狐笛のかなた (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.10
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本棚登録 : 4398
レビュー : 560
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302713

感想・レビュー・書評

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  • 憎しみが憎しみを呼ぶ。それが根源の原因を覆い隠してしまわぬうちに。

    余所者として幾らかのよそよそしさを抱えながら、少女は村の外れで祖母と暮らしていた。
    ある日、年の瀬の市にて彼女は自らの生まれを知る者たちと出会い、やがて国境にある豊かな土地を巡る隣国間の憎み合いに巻き込まれていく。

    最初は逃げることしか身を守る術を持たなかった少女が、次第に他者を守るために相手へ対峙するようになる変化が目を惹く。
    逃げることは悪いことではなく、生き延びるための有効な手段だ。
    しかし、他者を守るために自分が出来ることは共に逃げるか、立ち向かうことだ。
    だが、その中で彼女は気付く。立ち向かっても相手に新たな憎しみが生まれ、その輪廻は終わりが見えないことを。
    それならば、まだ原因が見えるうちにそれを取り除いてしまおう。

    恨んでも、時は戻せません。この先を変えることしか、私たちには出来ないのです。

  • あー!ツボだった!!好きな話だった!!

    人の心が聞こえる少女・小夜と
    霊孤・野火の恋と戦いの話。

    春名ノ国の有路一族と、湯来ノ国の湯来一族。
    お互いに憎しみあって、領地の取り合いをしている。
    湯来一族に使える呪者に使い魔にされた野火を解放しようと
    とにかく進み続ける小夜。

    その他にも小夜の生い立ちとか、
    ずっと屋敷に閉じ込められていた小春丸とか。
    いろいろあって、とにかく面白かったです!

  • 72

  • 守り人シリーズや獣の奏者が面白いので初期の作品も読んでみたけど、期待したほどではなかった。深い描写がないというか、小夜の父母の話や「守り神」の話やらをもっと入れてほしかった。
    小夜の心の声が聞こえる能力も後半は忘れるくらいに出てこなくて、設定が生かしきれていない感じ。
    小春丸ルートだと思って読んでいたら、まさかの野火ルートだった。

  • 最近は研究書やドキュメンタリーなどが多くて、久しぶりに物語世界に浸った満足感がある。昔、物語本しか読まなかった頃は考えたこともなかったけど、1人の作家の頭の中の空想からこんな風に世界が構築されることに最近はびっくりする。ファンタジーの世界は偉大だ、と今さらながら思う。
    狐笛のかなたのラストシーンは哀しい。小夜と野火は現世に適合しない人たちだった。いたらその能力を期待され、本人の意思に関わらず、また世が乱れる元となってしまっただろう。だから二人はあわいに生きる事を選ぶしかなかった。小夜と野火は幸せだろう。ただ彼らを受け入れることができなかった私たち、私たちに拒絶された2人を考えると泣けて仕方ない。私、このテーマダメなんだ、すぐ泣いてしまう。

  • 2018.8.6
    文章も登場人物も綺麗でサクサク読めた。
    呪いの力が欲しい

  • 野火と小夜の話。

    日本ファンタジーだが、内容的には恋愛モノなのでキャラに入れ込めるかどうかと言うところな気がした。小春丸と小夜の話なのかと思い込んでしまっていたので、どうも当てが外れながら読んでしまった。

    ふわっとした体系化されていない不思議の描写はそこそこ好き。

    個人的には話の道筋が分かりやすい精霊の守り人のほうが好みみたいだ。

  • 呪いと生と死の物語。

    上橋菜穂子さんの作品は,厳しい。生きるとはどういうことかを突きつけてくる。現実じゃなくてファンタジーだからこそ感じられる,選択の厳しさ。私は何を大切にしたいのか。

    小夜は人の心が聞こえる力を持っている。幼い頃出会ったけがをした狐,屋敷に閉じ込められている男の子。亡き母の秘密。隣り合う国の争いに,自分の母や一族,力が関係していると知った小夜はどうするのか。小夜に助けられた霊狐・野火は主を裏切るのか。解放された小春丸は。誰もが自分の信じるものに頼り,どうにか結末を目指そうとする。エゴは醜いものだけれども,否定するのは難しくて。

    もっと壮大な長編にすることもできたのではないかと思った。終わったときにあっけなく感じた。ハッピーエンドではあるけれども,本当にこれで終わりなのか。しかし,実際もそういうものなのだろう。壮大で満足感のあるエンドマークなんて,現実には早々出てこない。現実を語るファンタジー。

  • 「春名ノ国」と「湯来ノ国」の土地をめぐる争いの中、敵対する事になってしまった野火と小夜の物語。

  • ぼちぼちですかね。
    読みやすかったが、何となく設定に対して今ひとつ盛り上がりきることができませんでした。呪者の強さとのバランスが少し強すぎたような感じがして、それが気になって盛り上がり切れませんでした。
    獣の奏者を先に読んでいましたが、読みやすさ的には変わりませんが、内容的にこちらは少し突っ込みどころが目につきましたね。

著者プロフィール

上橋 菜穂子(うえはし なほこ)
1962年、東京都生まれの児童文学作家、SF作家。
1992年『月の森に、カミよ眠れ』で日本児童文学者協会新人賞、2000年『闇の守り人』で第40回日本児童文学者協会賞、2003年『神の守人 来訪編、帰還編』で 第52回小学館児童出版文化賞、2004年『狐笛のかなた』で 第42回野間児童文芸賞受賞他、2015年『鹿の王』で第12回本屋大賞など、多数の受賞歴がある。
2014年には「小さなノーベル賞」とも呼ばれる世界的な賞、国際アンデルセン賞作家賞を受賞している。

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