東京番外地 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101300726

作品紹介・あらすじ

東京番外地、それは普通の人が何となく忌避してしまうところ、近すぎて焦点距離が合わなくなってしまったすぐそこの異界。皇居、歌舞伎町、東京拘置所、山谷、霞が関-。あらゆる違和にまなざしを向けてきた著者が、無意識の底に沈んだ15の「聖域」を旅する裏東京ルポルタージュ。そして初めて出会う、この街の知られざる素顔とは-新たに「番外編・東京ディズニーランド」を追加収録。

感想・レビュー・書評

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  • 森達也さんの解説が面白かったので、読んでみた。

    全編、知らないことを知ることができとても勉強になった。
    また、断言口調ではなくわからないことはわからないと記述されていることに安心感があった。
    図書館で借りたが、手元に欲しいなと

    浅草寺の身元不明人の話と動物園、と場の話が興味深いので、他の本を読んで掘り下げたいと思う。

    書き下ろしのディズニーランドからの重松清さんの解説は思わず声をあげて笑ってしまった。

    ずれているから安心して読めたのかもなーと。
    著者と信ずるものは違うようだけど、ルポルタージュとしてとても楽しく読めた。
    森達也さんの他の本も読もうとおもう。

  • 東京異界めぐりのルポルタージュ。放送禁止歌の著者だと読み始めて知った。
    この人の扱うテーマには惹かれる物がある。主張はちょっと相容れない?かもだけど。面白かったです。東京だけじゃなくて関西とか別の地方のも読みたいな。

  • この世にあって、存在を許されない場所。

  • ルポかと思ったら、その取材で著者が何を感じたのかという内容が中心だった。期待を裏切られた点ではあったけど、文章は面白くてすぐに読了した。(毎回最後に入るキレイに締めようとした一、二文だけ鼻に付くけど。) 最後から2回目の連載で「取材という強圧的な特権はできるだけ使わない。(中略)だからアポイントはとらないし、基本的には下見もしない。普通の人が入れないところには入らない」とある。もう少し序盤に書いてくれれば…と思ったけど、これがこの本のスタンスです。 面白い一冊でした。

  • やっぱり屠場のとこおもしろいなー。
    高島平団地行ってほしかった

  • 【目次】
    目次 [003-005]

    第一弾 要塞へと変貌する「終末の小部屋」――葛飾区小菅一丁目 009
    第二弾 「眠らない街」は時代の波にたゆたう――新宿区歌舞伎町一丁目 031
    第三弾 異国で繰り返される「静謐な祈り」――渋谷区大山町一番地 051
    第四弾 「縁のない骸」が永劫の記憶を発する――台東区浅草二丁目 071
    第五弾 彼らとを隔てる「存在しない一線」――世田谷区上北沢二丁目 091
    第六弾 「微笑む家族」が暮らす一一五万m2の森――千代田区千代田一番地 109
    第七弾 隣人の劣情をも断じる「大真面目な舞台」――千代田区霞が関一丁目 123
    第八弾 「荒くれたち」は明日も路上でまどろむ――台東区清川二丁目 143
    第九弾 「世界一の鉄塔」が威容の元に放つもの――港区芝公園四丁目 161
    第十弾 十万人の呻きは「六十一年目」に何を伝えた――墨田区横網二丁目 179
    第十一弾 桜花舞い「生けるもの」の宴は続く――台東区上野公園九番地 197
    第十二弾 高層ビルに取り囲まれる「広大な市場」――港区港南二丁目 215
    第十三弾 「異邦人たち」は集い関わり散ってゆく――港区港南五丁目 233
    第十四弾 私たちは生きていく、「夥しい死」の先を――府中市多磨町四丁目 255
    番外編 日常から遊離した「夢と理想の国」――千葉県浦安市舞浜二丁目 277

    解説(平成二十一年六月 重松清) [296-305]

  • この人のセレクトや視点っていちいちツボなんですけど。青臭さもね。この感覚さえ合えばハマる。特に山谷と屠場の章のセンチメンタリズム。屠場のこと“もっと知りたい”という欲求が芽生えた。あとね、東京タワーの蝋人形館笑える。なぜフランク・ザッパ~!

  • 濃密な一冊だ。この一冊でかなりお腹いっぱいになれる。
    新潮の「波」に連載されていたルポルタージュをまとめた本作。

    東京番外地。つまり日本の中心地、東京の中にあるエアポケットのように存在する「辺境」を、著者が歩く。その場所は様々で、山谷や東京拘置所や松沢病院といった負のイメージを持つ土地だけでなく、東京タワーや皇居、ディズニーランドまでを含む。

    なぜにその場所がエアポケットのように存在していたり、まるで隠されているようにひっそりと身を潜めているのか、考えながら歩くのだ。その考察は時に鋭い。
    特に心に刺さったのは、「品川と場」や「芝浦と場」と呼ばれる食肉市場を歩いた回だ。食肉の流通問題や携わる人への差別問題を考察する。今まで普通に肉を口にしていたことが後ろめたくなるほどだった。

    決して負を感じさせる場所だけを取り上げているわけでもなく、また取材を申し込まなければ立ち入ることができない場所を訪れているわけでもないので、いつかここで取り上げられた場所を歩いてみたい。

  • 東京のちょっと変わったところに行くルポもの。
    それだけでは退屈だが、森達也の場違い感が魅力。
    オフビートな編集者を連れだってのショートトリップに胸躍る。

  • 森達也著「東京番外地」新潮文庫(2006)
    *人はなぜ宗教必要とするのか。世界中どこに行っても宗教を持たない文化や民族は存在しない。人が宗教を必要とする理由は生き物で唯一、自らがやがて死ぬ事を知ってしまった動物だからだ。宗教の重要な機能は倫理転生や極楽浄土など死後の世界を担保することにある。死後を担保される事で人は与えられたこの生を耶すらかにあるいは前向きに過ごす事ができるようになる。
    *黒は何にもそまらない、公正さを示す。
    *狩猟を生業にしていた縄文時代を引き合いに出すまでもなく、かつて日本人は普通に肉類を食していた。しかし、大陸から天来した仏教の殺生禁断の教えに日本独自の汚れの思想などが融合し、汚れた行為とされた食肉はそれから江戸時代が終わるまで社会的には禁止とされていた。しかし一般的にもこっそりと肉を食べていたらしい。(名残が桜肉や牡丹鍋で桜は馬の肉、牡丹は猪を示す、またウサギを一羽とかぞえるのも鶏肉として流通させたからという説もある)

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著者プロフィール

森 達也(もり・たつや)
1956年、広島県呉市生まれ。映画監督、作家。テレビ番組制作会社を経て独立。98年、オウム真理教を描いたドキュメンタリー映画『A』を公開。2001年、続編『A2』が山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。佐村河内守のゴーストライター問題を追った16年の映画『FAKE』、東京新聞の記者・望月衣塑子を密着取材した19年の映画『i-新聞記者ドキュメント-』が話題に。10年に刊行した『A3』で講談社ノンフィクション賞。著書に、『放送禁止歌』(光文社知恵の森文庫)、『「A」マスコミが報道しなかったオウムの素顔』『職業欄はエスパー』(角川文庫)、『A2』(現代書館)、『ご臨終メディア』(集英社)、『死刑』(朝日出版社)、『東京スタンピード』(毎日新聞社)、『マジョガリガリ』(エフエム東京)、『神さまってなに?』(河出書房新社)、『虐殺のスイッチ』(出版芸術社)、『フェイクニュースがあふれる世界に生きる君たちへ』(ミツイパブリッシング)、『U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面』(講談社現代新書)、『千代田区一番一号のラビリンス』(現代書館)、『増補版 悪役レスラーは笑う』(岩波現代文庫)など多数。

「2023年 『あの公園のベンチには、なぜ仕切りがあるのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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