっ!!と。
    あと少し、もう少しを読んだ時には同じ部活の仲間ポジションだったはずなのに。
    最後はきっと泣くんだろうなと思いながら読み、もちろん泣いてしまい。

    妹尾まいこさんのお話って本当に優しいですね。優しい人しか出てこなくて、読後はとても穏やかな気持ちになれました。
    頑張れ、大田君!!

    上原先生もいいなぁ〜。確信犯なのか天然なのか。

    サックスの渡部君のスピンオフもあると言う話を聞きつけ、明日早速本屋に向かいます。
    他の人もみたいなー。桝井君とか設楽くんとかどうなってるんだろう…。

  • 2023.5 読了 ⭐︎9.4/10.0

    先輩夫妻の子どもの子守りを頼まれた16歳の少年は、チャラチャラした不良で、子どもは愚か人と関わることも得意ではなく、言葉ではなく拳が先に出てしまうような少年。

    そんな彼が、ひと夏の子育てを通じて、一歳十ヶ月の得体の知れない生命体との関わりを通じて、自分が育てられる、いわば子育てを通じての育てる側と育てられる側の二人の成長物語

    "そうか。ここで話されてるのは子どものことだけだ。誰も自分のことは話していない。公園では子どもが主役なのだ。俺が金髪だろうと、若かろうと、関係ない。"

    "ここに来れば、年齢も見た目も職業も何も関係ない。子どもを通せば、全然共通点のない人と話が弾んだりする。こうきてお母さんたちと笑っていると、自分が高校生だということもどうしようもない不良だということも、忘れてしまいそうになる。"

    "自分の時間が欲しいと言いつつ、子育て以上に楽しいことがあるかって言われたら、思いつかないしね。イライラしてクタクタになるけど、ちょっと嬉しそうな顔を見るだけで、全部帳消しになるから不思議だよね"


    公園で出会ったママとの、会ったことも話したこともない母親との会話を通して16歳の少年が「子育て」や「子ども」について学んでいく姿勢は、普段仕事で子どもと接している自分にとても響くものがあり、彼を通して自分も一緒に成長している気分になりました。

    そしてひと夏の、1ヶ月弱の子守りを終えた時の寂しさと未来への希望とで締め括られる結末に、あたたかい涙が溢れました。

  • 本書の為に、10年前に読んで今や内容をすっかり忘れていた『あと少し、もう少し』を再読しておいて、からの本書。

    6割以降の後半は飛ばし読みしてしまった。
    『あと少し、もう少し』の評判が良かったからって、無理矢理スピンオフなり続編なりを出させなくても良かったのにな、と思ってしまったのだ。
    出版社が提案したのだろうな。

    上原先生は相変わらず、ここでも良い人だった。
    公園のお母さん達も素敵な人達だ。

    大田君は、『あと少し、もう少し』の時からちっとも悪い人間なんかではなかったよ。
    読者の特権で、彼の心の内を読むことができるからわかることなんだけれども。

  • 「あと少し、もう少し」の第二弾みたいな感じで面白かった。
    不良だけど心の優しい大田君が、夏休みの1か月、子供の世話を通じて、奮闘しながらも成長していきます。
    あと少し、もう少しと、どこか苦しいそんな願いを持てるのはきっと幸せなことだと気づかせます。
    「誰かのために何かを」と思えた大田君の成長がとても印象的でした。

  • かわいいお話だった。読んだ人は分かると思うけど、ずーーーーっと頭の中でぶんぶーがループする。ループし続けて三日目。どうしたらいいのかな・・・。

  • 瀬尾まいこさんの、駅伝を舞台にした小説「あと少し、もう少し」で、第二区を走った、太田君が主人公のお話です。

    読み終わって感じたことは、大田君は、これからは、不良を卒業して、前向きに何でも取り組んでいける、ということでした。

    夏の一ヶ月間、先輩の子供(1歳9ヶ月の女の子、鈴香ちゃん)の子守りを引き受けた大田くん。まだ、あまり喋れなくて、自分の欲求を満たすのに忠実なので、振り回されてばかり。でも、鈴香ちゃんと、ちゃんと向き合って、何よりも一番に考えて、失敗しながらも、着実に仲良くなっていくところは、感動しました。特に、鈴香ちゃんが食べやすいようにやわらかく、栄養のバランスを考えた食事のシーンが、とても良かったです。

    また、鈴香ちゃんを遊ばせた公園で、卒業した中学の陸上部の練習に、バッタリ出会うシーンがあります。そこで、前作にも出ていた、顧問の上原先生が出てきます。前作では、陸上部の顧問を引き受けたばかりで、右も左もわからず、生徒にフォローされてばかりだったのに、約2年が過ぎて、様になってきました。前も思ったのですが、上原先生は、ちょっと頼りなく見えるけど、生徒のことを、ちゃんと見ていて、さりげなくいいことを言う人です。今回も大田君との会話の中で、心にグッとくる言葉をかけていました。

    この本は、自分が落ち込んでいる時、最近、ちょっとダラダラしているかなという時に読むと、元気が出て、シャキッとします。

  • 鈴香ちゃんと一緒に過ごした1ヶ月という時間は、大田くんの心を大きく動かしたんじゃないかと思います。

    一歳十ヶ月の女の子と、積み木で遊んで、ご飯を食べて、絵本を読んで、お昼寝して、公園まで散歩して。
    毎日同じことばかりのようだけど、少しずつできることが増えていく鈴香ちゃんの成長を間近で見ていて感動しないわけがないし、どんどん離れがたい気持ちになっていっただろうなぁ…

    計算とか駆け引きは一切なく、全身全霊で自分を求めてくれる鈴香ちゃんの存在が愛おしくてたまらなかったと思います。

    小さな小さな女の子だけど、大田くんの背中を力強く押してくれたはず。
    立ち止まってなんかいないで、ひたすらに前向きに走れ!頑張れ!!
    つい応援したくなっちゃいました⭐︎

  • 「あと少し、もう少しこんなふうでいられたら、そう思える時間が過ごせて、本当によかった」

    「あと少し、もう少し」未読で何も知らず読み終えました。このフレーズはその本に記されてるのかな?
    有り得なそうで有り得そうな、ありそうでなさそうなシチュエーションの中に読めば読むほど切なく、あったかく、幸せになれる、そして読者も前を向こう、きっと大丈夫だ。そんなふうに思える、そんなお話。

    このお話の続きを読みたい!
    しかし取り急ぎ「あと少し、もう少し」を読もうか 笑

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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