狐笛のかなた (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.10
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本棚登録 : 4421
レビュー : 560
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302713

感想・レビュー・書評

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  • 呪者に呪力を授けられた霊狐・野火。

    人の心の声を聞く能力を持つ
    12歳の少女・小夜。

    屋敷に閉じ込められている少年、小春丸。


    やがて敵対する国同士の
    領土争いに巻き込まれていく
    小夜たち。


    古き良き日本の風景や
    和の心を感じさせる
    冒険ファンタジー。



    いやはや
    上橋さんの作品は初めてだったけど
    美しい日本語で綴られた
    哀と死の物語に、
    寝る間を惜しんで読みふけるほど
    かなり引き込まれました。


    なんと言っても
    自分を助けてくれた小夜に
    密かに恋焦がれる
    特別な力を持った狐、野火の心情が
    なんとも切ないのですよ…(>_<)
    (小夜と野火の仲をサポートし後押しする鈴姉さんのキャラがまたカッコいいのです)


    そして次第に心惹かれていく
    一人と一匹。

    倒さねばならない敵同士。


    生まれたところも生きる場所も違う
    小夜と野火の恋情は
    まるであの
    「ロミオとジュリエット」を彷彿とさせて
    哀しくも美しい。


    命の儚さとその価値を知り
    少女は戦うことを誓い、

    狐は少女の喜ぶ顔を見るためだけに
    自らの主に反旗を翻していく…


    もともとこの小説は
    児童書として書かれたそうだけど、
    子供の頃にこの作品を読めた人が
    ホンマ羨ましいって思う。

    けれど児童書は
    決して子供たちだけのものではないんです。


    絵本や児童書を大人が読んで
    心が救われたり、

    現状を打破する
    ヒントを貰ったりって
    実は結構あるし。


    簡潔にまとめられた文章だからこそ
    受け取る側の心のあり方によって
    違う感想になるし、
    想像力をかきたてられる
    児童書という存在。

    子供に響く話は
    実は大人にも確実に響くんですよね。



    果たして小夜の思いは届くのか?


    「何かを得る者は
    何かを失わなければならない」という
    人生の真理を教えてくれる
    切なく胸を打つラストは
    少しほろ苦いけど、
    自分は断然支持します。

  • この世には〈あわい〉と呼ばれる場所がある。
    人が住む〈この世〉と神々が住む〈彼の世〉の境目の、霊力のある獣たちが暮らす深い森だ。

    〈聞き耳〉の才を持つ小夜と呪者の使い魔にされた霊狐・野火。
    両者が隣国の領土争いに巻き込まれる純和風ファンタジー。
    上橋先生の今までに読んだ物語は異国風のものばかり。
    勿論それはそれで良いのだけれど、今回のような民俗学的な物語は理解しやすいしストレートに胸に刺さる。
    日本古来から続く野山等の元風景を舞台に、読み手の郷愁を誘う物語で親しみやすく、とてもわくわくして面白かった。
    今後は純和風ファンタジーももっと書いてほしい。
    令和の初読みがこの作品で良かった。

  • 本を読まない人をかわいそうだなと思うのは、文字を追い、ページをめくっていって、最高の物語の中に入り込めた時におこる、全身が総毛立つような感動を味わえないから。

    総毛立つとか鳥肌って本来は恐怖とか嫌悪感による現象にしか使わないみたいですが、本当に視界の端で前髪がちょっと持ち上がるんです。感動して。

    そうなってしまう本はそんなに多くはないんですが、上橋菜穂子さんの作品は打率が高い。

    「獣の奏者」は私の中では鳥肌本の殿堂入りですが、この「弧笛のかなた」も、時を経ても枯れない本になっています。

    ブクログでは見つけられなかったですが、理論社から出ている方の表紙が大好き。

    児童文学という括りになっていますが、風景描写の美しさ、共感を通り越して我が事のように胸を締め付けられる心情表現、大人も存分に楽しめます。

    子どもに薦めるうえで、「獣の奏者」はあの分厚さから、自分の読書力にある程度自信を持っている子どもじゃないと、開いて物語の中にダイブするまでがなかなか難しいですが、「弧笛のかなた」なら壁が低くて、上橋さんの世界を堪能できるかと思います。

    私は理論社版を読んだので知らなかったのですが、他の方が、巻末の解説で、小野不由美さん、荻原規子さんがファンタジー作家の代表として挙げられていると書いてくださってて、すごく頷けました。
    「十二国記シリーズ」「勾玉シリーズ」そして「獣の奏者」が、子どもにお薦めした結果、見事にハマりこんでもらえる鉄板作品なんですよね。

  • ぬおおおおおお!すごい良かった…!
    相変わらずご飯がうまそうなんですけど。風俗描写が細かくて、本当に、どうやったらこんな話が書けるのだろう?と途方に暮れています。
    闇ノ戸を閉じるシーンがとても美しくて、いいなあ。
    野火と小夜の心のふれあいがいとしくていとしくてならない。そして玉緒が大好きです。
    野火も小夜もまっすぐで感情移入しまくりました。
    小春丸が呪いを自分で増幅させているところは胸が痛かったです。
    異種族同士のふれあいが大好きな私には最高に大好きなお話となりました。息もつかさず読みました。ラストシーン、素晴らしいです。

    レビューを読んで。私はこれ以上ないハッピーエンドだと思ってしまったのですが、切ないエンドだとおっしゃる感想になるほどなぁ…と思いました。他の人の感想って面白すぎる。

    • まるもっちーさん
      コメントありがとうございます!(●^o^●)ファンタジーが好きなのでかなり偏った本棚となっておりますが何か通じるものがあれば嬉しいです♪
      ...
      コメントありがとうございます!(●^o^●)ファンタジーが好きなのでかなり偏った本棚となっておりますが何か通じるものがあれば嬉しいです♪
      この作品は本当に好きで好きでどこか切ない雰囲気が素晴らしいと思っています。上橋さん作品大好きです。
      プロボクサーさんですか!たくさん読まれているようで尊敬しながら眺めていました。
      良い縁に恵まれてうれしく思います。コメントありがとうございました!
      2015/04/12
    • 円軌道の外さん

      まるもっちーさん、おはよーございます(^^)
      コメントの返事まで書いてくれてありがとうございます!

      てか、前回なぜかフォローし忘...

      まるもっちーさん、おはよーございます(^^)
      コメントの返事まで書いてくれてありがとうございます!

      てか、前回なぜかフォローし忘れてました(滝汗)!!
      ホンマすいません!((((((゜ロ゜;
      完全に押したものと勘違いしてました…

      あっ、まるもっちーさんはファンタジー好きなんですね。
      夢を語れなかったり、物語を信じることができない若い人たちが増えてる今だからこそ、ファンタジーが持つ力って必要だと思うし、
      今年、上橋菜穂子さんが本屋大賞を穫ったことでまたファンタジーというジャンルが注目されてますよね。

      つか、話は変わりますが(笑)
      「ヒックとドラゴン」の続編ってホンマなんですか?
      (レビュー読ませてもらいました!)
      ドラゴンのトゥースがめっちゃ可愛かったし、
      (うちの愛猫にソックリでビックリしました笑)
      ホンマいい作品で好きやったので、
      思わずコメントしてしまいました(笑)

      ボクシングは試合がこの前終わった後で当分試合はないので(笑)
      今のうちにブクログライフを楽しみたいと思ってます。
      まるもっちーさんの素敵なレビュー楽しみだし
      また今後ともよろしくお願いします(^^)






      2015/04/27
    • まるもっちーさん
      コメント何度もありがとうございます!

      フォローはお気になさらずに。読んでいただけるだけでありがたいです♪

      ファンタジー大好きです...
      コメント何度もありがとうございます!

      フォローはお気になさらずに。読んでいただけるだけでありがたいです♪

      ファンタジー大好きですね~。ここではないどこかにいつも惹かれています。特に上橋さんのような、これ絶対どこかにある世界だろ、というくらい世界観が深い話に出会えると幸せになります。

      ヒックとドラゴンは3まで公開されているらしいのですが、諸事情があり日本では映画館で公開されない…とのことで残念でなりません。あれも人と人ならざる物の交流ですよね。泣いちゃいます。

      こっそり|ω・`)見守っていますのでまた素敵なレビュー読ませてくださいね。
      コメントありがとうございました!
      2015/04/27
  • 再読。大好きな本です。

    <聞き耳>の力を持つ少女と、主に使い魔として縛られる霊狐。
    何度読んでも小夜の優しさ、野火の強さに胸を打たれます。

    児童文学とはいえ、こんなにもドキドキする恋愛は珍しいのでは?(笑)

    子狐の頃、自分を守ってくれた少女をずっと見守ってきた野火。
    いつも、ピンチの時に現れる少年の正体が分かった時に、
    自然にそれを受け入れる小夜の大らかさにも、じんわりきます。

    切なく、温かく、ラストは思わず涙腺が緩みます。
    「終章 若桜野を」が大好きです。

  • あえて愚かな選択をしてしまうって、”ある”としみじみ実感した。
    怒り、悲しみ、苦しみと言った負の感情と無縁でいることは難しいし、その逆の誰かを愛しく想う気持ちもコントロール出来るものではない。
    そんな生々しい感情や人の世の業の只中で、小夜と野火の淡い恋は一服の清涼剤のように爽やかだった。

    小夜と野火の純愛がひたすらに微笑ましい。本文で「好き」とか「恋」と言う単語がほとんど出てこないからこそ、たった一つの「好き」にとても重みを感じた。

    読んでいる途中で、何度か泣きました。野火、なんて健気なの…!

  • 日本のファンタジー。
    小夜は人の心が聞こえる力を持つ。ある夕暮れ、犬に追われる小狐を助けたが、その狐はこの世と神の世の「あわい」に棲む霊狐。二つの国の諍いに巻き込まれ、人の心から生み出された怨みの連鎖によって、傷ついていく人々の心。閉ざされていく世界——若狭野。
    幼い小夜や野火の相手を思う行いが、澱んだ空気を払うかのように弱々しいけれど清々しくて、魅力的である。
    読後感が切なくて、そして優しい気持ちになれる。

  • 上橋さんはなんてすごいんだろう、とつくづく思った1冊。

    たった1冊でまとめられた物語なのに、それぞれのキャラクターに思い入れてしまう。特に子供の時のエピソードは、すごく短いのにそれぞれの優しさや思いが伝わってくる。その後の展開に「小春丸が助かりますように」「野火と小夜が幸せになりますように」と祈るような気持ちになるのも、このエピソードが生きているからだと思った。

    ラストがまた秀逸。
    こんがらがった恨みの連鎖を断ち切った春望の決断は素晴らしかった。

    上橋さんはシビアな話を書くし、野火は最後死んでしまうかなと思っていたので、ラストシーンがより美しく素晴らしく感じた。

  • 面白かった!「獣の奏者」が面白かったので、上橋菜穂子さんの作品はぜんぶ読もうと思った。やっぱり裏切らない面白さ。ファンタジーが好きになった。1つの土地を巡って憎み合う隣国同士。今の日本に通じるところがあって深い。どうして人は憎しみあうのか。特に近ければ近いほど憎しみが生まれる。近いと自分と比較してしまうからだろうか?

  • 野間児童文学賞受賞作品。
    巻末解説を読むまで忘れていました。
    信じる力vs.怨み疑心暗鬼妬み…
    最後の章を、祈るような気持ちで読み、翌朝は、マブタが腫れておりました。
    幸せに型なんてない。
    自分が一番欲しいものは、過去にこだわっていたら、駄目。
    いつの間にか沢山身に付けてしまった鎧は、自分から脱ぎ捨てたいですね。

    • hyoshi52さん
      よっしーです。「幸せに型なんてない」読んだ後にはしっくりくる言葉。本当に出会えて良かったと思える本。
      時期がきたら自分の子供へプレゼントして...
      よっしーです。「幸せに型なんてない」読んだ後にはしっくりくる言葉。本当に出会えて良かったと思える本。
      時期がきたら自分の子供へプレゼントしてあげたい♪
      2012/04/10
    • P(^∀^)Pさん
      >よっしーさん
      日頃、ついつい、たくさんのことを子供に伝えてあげたい、教えてあげたい、なんとかしたいって意気込んでしまってることが多々ありま...
      >よっしーさん
      日頃、ついつい、たくさんのことを子供に伝えてあげたい、教えてあげたい、なんとかしたいって意気込んでしまってることが多々ありました。
      そうか、そうですね、本に託すっていうの、いいですね。。
      2012/04/13

著者プロフィール

上橋 菜穂子(うえはし なほこ)
1962年、東京都生まれの児童文学作家、SF作家。
1992年『月の森に、カミよ眠れ』で日本児童文学者協会新人賞、2000年『闇の守り人』で第40回日本児童文学者協会賞、2003年『神の守人 来訪編、帰還編』で 第52回小学館児童出版文化賞、2004年『狐笛のかなた』で 第42回野間児童文芸賞受賞他、2015年『鹿の王』で第12回本屋大賞など、多数の受賞歴がある。
2014年には「小さなノーベル賞」とも呼ばれる世界的な賞、国際アンデルセン賞作家賞を受賞している。

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