エスケイプ/アブセント (新潮文庫)

  • 新潮社 (2009年12月24日発売)
3.22
  • (5)
  • (38)
  • (66)
  • (12)
  • (4)
本棚登録 : 360
感想 : 50
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784101304526

みんなの感想まとめ

独特な視点から描かれる逃避の物語は、元活動家の男が京都での短い滞在を通じて、自己を見つめ直す旅のようなものです。軽快でありながら、深い感情が滲む文章は、気づかぬうちに心に刺さるものがあります。特に、方...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • これもよかったな~。京都へ少しの間逃亡する、元・活動家の男の語り。どうしてこんなにどこの方言も自然なんだろう?
    祈りの描写が良かった。手紙みたいな、もっと言えばメールみたいな。

  • 軽妙な文体で読みやすい。この世代の人はこういう時代を生きて、みたいな世代感が全然分からないためになんとなくぼんやりと霧の中を行くように読み進めていたんだけど、何にも信じられないから神様だけは信じられる、毎日謝ってるっていうバンジャマンの話はすごくわかるなあと思ってしまった。
    江崎は大人は生でぬるついて気持ち悪いっていうけど、私は子供の方が生で怖い。神様は人の罪なんて聞かずに応援しろ、祈れって言うけど、ただ聞いてくれるのってむしろすごい応援だと思う。なんか根本が違うんだろうな。江崎はちゃんと人が好きな人というか、結局のところそうだからセクトみたいな活動だってできるんだろう。そう考えると「愛がない」バンジャマンとは正反対の人なんだろう。

  • ふわふわと、テキトーに、ラクに、諦めながら、なんとなく浮き草みたいに生きてる。
    それは、もう燃やし尽くしちゃったからなのか、もともと燃料が無いだけなのか…。
    でも、どことなく、確実に寂しい。
    捉えようもない寂しさに包まれた二篇。

  • 霞がかったようにふわーっとした語り口。作者が考えていることじゃなくて、主人公の頭の中がそのまま記述されているような感じがする。

  • 遅すぎた中年、福岡に向かい、ふと京都に降りる。
    そこには現在を把握していない、双子がいたが、今はどうやら。
    コスプレ神父バンジャマンと交流。
    結局双子に会うことはなかったが、その不在こそが隠れた透明の背骨である。
    それは作中に形を変えて言及される。
    「不在は、美化される。キリストだってそうだ。」
    キリストなんかより歌子婆さんみたいな人が今現在生きているってことを美化したいね、という独白や、
    なんで大人ってドライでソリッドではなく、生、なんだろう、といった感覚やに、
    大いに共感。ずっとそう思っていた。

    ちなみに「アブセント」はその双子の片割れ。

  • 9年ぶりの再読
    9年前には頭で読んでいた。
    今は肩の力を抜いて読める。

  • 相対する双子の兄弟がそれぞれ主人公の二編。自由でいながら、挫折に影を潜めて生きる中年男の切なさが、軽く明るく描かれている。二編が構成から響き合っているので、短いながらも印象がしっかり残る名著。

  • 職業的革命家をドロップアウトした正臣、偽神父のバンジャマン。彼らはともに、いわばかけがえのない青春期を失ってしまった。そして、過去における継続的な挫折のゆえに将来への展望もなきに等しい。小説のアイディアとしてはわからなくもないが、やや作為的に過ぎるようにも思う。タイトルの所以となったジョディ・ハリスとロバート・クインの「エスケイプ」も職革の過去には違和感が否めない。一方の「アブセント」は、もう少し自然だが、その分インパクトには幾分か欠けるだろう。小説のテーマは「喪失」であり、読後には一抹の寂寥感が残る。

  • あまり感情移入できる要素はなかったけれど、脇役の登場人物がやっぱり素敵だった。

  • 今まで読んだ絲山作品の中では1番読み易かったかも。舞台が京都で想像し易かったからかも(観光しかした事ないけど)。主人公が同性愛者(両刀使い?)って設定は要るか?別に同性愛に偏見は無い積もりやけど男が抱き合ってるのを想像するのは嫌や・・・。女同士が抱き合うなら読めると思うし、むしろ率先して読みたいし実際に見てみたい。 『アブセント』は要らんと思う。

  • 再読。改めて読むほどでは全然無かった。

  • あいも変わらず良く分からん中身だなあ。
    しょうもないことを淡々と書き連ねってる。
    絲山さんは何を言いたいのだろうか。

  • 絲山さんじゃなかったら
    読まなかったであろう話。
    活動とかわからんし。

  • あぁーこの軽い感じ。けど重い感じ。なんか矛盾した感じ。このメンドくさい感じ、自分とダブります(別に自分は活動家でもなけりゃ左翼でもないんだけど)。
    「元」左翼活動家である正臣が、妹の家に転がり込んで「マトモな」生活を送る(送ろうとする)までの間に訪れた京都で過ごす1週間程の出来事。
    左翼的思想だって、何かすごいものに思われたレコードだって、気が付けばなんてこともないものだった。ポケットに入れた「自由」も結局あっさり割れちゃったし。番ちゃんにとっての「神」だって、所詮はコスプレ、後付けの信仰。でも案外そういうものなのかも。世の中なんて全て茶番劇。それでも自分なりの意味付けをして生きていくしかないのだ。

  • 絲山さんの本としてはあまり重要なものではないと感じた。

  • 神様より歌子ばあちゃんの方が
    徳のある人に思えてしまった。
    -------------
    再読。
    おっさん、おばはんになってからの方が
    人生長いんだよね。愕然。

  •  アウトローな雰囲気を醸し出す主人公は、左翼運動から身を退いた40の男。ぶらりと訪れた京都でコスプレ神父に出会い、・・・という小説。

     1966年生まれが生き抜いた時代とか政治セクトとか革命というのは、'80s生まれの自分にはいまひとつ・・・というより、全く想像が及ばない。彼らなりの青春のかたちなのかな、くらいにしか受け止めていないが、間違っているかもしれない。
     文体がぶっきらぼうで主人公も何となくぶっきらぼう且つアウトロー。だけど、話が進めば進むほど、かれが 現実世界に絡め取られていくようで安心する反面すこし寂しい気がした。長年探していたレコードを聞き終えるとともに「ひどく蒸し暑い時間が過ぎたよう」な感じを受けるシーンでは、一度きりの夏が終わってしまうかのような焦燥感がある。

     前篇のラストは鉢植えの重さが心地良いのだけど、続く”アブセント”でまた気持ちが沈んでいく。夏休みもとってないし、琵琶湖はどんよりしているし。p.104で「不在は美化される」と主人公が言い、今生きている婆さんを美化したいと言っているけれど、逆に言えば不在じゃないと美化することはできないのかな、とも思う。爽やかに終わる前篇と、あまり暴れるなよと釘を刺す後編。そんな風に映った。

  • 2012/4/6購入
    2013/1/19読了

  • 不在の神に愛を祈ればそれだけで人生は救われる・・・闘争/逃走の果てに見つけたものは自身の真実の××。その××こそが神なのだろう。祈りは届く。

  • 双子のそれぞれの目線と状況からかかれている。軽い乗りでかかれているが、深く考えてしまう内容だった。正臣も和臣も、新しい人生の第一歩が始まるのだ。両方のラストが印象的。

全46件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

1966年東京都生まれ。「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞を受賞しデビュー。「袋小路の男」で川端賞、『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、「沖で待つ」で芥川賞、『薄情』で谷崎賞を受賞。

「2023年 『ばかもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

絲山秋子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×