夢の守り人 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302744

作品紹介・あらすじ

人の夢を糧とする異界の"花"に囚われ、人鬼と化したタンダ。女用心棒バルサは幼な馴染を救うため、命を賭ける。心の絆は"花"の魔力に打ち克てるのか?開花の時を迎えた"花"は、その力を増していく。不可思議な歌で人の心をとろけさせる放浪の歌い手ユグノの正体は?そして、今明かされる大呪術師トロガイの秘められた過去とは?いよいよ緊迫度を増すシリーズ第3弾。

感想・レビュー・書評

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  • 踏鞴(たたら)を踏(ふ)む
    【意味】
    1 たたらを踏んで空気を送る。
    2 勢いよく向かっていった的が外れて、から足を踏む。
    (goo辞書より)

    進展なしかーい!(ある意味ごっついネコバス違うネタバレ)
    いい歳したおばさんおじさんが進展なしかーい!(確かバルサ女32歳、タンダ男30歳)

    はい、自分の過去と向き合って新ヨゴ皇国に帰ってきた女用心棒バルサ、待っていたのは幼なじみタンダの大ピンチ!タンダの師匠トロガイや皇太子チャグムの助力を得ながら無事タンダを助け出したバルサ

    で、進展なしかーい!
    中学生か!中学生の淡い恋模様か!
    チューくらいせーよ!
    どんだけ児童向けやねん!
    いや児童向けだけども!

    78歩くらい蹈鞴踏んだわ!(78歩はもう蹈鞴じゃない)

  • トロガイ師の過去を紐解くお話。
    前2作のような派手さや重厚さはないけれど、花と夢の世界の美しさや、トロガイ師とタンダの呪術がたっぷり描写されてて良い。
    ただユグノには若干イライラする…笑(本人のせいじゃないし、ラストの流れは良かったけど)
    そしてタンダが痛々しくてしんどい…。

    少しだけどチャグムが出てきてくれて嬉しい巻でもありました。
    子の成長は早い…(親目線)

  • 自分の心が弱っている時に忍びこむ、何もかもから逃げ出したいうずき。
    自分不器用ですけど、それって誰にもあると思ってます。

    この本、惹かれるんです。
    生命と魂の繋がりや、死の瞬間に何が起きるか。その後に何が起きるかの描写も。
    それから、死のすぐそばを辿っているときの
    無自覚な恍惚状態に気持ちが共振する感じ。

    そして、(色んないい場面をすっ飛ばしますが、)
    「なんだかんだあっても、こっちの世界で生きようや」、というメッセージが嬉しいというか。
    同意見です。



  • 魂を癒す夢と、そんな夢に縋る人々と…
    夢というテーマ、何かどこか自分の琴線に触れ静かに感動。今回も壮大な世界観にどっぷり。

  • チャグムとバルサが再会した「夢の守り人」。

    お人好しゆえに花守となり、操られるタンダ。幼馴染を救うため、バルサが立ち上がる。

    タンダの知り合いのカヤ、そしてチャグム、皇太子であった息子サグムをなくした一の妃たちは〈花〉にとらわれ、眠りから醒めず、夢を見ていた……。
    魂はとられず、意識はあったタンダが、一人一人に声をかけ、眠りから覚ましていく。

    リー・トゥ・ルエン〈木霊の想い人〉のユグノは、人鬼と化したタンダに狙われながらも、バルサに守られる。

    久しぶりにチャグムや狩人のジンたちに会え、懐かしさが込み上げてきました。チャグムも大変だろうけど、頑張ってほしいな。
    ユグノはムカつくんだけどのんきすぎて何も言えなかった…。

  • 初読の時は前2作に比べ物足りなさを感じたが、再読すると面白いと感じた。現実から逃げ込む先としての夢。実生活においても、似たような逃げ込み先を用意しておくことが多いのではないか。辛さの大きさに比例して、逃げ込む切実さも変化する。自分を守るための防衛措置としての夢。ファンタジー要素を取り払えばいくらでもあり得る話だと感じた。

  • 日常で自分の思うようにならなくて夢を追いかけている人が眠ったきり起きない。ずっと幸せな夢の中にいたいから…。
    今回はバルサよりタンダやトロガイの出番が多いので新鮮な感じでした。

  • 呪術士タンダと師匠トロガイの出番が多いので、バルサ好きの自分には若干の物足りなさが…。それでも安定の面白さでした!

  • 順番に読んでますが、ここに来て、一番好きな世界感。

    夢と花、ファンタジーの王道なんでしょうけど、心掴まれた。

    登場人物一人一人の気持ちも心に響き、心に残った。

  • シリーズ三作目となる本書。
    国産のファンタジー小説は多数あれど読んで心地よく世界観に浸れるものは数えるほどしかない。
    守り人シリーズは数少ないそのうちの一つと言える。

    前の巻であ「闇の守り人」は、バルサの物語であるが、今回は大呪術師トロガイと薬草師のタンダの物語と言えるだろう。
    普通の人には見えない異なる世界を見ることができる人々の物語。

    バルサは、奴隷狩人から不思議な歌い手を助ける。
    時を同じくして多くの人々が突然眠り続けたままの状態になる奇妙な事件が発生する。
    タンダは眠り続ける姪のカヤを助ける為、危険を冒し「魂呼ばい」の儀式を行い、彼女の夢の世界に入り込む。

    今回扱われる世界は夢と花である。
    花が絡む幻想的な物語というと中国の幻想譚が思い出されるが、そういった何とも言えない怪しく幻想的な雰囲気が漂う世界が巧みに描写されている。
    古来、夢の世界と言うのはあの世とこの世の境目に位置すると考えられている。
    眠っている間人間の魂は肉体を離れ、この幻想的な世界を旅しその時の経験が夢であると昔の人は信じていた。
    また一方、人は恋い焦がれるものや理想とするものを夢と呼びそれを求める。
    あるものは、その思いが強くなりすぎ、自ら作り出した狂気という夢の世界で生きる。
    今回の話は、そういった事がテーマとなっていたように思われる。

    現在よりはるかに生活が過酷で、選択肢が少なかった時代の人々はどのような思いで生きていったのだろうかと考えさせられた。

    物語で、心地良いが死につながる危険な夢の世界から抜け出すのに必要だったものは、親しい人たちからの愛、そして日常の些細な瞬間の美しさを愛おしむ心であるというのは素晴らしい解答であると思う。

    それと武人であまり自分の感情を口にしないバルサがタンダをどれほど大切に思っているかがわかるお話でもあった。
    ホントこの二人には幸せになっていただきたい。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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