狐笛のかなた (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.10
  • (751)
  • (640)
  • (464)
  • (37)
  • (6)
本棚登録 : 4417
レビュー : 560
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302713

作品紹介・あらすじ

小夜は12歳。人の心が聞こえる"聞き耳"の力を亡き母から受け継いだ。ある日の夕暮れ、犬に追われる子狐を助けたが、狐はこの世と神の世の"あわい"に棲む霊狐・野火だった。隣り合う二つの国の争いに巻き込まれ、呪いを避けて森陰屋敷に閉じ込められている少年・小春丸をめぐり、小夜と野火の、孤独でけなげな愛が燃え上がる…愛のために身を捨てたとき、もう恐ろしいものは何もない。野間児童文芸賞受賞作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 72

  • ブクログレビューで異類婚姻譚だと知って、とても期待して購入。

    小夜は夜名ノ里のはずれに住み、〈聞き耳〉の力を持つ。
    ある日、野火という子狐を助け、森陰屋敷に閉じ込められてる小春丸と出会う。

    期待し過ぎてしまいました。
    荻原規子さんや小野不由美さんのファンタジーが好きなので、こちらにはあまり入り込めませんでした。
    春名ノ国と湯来ノ国以外の国のことがわからず、世界の全体を掴めなかったからだと思います。
    だから、簡単に「若桜野、返せばいいじゃん」と思ってしまいました。
    野火や玉緒のキャラクターや、〈あわい〉の設定は好きです。
    ハッピーエンドで良かったです。

  • 幼い頃に出会った、小夜と野火と小春丸が、それぞれの運命と言うか、宿命に悩み苦しんで。でも最後、笑顔で手を振りあえて本当に良かった。

  • 人に使われる子狐、人の心の声が聞こえる女の子、閉じ込められた男の子。
    そんな三人をいきなり登場させられたら、
    ぐっと心を掴まれるに決まっている。

    守り人シリーズとは違う話。
    まったく違う世界の話だが、
    流れていくような、人の心の自然な展開は相変わらず。

    人間だったが、半分天狗になりかけている、
    半天狗という存在が面白かった。

    最後の若桜野、争いの元となった土地で、
    その三人が会う場面が美しかった。

  • この世には〈あわい〉と呼ばれる場所がある。
    人が住む〈この世〉と神々が住む〈彼の世〉の境目の、霊力のある獣たちが暮らす深い森だ。

    〈聞き耳〉の才を持つ小夜と呪者の使い魔にされた霊狐・野火。
    両者が隣国の領土争いに巻き込まれる純和風ファンタジー。
    上橋先生の今までに読んだ物語は異国風のものばかり。
    勿論それはそれで良いのだけれど、今回のような民俗学的な物語は理解しやすいしストレートに胸に刺さる。
    日本古来から続く野山等の元風景を舞台に、読み手の郷愁を誘う物語で親しみやすく、とてもわくわくして面白かった。
    今後は純和風ファンタジーももっと書いてほしい。
    令和の初読みがこの作品で良かった。

  • 小夜は12歳。人の心が聞こえる(聞き耳)の力を亡き母から受け継いだ。
    ある日の夕暮れ、犬に追われる子狐を助けたが、狐はこの世と神の世の<あわい>に棲む霊狐・野火だった。
    隣り合う国の争いに巻き込まれ、呪いを避けて森陰屋敷に閉じ込められている少年をめぐり、小夜と野火の、孤独でけなげな愛が燃え上がる・・・・・ひたすらに、真直ぐに、呪い彼方へと駆けていく、二つの魂の物語。


    なんとも心が温まる話でした。
    描かれている風景描写が素晴らしく、その光景の中に自分も身を置いているような感じさえしました。この世界観、さすが上原ワールドです。
    「守り人・旅人シリーズ」でのナユグとサグと似たような位置づけが、この作品では、この世と<あわい>。
    権力を争う一部の人間の勝手な思いのために、苦しくて辛い思いをしている人々や霊狐たち。小夜と小春丸と野火は抗う術もないままに渦中に取り込まれ、それぞれが己を信じ互いを思いやっていく様を見ていると、子供の頃にこういう思いをした経験が自分にもあったかのような気持ちになりました。
    物語全体を通して、人や他の生き物の温かさを存分に感じました。

  • 書き出しからすべるようにファンタジーが幕開ける。構えなくても入り込みやすい世界観。争いがあり、歴史ものにも近く見えた。動物好きな女性におすすめ。

  • 守り人シリーズや獣の奏者が面白いので初期の作品も読んでみたけど、期待したほどではなかった。深い描写がないというか、小夜の父母の話や「守り神」の話やらをもっと入れてほしかった。
    小夜の心の声が聞こえる能力も後半は忘れるくらいに出てこなくて、設定が生かしきれていない感じ。
    小春丸ルートだと思って読んでいたら、まさかの野火ルートだった。

  • 柔らかで豊潤、そして素敵な物語です。
    人の心の声が聞こえる少女・小夜とこの世とあの世の「あわい」に棲む霊孤・野火。
    二人が大国の思惑に翻弄されながらも健気に宿命に立ち向かう姿と何とも切ない関係性が胸を打つ。しっかりと作り込まれた設定と細やかな風俗描写、丁寧で優しい文章が作品世界に引き込んでくれます。
    末尾で宮部みゆきさんが「小説というものは、魔法」と綴っているがまさにその通り。
    美しくて優しい魔法のような小説です。

  • 最近は研究書やドキュメンタリーなどが多くて、久しぶりに物語世界に浸った満足感がある。昔、物語本しか読まなかった頃は考えたこともなかったけど、1人の作家の頭の中の空想からこんな風に世界が構築されることに最近はびっくりする。ファンタジーの世界は偉大だ、と今さらながら思う。
    狐笛のかなたのラストシーンは哀しい。小夜と野火は現世に適合しない人たちだった。いたらその能力を期待され、本人の意思に関わらず、また世が乱れる元となってしまっただろう。だから二人はあわいに生きる事を選ぶしかなかった。小夜と野火は幸せだろう。ただ彼らを受け入れることができなかった私たち、私たちに拒絶された2人を考えると泣けて仕方ない。私、このテーマダメなんだ、すぐ泣いてしまう。

全560件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

上橋 菜穂子(うえはし なほこ)
1962年、東京都生まれの児童文学作家、SF作家。
1992年『月の森に、カミよ眠れ』で日本児童文学者協会新人賞、2000年『闇の守り人』で第40回日本児童文学者協会賞、2003年『神の守人 来訪編、帰還編』で 第52回小学館児童出版文化賞、2004年『狐笛のかなた』で 第42回野間児童文芸賞受賞他、2015年『鹿の王』で第12回本屋大賞など、多数の受賞歴がある。
2014年には「小さなノーベル賞」とも呼ばれる世界的な賞、国際アンデルセン賞作家賞を受賞している。

狐笛のかなた (新潮文庫)のその他の作品

狐笛のかなた(新潮文庫) Kindle版 狐笛のかなた(新潮文庫) 上橋菜穂子
狐笛のかなた 単行本 狐笛のかなた 上橋菜穂子

上橋菜穂子の作品

狐笛のかなた (新潮文庫)に関連する談話室の質問

狐笛のかなた (新潮文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする