神の守り人〈下〉帰還編 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 341
  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302775

作品紹介・あらすじ

南北の対立を抱えるロタ王国。対立する氏族をまとめ改革を進めるために、怖ろしい"力"を秘めたアスラには大きな利用価値があった。異界から流れくる"畏ろしき神"とタルの民の秘密とは?そして王家と"猟犬"たちとの古き盟約とは?自分の"力"を怖れながらも残酷な神へと近づいていくアスラの心と身体を、ついに"猟犬"の罠にはまったバルサは救えるのか?大きな主題に挑むシリーズ第5作。

感想・レビュー・書評

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  • 守り人シリーズ6巻。神の守り人の下巻です。

    上巻からあげられている「それが正義であれば、殺人は許容すべきか」 という重いテーマに対し、本巻で一定の答えは出たのではないでしょうか。
    戦いを通じてバルサの背負う悲しみの重みがひしひしと伝わり、彼女ならではの理論で殺人をしてはいけない理由が語られた時、とても納得感がありました。
    また、ラストは手放しで喜べるものではないですし、ロタ王国の問題は全く解決には至っていないけれど、わずかな希望の光が見えた感じはよかったです。

    今回の事件では、上記の他にも人種差別や地方格差、新興宗教やテロなど、現代でも悩ましい問題が織り込まれていて考えさせられることが多々あり、しかもそれが、世界のどこかでの出来事ではなく、すぐ隣で起きていることという現実感を以て迫ってきました。
    相手の立場に立つこと、が、ね。解決の一歩かもしれません。

  • 守り人シリーズ第5作!
    女用心棒バルサがますますカッコイイ!
    ただ強いだけじゃなく、母性的な優しさも持ち合わせてるところがまたいい!
    そして人を殺めた哀しみ。
    生きるために、人を殺めるしか生きる道がなかったとしても、人は、動物と違って、心に傷を持つ。
    たとえ相手がどんなに悪人でも。
    人として生きるということはどういうことか、深く考えさせられた。

  • なんとも胸キュンなエンディングで、もおもお!でした。

    なんだかんだ、やっぱりバルサなんですよね。かっこいいなあ。もう。
    タンダの頑張りにも拍手!でしたし、どう考えても無理だろうっていう状況でも絶対に諦めないふたりの姿がもうたまらなくて。泣けました。

    最後のチキサとバルサの会話にもぐっときたし。
    相手が子供でも対等に接するバルサの姿勢がすき。

  • 邪悪な力を解き放つことになってしまったいきさつ。
    力を持ってしまった少女アスラ。
    何とか助けようとするアスラの兄。
    少女の心身を守ろうと奔走するバルサが頼もしい。

  • 2013~2016 読了

  • なんなんだこの本は!と言いたくなる。大きな嘘と信じたい者と、王国。バルサが宿でアスラを説得するシーンが辛かった。わかって欲しいんだろうな、自分の生きていた道を見て欲しかったと思う…

  • 両親を亡くした孤児の兄妹。その妹アスラには、不思議とは呼び難い、ある力が宿っている。アスラが力を発揮した時、それを目にした人々は恐れおののく。周りに広がる無惨且つ悲惨な死体。魔力とも言えるその虐殺的な力は、3つの氏族でなされるロタ王国で語り継がれる恐ろしい伝説の神の支配だった。
    .
    3つの氏族は、同じ伝説を先祖から子孫へ語り継いできた。それぞれが代々誓約を守り、関係を保ってきたが、異なる立場による伝説の捉え方から不満や反発、謀反を目論む思いが生じる。対立する氏族をまとめようとするシハナだが、自分の思い描く最終形態に向けたて大きく動き出す。邪魔になるものなら父親をも罠に仕掛けながら、シハナは息を吹き込んだ者達とともに、アスラの心と力を利用して、いざ改革を起こす。
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    *
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    それぞれの氏族がそれぞれの立場や思いを含み、伝説を語り継いでいく姿に、伝説を見聞きした通りに語り継いでいく難しさがよく表れている。語り継いでいく間に、でも本当は~だったんじゃないかという希望や願いを込め、伝説を疑ってしまう気持ちも、国を統治したり氏族の現状を打破したりするために伝説の力に縋りたくなる気持ちも、よく分かる。これが人間らしさだとも思う。その中で、冷静に、客観的に、行き過ぎた責任感にならず、自分への利害とは引き剥がして、多面的に多角的に物事を見つめる力が、誰にでも必要なんだろうな。究極なんだろうけど。
    でも、部活や行事、どんなに小さな伝統だって、自己にとって違和感を覚え、変化を求めることは、どこにだってあると思う。ただ、その一時の気持ち、一点からの視点や視野、共感による正義感のかけ違いで、伝統を変えることはきっとあってはならない。変えることは勇気ある行動な反面、代々受け継いで来た先祖や先輩方を批判することにもなりかねない。変えることに多大なエネルギーを使うけれど、変わるのは一瞬。変えたものを元に戻すのは…。
    「豪に入れば郷に従え」なんて昔はウザったく感じて嫌いだったけど、存在すること、存在している形には、皆意味があるんだと思う。伝統という言葉に酔って何もかも守っていこうとは思わないけど、今ある伝統や存在する当たり前の暮らしが、いつかの未来に伝統として受け継がれ、語り継がれたらいいな。
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    この物語の終わり方に、相田みつをさんの「幸せは自分の心が決める」って言葉がよぎったよ。皆はどうかな。ところで、最終的にシハナは裁かれないの? そこは、もやもや。

  • 人の強さと弱さの両方について描かれていてとてもストーリーだけでなくその心理描写にも引き込まれました。主人公のバルサが魅力的。

  • ネタバレアスラ、強かったなぁ。。。っていうか、愛されてる子は強いんだよね。はやく目覚めてチキサと共にマーサの下で幸せになるといい。。
    そしてもう一人、イーハン。立派すぎるでしょ!!地位が高い人でもこんな考え方を貫くことができるなら、ロタ王国は健全な国に育つでしょう。。問題は山積みですが(^^;
    バルサの不死身さ加減にも慣れてきたけど、でも、そんなにもう無理させないで!作者さん!!と言いたい(笑)

  • 2019.1.16
    あとがきにシビれた!

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著者プロフィール

上橋 菜穂子(うえはし なほこ)
1962年、東京都生まれの児童文学作家、SF作家。
1992年『月の森に、カミよ眠れ』で日本児童文学者協会新人賞、2000年『闇の守り人』で第40回日本児童文学者協会賞、2003年『神の守人 来訪編、帰還編』で 第52回小学館児童出版文化賞、2004年『狐笛のかなた』で 第42回野間児童文芸賞受賞他、2015年『鹿の王』で第12回本屋大賞など、多数の受賞歴がある。
2014年には「小さなノーベル賞」とも呼ばれる世界的な賞、国際アンデルセン賞作家賞を受賞している。

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