心に狂いが生じるとき 精神科医の症例報告 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2011年3月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784101305738

みんなの感想まとめ

現役の精神科医が描く本書は、現代社会が抱える精神疾患の実態を淡々と語り、読者に深い考察を促します。アルコール依存症や統合失調症、拒食症、うつ病など、多様な症例が紹介され、精神的な苦悩がどのように人間を...

感想・レビュー・書評

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  • 世の不条理を淡々と語る本書。似非科学に切り込みつつ、現実を突きつける...。日本特有の社会構造にも言及し、現代の闇を鋭く抉っている。裁判員に選ばれたら? まっとうな判断をできるだろうか?

  • 岩波明『心に狂いが生じるとき 精神科医の症例報告』新潮文庫。

    現役の精神科医が描く精神疾患の実態。

    アルコール依存症、統合失調症、拒食症、人格障害、アルツハイマー、うつ病など現代社会のストレスは人間の精神をも蝕んでいる。様々な精神疾患の症例が紹介されているが、予防法や精神疾患との付き合い方などの解決策は示されておらず、読者を不安に陥れるだけの内容となっている。

    本体価格550円
    ★★★

  • どこまでが性格で、どこからが病気なんだろう?
    基本的には、意思や根性ではどうにもならないものが病気だと、ぼくは思っている。風邪ひいて高熱があるのを根性で治すことはできないし、聖人みたいに優しい人だってぎっくり腰になる。気合で新型コロナウイルスを倒すこともできない。
    だから、アルコール中毒は病気だと言われるとどうもピンと来ない。依存症が病気なら、麻薬中毒も病気では? だとしたら覚醒剤の常習者を逮捕するのは、インフルエンザ患者を捕まえるようなものでは? 

    統合失調症やうつ病は、わかる。それは病気だ。特に妄想というのは不思議なものだと思う。脳の中、心の中で何が起きているのだろう?  妄想が消えると、なんでおれはあんなことを信じていたのだろう、と思うのだろうか? 

    • kuma0504さん
      薬物依存症は立派な病気だと思いますよ。
      「麻薬中毒は病気か」とググれば、どれも病気だと書いています。
      ホントに優しくて面倒見の良い青年が、生...
      薬物依存症は立派な病気だと思いますよ。
      「麻薬中毒は病気か」とググれば、どれも病気だと書いています。
      ホントに優しくて面倒見の良い青年が、生活保護に陥っていて、支援活動で知り合ったことがあります。彼はパチンコ依存症でした。私はいったん依存症になってしまうと性格や意思では、どうしようも無いことになるんだと思いました。


      法律は何故必要なのか?kiwiさんの言ったような矛盾があるから、多くの小説が作られているんだと思います。
      2020/12/05
  • 493.7-I-

  • 『<a href="http://mediamarker.net/media/0/?asin=4087467007">精神科ER 鍵のない診察室</a>』などが臨床を前面に押しているのに対し、本著者の本は研究・解析が前面に配されているように思える。その為か文章表現が鋭利に感じる。途中取り上げられた「再チャレンジのできる社会」は『<a href="http://mediamarker.net/media/0/?asin=4062766116">「自殺社会」から「生き心地の良い社会」へ</a>』で引用されている表現と同じですね。

  • 直近に読んだ本や最近仕事がらみで興味を持った精神科についてのノンフィクション。今まで普通に生きてた人にも襲いかかる疾患。それにしても治療現場は大変だな。

  • 精神的に病んでしまった人達の症例。
    他の病気などと同じで 誰でもなる得るのが怖い。
    こういう育ち方と環境とか 必ずしもそうなってしまう原因がわかるものはほとんどない。
    どうすればならないか、どうすれば良くなるかあまり記載がなく薬で様子を見るしかないのか

  • 精神疾患の様々な症例を紹介したノンフィクション。

    著者は、うつが増えている原因として、「相互監視のシステムはより強力になり、些細な瑕疵に対する執拗なパッシングがジャーナリズムと一般国民によって繰り返される」我が国の現状を挙げ、嘆いている。また、それは「日本的な「空気」に基づいた、閉塞感にがんじがらめにされた大衆のルサンチマン」が犇めいている日本社会の変革には、我々の意識改革が必要だとも。

    本書を読んで、精神障害により責任能力を問えない状態で犯罪を犯した者を罪に科せない現在の刑法のルールには、疑問を感じた。そもそも、冷静な判断の出来ない異常な心理状態にあるからこそ、猟奇的殺人等の残酷な事件を起こせるんじゃないかなあ。この点については、かなりの議論がありそう。

  • 様々な精神疾患の症例が書かれていた。読んでいるわたしの心に狂いが生じそうになった… 現代社会においてこういった精神疾患は誰にでも起こりうるものだということを理解しつつ、それを回避するためにはどうすれば良いのかを考えながら生きていく必要がある。決して他人事ではない。自分がいかに幸せなのかを自覚するところから、改めて始めていきたいと思った。

  • 現場と常識の狭間でどう丁寧に見ていくか、ひとつひとつを丁寧に見ていて、そういう丁寧さ、慎重さの上にこれからどうするかがあるんじゃないかなと思った。こういう事態に陥った人たちは、どういう経緯や原因があるのか、わかりやすく書かれていて、難しさや課題などもあるのだなと改めて。

  • ただ、ひたすら怖い。なんだかんだ言って精神疾患の原因は未だに判明しておらず、患者のためによくないなどと巷では言われている薬漬けも仕方がないというか他に方法がないというのが現状としか言いようがない。それにしても日々生きていられてちょっとした楽しみがあれば幸せ、という国民性のアメリカ人に圧倒的にうつ病が少ないという事実がものすごく興味深い。やはり病は気から?

  • 「正常な精神と狂気には、厳然とした境界線があるように考えられている。しかし実際のところその境い目は、ごく淡いものであるように思われる」筆者の言葉。

    裁判員裁判しかり、必読の一つと思われる。

  • 心の狂いは、ほんのわずかな日常のきっかけで起こりうる。あらためてうつ病が身近に起こってることからも感じられる。本書は、精神疾患についての正しい理解への啓蒙と、日本の司法、行政の遅れへの警鐘である。14.4.19

  •  失業率から見ると日本はアメリカの半分なのだとか、それに比べて自殺率は1.5倍~2倍なのだ。自殺の原因として、うつ症状から自殺まで発展する人がかなりの人数に上るらしい。うつ症状を発症しやすい日本社会の構造が注目される。

     一度レールから外れると復活がむずかしいのが日本社会である。会社員はレールからはずれないためにストレスを抱え込んでしまう。そして軽度のうつ症状が悪化すると自殺まで追い込まれることになると著者はいう。アメリカは成果主義の国であっても根底にはキリスト教の精神で助け合いが行われている。宗教を持たない日本が成果主義を導入することで更にストレスが社員に重くのしかかるのだ。

  • いろいろなパターンの事例

  • 精神疾患や司法精神医学的問題に対してノンフィクションでありながらただ悲惨な事実を悲劇的に描くのでなく、淡々と且つ人間の生きていこうとする力の存在を裏に小話などはさみつつ途中で読むのを躊躇うこと無く読めるよい本であった

  • 主要な精神疾患の症例の紹介と解説。

    岩波氏の本がより多く読まれれば精神病患者について過剰な恐怖も不当な差別も減ってゆくと思う。

    他の本でも指摘されているが、日本で司法精神医学の専門家がいないのは大きい問題。

  • 2011.8.12.

  • 岩波明の心に狂いが生じるときを読みました。精神科医の症例報告という副題のついた、精神疾患の症例の解説でした。依存症、統合失調症、摂食障害、精神病質(サイコパス)、アルツハイマー病、うつ病、強迫神経症、といった各種の精神疾患の症例が解説されています。また、裁判員制度が導入された時に話題となった精神鑑定の質の問題、司法と精神鑑定の関連についても解説されています。このレポートを読んで、konnokが一番気になったのは、うつ病とそれに起因する自殺が最近増加の傾向にあるという指摘でした。日本の社会は異端となることを許容しない社会である。取り残され、落ちこぼれていく人々に対して日本の社会はなかなか救いの手をさしのべない。終身雇用制が崩壊して雇用の安定性が失われた上、成果主義の名の下に過重な労働を強いられる状況になっている。このことが過重なストレスからくるうつ病を増加させている、という主張は考えさせられました。

  • 淡々とした本当の精神病の症例報告。アルコール依存症、脳の異常による精神病、アルツハイマー…。今流行りの鬱ではない、本当の精神の狂い。

    表題と内容が違っておらず、本としてシンプルで好感がもてた。

    「正常」と「異常」の境目は、なんて強固で、また曖昧なのか。

    精神病の症例をなぞって、色々な想いが過ぎる。精神病の患者にとっては、家族に見放されたら、きっと最後だ。でも、家族だからこそ、狂ったときの理解は難しいのでは。
    また、看護の難しさ。

    そして、現代日本の定義している「正常」は潔癖過ぎるのではないかということ。色々な人に出会う職場だが、「どうしてこんな人が…」と思う人が普通に仕事している。それが現実。でも、日本人の意識では、「正常」なことは絶対譲れないこととして考えている。現実と認識のズレがあるから、本当の対応ができなくて、皆苦しんでいる。

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著者プロフィール

昭和大学医学部精神医学講座主任教授

「2023年 『これ一冊で大人の発達障害がわかる本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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