流れ行く者: 守り人短編集 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 192
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302836

作品紹介・あらすじ

陰謀に巻き込まれ父を殺された少女バルサ。親友の娘である彼女を託され、用心棒に身をやつした男ジグロ。故郷を捨て追っ手から逃れ流れ行くふたりは、定まった日常の中では生きられぬ、様々な境遇の人々と出会う。幼いタンダとの明るい日々、賭事師の老女との出会い、そして、初めて己の命を短槍に託す死闘の一瞬。孤独と哀切と、温もりに彩られた、バルサ十代の日々を描く短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 『守り人』シリーズの、外伝的な短編集。
    バルサやタンダの幼少期の頃の話となります。

    全部で4編が収録されていますが、メインは、、
    それぞれの“初めての体験”の描写でしょうか。

    本編での二人の生き方の原点を、見いだせた気がします。
    人の営みは、日常は、こうやって連綿と続いているのだな、とも。

    ん、久々に本編の旅に出たくなってきました。。

  • 今年最後の読み終わった本。
    守り人シリーズの短編集。
    ジグロと共に流れていた頃のバルサの話。

  • 護衛士バルサの少女時代を描いた外伝。今回も厚み深み奥行きを感じる物語で、読みながら胸が熱くなることしばし。
    キャラの派手さで言えばむしろ地味。
    こうであって欲しい、と願うも勧善懲悪にはならないもどかしいストーリー。読者(の想像力)を信頼し、すべて書かない潔さ。
    それでいてドキドキワクワクしっぱなし。
    このあたりは、他の上橋菜穂子作品にも通じる上質さ。
    幸村誠による解説の「日常生活の描写の確かさ」という指摘にはハッとした。冒険だ戦いだ友情だ、というファンタジー(=非日常)が絵空事に見えないのは、ハイライトシーンではなく背景や土台、つまり地のリアリティのなせる技、ということ。含蓄のある言葉だ。

  • 再読。
    文庫がでたので買う。
    表紙のイラストも好きだが、左上と右下の枠飾りがメッチャツボだった。

    バルサの十代のはなし。
    それなりの経験を積んでいて、いつだって冷静にあらゆることに対処する彼女とは全然違う、抜き身の刀のような、
    湧きあがるものをどこにしまったらいいのか分からず、
    ただ一心にジグロについていこうとしていたころ。
    タンダとのエピソードは心温まる。
    うう、タンダ、子どものころからいいやつだったんだなあっとしみじみ。
    ほんっとバルサがタンダと出会えてよかった、と心底思う。

    四編の中で一番ひっかかるのはアズノのはなし。
    とはいうものの、再読のわりに彼女が最後に勝ったのか負けたのか、
    覚えてなかったのだが。
    いや、金を手に入れたことだけは覚えていたんだが・・・・。
    とても切ない気持ちになったことだけは覚えていた。
    長い、長い、真剣勝負。
    多分アズノにとってとても大切なものだったはず。
    名誉や賞金、などと引き換えることなど考えることもできないほどの。
    けれど、相手は、全くの悪気もないままに、それを呈してきた。
    彼女はやはり、傷ついたのだろう、と思う。
    それは哀しみなのか怒りなのか、分からないけれど。

    そしてやはりジグロの存在感はすごい。
    言葉にしないけれど、いや、言葉にできないほどのいろんなものを
    抱えていたのだろう。
    山で暮らすか、という問いにバルサが頷いた方が
    ジグロにとって、バルサにとって楽だったのか、そうじゃなかったのか、
    どっちがよかったのかなんて分からない。
    結局バルサはその道を選ばなかったし。
    彼らの生きた道は、本当に厳しい、と改めて思う。

    命を剣に乗せる。かあ。
    その覚悟を持って闘う。
    うーん、想像つかない在り様だ。

  • 守り人短編集。
    たった2冊ぶりなのにとてつもなく懐かしい気持ちになりました。

    バルサやタンダが子供の頃を描いた短編集ですが、連作短編のようなつくりになっていて、最後の「寒のふるまい」で見事に心温まる仕上がり。

    大人になってからの二人も素敵ですが、ちいさい頃の二人の関係がまた素敵で。
    表題作「流れ行く者」でタンダにロタの草花絵草紙をお土産に買っていこうと思い立つバルサが可愛いかったなぁ。
    あと今回、ジグロが回想ではなく、バルサと共に生きている姿が描かれているのがとても嬉しかったです。

    子供時代が描かれたことにより、バルサとタンダが生きる守り人の世界に奥行きが広がり、空想の世界なのだけど本当にどこか(多分、自身の脳内)に存在しているような気分になれました。願望とも言えますが 笑。

  • 幸村氏の解説にあるように、この気持ちは強烈な共感なのだろう。多少、入れ込みすぎているかもしれない。

    13歳で人を殺すなんてどんな気持ちだろう?涙しか出ない。

  • バルサの過去。

    スピンオフなる作品を読むには、多少勇気というか、覚悟が必要だ。
    とくに、守り人シリーズのような思い入れの強い作品の場合には。
    とくに、バルサとタンダの幼い日々とあっては。

    タンダの母が稲刈りを手伝うバルサに脛当てをつける場面や、
    いつもと違う熱を出したジグロに動揺するバルサ、
    人を殺し怪我をしたバルサを抱き締めるジグロには、
    心が締め付けられた。

    でもこの作品のすごいのは、
    そんな感傷的な気持ちを吹き飛ばす賭事師の老女の存在だった。
    五十年と続けてきた氏族長の重臣とのススット、
    金銭抜きだった勝負をどういう思いで終わらせたのか。
    孫息子に勝ってくれとの頼みをどういう思いで聞いていたのか。

    老女の気持ちが分かる時、いや少しでも想像できた時、
    「大人」となれる気がする。

  • バルサやタンダの幼い時のお話3編+α。

    「浮き籾」も「ラフラ」も「流れ行く者」にも“老いていく流れ者”達が登場して、バルサが彼らの最後の決断を知ることになるストーリー。

    最後に何の説明もなく、作者がバルサや読者に完全に委ねた形で終わるのが潔かった。
    私もまだ深いところまで読み切れていないと思うので、人生の終わりが見えてきたらもう一度読みたいな。

  • 長編では描かれなかったエピソード。でも確かにこれらの時間はあったんだと思える違和感の無さはさすが。これまでの流れにスッと入ってくる。
    ここで終わってしまうの?と思ってしまうような話もあったけど、その唐突に終わってしまう感じが、若いバルサの目線と重なるような気もして、長編とはまた別の読後感、余韻があった。
    あとはひたすらタンダに癒された……

  • バルサとタンダが幼い頃の話。
    小さくてまだまだ無邪気さも垣間見えてぽっと温かくなる反面、次第に大人の考えもよく見えるようになってきて心痛む場面も多々あり。

    バルサが初めて槍に命を乗せる瞬間は、想像でしかないけれど心痛くなる。

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著者プロフィール

上橋 菜穂子(うえはし なほこ)
1962年、東京都生まれの児童文学作家、SF作家。
1992年『月の森に、カミよ眠れ』で日本児童文学者協会新人賞、2000年『闇の守り人』で第40回日本児童文学者協会賞、2003年『神の守人 来訪編、帰還編』で 第52回小学館児童出版文化賞、2004年『狐笛のかなた』で 第42回野間児童文芸賞受賞他、2015年『鹿の王』で第12回本屋大賞など、多数の受賞歴がある。
2014年には「小さなノーベル賞」とも呼ばれる世界的な賞、国際アンデルセン賞作家賞を受賞している。

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