- Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101309750
作品紹介・あらすじ
画廊勤めの風子の前に台風のように現れ、19歳の身体を心ごと奪った大岸豪介。不器用で情にもろい豪介に深く刻まれた風子の愛の記憶は、幼い娘を抱えスナック勤めをした洋子との暮らしを彼が選んだあとも甘く、苦しいほどに切ない。元妻を自殺で失った河野至高と風子が結ばれた20年後のいまも…。70年代フォークの調べにのせ、秘めた想いを、肉体の歓びへと解き放つ大人の愛の物語。
感想・レビュー・書評
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買ったのは多分2016年。大垣書店他のチェーン限定の復刊と。
風子、洋子、風子、夏来、そしてぐるっと廻って風子と若菜。
色々分かってない男は脇役でしかない。
出てくる場所が、19歳の風子が過ごしたのは百万遍、夏来が住んだのは出町柳で、河野は旭川でボート部だったとか。
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オムニバス形式の短編集。
読後、幸せって何なのかわからなくなります。幸と不幸が隣り合わせで、誰かの幸せが誰かの不幸で、皆自分の人生を生きるのに一生懸命なだけなのが辛かったです。人生は本当にままならないと思わされます。
登場人物は皆過去に悲しい思い出を抱えています。どうしようもなく上手くいかなくて離れてしまった、忘れられない人がいます。どう折り合いをつけて人生を進めるのか、このお話に出てくる人たちが選んだ道は正解なのか。たくさん考えさせられます。
「待つというのは、危険な行為だ。 待ち続けているうちに、誰を、何を待っているのか、わからなくなってくる。待つ、ということに吸い込まれ、呑み込まれ、噛み砕かれ、私の躰は分断され、侵食され、消えてなくなっていこうとしている。」 -
ゴンちゃんと風子の出会い、結婚、離婚を描いた「空は何色」から始まる5篇の連作短編のような感じです。作中出てくるフォークソングが懐かしい。
ゴンちゃんと河野さんがバカ正直なほど自分の気持ちを優先しているのに対して、風子も河野さんの元妻である夏来も自分の本心は隠して生きていたのですね。河野さんが夏来の自殺の原因が自分が彼女から何かを奪い、踏みにじったと思っているのに「愛する人に歌いたい」で自殺の理由が全く別の事だった事実に驚きました。
最後まで読むと『好き、だからこそ』というタイトルがとてもしっくりきました。 -
不幸と幸せはなぜこんなにも隣り合わせなのか。
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短編だけど、繋がっていた話。面白かった。
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好き、だからこそ許せないことがある。好き、だからこそ言えない秘密がある。好き、だからこそ誰かを不幸に陥れたとしても手に入れたい愛がある。好き、という気持ちは理屈では説明できないと言われるけれども、そこにこそ人間らしさが秘められているのかもしれない。しかし、もう一方で人間は生きて行かなければならない。誰かから手を差し伸べられることで、生を繋いで行くことができる。その時に生まれる情は、好き、ということと同じなのだろうか?小手鞠るいさんの世界に登場する女性たちは、いつも健気で自分自身の感情に正直に生きてゆく。
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あああセツナイ……
恋ってどうしようもないんだな
忘れられないというより
もはや自分の身体の一部になってる
みたいな表現が
なんだかしっくりきた -
熱烈な求愛により、フランス料理店のコックをしていたゴンちゃんと20歳で結婚した風子。元ガキ大将で負けん気が強く正直者のゴンちゃんとの結婚生活はしかし長くは続かず、自ら家を出た風子だったが…。
愛する人との穏やかな生活のなかにあっても、なお自分を捉えて離さない一人の人。その行為の良し悪しはともかく自分の気持ちにあらがうことなく踏み出してしまえる風子の潔さに惹きつけられる。
連作短編集になっている中で「愛する人に歌いたい」は意外な真相が明かされる一篇だが、最初は誰のことか分からなかった。どちらに非があるとかないとかではなく、結婚は組み合わせの運であることを思い知る。 -
短編集かと思ったら、オムニバス形式で進んで行くいくつものおはなし。
最初はコテコテすぎるなぁと思いながら読んでいたけど、最終的には引き込まれてしまった。
若い恋愛と忘れられないひと。
だれにでもある恋のはなし。 -
好きって大変。
忘れられない恋愛が
絡まって、けど、ちゃんと前に進む
大人なお話。
ズルいなって思ったりもする。男ってズルいなぁって
解説がまたいい感じです。