- Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101302737
作品紹介・あらすじ
女用心棒バルサは、25年ぶりに生まれ故郷に戻ってきた。おのれの人生のすべてを捨てて自分を守り育ててくれた、養父ジグロの汚名を晴らすために。短槍に刻まれた模様を頼りに、雪の峰々の底に広がる洞窟を抜けていく彼女を出迎えたのは-。バルサの帰郷は、山国の底に潜んでいた闇を目覚めさせる。壮大なスケールで語られる魂の物語。読む者の心を深く揺さぶるシリーズ第2弾。
感想・レビュー・書評
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舞台は新ヨゴ王国からバルサの故郷カンバル王国へ。
ジグロの弔い行としてカンバルへ向かうバルサ。洞窟の中で闇の守り人であるヒョウルに襲われる兄妹、カッサとジナを助けることから物語は始まります。
洞窟の道標が短槍に刻まれた模様だったり、その洞窟の住人ヒョウルの持ち物がルイシャという宝石であったり、牧童という小人の存在だったり。
前作にも増して幻想的で胸が躍る反面、カンバル王国の悪行...ここがバルサの過去に繋がるわけですが、その部分が描かれており、とても悲しいお話だとも思いました。
ヒョウルの正体が明かされる場面もそうですが、槍舞がなんとも切なくて。
でも、救いようがないと思っていたラダール王が国の為に頑張った姿にはぐっときました。カッサも勇敢でしたね。
いつかバルサが堂々と国境を渡り、故郷カンバルに帰る姿が見たいですね。そこにカッサの成長も描かれていたらもっといいなぁと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大人向けのファンタジーだからこの巻が好きだといって貸してもらった。
小さかれ大きかれ、人は呪いを持って生きていると思っている。そして呪いのせいで人生をとことん楽しむことができない(もしくは人生そのものを歩めていない)。この巻ではバルサの呪いが解けたのだと思った。これからバルサはタンダを大切に思って生きて行くこともできるのだろうし、ジグロのこともあたたかく思い出すことができるだろう。本当に良かった。 -
和風というかアジアンテイストのファンタジー小説が一般的になってきてから久しいが、設定の緻密さやドラマとしての完成度において上橋菜穂子の作品は、このジャンらの代表作の一つではないかと思う。
特にこの守り人シリーズは、巧みな異世界の設定と心揺さぶられる人間の心情の描写が紡ぎだす素晴らしいファンタジー小説に仕上がっていると思う。
前作の精霊の守り人の物語の後、バルサは自分の過去と向き合うべく故郷のカンバルを目指す。
今回は、バルサの故郷となるカンバルが舞台となり、その地で古来から行われている”ルイシャ贈りの儀式”にまつわる冒険譚となる。
今回の物語のキーワードは、地下世界ではないかと思う。
古来、人類は冥界が地下に属するものと信じていた。
そこは、生と死の境界であり、先立ってしまった親しい人たちと会うことができる場である。
過去と対峙し、それを越えて生きていかなければならない主人公バルサには、良く考えられたシチュエーションではないかと思う。
物語の読後感は清々しく、この物語のふさわしいものだった。 -
一気に読み終わり、大変面白い小説だった。
まだ僕が学生だった頃にたくさん読んでいたファンタジー小説の世界に懐かしくも没頭する事ができた
これは「精霊の守り人」の続きもので、女用心棒バルサの癒しと再生の物語だ。
前作が青年向けの小説だとしたら、今作は大人でも楽しめる内容だと思う。
バルサの過去の苦悩が物語を通して癒されていく様子がとても印象的だった。
内容もストーリーもその見せ方もとても分かりやすく、読みやすく、著者の力量に「さすが!」だなと思わずにいられない。
読んでワクワクドキドキしながら純粋に読書体験を楽しみたい人にオススメ! -
【再読】
流れるように進む展開の中に、大人たちのドロドロとした願望や過去と向き合う意思が絡み合って、、決して明るい話ではないけど、読み始めたらスッと本の世界に入っていけるような、物語の力を感じた。
前作から繋がりはあるものの、違った印象を受けたのは、あとがきにもあるように、バルサが軸になっているからだろうか。。一歩一歩、自分の足で、意思で、しっかりと踏みしめながら進んでいるのが強く感じられた。シリーズとしては2作目、でもバルサにとっては大きな山だったんだろうなぁ…。
重い話が続く中で、いろんな人の思いに触れて、辛くなる時もあったけど、カッサやジナなどの若い世代の青さ、真っ直ぐさに救われた気がする。成長した彼らの姿を読める時はあるのかな?楽しみにしておこう。 -
すごいなぁ。
精霊の守り人の中で、チャグムにふいに語ったあの物語が、こんな壮大な業になっていくとは!
闇の守り人ヒョウルという大きな存在やその盗掘にある不思議な宝ルイシャ、そんなことをどうやって思いつくのかしらとドクドクと読み進むと、バルサの故郷の悲しい政と、貧しくとも美しい景色に魅了されてます。
不思議な、小さな牧童たちが現れるともうなんとも言いがたく楽しくなってしまう!
私はバルサがドムの毒槍をうけ、気を失った後の小人達とのやりとりが大好きです。バルサの過去を振り返る辛い旅の中、いつも守られている暖かさ、はぁ、上橋菜穂子さん、ティティ・ランなんて、いったいどこから浮かんだのですか!山の王の姿の形容も、文句のつけどころなく素敵でした!
束の間の幻想と勇者との旅、心から楽しみました。 -
守り人シリーズ第2弾!
女用心棒バルサを待ち受けるまたまた数奇な運命。
バルサは運命という言葉を嫌うけれど、
大きな力にまるで引き寄せられるように過去と対面することになるバルサ。
過去を引きずったまま生きていくのは困難だ。
いつかどこかで真正面から対決して清算しなければ。 -
「槍舞い」とは美しい言葉だ、と思う。
「槍舞」と書くこともできそうだが、やはり「槍舞い」がいいのではないだろうか、と思う。大人の世界にも子供の世界にも共通して広がっている地平のようなものを示してくれる懐の深い意味を持つ雰囲気が「槍舞い」という言葉にはあるように思われる。
子供の頃、だんじり祭りによく連れて行ってもらったことがある。そのだんじり祭りは、だんじり同士が互いのだんじりを突き合わせて試合(喧嘩?)をするのである。「あれは町同士で試合をしてるんや」と語ってくれたのは祖父だったか祖母だったかそれとも母親だったか。その語りは大人になってみると「公然とできる戦い」という形で言語化できる。実際に戦争をしてしまうと死者が出てしまうので、戦争の代わりになるようなものが必要なのだろう。若い男衆の持て余す力を発散する場所の役割を担っているのだと、多少学術的な視点を入れて言うこともできそうだ。ただ、祭祀の一つとして「闇の守り人」の中で語られる「槍舞い」には、もう少し人間の深層に立ち入った意味合いがありそうだ。そしてこれを読んだ後、幾多の祭りの中にもこうした「槍舞い」的要素が隠れているのではないかと、思いを新たにした。
バルサとジグロによる「槍舞い」のシーンは思わず目頭が熱くなった。バルサがジグロの憎しみを感じる、そして、ジグロへ怒りをぶつけるバルサ。バルサの魂を鎮めることで向こう側へと突き抜けていく感覚。これは大なり小なり、現実の私達にもある感覚なのだろう。私は子供の頃、自分の親に対して、自分が足かせになっているのではないかという感覚をよく持っていた。「そうだ」と言われたわけではないが、少なからず足かせだと思ったこともあるんだろうとよく想像する。そして、自分は人の親ではないが、自分の子がもしもできたら「この子がいなければ・・・」という感覚が襲ってこないだろうか?と想像することがある。そしてそれを克服するために、その向こう側へと突き抜ける作業をしないといけないのだろうと。
「ファンタジー」という枠を借りてしかできないことがあるのではないか、と常日頃感じているが、これはまさにそのことをやってのけている小説だと感じた。素晴らしい。 -
世界観が素晴らしい。どんどん読みたくなる。
バルサが槍舞いを通して過去と向き合う場面は、心苦しさもあるが前に進むための勇気をくれる。
著者プロフィール
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