少年H〈下巻〉 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101311074

感想・レビュー・書評

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  • 後書きというか解説が瀬戸内寂聴が書いていた。
    ほぼ、同年代で同じような体験を経ているのでとても楽しい本だと閉めている。
    確かに、昔を懐かしむなら良い小節だと思うが、戦争を知らない子供達にとってはどうなんだろう。。。

    一部、理解不能な所がある。
    戦争が終わってから、世の中が180度転換したため頭が混乱し自殺未遂してるんだよね。
    この精神状態がわからん・・・

    ってか、理解しちゃダメでしょ。
    生きなきゃダメでしょ。

  • コロナ禍で読むと、戦時中の情報が無い混乱状態がリアリティに感じられて、逆にコロナ禍と戦争状態の類似性を感じることが出来る。下巻になるとだいぶ成長したのか、子供なりの意見が多くなる。「戦争が悲惨」というところにテーマを置いてない点が良い。

  • ベストセラーはやはりよんでみるべきだという実感。
    ちょっと左側の意見というのもあるが、率直に著者がそう感じたということで、扇動しているわけではないだろう。
    空襲の章は手に汗握った。
    少年Hが大人になってヨーロッパやインドに行けてよかった。

  • 「少年H(下)」妹尾河童著、新潮文庫、2000.12.01
    495p ¥660 C0193 (2018.09.08読了)(2014.01.19購入)

    【目次】
    教練射撃部
    血液型
    実弾射撃
    蛸壺
    雑炊と疎開
    芋とカニ缶
    空襲
    焼け跡
    友だち
    機銃掃射
    学校工場と『無法松』
    捕虜
    ドイツ無条件降伏
    一人一殺
    原子爆弾
    ポツダム宣言受諾
    銃の埋葬
    進駐軍通達
    M1カービン銃
    戦災者住宅
    壁の目玉
    ちょっと待て
    教室の住人
    落第候補
    フェニックス工房
    解説  瀬戸内寂聴

    (「BOOK」データベースより)amazon
    中学生になったHは、軍事教官から「反抗的だ!」とマークされ、殺されそうになる。戦争は日々激しさを増し、空襲警報が連日のように鳴り響き、米軍機の猛爆で街は炎上する。その中を逃げまどうHと母親。昭和20年8月、やっと戦争が終わるが、暮らしの過酷さはその後もつづいた。“あの時代”、『少年H』は鮮やかに“戦争の時代”を伝えてくれる。

  • 中学に上がったH。焼夷弾が降るなかを逃げ延び、機銃掃射をやり過ごし、軍事訓練と勤労奉仕に明け暮れ…。戦時を逞しく生き抜いたHに悲壮感は無い。

    あまのじゃく=非国民なHは、戦後の社会の変化に馴染めず、荒んでしまう(と言っても、元々相当の悪だったHが思春期に差し掛かっただけ、ということかもしれない)が、理解ある父親や恩師に見守られ、何とか社会人に成ったところで物語は終了。

    神戸の街が焼け野原から力強く復興する姿が目に浮かんだ。

  • 作者の自伝小説。
    妹尾肇のイニシャルHが手作りセーターのトレードマーク。
    神戸を舞台にした、Hが9歳頃から旧制中学を出るまでのストーリー。
    戦争が始まる前の生き生きした生活感と家族の愛情が戦争が始まることで、ずれ始める。
    軍国教育の中で理不尽に殴られたり、悲痛な思いが多々あるのだが、何故かHをはじめとする少年たちは生き生きと輝いている。
    ある日突然の玉音放送で、降伏が明らかになると、それまでがいったい何のためだったのか疑問を持ち、深く悩み苦しむことになる。

    ほとんどの漢字にはルビがふってあるため、子供でも読めるし、もともとは子供から学生時代に読んでおくべきだった本。

    小学校高学年から中学生には是非とも読んで欲しい!

  • 2016/04/24BookOff購入
    2016/05/25読了

  • 75
    戦争も敗戦の影が色濃くなってくるとHたちの生活も大きく変わってくる。
    子供の多感な時期だからこそ気づいてしまう大人たちの嘘や、嘘を受け入れてそれでも本心を出さず日々進む世間に、戸惑いながら大人へと成長していく。
    物語が進むにつれ、成長する主人公に合わせ、物語も成長していることが面白い。

  • 今では信じられないような話です。
    信じていた価値観が180度変わる。
    そんな体験を感受性豊かな子供時代にしている。
    現代人が生ぬるく見えることでしょう。
    本当の優しさや厳しさがあるんだろうなぁ。

  • ほんまに純な人やからな。君も優しいええ人やしな。こういう人と付き合いつづけるいうのは、ぼくも幸せやと思ったから、ぼくが役にたつことがあったら、何でもしてやろうと思ってな。

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著者プロフィール

妹尾河童
1930年神戸生まれ。グラフィック・デザイナーを経て、1954年、独学で舞台美術家としてデビュー。以来、演劇、オペラ、ミュージカルと幅広く活躍し、「紀伊國屋演劇賞」「サントリー音楽賞」など多数受賞する。また、エッセイストとしても、『河童が覗いたヨーロッパ』『河童が覗いたインド』などの大人気シリーズで知られている。著書多数。『少年H』は、著者初の自伝的小説で、毎日出版文化賞特別賞受賞作である。

「2013年 『少年H(下巻) (新装版)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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