狐笛のかなた (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.10
  • (748)
  • (640)
  • (464)
  • (36)
  • (6)
本棚登録 : 4398
レビュー : 560
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302713

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 『獣の奏者』を読んだ時、この人の中で死はバッドエンドを意味しないのだな、と感じた。

    本作も、終わり方は決して晴れやかなものではなく、どちらかというと断たれてゆく哀しさに満ちている。
    でも、それはバッドエンドではない。

    特別な能力を持つが故に孤独である小夜とエリンの立ち位置は非常に似ている。
    二人とも、自らを犠牲にしても遂げたい何かがあり、一途に純粋にそれを貫く。
    そうして、その何かには、必ず生き物との情•絆が濃く存在している。

    この純粋さに、私はたまらなく惹かれてしまうんだなあ……。

    小夜と野火の想いの強さには誰も勝てない。
    野火が人間と狐を行き来する、曖昧さの描写がすごく良かった。
    使役する者とされる者の危うさもしかり。

    だから二人が良しとする結末であれば、もうそれでオールオッケー!なのである(笑)

  • 初めての上橋菜穂子サン。
    入門として狐笛のかなたを薦めてる人が多かったので、最初は絶対に本作からと決めてました。
    結果、大正解!

    上橋サンの和風ファンタジーに惹き込まれ、野火の思いがせつなくて、胸が何度も苦しくなったけど、とても読みやすくイッキ読みでした。
    もっと悲しいラストを想像してたけど、このラストで良かった!
    これから獣の奏者を読もうと思います。

  • 優しい物語だったなぁー。
    野火と小夜の関係、そして小春丸。
    大切だからこそ憎み、利用し、守る。けれど大切だからこそ、捨てることも必要で。
    わかっててもなかなかできないよね。

  • もう…上橋作品から離れられないなあ。

    この物語には、獣の奏者へと続く多くの要素が見られる。いや、私は獣の奏者の原型だと感じた。

    なぜなら、小夜が選ぶ道は、常にエリンが選んできた道…「生きたい」という思いに導かれて進む道だったからだ。それが結果として哀しい末路であったとしても、思いとは真逆のものが待っていたとしても、小夜もエリンも「生きたい」という強い思いに従って…存分に生きた。

    人はなぜ生きるのかを、上橋作品から少しずつ学ばせていただいている。この普遍的な問いは、苦いものでも難解なものでもなかった。そのことに気づかせてもらいつつある。

    どうやら守り人シリーズを読むことになる日は近いようだ。

    まずは自分の世界で、もう少し生きてみよう。「生きたい」と念じながら。小夜のように。

    読後感、切なくとも淡い喜びに包まれる。いい本でした。

  • 文章を読めば読むほど、自分の奥底にある風景が蘇る気がした。祖母の家の裏にあった山の中で、小さい頃に見た風景なのだと後から思い出した。
    読んでいくうちに、このままちゃんと終われるのだろうかと不安になりながらも、きっちり終わらせてくれた。
    どちらかと言えば多分ハッピーエンド…なのだろうけれど、切なさが残る最後。
    小夜の選択にいろいろと度胆を抜かれながら最後まで一気に読み進めた。
    「終章 若桜野を」には「良かった」と胸を撫で下ろさずにはいられない。
    この章が一番好き。上橋さん独特の、優しさの籠ったもので、読者であった私自身も救われた気分だった。

    野火の純粋なまっすぐさも、小夜の素直で曲がらないところも、玉緒のあの話し方もさばさばしたところも好き。
    もう少し細かい解説が欲しかったように感じられたけれど、それぞれの人物が生き生きとしていて、楽しかった。
    うまく言葉にできないけれど、素敵な本。古本屋には売らずに手元に置き続けると思う。
    時間が過ぎたら、もう一度読み直したい。

  • 確かにあたしの中にもある風景のおはなし。実際に見たことはないけど
    でも日本に住んでいるから見える風景。野火みたいな男のこいいなー
    。まっすぐ。こういう優しい物語は全く違う場所や変わってしまった場所にも溢れてるものだっていう確信があるから不思議だ。

  • 2人の兄弟領主の憎しみ&闘い。

    あわい(神と人間の間)、人間の世界で生きる狐と人間を描いている

    狐火、呪者、守者、武士などがでてくる


    1冊だったので、個々の細かい設定や話しが出てこず、あっという間に読み終える本だった。
    呪者の過去、生い立ち、使える術などが別章で出てきたりしたら、も~~、私はその世界にどっぷりはまってしまうであろうとおもわれる。

    最後は感動です。野火の直向さを信じた小夜。素敵な本でした♪

  • 独特の世界観があり、読後に寂しさと、悲しい終わり方でありながら、主人公達だけの、永遠に続いていくような、希望を持たせてくれる、
    そういう感じを残す作品です。
    二人の世界は、誰にももう邪魔される事がないのが、せめてもの救いでした。

  • 児童文学とあるが、大人でも楽しめる。
    物語の絵を自分なりに想像しながら読むのがよい。

    あまり登場しなかったが、個人的には木縄坊の飄々とした感じが好き。

    読み終わった後、表紙を眺めると感慨深い思いがした。
    幻想的だし、なにより狐の字の一部が三日月になっているのもいいなと思った。

  • 無国籍ファンタジーが苦手でなかなか上橋菜穂子の作品に手が出なかったが、これならと手に取った。
    風景や登場人物が目に浮かぶよう。
    野火の想いの切なさに、やるせない気持ちを抱きつつもラストは清々しくあたたかい。

著者プロフィール

上橋 菜穂子(うえはし なほこ)
1962年、東京都生まれの児童文学作家、SF作家。
1992年『月の森に、カミよ眠れ』で日本児童文学者協会新人賞、2000年『闇の守り人』で第40回日本児童文学者協会賞、2003年『神の守人 来訪編、帰還編』で 第52回小学館児童出版文化賞、2004年『狐笛のかなた』で 第42回野間児童文芸賞受賞他、2015年『鹿の王』で第12回本屋大賞など、多数の受賞歴がある。
2014年には「小さなノーベル賞」とも呼ばれる世界的な賞、国際アンデルセン賞作家賞を受賞している。

狐笛のかなた (新潮文庫)のその他の作品

狐笛のかなた(新潮文庫) Kindle版 狐笛のかなた(新潮文庫) 上橋菜穂子
狐笛のかなた 単行本 狐笛のかなた 上橋菜穂子

上橋菜穂子の作品

ツイートする