神の守り人〈上〉来訪編 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.17
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レビュー : 328
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302768

作品紹介・あらすじ

女用心棒バルサは逡巡の末、人買いの手から幼い兄妹を助けてしまう。ふたりには恐ろしい秘密が隠されていた。ロタ王国を揺るがす力を秘めた少女アスラを巡り、"猟犬"と呼ばれる呪術師たちが動き出す。タンダの身を案じながらも、アスラを守って逃げるバルサ。追いすがる"猟犬"たち。バルサは幼い頃から培った逃亡の技と経験を頼りに、陰謀と裏切りの闇の中をひたすら駆け抜ける。

感想・レビュー・書評

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  • おもしろーーーい!
    というにはあまりに残酷なお話ですが、それでもやっぱり面白いと私は言いたいです。

    今作はロタ王国のお話で、ロタとヨゴの境界にある草市へ向かったバルサとタンダが、ロタで古くから恐れられている神、タルハマヤを召喚できる少女に出会い、少女を守るために奮闘するのですが、長編なのもあり今まで以上に緻密に練り上げられた感があります。こういうのたまんない。すきすぎる。

    アスラをめぐって、追いつ追われつを繰り返していく前半は読んでるこちらまで胸が苦しくなるし、アスラに宿るタルハマヤの恐ろしさに震えますが、バルサと行動を共にするアスラの心が少しずつ洗われていく姿に僅かながら希望の光が射している気がして...。それにバルサならきっとやってくれるだろうなという期待も当然ありますし。とにかく後半!どうなるんだ~

  • 2013.10.5読破。とうとう舞台にロタ王国が出てきて大変嬉しい。このシリーズは男性が武器を持ち戦い、女性が治療や呪術で影から支えるというファンタジーの中のジェンダーを思いっきりひっくり返しているのがいい!
    バルサさん本当にかっこいい。
    これは児童書にあたる本だが、主人公が30代の女性で感情移入とかできるのかな?児童書として成り立つのかな?と思っていたがどの巻にも子供は必ず物語の中心に登場するから子供でも感情移入はできるし、むしろ登場人物の年齢層が幅広い作品でもあるから本当に老若男女問わず楽しめる作品なんだろうなと思った。
    さて、続き読も。

  • 20111029
    1日

  • "猟犬"に追われているチキサとアスラをかばって、2人の生き残れる道を考えるバルサとタンダの優しさに、胸がぎゅっとなる。
    危険な道と知りながら、その道をどう切り抜けようかと共に考える2人は、ベストパートナーだと思う。

    バルサとアスラが逃げ込んだヨゴの街の面々(マーサやタチヤ)たちの優しさと、臨機応変な対応に救われる。
    チキサとアスラが笑って暮らせるような未来が来るといいなあ。

  • 守り人シリーズ5巻。本作は初めての上下巻です。

    今度はロタ王国が舞台で、前作での明るく陽気な雰囲気からは一転、逃亡と殺戮の日々が続きます。

    本作ではチャグムは登場しませんが、サンガルに行った4巻と時間軸が少し重なっていて、ちょっとうれしくなりました。
    二人が再会する時はあるのかなあ、させてあげたいな。
    なんてバルサは現在、そんなことを言ってる場合ではなかった!

    この5巻は、鬼神であるタルハマヤを呼び寄せる力を持ってしまった少女アスラを追手から守るバルサの物語です。

    「それが正義であれば、殺人は許容すべきか。」
    という重いテーマが描かれていて、やっぱりいろいろ考えさせられました。
    殺さない道を探すべきとも思うし、そもそも殺せば完結するの?とも思う。でも、万人を危険にさらす可能性も確かだし、それを政治的に利用させてしまえば取り返しがつかない・・・
    それぞれの立場での正義があり理屈があるのがわかるだけに、自分の考えがブレまくりです(涙)

    下巻、どうなっちゃうんだろう・・・

  • 身の内に恐ろしい神タルハマヤを宿らせた少女アスラを守る事になったバルサ。
    呪術という特殊な能力を持つだけに、彼女に触れたときただごとではない<死の匂い>にぞっとし、危険を感じたタンダ。バルサにも「関わらないでくれ、バルサを失いたくない」と懇願する。

    そうしながらも、身に危険が差し迫った時にタルハマヤを召還して自身は無意識の内に虐殺してしまうアスラと、恐ろしい神が完全に甦る前にアスラを殺してしまおうとする追手の間で、タンダは彼女がもたらす災厄の恐怖と彼女が普通の少女として生きていける未来の可能性に悩む。

    タンダが出した結論は、アスラがおのれを知り怖ろしい神を招くぐらいなら死をえらぶ可能性を信じる事。アスラを見守り続け、止められない時には殺して責任を取ると。

    「責任をとるというのは、殺す、ということだ。止められぬ時がきたら、殺す、といっているのだ。きっと、バルサも、おなじことをいうだろう。おれは、なにも起こらぬうちに、アスラを殺すのはゆるせない。アスラがまちがったことを、選んだら、そのとき殺す、といっているのだ。おれと、バルサと、ふたりで。」(P213)

    タンダは優しく温かい男だけど、こんな強さも持っているんだなあと見直してしまった。これまでのシリーズにはない暗澹たる雰囲気から始まるお話で、未だにどこに終着するか読めない。ドキドキ感もピカイチ。
    このままハラハラと読み進めてみる。

  • バルサとタンダの信頼関係が好きだ…
    下巻でどのように展開していくかが楽しみ!

  •  ただただ、上橋さんマジゴイスー。用心棒の経験とかあったんですか? と聞きたくなるような緻密なリアリティ。
     今回もやっぱりタンダはかわいそうな目にあわされていました。まあ、そこがいいとも言う。。。

     ハイファンタジーをラノベとそうでないものとに分ける境界線がちらと見えた気がしたよ。うまく言えないけど、存在しなさそうな世界をそれはもう絶対存在しなさそうに書くのがラノベのハイファンタジーで、存在しなさそうな世界を本当に存在しそうに書くのが一般文芸、というか。ラノベを馬鹿にしてるわけじゃない。絶対存在しなさそうな世界にリアリティを与える方法論の違いというか? うーん、まとまらん。この件は保留して、下巻に続く!

  • 責任をとるっていうのは手におえなくなったら殺すということだ。
    ってゆうタンダの台詞がぐっときた。
    後半に続く。

  • 評価は下巻で。
    それにしても高値安定の面白さである。

  • 読み始めたら止まらない。

    ってことで帰りがけに買ってベッドで読み終えました...朝になりそうだから下巻はお預け。

    非常に上橋さんっぽい部分ですが、ひとつの事実を、いろんな民族から見た伝承で表して事実はどれだ!っていう運びが好きです。

  • ロタ王国の牢城で起きた奇怪な事件。
    事情を知らずに、美少女アスラとその兄を助けた女用心棒のバルサ。
    12歳の少女一家にはロタ王国を揺るがす恐ろしい秘密が…
    タンダと共に、なんとか命を助けようとするが。
    畏ろしき神の流れ来る河とは。
    ロタ人の呪術師スファルは、カシャル(猟犬)という一族で、タルの民が禁忌を犯さないように代々見張っていたのだ。
    スファルにさえも見抜けなかったことが…?!

  • アスラを殺そうとするカシャルとカシャルからアスラを守ろうとするバルサたち。アスラの命を守ることはもちろん正しいことのように思えるが、殺してしまうことにも正義がある。アスラの運命がどうなるのか気になって一気に読んだ。

  • せめてタンダの傷が癒えるまでは。。
    なのに出掛けた市場で、結局は災いに巻き込まれる二人(笑)
    ロタ王国でタルマハヤを抱くアスラに自分を重ねたバルサ。 捕らえられたタンダ。スファルとシハナは敵か味方か。
    複雑怪奇になるのですね?
    下巻へ急ぎます。

  • <上下巻通してのレビュー>

    女用心棒バルサは逡巡の末、人買いの手から幼い兄妹を助けてしまう。ふたりには恐ろしい秘密が隠されていた。ロタ王国を揺るがす力を秘めた少女アスラを巡り、“猟犬”と呼ばれる呪術師たちが動き出す。タンダの身を案じながらも、アスラを守って逃げるバルサ。追いすがる“猟犬”たち。バルサは幼い頃から培った逃亡の技と経験を頼りに、陰謀と裏切りの闇の中をひたすら駆け抜ける。
    南北の対立を抱えるロタ王国。対立する氏族をまとめ改革を進めるために、怖ろしい“力”を秘めたアスラには大きな利用価値があった。異界から流れくる“畏ろしき神”とタルの民の秘密とは?そして王家と“猟犬”たちとの古き盟約とは?自分の“力”を怖れながらも残酷な神へと近づいていくアスラの心と身体を、ついに“猟犬”の罠にはまったバルサは救えるのか?


    <守り人・旅人シリーズ>第五弾です。

    今回の舞台はロタ王国。そして、今回のテーマはかなり重いです。

    ロタ王国建国の伝説や、ロタ王国が抱える現在の課題。
    伝説の恐ろしき神<タルハマヤ>を呼び寄せる力を持つ少女アスラを、追っ手から守るというのがメイン・ストーリーですが、南部と北部の経済格差が分裂の危機を予感させるロタ王国。
    ロタ人と、蔑さまれるタルの民という民族間差別。
    <タルハマヤ>をめぐる伝説がロタ王国の氏族間で異なっており、祖先を美化するためか、それぞれに都合のいい伝説があり、そこから根深い対立と憎しみが生まれている現状。

    今回の活躍と最後の言葉には、
    「さすがはバルサ」と言いたいです。

    深い終わり方ですが、いい方向に向かったのだと思いたいです。

  • 抗うことできない運命に身を置くもの。
    チャグムと違うのはある程度自分の身に何が起こっているのかわかってる感じ。ただそれによってどんなことが起こっているのかまだわかっていないよう。

    バルサとタンダ、そしてこの子ら4人で幸せに暮らす光景が見れるのかな。

    2019/01/06

  • 向こうの世界から現れる神が憑いた女の子をバルサが偶然にも助ける事になったことから事件に巻き込まれる。
    今までの経験で追っ手から逃げるのがうまいバルサ。
    タンダもいつものほやんとした感じだけではなく、なかなかかっこいいです。

  • 守り人シリーズ5作目。上下巻とも読みました。

    舞台は新ヨゴ王国の西隣、ロタ王国。この半島は、当初想像していたよりかなり大きな半島なのではなかろうか。
    時期的には、『虚空の旅人』でチャグムが活躍していた時とほぼ同時進行です。

    ロタ王国には、気候の差からの北と南の格差が、歴史の経緯から民族同士の格差があります。これまで出て来た新ヨゴ、カンバル、サンガルもそれぞれ内部にいろいろ抱えた設定でしたが、ロタが一番不安定に見えます。物語が進むにつれて少しずつ、南のタルシュ帝国の脅威が見えてきていることもあるでしょう。

    他国の人間である、通りすがりに過ぎないバルサが、首を突っ込んではいけない問題だったのかもしれない。バルサもそう感じながらも、目の前で苦しんでいる子供をどうしても見捨てられなくて、覚悟を決めます。単に危険な目に遭うという覚悟ではなくて、民族の、もしかして一国の将来も左右する責を負う可能性を、うすうす感じたうえでの覚悟です。

    結果はあまり後味の良いものではないままですが、子供たちがいつか幸せになってくれたらと思います。イーサン王弟の「すこやかに生きよ」という言葉が、万感がこもっていて重い。

  • (上下巻あわせての感想)
    バルサがねー、子どもちゃんたちが売られるところを助けるんだけど、その子どもちゃんたちの妹のほうが、
    なんと、めっちゃ破壊神みたいなのを召還できちゃうってことがあきらかになるのよ。
    ロタの建国神話にでてくる神様で、今までは封印されていたんだけどね、なんだか、でてきちゃったんだよね。
    そしたら、当然、政治的に変化のために使いたくなる人たちもいるわけ。
    そのまま封印しときたい、伝統主義的な人もいるわけ。
    それぞれに正義があったりするんで、難しいよー。
    でもねー、バルサはねー、妹ちゃんの味方なんだー

    現代社会の問題に、一人の人間として、どういうかかわりかたをしていくか、そんな読み方もできます。
    20160531

  • 2013~2016 読了

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著者プロフィール

上橋 菜穂子(うえはし なほこ)
1962年、東京都生まれの児童文学作家、SF作家。
1992年『月の森に、カミよ眠れ』で日本児童文学者協会新人賞、2000年『闇の守り人』で第40回日本児童文学者協会賞、2003年『神の守人 来訪編、帰還編』で 第52回小学館児童出版文化賞、2004年『狐笛のかなた』で 第42回野間児童文芸賞受賞他、2015年『鹿の王』で第12回本屋大賞など、多数の受賞歴がある。
2014年には「小さなノーベル賞」とも呼ばれる世界的な賞、国際アンデルセン賞作家賞を受賞している。

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