残虐記 (新潮文庫)

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レビュー : 332
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101306353

感想・レビュー・書評

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  • 桐野ワールド全開。超長編でもなく、大作でもないのだけれども、
    ずっしり重くて息継ぎが出来ない感じ。
    同時にテンポが良いので、途中で置くことも出来ない。
    そして読み終わったときには、なんだかとてつもない
    体験をしたような、ある種爽快感を覚えるような、
    要は「小説を読む愉しみ」をしっかり味あわせて
    くれる。

    これはもう、好き嫌いがわかれるだろうな。
    予定調和的な小説、本格推理小説、はたまた文字通り残虐なものを
    求めるひとたちにはみな、期待外れに終わるだろうし。

    もちろん、現実に起きた新潟の監禁事件を想定して読めばあっさり
    裏切られるし。

    でも、わたしにとっては大好きな桐野夏生の、なかでもお気に入りの作品に
    なった。
    一体どこに連れて行かれるのかわからない痺れる感覚。
    整合性が取れていないことへの違和感、不安な感じ。
    それら全てが一転して見事に「愉しさ」に変わる瞬間の、幸福感。

    これぞ桐野夏生。
    これぞ小説または物語。
    これぞ人間だけが味わえる悦楽。

    そんなことまで考えさせてくれる、面白い小説でした。

    前後して発表された「グロテスク」や「魂萌え!」が話題を集めたのに
    比べると、題材のダークさやボリュームなどから若干影が薄いようですが、
    それでもきっちり柴田錬三郎賞は獲っていました。さすがだ。

    これからも何度も何度も読み返し、そのたびにざわついた違和感と
    置いてけぼりを食らうほどのビートに酔いしれることでしょう。

  • 読み始めてみたら実は再読だった。再読したいような後味のよい話ではないけれど、一度読み始めると最後まで読まずにいられないあたりが作家の力量なのだと思う。

    日常を失うことのとりかえしのつかなさ。事件の多い昨今に思うことの多い再読でした。

  • 「心が気持ち悪くて悲しい」
    読後のまっすぐな感想。
    桐野夏樹独特の、触れてほしくない傷口に敢えて触れるような表現に痛みの先に何があるか探究心が抑えられず読み進めてしまう。
    「残虐記」とは、誰に対する「残虐」なのか。加害者でもあり、被害者でもあるのか。登場人物達の心の描写が緻密でリアルで悲しくなる。

  • 10月1日 読了

    何層にも謎が深まっていく。よくできた構成。
    この世で一番残虐なもの・・・それはヒトの想像力。

  • 10歳の小学生が25歳男性に1年間拉致監禁された。
    事件後、加害者も被害者も何も語らないため、「真実」が明かされずにいた。

    「真実」とは何か?

    それは、それぞれの人がその瞬間に感じた「何か」であり、他人とは共有するものが出来ないのかも知れない。

    本作は被害者が「真実」を想像して書かれているのだか、それはあくまでも事件後25年を経過した後の被害者にとっての「真実」であり、事件当時の「真実」とは相違しているのだろうか?

    人間はそれぞれの想像の中に生きているのか?

  • 日本のどこででも起こりうる事件。事件が解決しても心にへばりついた闇が消えることはあり得ないのだと、再認識できた。

  • 子どものころ誘拐され、約1年にわたって犯人によって幽閉されていた女の子が小説家になった・・というお話。

    人とというのは結局、自分が解釈したいようにしか解釈しないし、自分の中に枠組みがないこと(概念がないことというか・・)は理解しようがないんだな。

    でもだからといって、理解してもらおうとか、理解しようとする努力を放棄していいわけではなく。

  • 過去に起こった少女誘拐監禁事件の被害者だという手記を残して失踪した作家。
    当時のことを生々しく書いたその手記には、当時からの自分の中での葛藤と、決して周囲には語らなかった真実が含まれていた。
    謎目いた部分も多く、序盤から違和感がある…
    それは、最後まで拭えずに終わってしまうのだけれど、それも人によっての目線や受け取り方で違ってくるのかもしれない。

    2019.4.29

  • 展開は面白いですが、内容がマニアックかつ重い。。

  • 作家が残した作品は、「自分は少女誘拐監禁事件の被害者だった」という手記。
    そこには、少女が囚われ監禁されてから、助け出されるまでの記録が、克明に描かれていました。
    虚構と真実が幾重にも重なり、謎に満ち溢れた手記です。
    一体何が真実なのか。
    文章が巧みで、とにかく読ませます。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。成蹊大学卒業。1993年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、1998年『OUT』で日本推理作家協会賞、1999年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、2004年『残虐記』で柴田錬三郎賞、2005年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、2008年『東京島』で谷崎潤一郎賞、2009年『女神記』で紫式部文学賞、2010年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞、2011年同作で読売文学賞を受賞。2015年、紫綬褒章を受章した。近著に』『奴隷小説』『抱く女』『バラカ』など。

「2016年 『猿の見る夢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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