- Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101305325
感想・レビュー・書評
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ひきかえせとまずいいたいお願いだからひきかえしてください最初のページへ。文庫本解説の慣例にしたがって巻末に置かれるはずのこの短文を作品を読むまえに読むのは絶対にやめてくれ。それはきみの体験に何もつけ加えないし何の理解にも役立たない。入口にむかう時がどんどん遅れるばかり。きみがこの小説を通過し終えたとき初めてこの文章には一定の意味が生じる。意味が果汁によるあぶりだしの文字か積乱雲の中の電のように出現するはず。だから後で会いましょう。(p.195)
菅啓次郎『本と貝殻』を読んでいた時に出会った書評。こんな書評を読んでしまうと、中身がとても気になる。ということで読んだが、すらすらと読みやすいのに難解。わかるけどわからない。読み終わってもまだわからない。なかなか出会わない文体だった。
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世間にあたしたちがいないってあたしは明治にもいった。最初に会ったときにいったの。似たようなことを。それでカリヲのママはいいママだってほめられたの。明治に。あたし。
それで。
話題の逆流。
なんの話題だった?そのときのあたしたち。あたしが明治に質問して。サングラスだ。それかけるのって。明示は昼間にはかけるよって答えて。その話題はそこで終わって。はいおしまい。あたしはレイバンのサングラスをしている明治もいまでは知ってる。その明治の顔を。顔ってゆうか姿を。だから昼間にみたの。あんと本人が説明したような。それはあたしのオフの昼間で。だからあたしとカリヲのともに持っているオフの昼間で。週末とか祝日の。たとえば日曜日の。(pp.152-153)
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解説も難解。「人生は単独で生きられることはなく単数でもない」がこの小説を通した教訓らしい。これを読んで、理解するとかそういう範疇の小説ではないことは漠然と分かった気はする。文体のスピード感と時間軸の曖昧さなどをただただ楽しめばよいのかな。
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あらゆる小説には入口があり出口があること。
そのあいだで言語的に体験されるもの以外に小説には何もないこと。
いえるといえないのあいだの選択だけが言語的風景を造形してゆくこと。
あたしは速度の変化に極端に敏感で速度の変化を実際に体験すること。
ストップというかけ声もコンビニのミニストップも彼女の速度論に関係すること。
人は世界を単独では発見できないということ。
人は世界を一度目にはほんとうには知らず知るには反復と再発見が必要だということ。
(中略)一言で言えば。
人生は単独で生きられることはなく単数でもない。
それを結論あるいは教訓としたい。(pp.201-203)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
子供を拾った。
拾った女と、拾われた子供が
淡々と日常を送っている…話?
連れて帰った、までは納得できるのですが
そこから徐々にずれていっている感じです。
少しずつなので、進んでも気にもなりませんでしたが
結局どういう事なのか、さっぱり。
読めはしましたが、面白いかと言われると
よくわかりません。 -
図書館で。
なんだかよくわからなかった。
鉄筋コンクリート…じゃ無くて鉄コン筋クリート、でしたっけ?とか言う漫画の世界みたいなイメージでした。 -
2007年刊の長編小説。架空の母と息子の物語。ほとんど母の独白のような視点と独特の文体とスピード感で時間が流れていく印象。ドラマを追うより文章のリズムを味わう楽しみ。
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今回もまた東京の描写が卓越してうまい。(東京出身の作家でないはずなのに)。東京原野、その寂寥とした景色に魂を感じる。鋭いナイフを持って疾走する瞬間にだけ生きている。かっこええ。
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紀伊国屋の本のまくらフェアで購入。
文体とスピード感が新鮮な感じだった。表現しにくい怖さみたいなものを言葉裏に感じながら、一気に読んでしまった。 -
現実的かつ精緻な筆致で、眩惑的な奇跡を起こるべくして起こった必然として描写することが、古川日出男さんの魅力だと個人的には思っています。なので、感覚的すぎて説明の少ないこの作品、ぼくはあまり好きにはなれませんでした。
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初めて読む古川さんの本。文体に戸惑ってしまった。
スピード感を売りにしているようだが、文体がどうも自分には合わなくてそのスピード感を感じることができなかった。
内容に関しては不思議でまだまだ理解しがたいので再度読みたい。 -
あたしの姉が死ぬ。というフレーズから始まる最初の勢いが好き。あたしとカリヲのオンとオフ。
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紀伊國屋新宿本店で開催された「ほんのまくら」企画で、友人が選んだ一冊。私のと交換して読んだ。不思議な作品。気持ち悪いような、怖いような、でも嫌な感じではない一冊。