蒼路の旅人 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.39
  • (820)
  • (617)
  • (173)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 5175
感想 : 410
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302799

作品紹介・あらすじ

生気溢れる若者に成長したチャグム皇太子は、祖父を助けるために、罠と知りつつ大海原に飛びだしていく。迫り来るタルシュ帝国の大波、海の王国サンガルの苦闘。遙か南の大陸へ、チャグムの旅が、いま始まる!-幼い日、バルサに救われた命を賭け、己の身ひとつで大国に対峙し、運命を切り拓こうとするチャグムが選んだ道とは?壮大な大河物語の結末へと動き始めるシリーズ第6作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 今回はチャグム皇太子が主役の物語。
    少年から青年となり、国を治めるということはどういうことかということを学んで成長していく様が素晴らしい!

    ファンタジーという枠には収まらない重厚さが感じられる物語です。

    最終話に続く助走といった位置付けです。

    オススメ!

  • このあとのチャグムが気になる~~。早く続きが読みたいです。
    全部文庫本ででたら、大人買いして最初から読もっと。

  • 文庫化されていたらわくわくして買うシリーズの一つ!
    思い返すとこの皇太子チャグムがバルサに護られて旅をしたころから、こんなに巻数が重なったんだな・・と、しんみりします。
    これまでのシリーズに出てきた登場人物たちやエピソードもしっかり活きてくるのがいいところ。まとめて読み返したい。

    さてこの『蒼路の旅人』は、『虚空の旅人』に続いてチャグムを主人公とした物語。
    皇太子という立場もあり、歴史的・政治的な香りも強くなってくる。
    それでも前巻までは個人としてのチャグム・シュガがある程度は自由に動けたのだけれど、この巻からは環境に縛られて大きな歴史の渦に巻き込まれていく過程が描かれ始める。

    サンガルからの助けを求める文が新ヨゴ皇国に届く。
    南の大国タルシュがサンガルにまで手を伸ばしているというのだ。
    チャグムの父である王は援軍を出し、チャグムの後ろ盾となっている祖父トーサらを向かわせる。
    これを罠だと指摘し、父に反発したチャグムもまたトーサを追って海へ出なければいけなくなる。
    これがチャグムの長い旅の始まりだった・・。

    あんまり書くとネタバレになるんですが、これはチャグムの「決断の物語」です。
    父親から憎まれ、勢力争いに巻き込まれ、民に期待され多くのものを背負わされ、自らの望まない路を歩まされるチャグム。
    そのチャグムはやっと、自分の命をつないでくれた人々の重さを実感し、背負おうと決心できる青年になります。
    さまざまな国の思惑、何が正しいのかわからない選択、どの道を選んでも絶望。
    こういう不条理な状況って、現実にもありますよね。
    それでもチャグムは不可能に思える路を見出して、自分の足で飛び出していく。その起点がこの巻です。

    解説によると、これ以降は歴史ものとしての色が濃くなるとのこと。
    それでも相変わらず一度手にとったらするっと先へ先へ読んでしまう魅力は変わらないし、寄せる信頼感は絶対的。
    とにかく上橋さんのファンタジーは景色が描けてるのが凄いんだよな。
    食べ物の描写、匂いの描写、風景の描写、全て目の前にあるようにくっきりと浮かび上がってくる。
    ファンタジーでこれ以上大事なことってあるんだろうか。

  • 実に聡明な若者に育ったチャグム皇太子だが怒りを爆発させてしまう。
    それでも周りの人に支えながら捕虜となった旅でも成長する。
    これからシリーズクライマックス!楽しみだ〜!

  • チャグムはもうバルサやシュガの手助けがなくても一人で困難に立ち向かうことができる人になったのだな。。と感慨を抱いた。でも、これ話が大きくなりすぎてバルサが出る幕無いのでは?と思うほど風呂敷広がって読了。

  • どうしてこんなに素晴らしい物語が書けるのか。
    上橋菜穂子さんの小説は、心を豊かにしてくれる。
    幼く可愛らしい子供だったチャグムが、苦悩の中、誠実で、知的で、勇敢で、とても優しい人間に成長していく。どうかこの苦難を乗り越えて、チャグムが生きたいように生きられる未来に向かっていってほしい。

  • またまた、上橋作品。喫茶店で丸ごと一冊、一気読みです。楽しいひと時だったなぁ・・・

    <旅人>なので、チャグムが主人公。この後の、「天と地の守り人」三部作への布石となる、大事な一冊です。主人公が皇太子なので、バルサが主人公のときより政治色が強くなりますね。私自身は、この<旅人>の話のほうが好きだったりもします。

    絶望しそうになるほどの状況を前にして、チャグムがどんな道を選ぶのか。終わらせ方が難しいと思って読み進めていましたが、結末を見て、「そんな道があったのか」と思わず唸らされてしまいました。新たな登場人物も出てきて、「天と地の守り人」が楽しみです。今まで出てきた登場人物たちとともに、物語が躍動していくことに期待です!

  • 文庫版を再読。

    文庫版あとがきにあったヘップナーという作家は、恥ずかしながら存じ上げない。
    ただ、『歴史には絶対の視点などなく、関わった人の数だけ視点があり物語があるものなのだ』というのは、中学生の頃風と共に去りぬを読んだ時に感じ、やはり脳天を殴られたような衝撃を受けた。私はそれまで奴隷制度はただただ憎むものであり、奴隷たちが主人と離れたくないと戦おうとするなど、想像だにしなかったのだ。

    各々の人生があり、思惑があり、単なる善悪ではわけられぬ。それぞれの正義がある。それこそが歴史、それを作ってきた人間の素晴らしいところであると思う。

    何度読んでも深い「物語」である。

  • 同じ守り人シリーズでも、バルサが全く出てこなかったり(回想では出てくる)旅人というタイトルはチャグムが主役。
    チャグムがもっと役目を自分なりに解釈して、どうやって生きていくか楽しみ!

  • 最初の頃は、ザ・ファンタジーという世界観だったが、虚空の旅人からは徐々に政治的要素が濃くなってきた。チャグムが何も知らなかった少年時代から、大人の暗い世界に引き込まれていく時代へと入り、青年となっていく。バルサが主人公だと勝手に思っていたが、チャグムも両立の主人公なんだなあと改めて感じた。
    これから、バルサがどう絡んでくるのか、チャグムの行く末がどうなるのか楽しみだけど、ザ・ファンタジーが好きなので、政治的要素が強いと少し不安になる。

全410件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

上橋菜穂子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×