蒼路の旅人 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 365
  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302799

感想・レビュー・書評

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  • 少し前のtwのまとめですが(5/2)のせておきます。

    それから、今日は帰りの電車で……禁断の!……上橋菜穂子さんの“バルサ”シリーズの『蒼路の旅人』(新潮文庫)、一気に読んでしもうた。いやー、やばかった。俗に言うファンタジーなんですが、上橋さんの「守り人」は、ほんと染みてくると同時に「読ませる」から凄い。

    4年ぐらい前ですかねー。学生さんからお勧めの一冊つうことで紹介してもらったのが、上橋菜穂子さんの『狐笛のかなた』(新潮文庫)。元々ジャンルには拘りがないけど……日本だと「純文学以外全て糞」みたいなのがいますからw……読んでみて吃驚した。世界に通用するというか、本格的読み物と思った

    まあ、それもそのはずで、上橋菜穂子さん自体が、アボリジニの研究者で、『守り人』シリーズなんかは、設定としてはガチで「和製」ファンタジーなんだけど、「和」に「回収」されない沃野がある。と、同時に読ませるから、おいちゃん、愕いたよ。  http://www.shinchosha.co.jp/writer/3387/

    今回の作品……というか単行本発表はだいぶ前だけど……上橋菜穂子『蒼路の旅人』(新潮文庫)では、バルサは出てこず、チャグム皇太子が青年に。久しぶりに、国家と民族、文化と個人の生き方などを、「わくわくしながら」考えさせられた。こういうアプローチも大事だとは思います。

    かつて、『御宿かわせみ』シリーズで有名な時代作家・平岩弓枝さんが、自身の作品で年々に作中人物が成長していく様を「「年をとらないという不文律」からの逸脱」と表現したけど( http://thomas-aquinas.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/pst-86e2.html… )、上橋菜穂子さんの「守り人」シリーズにも同じような臭いがある。


    上橋さんの作品について語りだすと止まらないので辞めますが、ホント、日本人は中身を見ないでジャンルだけで敬遠したりする傾向が強いけど、ほんとこれは無益だと思う。時代小説やSFにしたってそうだし(勿論駄作もあるけど)、直に触れるしかないですね。

  • チャグムは運命に立ち向かう、たとえ自分の無力を感じていても。

    バルサが出てこない、チャグムが主役の<旅人>の巻。少年が青年に変わる。まだまだ未熟なチャグムが、この巻の中だけでもぐんぐん成長する。いかに国や人々のことを守れるか、それは為政者になるために考えなくてはいけないこと。理想だけでは、国も民も守れないけれど、自分の譲れないところは。

    大国の王子ラウルの考え方は、自分が獲得できる土地がもうこんなに少ない、というもの。チャグムはまったく異なる考えに衝撃を受ける。王位に就きたいのか、父との関係など、まず自分の周囲のことを考えていたチャグムには、持ちえない考え。けれど、チャグムは、自分の落ち度からではあったが、父から罠に送り出され、サンガルの手に落ちて、タルシュへ送られ、様々な国の形、人の想いを知った。チャグムは、国の中では、そして小さな宮の中では、得られなかった知識を得て、自分の力に気付いて、自分の国と民を守るために考え、動き出す。

    少年から青年に変わる頃、その頃の、潔癖感や正義感、倦怠感、それがくるくると入れ替わり、自分が翻弄されていく苛立ちが伝わってくる。同様にファンタジーでいえば、4巻くらいのハリーもこんな感じだったような。期待が大きいほど、誇らしさや使命感もあるけれど、苛立ちは募るのだ。けれど、彼らは結局責任から逃れない。主人公だから。過ちは犯すかも知れない。でも、その過ちから最終的には目を背けずに、自分の使命に立ちあがる。主人公だから。ファンタジーではなくて、現実世界の場合、自分が自分の物語の主人公だとしたら、やはり逃げないで立ち向かいたいもの。

    次は三部作という。読むのが楽しみ。

  • 次作の天と地の守り人への序章。

  • 図書館で。チャグムさんが今度はサンガルどころか海を越えて違う大陸へ。世界は広いと感じる彼と広いと感じる王子。そりゃあ他国を制する国と半ば鎖国状態の国じゃあ違うんだろうなあ。
    タルシュ(だったかな?)の土地を広げていくやり方も限界がある、という辺りも面白い。最後のチャグムの選択は人に従わされてばかりいた彼の本心の選択、という感じで良かったねえ、思いました。続きも楽しみ。

  • この話単体でもおもしろいけど、後に広がる壮大な物語を感じさせられた。早く続きも文庫化希望。

  • チャグムー!!

  • 守り人シリーズも後半戦。
    この巻は、大いなる最終章の扉の一歩前にいる感じ。
    まだ始まってないけどわくわくする、というような。

    チャグムがほんとにどんどん大人になっていく。。
    バルサもシュガもいない中で、
    ひとりで奮闘する姿が愛しい。

  • 2014.09.17

  • ファンタジー成分少なめで展開する第6弾。帝国の強大さ、新ヨゴの絶望的な状況を描き、ラストに繋ぐためのお話し。

    どうなるのかなぁo(゚ー゚*o)

  • 守り人シリーズ第6弾。チャグムの個人伝記のような印象。

  • 2014.5.11 pm6:26 読了。帝に捨て駒にされたチャグム。彼は捨て身の行動に出る。国を救うことはできるのか。チャグムの思いはきれいごとに見える。もう少し物語に階層が欲しかった。この深さだからこその良さもたくさんあるけれど。良くも悪くも典型的な王道ファンタジー。ちょっと現実から離れて息抜きするのに最適。また図書館に行かねば…なんだかんだ言って続きが気になる。

  • チャグムの海を中心とした旅と、政治的なあれこれ。ほんとに歴史・政治が色濃くて、ファンタジーは影薄い。海上での祖父とのやりとりや、拉致られてからのヒュウゴやセナとの触れ合いが、いい影響になって後々まで活かされている構成が素晴らしい。しかしチャグムの父帝が憎たらしい。チャグムに比べると器が小さいというか・・・臨機応変さに欠けるんだろうか。残りページをにらみながら、これ人質のまま続くんじゃねぇの、と思ったら、意外な転向。チャグムの考え抜いた上での選択に、セナと同じく幸運を祈る。

  • このシリーズ、時間をあけすぎて読むからか、
    読んだのか、読んでないのか記憶になくて、いつも途中まで
    「読んだかな~?」という疑問に囚われています。
    今回はこれが初読みだったらしい。

    チャグムの冒険(というか捕虜の旅)と葛藤。
    瀬戸際に立たされている新ヨゴ国を知って苦悶する皇子様の姿。
    物語は序盤からずっと緊迫に満ちているわけですが、
    初作からだいぶ成長したのね、と思ってなんだかじんわりします。
    しかし最後、「いや!いくらなんでもそれはない!!」

  • チャグム旅立ちの一冊。

    これを読んで、作者の結末への構想の壮大さに気付き、ドキっとさせられた。

    今までは国の中での争いや冒険が中心であったのに、今は国と国を繋ぎ、また分かつ大きな流れの中にいる。
    そうしてその渦中で奮起するのが、チャグム皇太子なのだから、シリーズをここまで通して読んできた読者にはたまらない。

    人を惹きつける在り方には、帝とチャグム、正反対のものが備わっている。
    そんな父子の関係が、完結に向けてどのように動いていくのかも気になる。

  • 守り人シリーズの中の旅人編ということでバルサは出て来ません。チャングムがを中心にこの世界が大きく動いて行きます。
    そして、この話は次の天と地の守り人に続く序章のような話で、それぞれの物語が少しずつ進みそこで終わってしまいます。

  • いよいよシリーズも佳境に。「天と地の守り人」三部作に繋がる重要な章。新ヨゴ皇国の皇太子であり、英明に、才気あふれる若者に成長したチャグムが主人公。「虚空の旅人」以来だ。
    16歳になったチャグムは宮廷の大臣や将軍の心まで掴む程。そしてある一通の手紙をきっかけに、ついに帝である父と袂を分かつ日が来てしまう。
    チャグムは祖父である海軍大提督・トーサを助ける為に、大きな覚悟を胸に船旅へ。そして迫り来るタルシュ帝国に立ち向かう。
    チャグムの心の動きが丁寧に描かれていた。帝になりたくない、という気持ちは、11歳のとき、バルサに抱きついて泣き叫んだ時と変わっていないんだけど、国を守ろうという使命感、志の強さと、賢さには脱帽してしまう。
    チャグムも大好きだけど、脇を固めるキャラクターも魅力的。チャグムの支えとなる祖父のトーサ、謎の男であり、圧倒的な存在感を見せつける(おそらく実写にするとエグザイル系イケメン)ヒュウゴ、少女だけど船頭のセナ、頭角を表して来た狩人のジン、そして突然出て来た10歳の妹(妹なんていたんだ?)・・・などなど。
    チャグムとシュガの絆にも泣けてくる。
    でも、ストーリーの最後はとんでもない展開に。。チャグム!!!と一緒に叫びたくなる。
    物語もあと3巻で終わってしまう。早く読みたいけど読み終わるのが寂しい。
    さて、次の巻ではついにバルサが動き出す!

  • 守り人シリーズ・6
    ここからシリーズの最終章へと突入します
    チャグムがメインの話
    物語のエンドへ向かう内容なんで やっぱり重たい感は否めないね

  • 守り人シリーズ6作目。
    (チャグムが主人公の旅人シリーズ2作目)

    舞台はチャグムの住む新ヨゴから近隣国のサンガル、タルシュへと広がっていく。

    強力なタルシュ帝国がサンガル→新ヨゴへと侵略を試みる。国と国の駆け引き、国内での政権争いなど、政治的な要素も強い。
    と思えばタルシュの侵略はナユグの春の影響も匂わせているような…

    天と地の守り人三部作に続く導入的な作品。読み進めるのがとても楽しみ!

  • なんだか話が飛ぶな~と思ったら、シリーズ6作品目だった。
    前後の作品を手に入れて再読したら評価も変わりそう。

  • これは、最終章「天と地の守り人」の壮大なクライマックス舞台への足がかり的な章だ。

    世界観の作り込みはさすがといったところだが、いままでの物語をとおしてきて何か「物足りなさ」が常につきまとっている。
    なんだろうなと考えたとき「ハタ」と気付いたことは、バルサにしても、タンダにしても、チャグムにしてもその他諸々の登場人物視点の語り口が「平坦」になりがちな気がするのだ。
    物語を全体的に俯瞰するには効果的だけど、もうちょっと「くせ」を演出してもよかったのではと残念でならない。いい作品だけに。

著者プロフィール

上橋 菜穂子(うえはし なほこ)
1962年、東京都生まれの児童文学作家、SF作家。
1992年『月の森に、カミよ眠れ』で日本児童文学者協会新人賞、2000年『闇の守り人』で第40回日本児童文学者協会賞、2003年『神の守人 来訪編、帰還編』で 第52回小学館児童出版文化賞、2004年『狐笛のかなた』で 第42回野間児童文芸賞受賞他、2015年『鹿の王』で第12回本屋大賞など、多数の受賞歴がある。
2014年には「小さなノーベル賞」とも呼ばれる世界的な賞、国際アンデルセン賞作家賞を受賞している。

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