精霊の守り人 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 10209
感想 : 1178
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302720

作品紹介・あらすじ

老練な女用心棒バルサは、新ヨゴ皇国の二ノ妃から皇子チャグムを託される。精霊の卵を宿した息子を疎み、父帝が差し向けてくる刺客や、異界の魔物から幼いチャグムを守るため、バルサは身体を張って戦い続ける。建国神話の秘密、先住民の伝承など文化人類学者らしい緻密な世界構築が評判を呼び、数多くの受賞歴を誇るロングセラーがついに文庫化。痛快で新しい冒険シリーズが今始まる。

感想・レビュー・書評

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  •  上橋菜穂子さんの小説は、ファンタジーではあるが、文化人類学者としての知識、深い考察に基づいた作品であるので、いつの時代か世界のどこかに本当に実在した国の歴史小説のようにリアルである。しかし登場人物は遠い昔の人という感じではなく、今の私達と等身大の人物として活き活き描かれている。
     現実に見えている世界「サグ」と目に見えない別の世界「ナユグ」があるという考え方も上橋さんが研究されているどこかの国のどこかの民族に伝わるお話からのヒントかもしれない。
     また、宗教的な立場の権力者が次第に政治に影響力を与えていくということ、国の歴史は権力者の有利なように記録されていくということ、いつの時代でもどこの国でも同じ普遍的なことを土台にしているので、ファンタジーといっても地に足がついていて、大人でも楽しく読める。
     ナユグの水の精霊の卵を体に産み付けられ、そのために卵食い「ラルンガ」に命を狙われるだけでなく、父である帝にも一度は無き者にされかける、新ヨゴ皇国の第二皇子チャグム。
    チャグムの母である第二王妃からチャグムの命を守ることを託される女用心棒バルサ。
     皇子であったのに、下層階級のバルサ、そしてバルサの親友で薬草師のタンダとの命がけの旅の生活が突然始まる。過酷な運命だが、これがロマンがあるのだ。
     バルサも元はカンバル王国という国の王に仕えた医師の娘であったが、過酷な運命に翻弄され、短槍の名手として戦い続ける女性。どちらも家族の愛に恵まれなかったので、バルサとチャグムがまるで母と子のような絆で結ばれているように見える。
     一番夢があったのは、チャグムとバルサとタンダが冬の間暮らした、山深い所にあった洞窟の家だ。入口は人一人やっと通れるくらいなのに、中はとても広く、広い玄関の奥に部屋が四つくらいあり、壁はよく乾いていて、煙出しの穴も囲炉裏もあり、蓆も引かれ、食料品の壺もいくつも棚に並べられ、とても住心地が良いのだ。ここで、三人は身を隠しながら、チャグムがバルサに武術を仕込んでもらったり、昔話を聞かせてもらったり楽しい生活を送るのだ。こんな秘密の家で暮らすような冒険がしてみたかった。
     長いレビューになった。
     バルサは孤独を愛する強い人。
     私も、辛いときはバルサを思い出そう。

  • わかりやすい。
    これが感想の第一。
    物語の方向性が明確で最後まで勢いがあった。

    親しみやすい書き言葉に加えて、人物像も明快に表現されているので読んでいて引っかかる部分が無かった。
    350ページ程度に、よくもここまで物語を書きまとめたな、と驚いた。かと言って物足りなさも感じない。これは非常に優れた著者の描写の取捨選択の表れであろう。
    児童文学などを書かれてきた作家ならではのシンプルさだ。説明が過ぎると読んでいてテンポが悪くなる小説も多くある中、久しぶりに珍しいタイプの作品だな、と感じた。
    ファンタジーでありながら、古来の習わしに馴染みを感じ、決して超人的な能力を持つ主人公が登場することもなく、世界観は絶妙なバランスを保っている。

    ただし説明が省かれた部分は多くあるのだろう。この簡潔な仕上がり。ある意味仕方ない。シリーズとしてはまだまだ続きがあるので、ぜひ読んでみたい。
    やはりファンタジーは良い。

    読了。

  • 念願の守り人シリーズを大人買いしました。

    主人公バルサがチャグム皇子に偶然出会い命を救うところから物語は始まりますが、まずバルサの年齢が30歳というのが意外でした。
    そしてチャグムの口調や好奇心旺盛なところが可愛くて、すぐにのめりこみました。
    ああ、これからあと9冊はこの世界に浸れるのかと思うと...もうそれだけで星5つつけたいくらいですが、思った以上に展開が早くて。もっと読みたかったというのが正直な感想。まあシリーズものとしてはこのぐらいがちょうどいいのかな?

    サグとナユグというふたつの世界というのが私には想像もつかなかったし、ニュンガロイムとニュンガロチャガが入り乱れてる場面は、え?これほんとに児童文学なの??と思うくらい。世界観がしっかりできているので、今後の展開にも超期待です。

  • 久々に小説を読みました。
    旅の途中で立ち寄った古本屋で購入。
    行きの車中で読破。
    幸福な読書でした。

    詳しい感想は、コチラ。↓
    http://blue-shine.jugem.jp/?eid=156

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      上橋菜穂子が国際アンデルセン賞を受賞。さもありなんですが、このシリーズも途中までしか読んでいない。早く終えて、「獣の奏者」に移りたい。。。
      上橋菜穂子が国際アンデルセン賞を受賞。さもありなんですが、このシリーズも途中までしか読んでいない。早く終えて、「獣の奏者」に移りたい。。。
      2014/04/18
    • アセロラさん
      nyancomaruさんへ
      わたしも未だに続刊は手に取っていないです(汗)
      続きは気になるんですが…。
      nyancomaruさんへ
      わたしも未だに続刊は手に取っていないです(汗)
      続きは気になるんですが…。
      2014/04/22
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「続きは気になるんですが…。」
      私も半分くらいで、足踏み中。サラッと読めると思うと後回しになってしまって。。。
      「続きは気になるんですが…。」
      私も半分くらいで、足踏み中。サラッと読めると思うと後回しになってしまって。。。
      2014/04/28
  • 守り人シリーズ1作目。
    途中、サグとナユグが重なるシーンとか、チャグムが見ているシーンとか、爪が地面を切り裂くシーンとか、映像で見てみたいと思った。
    描写がしっかりしてるので、ファンタジーだけど鮮明にイメージできる。

    伝説と運命に立ち向かっていくストーリー。
    恩田陸さんの解説文がとても良かったので、ぜひそこまで読むことをおすすめします!

  • 児童文学と言われるだけあって読みやすいし、物語に没頭できた。戦闘シーンが躍動感あったし、隠れ家での生活なんかも上橋先生らしい描写がとても良い。シリーズなので、これからさらに没頭できるのが楽しみで仕方ない!

  • 精霊の守り人シリーズ第一弾。
    力強い描写と、はっとさせられるような心に残る言葉が所々に隠されている点がポイントでした。
    たまに、イメージする部分が難しい場面もありますが、ハマる人はとことんハマってしまうと思います。
    主人公の女用心棒バルサがかっこいいです。

  • NHKのドラマやアニメをみて、原作を読んで見たくなりました。原作のほうが好きになりました。ワクワク、ドキドキを久しぶりに感じました。冒険ものはこうでなくっちゃ!!っと思う作品です。

    バルサの生い立ち、チャグムとの出会い、タンダとの関係、そして自然やさまざまな民族が生きる世界がとても美しく描かれていると思いました。こんなに強く生きる主人公はなかなかいないと思います。またチャグムの成長がバルサの心優しい部分を雰囲気を引き立たせているように感じました。

    シリーズになっているので、できれば読破したいです。

  • 戦いの描写の説明が端的で、不要な言葉がないかのようだ。しかし鮮明にイメージでき、スイスイ読めて世界観に引き込まれた。
    文化人類学者の作者が練り込んだ世界が、本当にある歴史のように感じた。

  • 話の展開の面白さ。
    バルサの心情変化。
    先に闇の守人を読んでいたので、ジグロに対する心情変化が理解しやすかった。
    情景描写も丁寧で想像しやすい。
    ラルンガとの戦闘シーンは、文章から浮き上がってくるかのように激しさが読み取れた。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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