蒼路の旅人 (新潮文庫)

著者 : 上橋菜穂子
  • 新潮社 (2010年7月28日発売)
4.38
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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302799

作品紹介

生気溢れる若者に成長したチャグム皇太子は、祖父を助けるために、罠と知りつつ大海原に飛びだしていく。迫り来るタルシュ帝国の大波、海の王国サンガルの苦闘。遙か南の大陸へ、チャグムの旅が、いま始まる!-幼い日、バルサに救われた命を賭け、己の身ひとつで大国に対峙し、運命を切り拓こうとするチャグムが選んだ道とは?壮大な大河物語の結末へと動き始めるシリーズ第6作。

蒼路の旅人 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • またまた、上橋作品。喫茶店で丸ごと一冊、一気読みです。楽しいひと時だったなぁ・・・

    <旅人>なので、チャグムが主人公。この後の、「天と地の守り人」三部作への布石となる、大事な一冊です。主人公が皇太子なので、バルサが主人公のときより政治色が強くなりますね。私自身は、この<旅人>の話のほうが好きだったりもします。

    絶望しそうになるほどの状況を前にして、チャグムがどんな道を選ぶのか。終わらせ方が難しいと思って読み進めていましたが、結末を見て、「そんな道があったのか」と思わず唸らされてしまいました。新たな登場人物も出てきて、「天と地の守り人」が楽しみです。今まで出てきた登場人物たちとともに、物語が躍動していくことに期待です!

  • 文庫版を再読。

    文庫版あとがきにあったヘップナーという作家は、恥ずかしながら存じ上げない。
    ただ、『歴史には絶対の視点などなく、関わった人の数だけ視点があり物語があるものなのだ』というのは、中学生の頃風と共に去りぬを読んだ時に感じ、やはり脳天を殴られたような衝撃を受けた。私はそれまで奴隷制度はただただ憎むものであり、奴隷たちが主人と離れたくないと戦おうとするなど、想像だにしなかったのだ。

    各々の人生があり、思惑があり、単なる善悪ではわけられぬ。それぞれの正義がある。それこそが歴史、それを作ってきた人間の素晴らしいところであると思う。

    何度読んでも深い「物語」である。

  • 文庫化されていたらわくわくして買うシリーズの一つ!
    思い返すとこの皇太子チャグムがバルサに護られて旅をしたころから、こんなに巻数が重なったんだな・・と、しんみりします。
    これまでのシリーズに出てきた登場人物たちやエピソードもしっかり活きてくるのがいいところ。まとめて読み返したい。

    さてこの『蒼路の旅人』は、『虚空の旅人』に続いてチャグムを主人公とした物語。
    皇太子という立場もあり、歴史的・政治的な香りも強くなってくる。
    それでも前巻までは個人としてのチャグム・シュガがある程度は自由に動けたのだけれど、この巻からは環境に縛られて大きな歴史の渦に巻き込まれていく過程が描かれ始める。

    サンガルからの助けを求める文が新ヨゴ皇国に届く。
    南の大国タルシュがサンガルにまで手を伸ばしているというのだ。
    チャグムの父である王は援軍を出し、チャグムの後ろ盾となっている祖父トーサらを向かわせる。
    これを罠だと指摘し、父に反発したチャグムもまたトーサを追って海へ出なければいけなくなる。
    これがチャグムの長い旅の始まりだった・・。

    あんまり書くとネタバレになるんですが、これはチャグムの「決断の物語」です。
    父親から憎まれ、勢力争いに巻き込まれ、民に期待され多くのものを背負わされ、自らの望まない路を歩まされるチャグム。
    そのチャグムはやっと、自分の命をつないでくれた人々の重さを実感し、背負おうと決心できる青年になります。
    さまざまな国の思惑、何が正しいのかわからない選択、どの道を選んでも絶望。
    こういう不条理な状況って、現実にもありますよね。
    それでもチャグムは不可能に思える路を見出して、自分の足で飛び出していく。その起点がこの巻です。

    解説によると、これ以降は歴史ものとしての色が濃くなるとのこと。
    それでも相変わらず一度手にとったらするっと先へ先へ読んでしまう魅力は変わらないし、寄せる信頼感は絶対的。
    とにかく上橋さんのファンタジーは景色が描けてるのが凄いんだよな。
    食べ物の描写、匂いの描写、風景の描写、全て目の前にあるようにくっきりと浮かび上がってくる。
    ファンタジーでこれ以上大事なことってあるんだろうか。

  • 守り人シリーズ7巻です。
    また一歩チャグムが成長し、頼もしいと思うと同時に、ほとんど無邪気な子供時代を過ごせなかった彼の過酷な運命をおもい、あらためて涙しました。
    本作は皇太子という立場の葛藤、父子の確執、国どおしの争い駆け引き・・・などなど問題山積みですが、今までよりは分かりやすい義が正しい形でしっかりあるので、(私の)気持ちが揺れ動かない分読みやすかったです。

    また、ラストシーン、まさしく蒼路へと旅立つ場面は鳥肌が立ちました。
    圧倒的不利な状況下でチャグムはどこまでやれるのか。今後バルサとの接触はあるのか。
    ドキドキです。

    そうそう、ラウム王子との駆け引きは意外とあっさり終わってしまい、そこだけが心残りでした。
    チャグムの真摯さも、ラウムの頭のキレのよさも使い切れてなーい!

  • チャグム、トーサ、ヒュウゴ。
    登場人物が魅力に溢れていて、素晴らしい。
    今までで一番好きかもしれない。(毎回思ってる節もあるけど)
    あっという間に読了しました。

    これから三部作なのですね。楽しみです。

  • どうしてこんなに素晴らしい物語が書けるのか。
    上橋菜穂子さんの小説は、心を豊かにしてくれる。
    幼く可愛らしい子供だったチャグムが、苦悩の中、誠実で、知的で、勇敢で、とても優しい人間に成長していく。どうかこの苦難を乗り越えて、チャグムが生きたいように生きられる未来に向かっていってほしい。

  • 今まだ読んできた中で一番好きだなぁ。
    物語が大きく動く予兆を感じさせる序幕といったところかな。

    チャグムの話は政に直結するだけに駆け引きとか色々な人の思惑が絡んで物語が進むので面白い。

    2016.1.2

  • またも、チャグム編。
    どんどん成長していく。彼もまた、流されるだけでなく自ら考え自ら成長していく人。
    チャグムのここでの成長が今後物語にどう作用していくのか楽しみ。
    そして今まで以上に多くの視点が表れてきた。それがどう交差していくのかも気になる。

  • 前回の旅人シリーズではチャグムの成長を実感しましたが、今回は成長を果たした彼の苦悩をヒシヒシと感じました。大人になるということ。帝になるということ。変わりたいこと。変われないこと。サンガル人たちと過ごしていたチャグムはとても生き生きとしていた。こんなシーンが、今後も見られたらと願わずにはいられない。

  • 2011/1/22 2016/11/8

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