サクリファイス (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 1051
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101312613

作品紹介・あらすじ

ぼくに与えられた使命、それは勝利のためにエースに尽くすこと-。陸上選手から自転車競技に転じた白石誓は、プロのロードレースチームに所属し、各地を転戦していた。そしてヨーロッパ遠征中、悲劇に遭遇する。アシストとしてのプライド、ライバルたちとの駆け引き。かつての恋人との再会、胸に刻印された死。青春小説とサスペンスが奇跡的な融合を遂げた!大藪春彦賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • ちょっとしたきっかけから、自分の世界が広がった、そんな経験ってないでしょうか?

    私は一年少し前に観た映画をきっかけに一冊の小説を手にしました。恩田陸さん「蜜蜂と遠雷」。クラシック音楽が好きで、その音楽が文字だけの本の上に鳴り響いた瞬間、私は本というものが持つ力に気づきました。読書経験の全くなかった私が以降の数ヶ月で300冊以上の小説を読むことになったのはこの出会いがあったからです。

    世の中には色んな方がいらっしゃいます。広範な分野に広く興味を示す方がいる一方で、自分がこれぞと思ったごく狭い範囲に深く興味を示す方もいます。間違いなく後者の自覚がある私ですが、一方で、思い切って自分の知らない世界に足を踏み出してみようか、と思う時があります。そんな時、そこから得られた収穫は、予想以上に大きく、またそのことをきっかけに世界がグンと広がった、そんな思いをすることもあります。読書を始めるようになって、それはよく感じます。興味の”き”の字もなかった世界を取り上げた作品に涙する、そんな経験も増えてきました。でも、それでも興味のない世界に手を伸ばすのはハードルが高いのも事実です。

    『自転車ロードレース』

    私にとっては全くもって興味の沸かないその競技。そもそもそんな興味のない競技について、趣味の読書で無理して読む意味があるのか?と真面目に悩んで、それでも手にしたこの作品。『競輪ならまだしも、日本ではロードレースを知る人すら少ない』というその世界。そして、その競輪にさえ興味のない私。そんな私が手にしたこの作品。そんな私の前に広がっていたのは、なんとも奥深い、人と人が熱く繋がる物語でした。「サクリファイス」=”犠牲”というなんとも意味深い書名を冠したこの作品。読み終えたばかりなのにすでに続編を手にしてしまった私。この作品は、そんな私があなたに全力でオススメしたい絶品です。

    『自転車の中でも、より速く走るためだけに、ほかのすべての要素をそぎ落としたのが、ロードバイク』。そんなロードバイクの『速度を上げて、ぼくは先をはしるチームメイトに追いついた』というのは主人公の白石誓(しらいし ちかう)。『自転車の上で過ごす時間は五時間以上』というレースに身体を慣らすために『息が切れないほどの速度で、長時間走るというトレーニング』を続けます。『ヨーロッパでは紳士のスポーツ』とも『この世でもっとも過酷なスポーツ』とも言われるロードレース。『ツール・ド・フランスでは、三週間にわたって、一日百五十キロ以上の距離を走り続け』るというそのスポーツ。しかし、『日本で走っている限りは、そんなグラン・ツールに出場する機会などない』というその現状。そんな白石が所属するチーム・オッジ。『年に何度かは海外へも遠征に行く』ものの『世界と日本の壁は、未だに厚い』と感じる白石。その時『前を走っていた伊庭和実がちらり、こちらを見』て、『前、行けよ』と告げます。『伊庭の前にはもう選手はいない』、『先頭に出ろということだろう』と『ペダルに力を込め』、『伊庭はそのまま後ろにまわった』という流れ。『空気抵抗』を受ける先頭、『トレーニングであろうと、無駄な力は遣いたくないというのが彼の本音』と思う白石。『去年、ぼくと一緒にチームに入った新人』ながら、ベテランを追い越す実力者。『トレーニングが終わった後』自転車を洗う白石。『軽く汚れを拭っただけで』帰ってしまった伊庭。その時『丁寧だな』と『チーム最年長の三十六歳』の赤城が声をかけます。『チカ、伊庭をあまり、甘やかすな』と続ける赤城。『どうやら、今日の伊庭の行動は先輩たちにもばれていた』と思う白石。『あいつは目に余る…チームの士気に関わる』と厳しい赤城に『すみませんでした。次から気をつけます』と『素直に頭を下げた』白石。『あいつは怠けているんじゃない。天狗になっているんだよ』と言う赤城は『このままじゃ、そう遠くないうちに、あいつ、豪とぶつかるぞ』と出したその名前。『チーム・オッジのエースであり、日本を代表する自転車選手』という石尾豪。『普段は無口で、ほとんど喋らない…あまりオーラも感じない』という石尾。『だが、自転車に乗った瞬間に、彼は変わる』という石尾。『ほとんど執着といえるほどの、勝利への強い意志』を見せる石尾。『腕を組んで、もう一度』、『このままでは、豪とぶつかる』と繰り返す赤城。そんな面々が属するチーム・オッジの自転車ロードレースにおける戦いが描かれていきます。

    『競輪ならまだしも、日本ではロードレースを知る人すら少ない』というマイナー競技を描いたこの作品。ニュース報道でちらっと一場面を見たことがあるくらいで、そもそもどういった競技なのか全く知識がなかった私。正直なところ、この作品を手に取ることすら躊躇したくらいに何の興味もない、そう言い切れるほどの私。おそらく似たような読者が多いことを予想してか、まさしく手取り足取りといった感じで競技について細かいところまで説明がなされていきます。しかし、それは決して説明口調ではなく、小説の流れの中で極めて自然に描かれていくところに近藤さんの筆の力を感じます。

    そんな作品本編の冒頭はいきなり緊張感のある表現で始まります。『かちり、とシューズがビンディングペダルにはまった。こぎ出す瞬間は、少し宙に浮くような、頼りない感覚』というその表現。『だが、それは二、三度ペダルを回すだけで消える』と続けるそのシーンは、私たちが自転車を漕ぎ出す感覚との違いを読者にはっきりと印象付けます。そして、走り出した後にこんな表現が登場します。上記でも少し触れたトレーニングの場面。同期の伊庭が白石に先頭を変わるよう頼むシーンです。苦笑しながらも伊庭に代わって先頭に出た白石。『急にペダルが重くなる。集団の後方にいるときは、ほとんど力を入れなくても進んだのに、今は自分から力を入れなければ進まない』と先頭を務めることがどういうことかを主人公の感情をそのまま使って表現していきます。自転車ロードレースにおいて『空気抵抗』というものがいかに大きな障がいとなるかを感じさせるそのシーン。この作品では、そんな『空気抵抗』との戦いが勝ち負けに大きなウエイトを占めていきます。そんな『空気抵抗』を受けて先頭に立つことを嫌がる伊庭と、それを厭わない白石というこの二人、それぞれの性格と物語での役割を作品冒頭で上手く印象づけるシーンだと思いました。

    そんなこの作品は一方でミステリー要素を持っているという点も重要です。『自転車ロードレースというスポーツは心理的な駆け引きが複雑で、競技自体がすごくミステリーとなじむんですよね』と語る近藤さん。そんな近藤さんがミステリー要素を上手く盛り込んだこの作品。その本編の前には『静かだと思った』と唐突な一文から始まる数行のプロローグが添えられています。『静かだと思った』という、静かな始まりを感じさせる一方で、そんなプロローグに綴られる情景は衝撃的です。『…熱で溶けたアスファルトに、少しずつ赤い血が広がっていく。あらぬ方向に曲がった首と、ぴくりとも動かず投げ出された手』というその内容。自転車ロードレースを取り上げたスポーツものと思って本書を手にした読者をまさかの恐怖が襲います。思えば自転車という乗り物に乗っていると、時々不安を感じる瞬間があります。何ら防具を付けない剥き出しの生身の身体、そんな自転車でレースをするということに付き纏う危険。実際、この作品でもその結果、障がいを負った人物も登場するなど、その危険性がこのスポーツのもう一つの側面でもあることに光があたります。そんな色んな要素の上に描かれるミステリーは、この作品の書名である「サクリファイス」=”犠牲”の一面に由来するものでもあります。その意味でも、この作品のミステリー要素はこの作品の中で一体不可分と言えるものだと思いました。

    そんなミステリー要素は、後半にいくに従って重さを増していきますが、一方で、「サクリファイス」という書名は、そんなミステリー要素だけを挙げて名付けられたのではないと思います。この作品の面白さは、そんなミステリー要素抜きでも存分に感じられるものです。それは、上記した先頭を交代していくという独特な競技のあり方に関わるものです。『レースの最中、相手がライバルだとしても、順番に先頭交代をするのがマナー』という競技姿勢から『紳士のスポーツ』と言われる『自転車ロードレース』。そんなロードレースに十八歳の時に出会った主人公の白石。そうして出会ったそのスポーツは『アシストは、勝利をエースに託している』というチームスポーツでした。『エース』を勝たせるために存在する『アシスト』という存在。『賞金こそ分配されるが、勝者として記録に残るのはたったひとり、エースの名前だけ』というのが『ほかの団体競技と自転車ロードレースの違い』。『捨て駒、ということばさえ頭に浮か』ぶものの『それこそがアシストの仕事である』というその役割。そんな『アシスト』としての役割を任されるのが主人公の白石でした。『自分の勝利ではなく、だれかのために走ること。それはぼくにとって、どこか自由の匂いがした』と感じる白石。古今東西、スポーツを描いた作品は数多く存在しますが、その主人公が競技の主役を務める『エース』ではなく、それを支える側という作品はそう多くはないと思います。この点にとても新鮮さを感じるこの作品。そうであるが故に、『エース』である石尾が吐露する台詞も新鮮に響いてきます。『アシストを徹底的に働かせること。それが勝つためには必要だ。自分のために働かせて、苦しめるからこそ、勝つことに責任が生まれるんだ。奴らの分の勝利も、背負って走るんだ』というその台詞。そんな『エース』から『アシスト』を見やるこの台詞の上に描かれる物語は、人と人との強い信頼感を感じさせるのものでした。そして、そこにふっと「サクリファイス」=”犠牲”という書名がただならぬ重さをもって浮かび上がってくる、この作品の書名に感じられる重みは、ミステリー要素ではなく、この競技自体から生まれるものなのだ、そう思いました。

    『「チームの結果に結びつくなら、自分は最下位でも構わない。自分の仕事がまっとうできれば」というメンタリティーはめずらしいかも知れません』とおっしゃる近藤さん。『アシストって存在が、武士道みたいでカッコいいなと思ったんです』と続ける近藤さんが自転車ロードレースの世界を描くこの作品。それまで全く興味のなかったその世界に、こんなにも奥深い世界が広がっているとは思いもよらなかったこの作品。また、そんな”武士道”にも似た感覚がヨーロッパの人々を熱狂させるスポーツに存在することにもとても驚かされたこの作品。

    『紳士のスポーツ』と呼ばれる自転車ロードレース。『紳士』とはなんだろう、とその言葉の意味を考える時、「サクリファイス」=”犠牲”という言葉の音色が変化したようにも感じた、とても印象深い作品でした。

    • bmakiさん
      さてさてさん

      こんにちはm(_ _)m
      このレビューを読んで、いてもたってもいられなくなり、Amazonでポチりと購入してしまいまし...
      さてさてさん

      こんにちはm(_ _)m
      このレビューを読んで、いてもたってもいられなくなり、Amazonでポチりと購入してしまいました(*´▽`*)

      さてさてさんの評価通り、とても興味深く読ませて頂きました。
      面白かったです(*´▽`*)

      これからもさてさてさんの評価、参考にさせていただきます。
      ありがとうございましたm(__)m
      2021/03/07
    • さてさてさん
      bmakiさん、いつもありがとうございます。
      自転車ロードレースの世界がこんなに面白いとは思いませんでした。bmakiさんがお書きになられて...
      bmakiさん、いつもありがとうございます。
      自転車ロードレースの世界がこんなに面白いとは思いませんでした。bmakiさんがお書きになられている通り、中盤からのミステリも良い感じで作品を占めているように思いました。私もてっきりスポコンものだと思っていたのでこれは意外でした。とても面白い作りだと思いました。このあと、エデン...と続く続編も読んでいきたいと思います。
      今後ともよろしくお願いいたします!
      2021/03/24
  • 自転車ロードレースをテーマにした小説。
    ミステリー作品というよりかは、スポーツや人間ドラマに軸を置いた作品だと感じる。個人の勝利が焦点となりやすいスポーツ小説においてチームとしての勝利を目指そうというスポーツはそう多くは無いと思う。自分の中のエゴとチームに対する貢献という中で葛藤している姿がとてもリアルだった。
    前半の息の詰まるような試合描写や心理描写で圧倒され、後半の仲間の死という場面にとても驚かされました。誰が彼を死に追いやったのかというミステリー面の強い後半の怒濤の展開が面白かった。「サクリファイス」という言葉の意味。その意味を知ったときの衝撃たるや。まさにそれだった。そんな彼らのドラマを是非読んでみてほしい。

    この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    白石誓:梶裕貴
    伊庭和実:中村悠一
    石尾豪:神谷浩史
    赤城:安元洋貴
    篠崎:福島潤
    斎木:三木眞一郎
    初野香乃:潘めぐみ
    マルケス・イグナシオ:村瀬歩
    袴田一平:小野大輔

  • ふっと手に取って読んだ本。友人でロードバイク好きな人がいて何でって思いつつも夢中になりました。ダラダラしないでテンポも良く、読みやすく、当たりの本でした。近藤史恵先生の本、続きもあるそうなので読んでみます。

  • 今年の最後に選んだのはこれ!
    どうも最近自分にとっての良作に恵まれないなぁ、と思い、満を持して手に取りました。
    大藪春彦賞も受賞しているし、なにより多くのブグログユーザー様たちの高評価を受けるこの作品ならば絶対にまちがいないでしょう!!

    …………ん?
    あれあれ?
    これって……?
    ミステリーなんですね?
    いや、嫌いじゃないです。むしろ好きなジャンルですけど、勝手にスポーツものだと思ってました。三浦しおんさんの「風が強く吹いている」みたいな。ギットギトの熱いものを想像してました。それとお仕事小説を掛け合わせたものだと思い込んでいました。

    ……悪くはないです。思ったより淡泊でしたが。
    なんとなくしか知らなかったプロのロードレーサーの世界を垣間見れましたし。
    ミステリーとしても、なるほどねとは思ったんですが、いまひとつ動機に納得が出来かねました。
    石尾の行動。
    袴田の行動。
    香乃の行動。
    ん~、そうなるの? それでいいの?

    う~ん。この人気作でも心に響かないなんて、巡り会わないっていうより、今更だけど自分って絶望的に読書に向いてないのかも(・_・;)

    たしか、京極夏彦さんの小説中の登場人物、古書店の店主である京極堂はこんなようなことを述べていた。

    世の中につまらない本など一冊もないのだよ、と。
    つまらなく感じるのは読み方が悪いからだ、と。

    まあ、それは極端だろうけど、どんな本でも楽しく読めるに越したことはない。

    どんな本でも楽しく読めて、感動し、興奮し、下手な難癖ばかり思い浮かべずに、ただただ素直に読書できたならどんなに素晴らしいだろうか。
    それは読み手の能力であり才能なんだろうなぁ。
    普通に羨ましい(笑)

    まあグチってもしゃーない(´▽`*)
    来年こそぉぉぉぉぉの精神でいこうっと!!

    ご覧いただいた皆様。
    しょうもないレビューにいいねしてくれたり、コメントで遊んでくれたブグ友の皆々様。
    今年は大変お世話になりました(*- -)(*_ _)
    来年もよろしくね~(^^)/~~~♪

    • 1Q84O1さん
      土瓶師匠

      また師匠を囲む会メンバーが一人増えましたねw( ̄ー ̄)ニヤリ
      土瓶師匠

      また師匠を囲む会メンバーが一人増えましたねw( ̄ー ̄)ニヤリ
      2023/01/04
    • 1Q84O1さん
      hibuさん

      こんばんは♪
      土瓶さんはなかなか師匠と認めてくれませんが
      『師匠ーっ!!』
      と、言い続けてくださいねw
      hibuさん

      こんばんは♪
      土瓶さんはなかなか師匠と認めてくれませんが
      『師匠ーっ!!』
      と、言い続けてくださいねw
      2023/01/04
    • hibuさん
      1Q8401さん、こんばんは♪

      私も仲間に入れていただき光栄です♪
      今後ともどうぞよろしくお願いします!
      1Q8401さん、こんばんは♪

      私も仲間に入れていただき光栄です♪
      今後ともどうぞよろしくお願いします!
      2023/01/05
  • フォロワーさんの感想を読んで、これは面白そうだなぁと、Amazonでポチっと買ってしまった(*^-^*)


    勝つことを義務づけられた〈エース〉と、それをサポートする〈アシスト〉が、冷酷に分担された世界、自転車ロードレース。
    初めて抜擢された海外遠征で、僕は思いも寄らない悲劇に遭遇する。
    それは、単なる事故のはずだった――。二転三転する〈真相〉、リフレインの度に重きを増すテーマ、押し寄せる感動!
    青春ミステリの逸品。


    スポコン青春物語かなぁ?という雰囲気で始まる物語。
    自転車ロードレースなんてスポーツが存在することすら知らない私(^-^;
    えーー!?そーーなんだ!?へぇ~!!!と自転車ロードレースの世界を少し知る度にびっくり。

    中盤から物語はだんだんミステリの雰囲気を醸し出してくる。
    うーん、いーねー、いーねー。

    妬み、僻み、そんな愚かな理由から事故が起こったのか?
    疑心暗鬼の中、海外遠征に赴いたチーム。
    そこで新たな悲劇が。。。


    物語としては、とても面白かった!
    Amazonでポチっとしたので、本の分量がよく分かっていなかったのだが、
    この本はとても薄い(T_T) 280ページくらいの本だった。

    私は小説は厚くて長いものがとても好みなのだが、この小説は少し少なすぎたかな。
    それぞれのキャラクターの人となりを、じっくり紹介してほしかったかもしれない。

    もっともっとこの物語にどっぷり浸かっていたい自分が居た。

    • さてさてさん
      bmakiさん、こんにちは。
      いつもありがとうございます!
      自転車ロードレースの世界面白いですよね!私も全く知らなかった世界をこの作品で...
      bmakiさん、こんにちは。
      いつもありがとうございます!
      自転車ロードレースの世界面白いですよね!私も全く知らなかった世界をこの作品で知ることができて読書の喜びを知った思いです!
      280ページというページ数、確かにどっぷり浸かれる分量ではないと思いますが大丈夫です。このシリーズどんどん続いていますから。まだ未レビューですが、私、その次も読了済です。こちらも面白い!なので、bmakiさんも是非、シリーズとしてどっぷり浸かられてはいかがでしょうか?
      では。
      2021/02/21
    • bmakiさん
      さてさてさん。こんにちは!
      さてさてさんのレビューを読んで、これは!!と思い、すぐにAmazonでポチりました(*´▽`*)
      このシリー...
      さてさてさん。こんにちは!
      さてさてさんのレビューを読んで、これは!!と思い、すぐにAmazonでポチりました(*´▽`*)
      このシリーズ続いているんですね!?
      貴重な情報ありがとうございましたm(__)m
      全シリーズ読んでみたいです♪♪
      2021/03/07
  • も、ものすごい作品を読んでしまった…!

    なんか私も最近こんなことばっかり言ってるので「またかーい」と思う方もいらっしゃるかもですが、いやこれはほんとに。

    一言で言えば、自転車ロードレースというスポーツの世界を舞台にしたミステリ。

    自転車ロードレースって日本では全然マイナーな競技だし、私も全く知識がない状態で読み始めました。
    でも、作中でめちゃくちゃわかりやすくその独特な世界が描かれているので、すぐに「はいはい、ロードレースね〜。20年前から知ってますけど?」みたいなスタンスで(どんなん)読み進めることができます。

    とりあえずなにそれおもしろ!と思ったのが、ロードレースは個人競技なのに完全に団体競技でもあること。

    個人でエントリするものの、基本的にレースにはチームで参加するので、チーム全体でエースを勝たせるためのアシストという役割があるそう。

    そのアシストってのがめちゃめちゃ戦略的で、いろんな人の考えがうずまいていて…もう自転車ロードレースというスポーツ小説としての側面だけでも読み応えがありまくる。

    でもそこは近藤史恵さん、これはミステリなんです!
    冒頭でロードレース中のすごく不穏な出来事が示されているんですが、あれは事件?事故?いつ起きる?なぜ起きる?誰が巻き込まれる?と気になって仕方がない。

    ラストのすべてがわかる時には、ずーっと鳥肌が立ってました…ある人物の壮絶な生き方がとても印象的で。
    「サクリファイス(犠牲)」というタイトルの意味がずしっと来ます。

    とにかくこれはすんごいミステリです。シリーズものなので今めちゃめちゃ忙しいけど続きも読む!すぐ読むぞー!


    • 1Q84O1さん
      フランスお気をつけていってらっしゃーい(^o^)丿

      気分だけw
      フランスお気をつけていってらっしゃーい(^o^)丿

      気分だけw
      2022/12/24
    • 1Q84O1さん
      mochiさん

      年末になって忙しさも一段落しましたか?

      今年もお世話になりましたm(_ _)m
      来年もよろしくお願いします!ステキなレビ...
      mochiさん

      年末になって忙しさも一段落しましたか?

      今年もお世話になりましたm(_ _)m
      来年もよろしくお願いします!ステキなレビューを楽しみにしてますね♪
      良いお年を〜(^O^)/
      2022/12/30
    • mochimochiさん
      1Q84O1さん

      こちらこそお世話になりました〜!
      私はいまおフランスにいます笑

      来年もどうぞ絡んでくださいね(⁠。⁠・⁠ω⁠・⁠。⁠)...
      1Q84O1さん

      こちらこそお世話になりました〜!
      私はいまおフランスにいます笑

      来年もどうぞ絡んでくださいね(⁠。⁠・⁠ω⁠・⁠。⁠)⁠ノ⁠良いお年を〜!
      2022/12/30
  • サイクルロードレースを巡るミステリー。

    主人公・白石誓は将来を嘱望された陸上選手だったが、「自分が勝つことの重圧から逃げ出したくて」自転車ロードレースに転向した変わり種。エースを勝たせるために自らを犠牲にするアシストにやりがいを感じている。

    チームのエース石尾には、故意に事故を起こして次期エースを引退に追い込んだ黒い過去がある。徐々に頭角を現す白石も同様の目に遭うのか? そんな中、レース中の事故で石尾が死亡してしまう。

    真相が二転三転、そしてなる程と思えるオチ。スピード感もあって面白かった。それにしても白石の元カノ、ちょっと酷いな(笑)。

  • 犠牲という意味のタイトルのサクリファイス。ロードレースはチームのエース勝たせるための犠牲を伴うゲーム。アシスト達の犠牲を無駄にしない唯一の方法は、エースが優勝することだ。この物語は、故に、チーム内の軋轢、嫉妬と挫折、切ないロマンスを生む。しかしこれだけではなく、その犠牲のゲームを理解したうえで、アスリートとしての矜持、駆け引き、選手の息づかいが伝わってくる。今回起きた日本人のロードレースチームの死亡事故。この悲劇の真相は、以前このチームに所属していた者の復讐劇だった。次はツール・ド・フランス!

  • サクリファイス、犠牲、いけにえ?自転車?
    表紙を見た時の印象だ。

    タイトルとイメージが繋がらなかった。サイクルロードレースというスポーツに興味を持つ機会もなかったから。



    主人公は、プロのロードレースに所属する白石誓。各地で開催されるレースをこなしながら、チームの中でアシストとして成長していくストーリー。

    ロードレースには、エースとアシストという役割分担がある団体競技なのだという。
    アシストの選手は、エースを勝たせるために走る。その結果、自分の順位を下げることになっても。
    先頭の選手は、空気抵抗をひとりで受けることになるから、相手がライバルだとしても先頭交代をするのがマナー、フェアプレー精神が求められる紳士のスポーツらしい。



    読み終えて、放心だった。
    何という物語なのだろう。苦すぎる。

    紳士とは?
    フェアプレーとは?

    まるで武士道のような振る舞いに思えてならなかった。ロードレーサーとしての誇り、信念、勝負に対する熱量、後進の育成、ロードレース界の発展、先を誰よりも見据えていたのは…

    サクリファイス
    献身に近いものを感じた作品でした。



    生々しい怪我や死の描写は苦手、読みながら鉄の味してあちこちヒリヒリしてくるから。
    シリーズらしいけど、次に進むか迷うな。

    • ヒボさん
      aoiさん、こんばんは♪
      個人的にすごく好きなシリーズです。
      続編を手にされるのを少し悩んでいらっしゃるようですが、読んで頂けるといいなぁっ...
      aoiさん、こんばんは♪
      個人的にすごく好きなシリーズです。
      続編を手にされるのを少し悩んでいらっしゃるようですが、読んで頂けるといいなぁって、思わずコメントしてしまいましたm(__)m
      2023/01/30
    • aoiさん
      ヒボさん、おはようございます♫
      ヒボさんのお好きなシリーズなんですね!

      主人公のサポート側に回るのが好きという感覚やキャラクターには、すご...
      ヒボさん、おはようございます♫
      ヒボさんのお好きなシリーズなんですね!

      主人公のサポート側に回るのが好きという感覚やキャラクターには、すごく共感するところがあって、好きなシリーズになりそうな予感はあるんです

      エデン、読んでみます!
      ありがとうございました(^^)
      2023/01/31
  • この作品はどのカテゴリに分別すれば良いのでしょう。ミステリ?それともスポーツ小説?

    何にせよ言えるのは、作者の文章力が素晴らしいということです。
    文章は写実的ですっきりと読みやすい。それでいて正確に場面を描写しています。
    自転車ロードレースに全く詳しくなくても、説明がとにかく親切なので理解しやすいです。

    自転車ロードレースは闇雲に勝利だけを目指す競技ではなく、勝利だけが名誉なのでもない。
    総合優勝、ステージ優勝、山岳ポイントにアシスト…活躍の仕方は人それぞれ。

    エースがチームにいればエースの総合優勝のためにチームで協力するわけですが、その場合は名が残るのはエースのみ。
    競技スポーツとしてはかなり特殊だと思いました。

    「サクリファイス(自己犠牲)」が最終的にこんな意味を持っていたのにはとても驚きました。
    ミステリとしてもスポーツ小説としても読める、本当に面白い作品でした。



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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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