夢の守り人 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 468
  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302744

作品紹介・あらすじ

人の夢を糧とする異界の"花"に囚われ、人鬼と化したタンダ。女用心棒バルサは幼な馴染を救うため、命を賭ける。心の絆は"花"の魔力に打ち克てるのか?開花の時を迎えた"花"は、その力を増していく。不可思議な歌で人の心をとろけさせる放浪の歌い手ユグノの正体は?そして、今明かされる大呪術師トロガイの秘められた過去とは?いよいよ緊迫度を増すシリーズ第3弾。

感想・レビュー・書評

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  • トロガイ師の悲しい過去と呪術師を志したきっかけ。52年を経て、再び向かい合う心の重みと決意の強さ、ああ、かっこいい。現状を打破したい思い、でも自分ではどうにもことを動かせない実情、足掻きもがく苦悩と先に見える不安、現実逃避したい気持ちの訴えがすごい。夢に溺れるという表現もあるけれど、まさにそれ。夢を見ることで自分を支えたり、力を生み出したりすることができる。でも、ただひたすら夢を見ることは何も生まない。大切なのは、現状を正面から見つめ把握すること、夢を見てもすがらないこと、かな?
    .
    「なにをしてるんだい、へぼ弟子!」
    トロガイ師と弟子のタンダの関係性と、トロガイの肝の座り具合がこの一言に表れていて一番好き。

  • 自分が選ぶことのできなかった幸せをどうしても夢見てしまうのが人間の性である。でも現実に自分が選びとった人生の中で、小さな幸せに気付けるかどうかがすごく大切だと思った。

  • 寝る前に読むとちょっと読んでは寝てしまい、なかなか読み終わらかったのと、タンダが死にそうなのに緊迫感がないのは、「夢」のせい? 表紙の真ん中の人かっこいい。タンダ…なのか? シュガはイケメン枠確定。

  • 今回はトロガイの過去をたどる。。
    巻き込まれる弟子タンダ。
    最後の師匠の一声に、笑いながらも安心の涙。。。
    皇太子になると決めたチャグムに、つけ入る闇。
    でもどんどん強くなる彼がどんな帝になるのか?
    心強い(?)シュガがいるから、安心かな?(笑)
    さてさて、やっとタンダのもとに戻ったバルサ。
    いきなりの戦いになったけど、今度こそは二人で穏やかな。。。
    というわけにはやはりまだいかないか(笑)
    夢見ることは大事だけれどそれに飲み込まれないようにしなきゃだね。

  • 人の夢を糧とする異界の''花''に囚われ、人鬼と化したタンダ。女用心棒バルサは幼馴染を救うため、命を賭ける。
    心の絆は''花''の魔力に打ち克てるのか?
    開花の時を迎えた''花''は、その力を増していく。不思議な歌で人の心をとろけさせる放浪の歌い手ユグノの正体は?
    そして、今明かされる大呪術師トロガイの秘められた過去とは?

    <守り人・旅人シリーズ>第三弾です。

    この本の世界に溶け込むのに少しだけ抵抗があったのは、自分の思いと重なる部分が多かったからかもしれません。
    現実から逃げて心地よい夢の世界にずっといたい。
    そう思うことは多々あります。
    思う人がいるからこそ、人の夢を糧とする異界の''花''に囚われるのでしょうね。
    タンダが頼りなく見えても、いざというときに発揮する力の偉大さを改めて痛感させられました。自分のためでなく、大切な人のために自分が出来ることをやる。
    なかなか出来ることではありません。

    後半のバルサの言葉が身に沁みました。
    「あれほどの思いをかけてくれたことを、わたしは、信じられぬほどの幸せと思って生きるべきだったんだ。・・・・・好きな者を守って生きることには、喜びもあるんだから。あんな人生だったけれど、ジグロにも、そんな喜びがあったと思いたい。チャグムを守っていたとき、わたしは幸せだった。他人のチャグムのために、死ぬかもしれない危険な戦いをしたけど、それでも・・・・・幸せだったんだよ」

    私は自分の今までの人生で、「もし、こうじゃなかったら・・・・。」と思うことは多々ありますが、それに対してもバルサが明確に答えを示してくれた気がします。
    「もしっていうのは、苦しくなったときにみる夢だよ。目ざめてみれば、もとの自分がいるだけさ。――夢を逃げ道に出来るような人生をわたしは送ってこなかった。」


    読後、かなり感情移入している自分に気づきました。
    どれだけ自分が、自分を甘やかし続けてきたことも・・・・・

  • タンダとチャグムの再会。バルサとチャグムの再会。どちらも涙。ずっと一緒にいられたらいいのに。

  • 誰にでも夢でもいいから戻りたい過去があるし、夢見たい未来がある。
    花を咲かせるために夢を見せる。その夢に入っていってしまった人々。夢はいい夢もわるい夢もみせる。でも心地良い夢は覚めたくない。
    私はあまり夢見がいいほうではないし、悪い夢は起きた後でも覚えてるし、良い夢はどんな夢だったかあまり覚えていない。でも心地良い夢だったってことだけ覚えている。それくらいでちょうどいいのかもしれない。

    3作目ではタンダがメインかな。
    皇太子になったチャグムがバルサやタンダと共にした生活を懐かしみ、夢に囚われる。けれど、チャグムはちゃんと戻ってきた。元々強い子なのか、あの日々があるからこそさらに強くなったのか。帝に対してのあの堂々たる演技。チャグムが見違えるほど成長したのが感じ取れた。

    2019/01/02

  • 人を夢にとらえる<花>の話、
    夢は、見に余るほど大きな<魂>をもってしまった人間にゆるされた、たったひとつの自由に舞える空でありーーのがれたい罠であるのかもしれない

    幻想的で美しくもありながら、恐ろしい闇を感じさせる夢にとらわれた人々を救い出せるか。出てこようとしない人もいる、というくだりにはチクリと感じた。

  • 【読書メモ】
     ・ すぐに役立たないものが、無駄なものとは限らない p192
     ・ 「<魂>の世界ではね、気がつかないと、なにも見えない。これは呪術の基本さ」 p200
     ・ <魂>にとっては、姿は、その性質を示すんだ。人の姿では、人の走る速さでしか走れない。だが、鳥になれば、鳥が飛ぶ速さを得られるんだ。 p208
     ・ …人はなぜ、身体にあまるほど大きな魂をもってしまったんだろうね? p209
     ・ だがね、ほんとうの呪術師なら知っているもんさ。夜の力と昼の力が、たがいに補いあっていることを。……いつか、おまえも知るだろう。魂の見えない、普通の人々のしたたかさを。−あたりまえの日々を生きていける人々の、強さをさ。 p336
     ・ 

  • 守り人シリーズ3作目。舞台は新ヨゴ皇国に戻ります。

    夢を糧にしている花と、五十年以上前に花番とサグの娘の間に生まれた魂の話。トロガイの甘い!過去が絡んで、これも長いスパンのお話です。

    ミイラ取りがミイラになってしまったタンダの怖ろしさ。彼を失う恐怖におびえるバルサ。1作目以来の活躍の狩人たち。そして末恐ろしい意思の強さを持つ少年に成長しつつあるチャグム。一気に読んでしまいました。
    バルサとチャグムの再会のシーンは、あっさり描かれていますが、かなり気に入っています。

    一貫して、放浪の歌い手ユグノが好きになれませんでした。もちろん意図があってそう描かれているのは読み終えた後では分かるんですが、精神的に幼すぎる。最後の選択で「魂が根底から変化した」ようですが、次巻では表には出ていない彼がどこで何を無責任に歌っているのか・・・

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著者プロフィール

上橋 菜穂子(うえはし なほこ)
1962年、東京都生まれの児童文学作家、SF作家。
1992年『月の森に、カミよ眠れ』で日本児童文学者協会新人賞、2000年『闇の守り人』で第40回日本児童文学者協会賞、2003年『神の守人 来訪編、帰還編』で 第52回小学館児童出版文化賞、2004年『狐笛のかなた』で 第42回野間児童文芸賞受賞他、2015年『鹿の王』で第12回本屋大賞など、多数の受賞歴がある。
2014年には「小さなノーベル賞」とも呼ばれる世界的な賞、国際アンデルセン賞作家賞を受賞している。

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