信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101309316

感想・レビュー・書評

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  • 冒頭の A・アルトーのパクリっぽい文章の後、その後本人が
    「たりぃよー のーからアイデアが出て行くよー」
    と言ってる上、リアルアントナンが実際興味を持ってたらしきジャパンの、NOBUNAGAとやらいふ帝王に関するよくわからない伝承を持つ、娘さんぽい美少年が、A・アルトーへ接触する。そんで以て。
     ナチス・ドイツはアジア系とか、あのをっさんは生ふたなりとしての織田信長公に戴冠せるアナーキストにして男の娘皇帝ヘリオガバルスのアレの後のナニであるとか、の他に、
     ぢぢいの忍者が、なんか印象に残る。
     ある種 実学としての歴史学と、同じく実学としての神話学が、同じテーブルで語られてると、アレが何するといふ展開は、けっこう面白い。

  • 歴史を土台にした幻想小説といった感じ。
    信長とローマ皇帝ヘリオガバルスの以外な繋がり。
    アンドロギュヌス、異端の王ヘリオガバルス、バール信仰、キリスト教により葬られた古代オリエントの神々、蝿の王バール・ゼブブ・・・。数多くの事柄が信長とヘリオガバルスを結びつける。
    そしてそれをナチ台頭期のベルリンでアルトーに語り始める謎の美青年。
    無理矢理とも言える展開と突飛な発想だが、ただの歴史小説ではない信長作品として楽しめた。
    先にアントナン・アルトーの「ヘリオガバルス または戴冠せるアナキスト」を読んでおくといいかもしれない。

  • ウンベルト・エーコのような記号と象徴から祭祀の意味を読み取りつつ、歴史的事象を狂言廻しを通して関連性を描く。
    古代イランからナチの台頭にまで繋げるその構想力と描写力は見事の一言に尽きる。

  • こういうの、好きな人は好きなんだろうなあ。私には好きとか嫌いとかいうより何だかよく分からん・・・って感じだったけど。それでも読むのを止めようとは思わなかったから、そういうのはさすが大賞受賞作ってことなんだろうなあ。

  • アンドロギュヌス、異端の太陽王ヘリオガバルス、バール神殿、グノーシス、キリスト教の蔓延により葬り去られた古代オリエントの神々バフィメット、バール・ゼブブ(蝿の王)・・・ 書名が「信長」でなければ、澁澤龍彦の書かと思われる数々のガジェットに彩られた戦国絵巻。千三百年の時を越えて交わる異端の肖像。伝奇・反史は正史があってこそ怪しく輝くもの。司馬遼太郎の「国盗り物語」等、歴史小説を先に読むことを勧める。ヘリオガバルスは澁澤龍彦「異端の肖像」に詳しい。著者には豊臣秀吉をテーマにした「聚楽―太閤の錬金術」あり。

  • 信長受け好きにはたまらないです。両性具有で神々しく美しい信長。歴史書というよりオカルトファンタジー。光秀と秀吉が心底信長を愛している描写が堪りません。特にこの秀吉の信長への心酔猛愛ぶりは可愛すぎます。

  • 1930年、ベルリン滞在中のアントナン・アルトーの前に現れた日本人青年は、ローマ皇帝ヘリオガバルスと信長の意外なつながりを彼に説いた。ふたりはともに暗黒の太陽神の申し子である。そして口伝によれば、信長は両性具有であった、と…。ナチ台頭期のベルリンと戦国時代の日本を舞台に、伝承に語られた信長の謎が次々と解き明かされて行く。第11回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

    2009.7.23読了

  • 2008/08/27読了
    これはよいトンデモ本

  • 設定は非常に面白いんだけど、何せ難しい。舞台はナチス政権が成立する前のドイツと織田信長の時代を交互に移り変わる。詩人アントナン・アルトーが少年ローマ皇帝ヘリオガバルスと織田信長の共通性・両性具有にまつわる謎を解明していく展開。そしてそれが、二十世紀のヨーロッパにかかわってくる。んー、難しい。

    2008.8.15読了

  • 日本史×世界史。
    どっちか言うと世界史の人の方が楽しめるかもしれませんよ。
    一見荒唐無稽なのに、ユーラシア大陸の西端から東端までの文化圏やら歴史やら神話やらを総動員して信長の行動を裏付けているので、「そーかー、そりゃ腑に落ちる」なんて納得してしまうのです。
    設楽原合戦をメギドの丘とは言いえて妙。コルドバ陣形が眼前に広がる武田軍の絶望が目に浮かぶようです。信長様こわい。

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